きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

127. 2019年九州場所4日目を勝手に語る

昨日懸念していた両大関は明暗が別れた。

『明』の貴景勝はしっかり押し込んで、間隔が少し空いたところを叩き込んだ。

この2日間のようなまともな叩きではなく、しっかり圧力をかけたからこそ決まった叩きであった。

楽して勝つことを考えず、押すことを貫くことが重要だろう。

『暗』の高安は懸念していた通り北勝富士のおっつけにやられた。

本日のおっつけは左からであったが、そもそも高安の立ち合いがあまりにも右をぶつけすぎたように感じた。

かち上げから起こして突っ張ろうと考えていたのだろうが、強く当たることを意識し過ぎたためか、始めから半身になるような形となり、北勝富士のおっつけに見事ハマってしまったように見えた。

高安としては初日のような思いきった相撲を取りたいのだろうが、気持ちと身体がバラバラなように感じる。

怪我の影響もあるのだろうが、角番脱出のためにも序盤は白星先行で終えたいところ。

第一人者 白鵬隠岐の海を降して今場所初の連勝だが、本日の相撲を見て最も感じたことは『立ち合い』に関してである。

以前と比較して『高い』『遅い』『軽い』。

立ち合い高く、踏み込みスピードも無い分、得意の左前ミツを引いてもすぐに切られ、圧力も無い為相手にある程度余裕を持って残された。

そしてあっさり巻きかえを許した辺りも気掛かりである。

もろ差しを許しても、白鵬自身代名詞とも呼べる左上手を引き付けていたから良かったが、磐石とは言い難い内容である。

まだ序盤と言えばそれまでだし、場所中にエンジンがかかることもしばしばある百戦錬磨のため、判断は難しいところだが、この4日間を見る限りでは白鵬にとって苦戦を強いられる場所になりそうな予感がする。 

関脇に目を向けると、大関昇進を目指す御嶽海が大栄翔相手に不覚を取った。

立ち合いもろ手突きを選択し、それを下から跳ね上げられてもろ差しを許した。

本来御嶽海が取りたい相撲を逆に大栄翔が取った内容だった。

昨日負傷した目の影響もあったのか、立ち合い高いし、結果としてもろ手突きも悪手となった。

序盤で早くも2敗を喫し、大関昇進に関しては暗雲が立ち込めているが、まだまだ序盤戦のため、まずは二桁勝つためにも平幕相手には白星を重ねていきたいところである。

栃ノ心が昨日同様、相撲内容にあまり中身が無いながらも何とか白星。

立ち合いからあっさり相手得意の左四つを許し、上手もあっさり許した。

そこからよく逆転できたと言えば聞こえは良いが、内容に全く中身がないため、この先も苦戦を強いられるだろう。

明日の注目は
白鵬ー妙義龍』
北勝富士ー朝乃山』
この2番である。

正直白鵬ー妙義龍は、白鵬があっさり勝つ姿も目に浮かぶのだが、妙義龍が張り手、かち上げを恐れず、立ち合いしっかり踏み込んで白鵬を引かせたら面白い。

白鵬は2日目にその展開で敗れており、上記の通り本日も立ち合いは甘い。

妙義龍の立ち合いの鋭さならば、十分可能性はある。

北勝富士ー朝乃山は両者ともに今場所好調であるため注目である。

北勝富士としては今場所随所にみられるおっつけ、ハズ押しが勝利への鍵となるだろう。

先場所の両者の対戦も北勝富士のハズ押しがハマり、北勝富士に軍配が上がった。

一方朝乃山としては、立ち合いしっかり踏み込み、絶対に『引っ張りこんで上手を狙わない』ことだろう。

先場所の対戦では、立ち合いしっかり踏み込み、廻しを引けなくても圧力をかけていたが、引っ張りこんで上手を狙ったところをハズ押しされた。

上手を狙う際は前ミツ狙い、廻しが引けなくても前に圧力をかけることが重要だろう。

明日で早くも序盤5日間が終了する。

どのような展開で中盤戦へ突入するだろうか。

126. 2019年九州場所3日目を勝手に語る

昨日は上位陣総崩れの九州場所だったが、本日は打って変わって上位陣+関脇2名全員白星。

まず本日注目の『白鵬ー朝乃山』だが、第一人者 白鵬が考えた一番で朝乃山を一蹴した。

白鵬は立ち合い張り差しを選択。

しかも本日は『右張り差し』だった。

白鵬の張り差しは左からが多く、そこから右四つに組む流れである。

しかし本日は裏をかくように右から張って左を差すことに成功した。

さらにはもろ差しになり、万全な形であった。

白鵬としては右四つがっぷりになることを避けたのか、速攻相撲を意識しているように感じた。

正直『絶対的な強さ』はあまり感じさせないが、期待の若手相手に相撲を取らせず、そして連敗を逃れたという点では大きいだろう。

一方朝乃山としては裏をかかれた形となり、何もできずに敗れたというのが悔やまれるところである。

朝乃山としては切り替えて明日以降自分の相撲を取っていきたいところ。

大関陣2名は磐石と言い難い内容ながらも白星。

高安はお得意様の隠岐の海相手に、得意の左四つに組止め上手も引いたが、その上手は深く、その後の上手投げも強引だった。

全休明けの角番ということで、まずは白星を積み重ねることが最優先と言ったところか。

貴景勝が大栄翔相手に辛勝。

立ち合いからの流れは良かったが、いなされたあとに上体が起きたまま突っ張り、さらにそこからまともな叩きを見せた。

何とか決まったから良いものの、内容は決して誉められたものでない。

昨日の朝乃山戦もそうだが、今場所は我慢が出来ていない様子である。

大関昇進を目指す御嶽海は、明生相手にしっかり体を寄せて攻めきった。

昨日の敗戦を引きずることなく相撲を取りきった。

この一番をきっかけにして白星を積み重ねていきたいところ。

大関復帰を懸ける栃ノ心が3日目に初日を挙げた。

遠藤に右前ミツを引かれたが、強引に振りほどいて叩き込んだ。

正直栃ノ心としては中身のない内容だが、気持ちは切れていない様子である。

一方遠藤としてはもったいない内容である。

現状お互いの力量、相性を考えたとき遠藤としては星勘定に入れたい力士だったと思うが。

平幕下位に目を向けると正代の調子が良さそうだ。

場所前の展望でも記載したが、この地位ならば好成績も十分に考えられるだろう。

一方琴奨菊が気がかりである。

上位で勝ち越す力量は無くなったが、平幕相手には強さを発揮しており、上を目指す若手にとっては『門番』に近い存在であった。

しかし先場所は前頭7枚目で負け越し、そして今場所は初日から3連敗。

まずあっさりもろ差しを許しすぎる点が気がかりである。

元々この力士は右を抱え込みにいくため、脇が甘いことに定評(?)があったが、今場所は本当にそれが顕著である。

そして立ち合いからの圧力、その後の馬力も低下しているため、脆く崩れてしまう。

年齢から考えたら仕方ないと言えば仕方ないのだが、あまりにも脆く敗れ去る姿をみると寂しさを感じる。

明日注目っていう程ではないが
『高安ー北勝富士
貴景勝ー遠藤』
大関にとっては油断ならない相手である。

両者ともに自分の相撲を取りきれば問題ないと思うが、中途半端な内容では足をすくわれる可能性が高い。

高安は北勝富士のおっつけ、ハズ押しには注意しなければならないため、安易な左差しは避けたいところ。

貴景勝は安易な叩きは避けたいところ。

前に圧力のかかっていない叩きでは、遠藤に手を付かせることは出来ないだろう。

白鵬も磐石とは言い難いため、優勝争いを演じるためには序盤で躓くわけにいかない。

大関陣にとっては踏ん張りどころである。

125. 2019年九州場所2日目を勝手に語る

豪栄道が休場を発表し、そしてまさかの上位陣総崩れの2日目。

さらには両関脇も敗れた。

まず第一人者 白鵬は大栄翔相手に何もできず完敗した。

立ち合いはかち上げを選択したが、大栄翔を起こすことが出来なかった。

そして近年の白鵬の悪い癖である劣勢からの叩きを見せてしまった。

白鵬の場合、鶴竜よりも懐が深いため、この叩きが決まることもしばしばあるのだが、本日のようにかち上げで上体を起こすことが出来ていない場合墓穴を掘ってしまう。

白鵬としては明日以降切り替えていきたい所だが、どうにも途中休場してしまう気がしてならない。

まだ2日目のため、何とか踏ん張ってほしいところ。

本日最も注目していた取り組みである『貴景勝ー朝乃山』。

制したのは朝乃山だった。

朝乃山が立ち合い踏み込み良く、しっかり腰も落としていたため、貴景勝の当たりに対して全く下がることがなかった。

逆に貴景勝としては立ち合い2度合わなかったことも影響したのか、立ち合いで押し込めないとみるやすぐ左からのいなしを選択してしまった。

貴景勝の強さは何と言っても押しだが、それともう一つ『タイミングの良いいなし』である。

しかしこのいなしは相手に圧力を掛けて、貴景勝独特の間合いから繰り出すからこそ効果を発揮するものである。

朝乃山は立ち合い当たり負けずしっかり踏み込み、貴景勝のいなしもしっかり計算に入れていただろう。

朝乃山としては完勝した一番となり、貴景勝としては悔やまれる一番となった。

角番高安は全く相撲にならず完敗。

腰高であり、まるで良いところがなかった。

昨日のような思いきった相撲を取りたいところだったが、相手が変化もある阿炎だったため消極的になったか。

角番脱出のためには初日のような攻める気持ちが重要になってくるだろう。

大関昇進を目指す御嶽海も学生時代からのライバルである北勝富士に敗れ黒星。

先に叩いたのは北勝富士だったが、常時低かったのも北勝富士だった。

右ハズも効果的であり、御嶽海の嫌がる相撲を取った。

御嶽海としては最初に相手が叩いてきたところで攻め切りたかっただろうが、北勝富士の意地が勝ったというところか。

御嶽海としては『黒星を喫したあとの翌日』が重要だろう。

とにかく連敗だけは避けたいところ。

大関復帰を懸ける栃ノ心が連敗。

上体だけに力が入っており、下半身が全くついていっていない。

立ち合い腰高ですぐに叩き、流れでたまたま上手を引いたが、昨日同様全く引き付けられていないため、あっさり上手を切られて引き落とされた。

大関復帰のためには10勝が必要だが、過去のデータを除いても厳しいと言わざるを得ない内容である。

明日の注目は
白鵬ー朝乃山』だろう。

白鵬は相四つ相手に絶対的な強さを誇っているが、近年右四つに組む頻度が減少しているためどうなるか。

朝乃山としても勝つためには右四つ左上手がほぼ絶対条件となるため、右四つに組み合うとは思うが、どちらが先に上手を引くのか。

また朝乃山が先に上手を引いたとしても、白鵬の廻しを切る技術は歴代でも最高峰のため、上手を引いただけでは安心できない。

白鵬としても第一人者としてそう易々と敗れるわけにはいかない。

ましてや相四つ相手ならば尚更だ。

熱戦になるのか、それとも呆気なく勝負がつくのか。

三役以上で全勝は早くも朝乃山だけである。

上位陣としても奮起したいところだろう。

124. 2019年九州場所初日を勝手に語る

本日より大相撲九州場所が初日を迎えた。

今場所も15日間、勝手に語っていこうと思う。

まず初日早々鶴竜が休場。

休場自体に関しては残念という感想だが、休場届けを提出するのが初日というのが解せない。

もう少し早く提出していれば割り返しも可能だっただろうに。

まぁ本日の稽古場で痛めたということで仕方ないと言えば仕方ないのだが、拍子抜けである。

場所に目を向けると休場明けの第一人者 白鵬が先場所敗れている北勝富士相手に完勝した。

立ち合いかち上げて上体を起こし、相手の頭が下がった所を叩き込んだ。

先場所も同じく初日に顔を合わせて敗れているだけに、まずまずのスタートを切ったと言える。

大関3名は全員白星ならず。

白星を挙げた休場明けの高安は、体当たりから突っ張りという流れで完勝した。

上体はやや高いが、圧力はしっかりかけられており、腕も良く伸びていた。

まだ初日のため左肘の状態も完全に把握できているわけではないが、初日としては完璧な内容だろう。

大関復帰を果たした貴景勝隠岐の海にほとんど何もさせず完勝した。

先場所負傷した左胸筋だが、左はハズ押しが見られていたため、とりあえずは良好な様子である。

唯一黒星を喫した豪栄道だが、苦手遠藤相手に差し負けて、上手も許すという絶対に避けたい形になってしまい敗れた。

しかもただ敗れただけならまだしも、足首も負傷した様子である。

過去にも何度か足首は負傷しているため気がかりである。

大関昇進を目指す御嶽海は白星スタート。

妙義龍に上体を起こされたが、我慢して突き放して最後は引き落とした。

完勝とは言えないが、初日の入り方としては悪くないだろう。

一方大関復帰を狙う栃ノ心は明生の鮮やかな下手捻りにより黒星スタート。

栃ノ心は先場所から見ると、腰高自体は変わりないが、立ち合いの当たりの強さは比較的戻ってきている印象を受けた。

しかし上記の通り、腰高であり、さらには脇が甘いため、あっさりもろ差しを許した。

得意の左上手を引いていたが、肩越しのため引き付けられず、これでは力が半減してしまう。

何度か記載したことがあるが、特例復帰の場所で初日、2日目いずれで黒星または連敗を喫した場合、大関復帰の確率は『0%』である。

まだ初日と言えばそれまでだが、嫌なデータであるため、栃ノ心は切り替えて明日以降集中していけるかどうか。

まだ初日のため、怪我の具合なども含め、不明な点は多い。

期待力士の一人である朝乃山に至っては、不戦勝のため相撲すら取っていない。

その中明日の注目は何と言っても
貴景勝ー朝乃山』である。

貴景勝としては自分の相撲を貫くことが出来るかどうか。

一方朝乃山は組み止めたい所だが、押し相撲相手の対策が不十分な面も目立つ。

今場所はそれが克服できているかどうか注目である。

貴景勝が勝つ場合短い相撲であり、朝乃山が勝つ場合ある程度時間を要するのではないだろうか。

はてさて。

123. 2019年大相撲九州場所展望

1年納めの大相撲九州場所が明日から初日を迎える。

上位陣は全員出場するとのことだが、万全な状態で臨める者が存在するかどうかが気がかりである。

第一人者 白鵬は今年5場所で1場所優勝を果たしているが、その他皆勤した場所は1場所のみであり、さらにその場所は11勝だった。

2019年の白鵬は絶対的な型である右四つになる機会が圧倒的に少なく、相撲勘と瞬時の対応力でカバーしている印象である。

それでもある程度結果を残すあたり、他の力士との力量差と言えばそれまでだが、やはり右四つに組むことが出来ない場合安定感に欠ける。

初日の対戦相手は先場所も初日に顔を合わせ黒星を喫した北勝富士である。

対戦成績以上に北勝富士には苦戦することが多いため、土俵勘を取り戻すにはうってつけの相手だろう。

もう一人の横綱 鶴竜白鵬同様1場所優勝しており、随所に力を発揮しているが、突如崩れることがあるため15日間総合しての安定感に欠けると言える。

悪手である引き・叩きを見せることなく、自分の相撲を取り続けることが出来るかどうか。

初日の相手は先場所敗れている朝乃山である。

相四つ相手だが、胸を合わせる格好だけは避けたいところである。

大関陣には多くを望めないのが現状か。

大関復帰を果たした貴景勝は、先場所の怪我の具合が気がかりである。

場所前関取衆とも稽古を積んでいたようだが、正直万全とは言い難いのではないだろうか。

胸筋の怪我と言えば思い出すのは稀勢の里である。

貴景勝は比較的逆境に強いタイプではあるが、無理をして悪化だけはさせないでほしいと願う。

全休明けの高安は、場所前の情報を聞く限りでは肘の状態は思わしくない様子であり、優勝争いを考えたとき厳しいと言わざるを得ない。

昨年は出場した5場所中4場所で二桁勝利を挙げ、さらに3場所は12勝と力を発揮していたが、今年に入ってからは休場も多くなり印象が薄くなっている。

豪栄道はいつも通り『稽古上横綱』の様子であり、場所に入れば強い豪栄道と弱い豪栄道が混在することになり、勝ち越しか良くてギリギリ二桁に到達するのが関の山ではないだろうか。

関脇に目を向けると、大関昇進を目指す御嶽海と大関復帰を懸ける栃ノ心が存在する。

この2人の詳細に関しては120121を参照していただきたいが、御嶽海としては『負けた翌日』が重要になるだろう。

突如崩れる傾向にあるため、負けた翌日にしっかり修正して臨むことが出来るかどうか。

栃ノ心は序盤戦で躓くことなく、白星を重ねていけるかどうか。

正直ここ数場所の内容を見る限りかなり厳しいと思うがはてさて。

今場所は4小結となり、若手力士の台頭が期待される。

その中の1人である新小結 朝乃山は今場所結果を残すことができるかどうか。

夏場所に優勝を果たし、先場所は上位総当りで二桁を挙げた。

近年押し相撲が多い中、右四つでスケールの大きい相撲を取るということもあり、かなり注目されているが、押し相撲力士への対応力が不十分であること、またそれに伴い同格の力士に勝ち切れないなど課題は多い。

正直今場所は勝ち越すことができたらそれでも十分だと思うし、私自身8、9勝だと予想しているが、周りの期待が大き過ぎるだけにどうなるか。

平幕に目を向けると、まず前頭2枚目に躍進した明生に注目である。

2場所前の上位初挑戦場所では跳ね返されてしまったが、相撲内容自体は決して悪いものではなかった。

2度目の上位挑戦で殻を破ることが出来るかどうか。

下位に目を向けると逸ノ城が前頭12枚目と大勝ちすることを期待していたが、場所前に休場が発表された。

前頭10枚目まで番付を落とした正代もこの地位では大勝ちする可能性を秘めているため注目である。

またこちらでも記載したことがあるが、今年に入ってから5人それぞれ異なる力士が優勝を果たしている。

昨年の秋場所から7場所連続である。

仮に高景勝が優勝を果たした場合、2019年6人それぞれ異なる力士が優勝するという点では記録達成となるが、昨年九州場所貴景勝が優勝を果たしているため、昨年秋場所からの記録は途切れることになる

今場所も異なる力士が優勝するかどうかも注目である。

122. 2019年年間最多勝争い

どの九州場所においても注目されるのが『年間最多勝』である。

秋場所終了時点の成績は
1位:御嶽海、阿炎(45勝)
3位:朝乃山(44勝)
4位:豪栄道(43勝)
5位:遠藤(42勝)
となっている。

関脇以下の2名が1位であり、さらにはその下も1勝ずつしか差はなく、6位には41勝で横綱鶴竜も存在する。

混戦と言えば聞こえは良いが、今年も『60勝未満』になる可能性は高く、上位陣の不甲斐なさが目立つ争いと言える。

そもそも年間最多勝にて初めて60勝未満となったのは2年前の白鵬の56勝が初めてであった。

この時は白鵬が25休ながら年間最多勝を受賞し、白鵬の強さとともに周りの不甲斐なさが目立つ形となった。

昨年も栃ノ心が59勝にて受賞し、2年連続で60勝未満となり、そして今年も確定と言っても良いレベルで60勝未満である。

御嶽海、阿炎のどちらかが全勝すれば60勝に到達するがあまり現実的ではない。

そして何が問題かというと、仮に阿炎が受賞した場合である。

2016年に稀勢の里が史上初の『年間優勝なしによる受賞』を果たしたが、この時の稀勢の里は優勝次点4場所と存在感は示していた。

しかし阿炎はここまでの5場所にて、優勝次点すら果たしていない。

正直このような結果で年間最多勝と言われても興ざめするレベルである。

もちろん阿炎は悪くない。

今年に入ってから三役に昇進し、そこでも勝ち越しを果たすなど力を付けていることは間違いない。

そして九州場所で優勝もしくは優勝次点という可能性もないわけではない。

とはいえそれでもどうだろうかっていうのが私の心情である。

やはり今年は上位陣の不甲斐なさが目立つと言えるだろう。

確かに白鵬鶴竜はそれぞれ1回ずつ優勝を果たしているが、1年通してみると休場が多く、全盛期を知る者からすれば物足りないを通り越したレベルである。

豪栄道が唯一上位5名(10名に絞っても唯一)に名を連ねている。

7休して43勝だから健闘していると言えばそうなのだが、勝率は0.632と決して高いと言えず、さらには自分より番付の低い力士に3回も優勝を拐われている。

60勝未満でも上記の通り2年前は白鵬の強さが違う方向で垣間見れた年であり、昨年は鶴竜、高安、栃ノ心が2場所終了時点にて24勝で並び、結果として上位陣の争いという点である程度納得できるものだった。

しかし今年は興ざめしている部分が多く存在する。

ちなみにその年最高位関脇で年間最多勝は、大鵬貴花田の2名存在するが『最高位小結以下が年間最多勝』というのは史上初となる。

阿炎、朝乃山にはその可能性も十分秘められている。

はてさてどのような結果となるだろうか…

121. 御嶽海大関昇進なるか?

昨日も記載したが、大相撲九州場所の焦点の1つとして『御嶽海の大関昇進』が挙げられる。

御嶽海はここ2場所関脇で9勝・12勝(優勝)の計21勝を挙げている。

1つの目安と呼ばれる33勝を考えた場合、12勝以上が必要となる。

場所の展開によっては11勝でも呼び声がかかる可能性はあるだろう。

その理由の1つに挙げられるのが『17場所連続三役在位』である。

ここ3年近く上位と戦い続け、三役の座を守り続けてきたのは、実力がなければ成せるものではない。

そして最大の理由は『関脇で2度の優勝』だろう。

年6場所制となった1958年以降、関脇以下の番付で2度優勝を果たした力士は、魁傑、貴花田琴錦の3名だけであり、『関脇で2回』となると御嶽海ただ一人となる(魁傑は大関昇進前に1度、陥落後に1度優勝している)。

さらに1958年以降、関脇で優勝を果たした力士は御嶽海を含め17名存在するが、そのうち14名が大関昇進を果たしている。

これらのデータに加え、17場所連続三役在位という実力を加味すると、大関昇進は難しくないように感じるが、懸念材料も多く存在する。

1つは『三役在位中の二桁勝利数の回数』である。

九州場所で17場所連続となるため、秋場所までの16場所間で二桁勝利を果たしたのは優勝した場所の2回だけである。

そのため2場所連続二桁勝利の経験はない。

そして連続在位間に『3回の負け越し』を喫している。

全て7勝8敗のため、関脇在位の時は小結に降下するだけだが、今年の春場所では小結で負け越しを喫してしまった。

番付運良く半枚降下に留まったため三役を維持できたが、負け越してしまうことも見受けられるため、安心して見ることが出来ない。

そしてある意味で最も深刻な理由が『関脇で優勝した直後の成績』である。

上記の通り、関脇で優勝した14名が大関に昇進しているわけだが、全員に共通していることは『優勝場所をきっかけにしている』ということである。

目安である33勝の中の1場所が優勝した場所なのである。

それを活かせず昇進できていない関脇優勝力士が長谷川、玉鷲、そして御嶽海である。

長谷川は当時の大関昇進目安が『30勝前後』だったため、8勝・10勝・12勝(優勝)で昇進する可能性も考えられたが昇進できず、翌場所8勝止まりで結局大関昇進は叶わなかった。

いずれにせよ、現行の昇進基準ならば声すらかかることなく、優勝した翌場所が大関昇進を懸ける場所になっていただろう。

御嶽海は初優勝したときの成績は13勝であり、9勝・13勝と今回よりも好成績で翌場所に挑んだが、9勝で場所を終えてしまった。

その後も優勝を活かすことが出来ずにいたが、先場所再び優勝を果たすことが出来た。

今回はこの優勝を活かすことが出来るかどうか。

またこの力士は前半調子が良くても突如崩れてしまう事が多いため油断できない。

上記の初優勝の翌場所も初日から5連勝と最高のスタートを切ったが、8日目から5連敗を喫してしまった。

とにもかくにも最低10勝を挙げなければ、またもチャンスを不意にしてしまう可能性は高い。

10勝挙げれば12勝・10勝と翌場所に繋ぐことも可能である。

御嶽海の相撲人生においてターニングポイントとなる場所となるだろう。

ちなみに35. 大関所昇進場所のあれこれでも記載したことがあるが、大関昇進場所の黒星を喫した日の人数の内訳は以下のグラフのようになる。

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関脇は上位の人数によって序盤に上位戦が組まれることもあるため、一概に言えることではないが、基本的には中盤戦~終盤戦に上位戦を組むことが多いため、終盤戦以降の黒星が多い。

また以前も記載しているが、このデータは『大関に昇進した力士の成績』であるため、関係ないといえば関係ないのかもしれないが、千秋楽に黒星を喫している人数が多い。

考え方によっては、もし14日目終了時点で11勝3敗としており、あと一番勝てば目安の33勝に到達するという状況では嫌なデータと言えるかもしれない。

御嶽海の運命や如何に。