きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

120. 2度目の特例復帰場所

1年納めの大相撲九州場所まであと1週間である。

九州場所前となると『年間最多勝』にも注目が集まり、また御嶽海の大関取りなど話題の多い九州場所になりそうである。

初日までの1週間、いくつかブログを記載しようと思うが、今回は題名の通り『2度目の特例復帰場所』に関してである。

栃ノ心名古屋場所秋場所大関で2場所連続負け越しを喫し、九州場所で関脇陥落が決定している。

そもそも2度の大関陥落を経験している力士は過去に3名(魁傑、貴ノ浪栃東)のみであるため、2度目の特例復帰場所を経験しているのもこの3名である。

そして2度目の大関復帰を果たしたのは唯一栃東だけである。

魁傑は1度大関から陥落し、直後の特例復帰場所でも復帰は叶わなかったが、再び三役で好成績を続けて大関に再昇進した唯一の経験者だが、2度目の復帰は叶わなかった。

3名の2度目の特例復帰場所の星取表は以下の通りである。

①魁傑(6勝9敗)

○●●●●○○●○○●●●●○

・出場していた上位陣:横綱2人、大関4人(横綱1人とは同部屋)

・上位戦成績:0勝5敗(横綱 0勝1敗、大関 0勝4敗)

 

貴ノ浪(7勝8敗)

○●○●○○●●●●●○●○○

・出場していた上位陣:横綱3人、大関4人(横綱1人とは同部屋)

・上位戦成績:4勝2敗(横綱 1勝1敗、大関 3勝1敗)

 

栃東(11勝4敗)

○○●○○○○●○●○●○○○

・出場していた上位陣:横綱1人、大関2人(1人途中休場)

・上位戦成績:1勝1敗(横綱 0勝1敗、大関 1勝0敗)

 

魁傑は大関戦3戦を含め序盤4連敗を喫し、その時点ですでに終戦モードとなり、結果的に上位戦全敗を喫し、特例復帰の10勝どころか勝ち越しにも届かなかった。

 

一方、貴ノ浪は上位戦4勝2敗と勝ち越し、さらにはこの場所11勝を挙げ大関昇進を果たした魁皇にも勝利しながら、終わってみれば魁傑同様、10勝どころか勝ち越しにも届かなかった。

平幕相手に4戦全敗したことが痛手となった。

 

栃東は上位戦が少ないことも幸いしたか、連敗を一度もせず、着実に白星を重ねていき、史上唯一の2度目の大関復帰を果たしている。

また特例復帰場所で11勝は当時最高記録であった(現在は貴景勝の12勝)。

 

栃ノ心の2度目の特例復帰場所はどのような結果になるだろうか。

上位皆勤ならば2横綱3大関と数字上ではかなり厳しいだろう。

上位陣の怪我の具合など詳細は不明だが、展開によっては上位が休場して平幕との対戦が増えるかもしれない。

その場合、栃ノ心にとってはどのように左右するだろうか。

前回の特例復帰場所では初日から7連勝とし、中盤戦終えた時点で9勝1敗と成績、相撲内容ともに完璧だった(余談だが特例復帰場所で初日から7連勝は最多記録)。

しかしそこから平幕相手に3連敗であった。

まずは序盤でしっかり流れを作ることが出来るかどうか。

何度か記載しているが、過去特例復帰した7例の共通点は『初日から2連勝以上』である。

先場所までの内容を見る限りだと厳しいと言わざるを得ないが、奇跡を起こすことが出来るだろうか。

御嶽海の成績次第では、来年は5大関で始まる可能性も秘めているがはてさて。

119. 感銘を受けた番付発表

本日10月28日は九州場所の番付発表の日である。

最大の注目点は『三役の人数』であった。

関脇3・小結2
関脇2・小結3
など様々な予想がされていたが、結果は『関脇2・小結4』だった。

小結4人は13年ぶりであり、そもそも近年では大関から関脇へ陥落する力士が存在する場合を除けば『関脇2・小結2』を徹底することが多かった。

そのためこの結果には驚いたと同時に、十分三役に昇進する値がある成績を残した北勝富士、朝乃山が救われて良かったと感じた。

特に北勝富士に関して言えば、2場所連続筆頭で9勝を果たしながら三役に昇進できないとなれば不運過ぎるため、本当に良かったと感じている。

関脇2・小結2に拘るのも全くわからないわけではないが、仮に北勝富士が再び筆頭に留まったとしよう。

九州場所で9勝を果たし、さらに初場所13勝を果たし、そして春場所12勝を果たした場合、3場所の合計は34勝となる。

三役で9勝・13勝・12勝ならば文句なしの大関昇進だろうが『筆頭で9勝』となると、大関取りのスタートラインにすら立つことが出来ず、13勝を果たした初場所がスタートラインとなる可能性が高いだろう。

机上の空論だが、関脇2・小結2に拘り続けると、こういった不運も考えられるため、今回の小結4人は良い判断だと考える。

そして一番感銘を受けたのが『東西の前頭筆頭』である。

番付をみると
東前頭筆頭が大栄翔。
西前頭筆頭が隠岐の海である。

先場所の両者の番付と成績は
・大栄翔:東前頭3枚目(8勝7敗)
隠岐の海:東前頭8枚目(11勝4敗)
であった。

単純計算ならば、1点勝ち越しの大栄翔は1枚しか上昇しないため2枚目に留まり、隠岐の海は7点勝ち越しのため、数字通り筆頭まで昇進可能である。

予想屋さんの多くは『隠岐の海>大栄翔』と予想しただろうが、結果は大栄翔が半枚上となった。

これに関しては本当に感銘を受けた。

大栄翔は8勝とはいえ『上位総当たりによる8勝』である。

さらには1横綱1大関を破るなど健闘した。

一方隠岐の海は、千秋楽まで優勝争いして11勝を果たしたといっても、上位戦はなく、唯一の三役以上との対戦は千秋楽の貴景勝戦のみであり、さらにそれは黒星であった。

成績に差はあれど、中身は全く異なるものであり、私も予想では隠岐の海有利としたが、内心大栄翔の方が上になってほしいと思っていた。

そして結果は見事に大栄翔が半枚上である。

ここ最近の大相撲は番付もそうだが、割の編成、三賞の基準など腹立たしい出来事が多かった。

その中でこういう細かい部分を評価する辺りは、まだまだ協会も捨てたもんじゃないと感じた。

その他数多くの問題も上手いこと解決できれば良いのだが…

118. 立呼出 拓郎の暴力事件に関して

立呼出 拓郎が若手の呼出に暴力を振るったという事件が発覚した。

この事件を耳にしたとき、私の感想は『何してくれてんだバカが』だった。

貴ノ富士の暴力事件からまだ日は浅く、その中で発覚した問題である。

簡潔にまとめると、若手の呼出が客席で弁当を食べていたから拳骨したという流れである。

今回の事件においてはそれなりに多くの同情論も聞かれる。

『客席で弁当を食べるのはあり得ない』
『拳骨一発なら暴力とは言えない』
『怪我に至ってないなら大事ではない』
など。

確かに『拳骨一発くらい』という気持ちもわからなくはないが、それを許してしまってはいけないところまで大相撲の世界は来ているのである。

しかも今回の加害者は立呼出だ。

力士で言えば横綱に相当する最高位である。

貴ノ富士の時とは状況も違えば立場も違う。

それに加え協会が『暴力決別宣言』をしているにも関わらず、手を出してしまったことが残念である。

『解雇』という処分ならばあまり納得することはできないが、最高位である以上『引退』という形が望ましいと考えている。

私自身要は『協会に残ることは許されない』という考えである。

暴力を根絶させるのはもちろんのこと、今後協会に必要なことは『注意事項をしっかり正すことができる人材育成』だろう。

結局今回の問題においても若手呼出は、客席で弁当を食べていたという注意事項に関して何も反省していないかもしれない。

暴力を振られて『自分は被害者だ』という認識にしか至っていない可能性もある。

何がいけなかったのか、しっかり認識させる必要がある。

117. 貴ノ富士の暴力問題に関して思うこと
でも記載したが『暴力=解雇』が浸透することで、暴力を減少させる可能もあると思うが、部下が『つけあがる』可能性も十分に高いのである。

それでは結局『注意する』→『言葉で言っても伝わらない』→『暴力でわからせる』という流れを根絶することが出来ないのである。

しかも『暴力でわからせる』→『被害者は反省せず暴力のことだけ口にする』という流れも今後は多くなる可能性も高い。

そもそも暴力事件の内容を振り返ったとき、角界では力士、親方間による『ホウレンソウ』が圧倒的に少ないと感じる。

結果として親方は『事後報告』しか受けていないことが多い。

そして問題が起こる度常々感じることは『八角理事長の存在意義』である。

4年前から理事長に就任し、そこから八角理事長の功績は何一つない。

良くも悪くも前理事長である北の湖のやってきたことを引き継いでいるだけだ。

八角理事長自身の改革は何もなく、発言内容は『土俵の充実化』という抽象的なものである。

そして2年前の日馬富士暴力事件から今日まで問題が起きても一切責任を取ることがない。

具体的な立案は何もない、何か問題が起きても責任を取らない。

こんなふざけた存在でなぜ4年間もトップに君臨できるのかが不思議でたまらない。

今回の問題に関しても、八角理事長が大きく動くことはないだろう。

強いてあげるならば、拓郎の引退届けを受理することくらいか。

今回の一件で具体策が練られるのか。

暴力決別宣言とは何なのか。

『暴力=解雇』
これでは何も解決しないことがわかっただろう。

本来ならば実行するのも遅すぎるくらいだ。

正直私の中では、理事長解任を率先してやって欲しいところだがそうもいかないだろう。

八角理事長の力量が試されるだろう。

余談だが、拓郎は北海道出身であり、私と同郷である。

巡業ではサインを頂いたこともあった。

ファンへの対応も素晴らしいと感じていたため、本当に残念な事件であった。

117. 貴ノ富士の暴力問題に関して思うこと

『貴ノ富士が2度目の暴力発覚』

このニュースを目にしたのは秋場所が始まる数日前だった。

とあるスポーツ紙では早々『引退』もしくは『引退勧告』と記事にしていた。

この段階では暴力を振るった過程及び程度が不明だった。

始めに断っておくが、暴力に対しては言語道断である。

しかし過程及び程度がわからないうちにすぐ『引退』というのは如何なものだろうかと感じていた。

確かに『2度目』という時点で、反省の色がみえないと言えるかもしれない。

しかしただ付け人と遊んでいる中で、お笑い芸人のツッコミのように少し頭を叩いただけかもしれない。

また付け人が先に手を出してきて、正当防衛として手が出たのかもしれない。

極論を言えばこういう可能性だってあるわけだ。

『暴力=解雇』では、反省すらすることができない。

2度目ということで1年の出場停止など処分は様々だろう。

だから早々『引退勧告』と報道するマスコミにも問題があると感じていた。

そして蓋を開けてみると、それこそスポーツ紙、報道などの情報頼りだが、暴力に加え『暴言』も発覚した。

正直この話を聞いたとき、貴ノ富士は救いようがないと感じた。

挙句の果てには協会を批判した。

それは再発防止の講習会において『正直伝わってなかった』『言葉で何回言っても伝わらない場合、手を出さない代わりにどう指導したら良いのか教えてもらっていない』という旨の内容である。

言いたいことはわかる。
しかしその答えが『暴力&暴言』なのか。

行動と言動が支離滅裂しているのである。

百歩譲って言うことの聞かない付け人相手に、感情的になってしまって手が出たのは良いとしよう。

誰しも感情的になってしまうことはあるだろう(上記の暴力は言語道断と矛盾するが。)。

しかしそこから暴言まで付け足すと、貴ノ富士の『人間性』を疑ってしまう。

そして何が悲しいかというと、一般人からすると『力士=暴力』だけでなく『力士=暴力&暴言』という印象が根付いてしまうのである。

ただでさえ冷たい目でみられる大相撲が、さらに冷たい目でみられることになる。

それは大相撲ファンに対しても同様だ。

現に八百長問題、暴力問題があるたび興味のない人から意見を求められ、そして馬鹿にされるように笑われた。

結果が『シロ』という事実確認がされたあとでも、一般人の印象に残るものは『悪事』だけである。

話が少し逸れたが、支離滅裂なことをしている力士が引退勧告に対して不満を抱いているのである。

まず会見を聞く限りでは、そもそも暴力&暴言に対しての反省はまるで見られなかった。

私からすれば『逆ギレ』とも感じたほどだ。

はっきり言って、こんな力士が戻ってきても応援などする気にならない。

『2度目の暴力』
『加えて暴言』
『逆ギレ』
上記の通り救いようがない。

しかし今回の貴ノ富士の問題で懸念されることは『暴力=解雇』という図式が成り立つのではないかという不安である。

おそらくこの図式が成り立つならば、暴力の軽減に繋がる可能性も高いだろうが、問題は『上下関係』である。

いわゆる『付け人を奴隷のように扱う』といった考え方は改善しなければならないことだが、懸念されるべき点は『付け人がつけあがる』ことである。

それこそ兄弟子の言うことを全く聞かなくなるかもしれない。

それに対して注意しても反発し『殴れるもんなら殴ってみろ』と挑発してくる可能性もある。

大相撲の社会だけでなく、一般社会でも上下関係というものは存在する。

『大相撲社会の考え方は一般社会とは違う』と思っている方は多いだろうが、近年問題が発覚している今だからこそ、大相撲の上下関係も一般社会に通ずる所が多いのではないだろうか。

相撲一本で成功する人の方が少なく、大半が引退後に一般社会へ巣立っていく。

そんな中、上司につけあがる者が社会に出たらどうだろうか。

ますます大相撲社会の質が問われることになると思う。

再発防止の講習会ももっと広い目を持ってやっていく必要があるだろう。

またまた話が逸れたが、貴ノ富士に関しては、本当に戻って来なくていい。

貴ノ富士の全てを疑いたくなるような会見だった。

116. 2019年秋場所千秋楽を勝手に語る

御嶽海が史上初となる『関脇同士の優勝決定戦』を制し、7場所ぶり2回目の優勝を果たして幕を閉じた大相撲秋場所

千秋楽は正に理想展開だった。

貴景勝隠岐の海に勝利したことで隠岐の海の『インチキ優勝』はなくなり、御嶽海が遠藤に勝利し、史上初の関脇同士の優勝決定戦を観戦することができた。

この展開に至った時点で、私の中では御嶽海、貴景勝どちらが優勝しても構わなかった。

その中で自分の相撲を取りきったのが御嶽海であった。

強いて不満を挙げるならば『12勝による低次元優勝』というところか。

横綱不在、大関不調の中、この成績では物足りないと感じる部分もあるが、12勝とはいえ『横綱を除けば一番地力がある』とも言える。

御嶽海としては貴景勝大関復帰を果たし、番付では先を越されているが、地力では負けていないという意地があったのだろう。

今場所の内容を振り返ると、今場所は元来得意の型である『押し』を主体としていた。

千秋楽本割、決定戦ともに立ち合い強く当たり、押し上げて圧倒する完璧な相撲だったと言える。

この力士はここ数年、もろ差しからの攻めの巧さも見せていたが、やはり立ち合い強く当たってから押し上げる展開の方が基本的には安定すると言える。

立ち合いから目的意識を持って挑むことが、大関昇進に向けてのカギとなるのではないだろうか。

そして何より今場所は連敗しなかったことが大きかった。

この力士は連敗癖があるため、負けた翌日の相撲が今後も重要になってくるだろう。

貴景勝は場所前からの最大の目標であった大関復帰を果たし、その後も優勝争いを引っ張り存在感を示した。

本割の隠岐の海戦は左ハズ押しで相手に全く相撲を取らせなかった。

優勝決定戦はすぐ引きにいってしまい墓穴を掘った。

特例復帰の場所で最高となる12勝を挙げるなど強さを発揮したが、気になるのが優勝決定戦を終えたあとに左胸を押さえていたことだ。

胸筋の怪我と言えば稀勢の里を思い出すが、貴景勝も大事に至らなければ良いが。

優勝は果たせなかったが、とにもかくにも大関復帰が喜ばしいところ。

角番の大関2人は明暗が分かれた。

豪栄道大関としてそれなりに存在感を示した。

私は終盤戦で『ベンチマーク』になると予想していたが、結果その通りになった。

終盤戦で豪栄道に勝った御嶽海が優勝を果たし、負けた貴景勝が優勝を逃した。

今場所の展開からすると、取りこぼしがなければ豪栄道自身も十分にチャンスはあったが、15日間強さを発揮できないのが豪栄道という力士である。

そして2度目の大関陥落が決まった栃ノ心

正直序盤の出来からすると6勝したのも十分健闘した方ではないだろうか。

来場所は2度目の復帰をかける場所となるが、今場所の相撲内容を見る限りでは、厳しいと言わざるを得ない。

来場所意地を見せられるかどうか。

序盤戦の出来から考えて最終的に残念だった力士は遠藤、朝乃山、明生である。

明生は終盤の3連敗が痛手だった。

前頭下位ならばあと1、2番ほしかったが、千秋楽朝乃山に勝って二桁に到達したのは地力が付いている証拠か。

朝乃山は中盤戦終了時点で優勝候補筆頭に挙げていたが、連敗が響いた。

とはいえ上位で初の勝ち越し、さらに二桁に到達したためまだ許容範囲と言えるか。

一番残念だったのが遠藤の8勝である。

前半戦の成績、内容を加味すると余裕を持って二桁を挙げると思ったが、後半失速した。

やはり懸念していた通り『同格に勝ちきれなかった』というところである。

また前半戦と異なり、土俵際の粘りもやや見られなかった印象である。

とはいえ琴奨菊戦、隠岐の海戦(結果は不運にも黒星だが)は見事だったが、千秋楽にの一番を見る限り、15日間遠藤の相撲を取り続けるというのは難しいということである。

技術に関してはもはや修正するところが無い程完成しているため、あとは体力面ではないだろうか。

欲を言えば馬力もほしいところだが、遠藤にそれを求めるのはやや厳しいだろう。

巧さでカバーしていくためにも体力が重要になるだろう。

今場所も15日間終了したわけだが、最後に言わせてもらいたいのが『三賞選考委員は馬鹿か』。

昨日記載したが
敢闘賞:御嶽海、隠岐の海、剣翔
殊勲賞:朝乃山
技能賞:該当者なし
私はこのように予想していた。

そして実際は
(確定)
敢闘賞:隠岐の海、剣翔
殊勲賞:朝乃山
技能賞:該当者なし

(条件付き)
敢闘賞:御嶽海(優勝逃した場合)
殊勲賞:御嶽海(優勝した場合)、隠岐の海(優勝した場合)

条件付きが不可解極まりない。

何だ『優勝逃した場合』って。

敢闘賞はいわば『頑張ったで賞』に近い感覚で『大勝すれば受賞する』ことが多い。

とはいえ『敢闘』という字の通り『敢闘精神溢れる力士』に受賞されるものである。

何で優勝したら敢闘精神が無くなるのか?

場所を引っ張り、星を積み重ねた時点で御嶽海の敢闘賞は確定で構わないだろう。

そして優勝した場合殊勲賞受賞だが、御嶽海は2大関に勝利したということで百歩譲るが(正直不調の2大関に勝利しているだけなのでこれも不満)、上位戦皆無の隠岐の海に受賞させるなど以ての外だ。

確かに過去にも平成4年夏場所の曙、平成12年春場所貴闘力など不可解な殊勲賞受賞は存在した。

だからこそこれらを教訓に改善していく必要があるだろう。

感覚的には『優勝するんだったら三賞2つ付けてやるか』とか『御嶽海には何かあげなくちゃ』とか曖昧な考え方しか持っていないと思う。

横綱大関の昇進問題同様、三賞受賞に関しても多くの疑問が存在するが、近年三賞に関してはそれが特に顕著だと感じている。

今回敢闘賞を受賞している剣翔だが、これは『新入幕で10勝した』という点で受賞している。

新入幕で10勝しても過去に数名受賞出来なかったケースも存在するが、基本的には敢闘賞受賞が決定する。

それこそこれも『三賞とは異なる別の賞』を考えた方が良いと考える。

平成29年九州場所、久しぶりに幕内へ復帰した安美錦が8勝7敗ながら敢闘賞を受賞した。

正直成績だけを見たら受賞に何一つ値しないが、年齢を重ねながらも復帰を果たしたことによる『温情』による受賞だった。

確かにこのときの安美錦は素晴らしかった。
しかし三賞受賞となると話は別である。

そのため大相撲ファンの間でも囁かれているのが『カムバック賞』である。

このように新入幕の二桁勝利は『新人賞』、長期休場明けからの復帰は『カムバック賞』などを設けることで、曖昧な三賞の基準、人数調整などの円滑性も向上するのではないだろうか。

本当に今場所の三賞の条件付きは不可解極まりなかった。

そして『物言い』に関してだ。

これに関しては何度か記載しているが、曖昧な取り組みに関しては、積極的に物言いをつけるべきだと思う。

今場所で言えば何と言っても『遠藤ー隠岐の海』である。

昨日も記載した通り、蛇の目の砂に足跡が残っていないならば物言いをつけるべきだろう。

やたらと物言いをつけて進行の妨げになるのは問題だが、その境目など審判の業務を行っているものならば認識可能だろう。

『ばつが悪い』とかそんな考え方を持っているならば、審判をする資格などない。
というか消えてもらいたいくらいだ。

昨日の疑惑の一番のように『審判の目が絶対』と通すならば、行司もビデオもいらないことになるだろう。

自分の役割が何かを再度認識する必要があると思う。

これで本当に最後となるが、史上初の関脇同士の優勝決定戦を観られたことは本当に喜ばしいことだった。

相撲ファンの皆様も15日間観戦お疲れ様でした。

115. 2019年大相撲九州場所番付予想

番付 西
鶴竜 横綱 白鵬
豪栄道 大関 高安
貴景勝 大関  
御嶽海 関脇 阿炎

関脇 栃ノ心 
遠藤 小結 北勝富士
朝乃山 前頭筆頭 隠岐の海
大栄翔 前頭2枚目 妙義龍
宝富士 前頭3枚目 明生
友風 前頭4枚目 玉鷲
琴勇輝 前頭5枚目 碧山
竜電 前頭6枚目 阿武咲
炎鵬 前頭7枚目 松鳳山
剣翔 前頭8枚目 琴恵光
佐田の海 前頭9枚目 琴奨菊
豊山 前頭10枚目 志摩ノ海
正代 前頭11枚目 逸ノ城
石浦 前頭12枚目 千代大龍
隆の勝 前頭13枚目 照強
千代丸 前頭14枚目 若隆景
前頭15枚目 錦木
翔丸 前頭16枚目 大翔鵬

予想屋さんの誰もが悩む点が『三役の人数』だろう。

私は栃ノ心が関脇へ陥落するため、2017年春場所琴奨菊が関脇へ陥落した時と同様、関脇3人という予想とした。

北勝富士が不運すぎるという点をどう考慮するか。

8勝ならまだしも、2場所連続筆頭で9勝を挙げながら筆頭据え置きはあまりにも不運であるため『三役にあげてほしい』という願望の方が強い。

仮に朝乃山が11勝を挙げていれば、私は朝乃山を小結に予想していたため、それは杞憂に終わった。

北勝富士の三役昇進に当たって問題となるのが『阿炎の9勝』である。

10勝ならば関脇に上げても良いという考え方に至りやすいだろうが、一桁勝利に終わってしまったことで印象としてはあまり良くないかもしれない。

小結が3人という可能性も十分にあるが、この辺りもどのように影響するだろうか。

 

幕内下位も負け越し人数が多いため、細かな変動は読めないが、ここでの一番の問題は大翔鵬が幕内残留するかどうかではないだろうか。

十両からの昇進は千代丸、隆の勝、若隆景、大翔丸が確定。

十両3枚目の徳勝龍(8勝7敗)が比較対象となるだろうが、数字から見ると8勝では厳しいという見方をして、大翔鵬を幕内残留とした。

それよりも何よりも三役の人数が気になるところである。

はてさて。

114. 平幕力士の優勝決定戦

大相撲秋場所の優勝争いも佳境を迎える。

関脇御嶽海、貴景勝、そして平幕隠岐の海に優勝が絞られたわけだが、本割りで御嶽海と隠岐の海が勝利した場合、隠岐の海は平幕で優勝決定戦に進出することになる。

年6場所制となった1958年以降、平幕の優勝決定戦進出者は10人である。

その内、平幕が優勝決定戦を勝利した回数は『1度だけ』である。

しかもこの1度は、2012年夏場所の『史上唯一となる平幕同士の優勝決定戦』における勝利であるため、言い換えれば『平幕が優勝決定戦で三役以上の力士に勝利したことはない』ということである。

そのジンクスを打ち崩すことが出来るかどうかと言えば聞こえはいいが、以前から記載している通り『インチキ優勝』を見たくない気持ちの方が強い。

今場所の隠岐の海は前頭8枚目であり、上位対戦はない。

明日貴景勝と割が組まれたが、相撲ファンの中では『上位=横綱大関』という認識が強いだろう。

そのため、明日貴景勝(決定戦も含めたら御嶽海)に勝利したからといって、素直に喜べる優勝とは言い難い。

ちなみに過去平幕力士が優勝決定戦へ進出した事例は以下の通りである。

場所

優勝力士

成績

決定戦相手

皆勤横綱大関

上位対戦

1961年秋

大鵬大関

12勝3敗

柏戸大関

明武谷(前4)

横綱1人

大関3人

なし

1965年秋

柏戸横綱

12勝3敗

佐田の山横綱

明武谷(前5)

横綱4人

大関3人

なし

1969年名古屋

清国(大関

12勝3敗

藤ノ川(前5)

横綱1人

大関4人

なし

1972年春

長谷川(関脇)

12勝3敗

魁傑(前7)

横綱1人

大関3人

横綱1人

大関3人

(2勝2敗)

1994年春

曙(横綱

12勝3敗

貴ノ浪大関

貴闘力(前12)

横綱1人

大関4人

大関3人と同部屋

なし

1997年春

貴乃花横綱

12勝3敗

曙(横綱

武蔵丸大関

魁皇(筆頭)

横綱2人

大関2人

横綱2人

大関2人

(3勝1敗)

2004年夏

朝青龍横綱

13勝2敗

北勝力(筆頭)

横綱1人

大関3人

横綱1人

大関3人

(4勝0敗)

2010年九州

白鵬横綱

14勝1敗

豊ノ島(前9)

横綱1人

大関3人

大関2人

(2勝0敗)

2012年夏

旭天鵬

12勝3敗

栃煌山(前4)

横綱1人

大関6人

旭天鵬

大関1人

(1勝0敗)

栃煌山

大関3人

(3勝0敗)

※1人不戦勝

明武谷が唯一平幕で2度の優勝決定戦を経験しているが、いずれも巴戦で敗退している。

2度の優勝決定戦進出を果たすなど実力者であったが、いずれの場所も上位対戦はない。

上位とフルに対戦しているのは魁傑、魁皇北勝力の3人である。

しかもこの3人は上位戦で互角以上の成績を残しており、全員が優勝力士に土をつけている。

北勝力においては上位総なめである。

このレベルなら仮に優勝していても、文句ひとつ出ない。

『ギリギリ許されるライン』が豊ノ島栃煌山だろう。

豊ノ島は上位全員とは対戦しておらず、また優勝した白鵬とも対戦していないが、優勝争いをしていた2大関把瑠都魁皇)に勝利したという点で許容範囲と言える。

栃煌山は不戦勝があるものの、優勝争いの先頭を走っていた稀勢の里を含む3大関に勝利していたため、これも許容範囲と言える。

一方この場所優勝した旭天鵬は、上位戦は大関1人に留まり『インチキ優勝』と言える。

この場所に関しては、上位陣の調子が不良だったこと、唯一中盤まで調子の良かった稀勢の里が、圧倒的な星の差から逆転優勝を許したことが問題といえば問題であったが。

とにかく上記の通り、今場所の隠岐の海の優勝する姿は見たくないのが本音だ。

両関脇のどちらかの優勝、最高の展開として『関脇同士の優勝決定戦』を望むがはてさて…