きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

375. 横綱とはなんぞや?

本日、第73代横綱照ノ富士が誕生した。

令和初、平成生まれ初の横綱誕生となった。

そして一度大関から陥落しての横綱昇進は三重ノ海以来2人目、序二段まで陥落しての横綱昇進は史上初であり、これに関しては今後も誕生することがないと言えるのではないだろうか。

記録ずくめのめでたい昇進であり、照ノ富士の今後の活躍にも期待である。

中には『膝が悪化して短命なのではないか』という声も挙がっているが、その一方で周囲との力量差を考えると優勝回数を重ねていく可能性も大いに秘められている。

そしてその横綱だが、今場所は白鵬が長期休場明けの中、全勝優勝で見事復活を遂げたが、14日目の立ち合い、張り手、かち上げ等横綱の振る舞いとして如何なものかと物議を醸している。

確かにその気持ちはわかる。
勝利に対する執念は凄まじいが、千秋楽の立ち合いをずらすことも含め『汚い相撲』と言われたらその通りだとは思う。

『ルール上は問題ない』と言われても相手が失神する程の張り手を何度も繰り返し、また仮に1日にそのような取り組みが何番も続くことがあればさすがに誰しもが快く思わないだろう。

物事には限度というものがあるということだが、しかしこのようにルールを曖昧にしていてはいつまで経っても解決する問題でもないだろう。

『過去の横綱はそんなことをしなかった』と切り出しても、その程度で解決するならば苦労はしない(しかも厳密に言えば歴代の横綱も張り差しは見受けられる)。

本当に問題視するならば早急にルールの改革をするべきだと思う。

そして今回私が疑問を覚えたのは14日目の白鵬の立ち合いである。

これに関して私自身『横綱がそんな立ち合いするなんて』という思いには至らなかった。

『勝手に語る』の方でも記載しているが、そんなことをしなくても勝てるのに、単純にそこまでする必要があったのかと疑問だけである。

勝利への執念は凄まじいが、下手をすれば悪手となるのではないかという思いもあった。

しかしこの相撲に関しても『横綱なのに』と批判する声が多数挙がっていた。

そこで1つの疑問が浮き上がる。
それは『小兵力士』である。

例を挙げると今場所の7日目の白鵬ー翔猿の取り組みである。

翔猿は白鵬と距離を置き、その中で勝機を見出だす展開を狙っていた。

結果として何をしたいのかいまいちわからなくなってしまったが、それでもこの一番を見て多くのファンが『翔猿は考えて相撲を取った』とそこまで批判的な声は挙がっていなかったと思う。

話は14日目の白鵬の立ち合いに戻るが、14日目の白鵬の立ち合いに対して八角理事長が『普通奇襲は弱いものがやるもの』と苦言を呈していた。

確かにそうかもしれないが、では7日目で翔猿が仮に白鵬に勝利したとして、その後もそういった奇襲で上位に定着したとする。

そのままの相撲内容で大関横綱へ昇進を果たしたとき、翔猿はこのような奇襲戦法をきっぱり止めなければならないのか?

そしてこれは現在幕内下位~十両で相撲を取っている照強、石浦、炎鵬にも言えることである。

彼らは頻繁に変化するし、足取り等の奇襲も積極的に行っているが、それに対して苦言を呈するものはいない。
むしろ称賛されている。

しかしこの相撲内容のまま横綱昇進を果たしたらどうなるのか?
それは批判の対象となるのか。
それとも変わらず称賛されるのか。

これに対して『小兵力士は何をしても許される』という声も挙がると思う。

しかし私から言わせてもらえばこれこそ実に『ご都合主義』と言えるのではないだろうか。

そして結局のところ、そのような奇襲を主体にしても横綱に昇進することは出来ないという考え方を頭の片隅に残しているのだと思う。

悪い言い換えをすれば、小兵力士は見せ物であり、横綱へ昇進できるわけがないという考え方である。

偏った考え方に思われるかもしれないが、実際にこの考えを持っている方は多からず少なからず存在すると思う。

私自身、仮に奇襲を主体に横綱昇進を果たしたとしても、その力士に対して本来あるべき横綱相撲を取ってほしいとは思わない。

その力士の個性を失ってしまっては魅力も力量も全て損なわれるからである。

話が二転三転するが、そもそも昨今は『横綱相撲の認識』もかなり誤っていると思う。

例えば今場所の照ノ富士の相撲を見て横綱相撲かと問われると、私の答えは『ノー』である。

今場所の照ノ富士は間違いなく強かった。
そして横綱昇進に関しても何一つ文句はない。
力量はすでに横綱レベルだった。
しかし横綱相撲ではない。

答えは簡単だ。
本来の横綱相撲とは、後の先で相手に攻撃させるだけ攻撃させて、その後自分の型になって攻めるというものである。

今場所の照ノ富士は左前ミツ速攻という相撲があった。
この相撲内容は完璧の一言であるが横綱相撲ではない。

過去に遡れば、最強横綱と称される事の多い北の湖千代の富士横綱相撲かと問われたらそうとは言えない。

結局のところそれぞれの横綱像が異なるため、曖昧な部分も多いのである。

そしてそれは『品格』においてもそうである。

『品格の良い横綱とは?』と質問されたとき、何名かの四股名が挙がると思うが、『どのような部分が良かったのか?』と問われると抽象的な答えが関の山だと思う。

またこの品格に関しても明確な基準など存在するわけもなく、引退してから評価が一転する場合も多い。

例えば北の湖だが、現役時代は『憎たらしいほど強い』『勝つ度嫌われた』とされており、勝負がついた後も相手に手を差し伸べないことで有名だった。

これに関しては『敗者に手を差し伸べるのは失礼』という北の湖の美学が存在したが、現役当時、リアルタイムでそれを感じ取れたファンなど存在しなかったのではないだろうか。

そして若貴兄弟の最大のライバル曙は、常に若貴のヒールという立ち位置にあり、勝ってため息をつかれ、曙が優勝しても表彰式はファンが帰ってしまうというぞんざいな扱いを受けてきた。

しかし引退してから『日本人よりも日本人らしい横綱だった』と取って付けたかのような評価のされ方だった。

そのためファンそれぞれの横綱像を抱いているため『横綱として』『横綱なのに』『横綱の品格』と抽象的なことを言われても中々理解できないのである。

ではなぜ白鵬は叩かれるのか?

まず張り手、かち上げに関しては、上記の通りルール上は問題ないと言っても、痛めつけられる対戦相手のことも考えると『やり過ぎだ』という点から納得は出来るだろう。

しかし14日目の立ち合いに関しては、何度も言うように私個人の考えとしてはそこまで批判されるような事ではないと思う。

歴代でも立ち合い変化する横綱は存在したし、変わり気味に廻しを狙う横綱も存在した。

そして今回は変化と概念は異なるが、奇襲という点では同類だろう。

批判対象として挙げられる理由は『強い白鵬を知っているから』ではないだろうか。

そして『不甲斐ない周囲の力士への不満の矛先を白鵬の相撲内容にぶつけるしかない』ということも挙げられるのではないだろうか。

相撲ファンの大半は白鵬の全盛期を知っているだろう。
立ち合い低く鋭く踏み込み、左前ミツ浅い位置を引く。
そして廻しを切る技術、寄り、投げの技術は一級品であった。

そんな白鵬が変な立ち合いをしている。
そんなことをしなくても勝てるのに。
そういう思いは強いだろう。

そして不甲斐ない周囲の力士を叩く前に、先に目を引く白鵬の相撲内容を叩くのではないだろうか。

大相撲には長い歴史がある。
その中には引き継いでいかなければならない伝統も多く存在するだろう。

しかしその一方で無理に引き継ぐ必要のないものも存在する。

最たる例は『かわいがり』『土俵の女人禁制』だろう。

相撲内容に関しても昔と今では大きな変化を遂げている。

そもそも体型に大きな変化をもたらせているのだから無理もない。

過度な張り手、かち上げに関しては見直しが必要であるが、奇襲に関してはある程度寛大な心を持つ必要があると思う。

相撲内容も変化を遂げているのだ。
時代の変化に伴う移り変わり全てが悪いことばかりではない。

それは無差別級という全力士を平等に見るという観点から考えても。

話が二転三転してしまったが、答えのない題に関しては論争が尽きない。

これを機に協会は修正するべき点、明確化すべき点に関しては論議する必要があるだろう。

何せ常々後手に回っているのだから。

374. 2021年名古屋場所千秋楽を勝手に語る②

昨日白鵬が千秋楽全勝相星決戦を制して幕を閉じた名古屋場所

昨日記載した通り、今場所は白鵬照ノ富士を語れば十分だと思っていたが、その他力士についても一応記載しておこう。

はっきり言ってしまえば他の力士は白鵬照ノ富士の異次元の強さについていくことが全くできなかった。

そして注目度においても両雄と肩を並べる力士は存在しなかった。

これに関しては場所前から『進退の懸かる白鵬』『綱取り照ノ富士』と位置付けられていたため無理もないのだが。

場所が進むにあたり、それがより顕著となったため、強さにおいても注目度においても他の力士は霞んでしまった。

照ノ富士と番付同位は2名いるが、貴景勝は2日目で早々黒星を喫してしまい、さらには翌日休場。

その負傷部位も頸部であるため心配である。

正代も初日、2日目と久々に正代らしい相撲を取っていたが、その後3連敗し、終わってみれば勝ち越しが関の山であった。

照ノ富士戦では少しばかり見せ場は作ったがそれが限界であり、現状は勝ち越しがやっとの力量しか持ち合わせていないと言える。

そんな正代相手にあれだけ警戒する白鵬は、勝利への執念、研究心が誰よりも備わっているということの裏返しなのかもしれない。

関脇に目を向けても御嶽海はある意味いつも通りの一桁勝ち越しに終わった。

上位陣相手に全敗ということを踏まえると、いつもよりも酷かったのかもしれない。

高安は初日、2日目の休場が響いたという意見もあるが、それを除いても6敗を喫しているため、どちらにせよ二桁には届かない結果であり、また御嶽海同様上位陣には全敗だった。

大関復帰は白紙に戻ってしまったが、照ノ富士の活躍を見て奮起してほしいところである。

期待の新三役若隆景、明生は明暗が分かれた。

若隆景は序盤戦こそ力を出し切っていたが、中盤戦以降は脆さが目立つ負け方が多かった。

対戦相手もおっつけられないように安易に差さないなど研究しているため、一筋縄にはいかなかったということか。

とはいえこの力士は良く考えて相撲を取るタイプなので、必ず一回りも二回りも成長して再び三役の地位に戻ってくるだろう。

明生は横綱大関から白星を挙げることは出来なかったが、地力はつけているため勝ち越しを果たすことが出来た。

この先立ち合いの圧力、鋭さを増していくことでさらに躍進する可能性は高いだろう。

前ミツを引いて頭をつける相撲を覚えたら相撲の幅も広がるだろう。

今場所白鵬照ノ富士の絶対的な強さには届かなかったものの、逸ノ城、豊昇龍の活躍は素晴らしかった。

欲を言えば逸ノ城に関しては12勝してほしかった思いも強い。

右四つに組めば強さを発揮するのは元からであるが、今場所はあっさりと後退するような相撲は少なく、どっしり構える場面が多かった。

その反面、右四つに組んでも両廻しを引かなければ中々攻めない場面も多かった。

今後の課題としては左前ミツを浅く引き付けること、そのための立ち合いを磨くこと、右を差したら腕を返して攻める技術を身に付けることだろう。

先輩の照ノ富士の活躍を見て自分にも出来るという強い思いで挑んでほしいところである。

そして豊昇龍だが、今場所も何度か記載しているが、立ち合いに重みが出てきた。

四つに組んでの力強さも出てきたが、まだ相撲が大きい傾向にあるため、前ミツ引いて食い下がる相撲、そしてさらなる立ち合いの強化が必要になるだろう。

順調にいけば来年には三役で活躍していることだろう。

日本出身力士に目を向けると平幕下位で琴ノ若が12勝の大勝で三賞を受賞した。

今場所の活躍は素晴らしいが、私個人としては現状そこまで期待できるものはない。

そして最近の長身力士で気になる点は『もろ差し狙いが多いこと』である。

なぜ窮屈なもろ差しを狙いに行くのであろうか。

もっと堂々とどっしり構えて四つに組む相撲を取る方が身体に合っていると思うのだが。

いずれにせよ現状四つのレベルは低いため、もっと磨いていく必要があるだろう。

幕下まで目を向けると、北青鵬が幕下優勝を果たして来場所の十両昇進を決定的にした。

序ノ口のデビュー以降、まともな相撲を取らず、苦労知らずであっさり関取昇進を果たしたと言っても過言ではないだろう。

身体だけで白星を積み重ねているが、身体があれば勝てるというほど甘い世界でもない。

それでも勝ててしまうのだから恐ろしい。

私は以前から狼雅に期待しているのだが、その狼雅はここ数場所幕下上位で苦戦を強いられている。

そして日本出身力士期待の北の若も幕下で苦戦を強いられている。

この両力士は相撲は確立されていながらも、伸びしろは十分にある力士である。

その彼らを差し置いて幕下をあっさり通過してしまったのである。

過去には把瑠都や怪我をする前の照ノ富士のように身体だけを武器にして昇進したケースもあるが、身体だけに頼っていては2名のように必ず負傷してしまうだろう。

部屋には大横綱白鵬がいるため、盗めるところはしっかり盗んで相撲を覚えていってほしいところである。

今場所は白鵬照ノ富士の活躍がなければどうなっていたことか。

どんぐりの背比べであることを再認識させられる場所でもあった。

現状稽古もまともにできないこともあるだろうが、それは皆同条件である。

周りの力士はもっと危機感を持って臨んでほしいところである。

373. 2021年名古屋場所千秋楽を勝手に語る

まさに不死鳥のごとく復活を遂げた。

白鵬が6場所連続休場明けから千秋楽全勝相星決戦を制し、見事15戦全勝で復活を果たして幕を閉じた2021年名古屋場所

誰がこの結末を予想していただろうか。
場所前の展望にて私は『序盤戦無傷ならば白鵬優勝』と予想していたが、全勝の予想は全くしておらず、ましてや序盤戦もどこかで躓く可能性が高いと思っていた。

しかし躓く場面はありながらも白星へと結び付けていく。
長期休場明けでも抜群の対応力は健在であった。

そして引き出しの多さもこれまた群を抜いている。
張り差し、かち上げは元より、14日目の立ち合いも批判されているが、勝利への執念に関しては歴代のどの力士よりも持ち合わせていたということではないだろうか。

結果として今場所、その執念と研究心に太刀打ち出来る力士が存在しなかったということである。

今場所の成績で忘れがちだが、白鵬自身も優勝インタビューで語っていたように白鵬の身体はボロボロである。

36歳で膝にメスを入れているのだから。

『そこまでして勝ちたいか』という声も挙がっているが、これに関しては考え方の相違だろう。

結果を出さなければ叩かれる。
結果を出しても内容面で叩かれる。
自分の相撲が取れなくなった時点で引退すれば良い。

このような考え方も多いが、結果として白鵬を誰も止めることが出来ないという事が最大の事実である。

白鵬を止めるには白鵬を倒すしかない。
それがわかった場所でもあるだろう。

さて本日の千秋楽全勝相星決戦に目を向けよう。

まず仕切りの段階から白鵬は作戦を実行していたようである。

制限時間いっぱいから中々腰を下ろさず、先に照ノ富士が手をつくのを待っていたのだろう。

照ノ富士も膝に爆弾を抱えているため、少しでも自分優位に立とうとしたか。

それを照ノ富士も察したのか応じることはなく、腰を下ろさぬまま待ったに近い形となった。

これに関しては照ノ富士もさすがである。
今場所の照ノ富士は冷静さを持ち合わせているため、ここでも冷静さを発揮した場面となった。

しかし結局2回目も腰を下ろしたとはいえ、照ノ富士に手をつかせることには成功した。

そして立ち合いはふわりと立ち、白鵬が左手を出して右かち上げをかました。

しかしかち上げを命中させたが照ノ富士も全く怯まず、むしろ照ノ富士が左前ミツを引いて絶好の形を作った。

それでも白鵬がすぐに体を開いて廻しを切り、次は張り手戦法に出た。

前日の正代戦のように張り手というよりは『ビンタ』に近い形だった。

これに照ノ富士がムキになってやり返すように大振りの張り手をみせたが、すかさず白鵬が右四つに組み、白鵬が左上手十分、照ノ富士には上手を許さない形を作った。

ここまでの一連の流れが、この形を作るための作戦だったのか。

上手投げを打った際に上手は切れてしまったが、間髪いれずに小手投げで仕留めた。

そして勝負が決まった瞬間、歓喜の雄叫びとガッツポーズ。

これらの行為に関しては褒められたものではないが、今場所への懸ける思いが伝わる表情、動作でもあった。

昨日同様、なりふり構わずという言葉がぴったりな内容である。

そして何一つとして余裕などなかった。

並の力士ならば照ノ富士に前ミツを引かれた瞬間勝負ありだが、この力士は執念で跳ね除けてしまった。

今場所の照ノ富士は力強さと冷静さを武器にここまで白星を積み重ねてきた。

しかし白鵬という力士はその冷静さを失わせる相撲を取ったのである。

隙のない照ノ富士の僅かな隙をついて、見事勝利に結び付けた。

上記の通りこの力士の勝利への執念は桁違い、段違いである。

はっきり言って今場所の相撲内容の充実度及び『どちらが強いか』という問いに関しては大半が照ノ富士と答えるだろう。

しかし千秋楽全勝相星決戦を制したのは白鵬である。

この一番だけで格付けされるものではないが、優勝したのはしつこいようだが白鵬である。

あの照ノ富士でさえ敗れてしまった。
正直かなりショッキングな出来事とも言える。

とはいえ上記の通りこの一番だけで照ノ富士の評価が落ちるわけでない。

今場所の照ノ富士は本当に素晴らしかった。
14日間で危ないと思わせる相撲は大栄翔戦のみといっても過言でないレベルであり、何度も記載しているが力強さと冷静さが噛み合って、まさに『照ノ富士時代』を築こうかという程の充実ぶりだった。

ここ1年で3回の優勝を果たしているが、優勝を果たしているどの場所よりも今場所は強かった。

それが結果としても現れており、14勝は自己最多の白星数である。

しかし勝負というものはわからない。
今場所は運がなかった。
それだけ白鵬の執念が凄まじかった。

そして余談だが、照ノ富士は13勝以上の白星による優勝には中々縁がないということか(以前も記載したが4回中3回が12勝の優勝)。

来場所の横綱昇進は確定であるため、胸を張って来場所以降、横綱として活躍を期待したいところである。

再び白鵬の話題に戻るが、年齢から考えて今後も進退問題とは切っても切れない問題となるだろう。

もしかしたら来場所は序盤で黒星を喫して、休場となる可能性もある。

しかしそれはそれだ。
むしろそれが本来あるべき姿なのかもしれない。

周りの力士は現状置かれている状況を深く反省するべきである。

長期休場かつ膝にメスを入れた力士に全勝優勝を許すなど恥だと思った方が良い。

上記の通り白鵬を止めるには白鵬を倒すしかないのである。

『自分はまだ出来る』と思っている間は白鵬が止まることはないだろう。

休場明けの横綱を叩き潰す。
白鵬以上の勝利への執念を持ち合わせない限り、白鵬時代が終わることはない。

他にも語りたいことは山のようにあるが、本日、いや今場所は白鵬照ノ富士を語れば十分だろう。

思えば初日も白鵬のことしか記載していなかった。
今場所は白鵬照ノ富士の場所だったということだ。

白鵬優勝おめでとう。
照ノ富士横綱昇進おめでとう。
そして千秋楽全勝相星決戦を実現させ、熱戦を繰り広げた両雄を心から祝福したい。
そして心から感謝している。

今後も2横綱の活躍に目が離せない。

372. 2021年大相撲秋場所番付予想

番付 西
白鵬 横綱 照ノ富士
正代 大関 貴景勝
御嶽海 関脇 朝乃山
明生 小結 高安
逸ノ城 前頭筆頭 隆の勝
豊昇龍 前頭2枚目 北勝富士
霧馬山 前頭3枚目 琴ノ若
玉鷲 前頭4枚目 若隆景
大栄翔 前頭5枚目 千代翔馬
宝富士 前頭6枚目 阿武咲
志摩ノ海 前頭7枚目 宇良
照強 前頭8枚目 翔猿
隠岐の海 前頭9枚目 碧山
千代大龍 前頭10枚目 遠藤
妙義龍 前頭11枚目 英乃海
琴恵光 前頭12枚目 石浦
栃ノ心 前頭13枚目
剣翔 前頭14枚目 魁聖
一山本 前頭15枚目 千代ノ皇
千代丸 前頭16枚目 徳勝龍
豊山 前頭17枚目 千代の国

照ノ富士横綱昇進が事実上決定し、来場所は2横綱時代となる。

そして朝乃山は大関陥落が決定しているため、おそらく横綱~小結2名ずつになるだろう。

三役に昇進してもおかしくない成績を残している力士も多いが、ここ数年の流れより3関脇にすることはないだろうし、三役の渋滞は今に始まったことではないか。

微々たるズレは生じるだろうが、今場所は比較的予想しやすいと言える。

予想困難なのは幕内、十両の入れ替えか。

十両陥落は大奄美が確定であるが、確定はこの1枠のみである。

千代の国を陥落させて西十両6枚目で12勝の水戸龍を昇進させる可能性も高い。

はてさてどうなるものか。

371. 千秋楽相星決戦のあれこれ

本日千秋楽全勝相星決戦が行われる。

今回は記録のおさらいだが、年6場所制となった昭和33年以降、千秋楽全勝相星決戦は今回で『6回目』である。

過去は以下の通りである。

年代

勝者

敗者

昭和35年春場所

若乃花横綱

栃錦横綱

昭和38年秋場所

柏戸横綱

大鵬横綱

昭和39年春場所

大鵬横綱

柏戸横綱

昭和58年秋場所

隆の里横綱

千代の富士横綱

平成24年名古屋場所

日馬富士大関

白鵬横綱

千秋楽相星決戦は今回で『40回目』となるが、『横綱大関』の組み合わせだと今回で『10回目』となる。

ちなみに過去9回の『横綱大関』の千秋楽相星決戦は以下の通りである。

年代

勝者

敗者

優勝成績

昭和36年名古屋場所

大鵬大関

朝潮横綱

13勝2敗

昭和39年九州場所

大鵬横綱

佐田の山横綱

14勝1敗

昭和56年夏場所

北の湖横綱

千代の富士大関

14勝1敗

昭和56年名古屋場所

千代の富士大関

北の湖横綱

14勝1敗

昭和58年名古屋場所

隆の里大関

千代の富士横綱

14勝1敗

昭和61年夏場所

千代の富士横綱

北尾(大関

13勝2敗

平成5年夏場所

貴ノ花大関

曙(横綱

14勝1敗

平成15年九州場所

栃東大関

朝青龍横綱

13勝2敗

平成24年名古屋場所

日馬富士大関

白鵬横綱

15戦全勝

大関が6勝3敗と勝ち越している。しかも平成以降は大関の『3戦3勝』である。

そして白鵬の千秋楽相星決戦は今回で『6回目』である。

過去の5回は以下の通りである。

年代

勝者

敗者

優勝成績

平成20年初

白鵬横綱

朝青龍横綱

14勝1敗

平成20年春

朝青龍横綱

白鵬横綱

13勝2敗

平成24年名古屋

日馬富士大関

白鵬横綱

15戦全勝

平成25年九州

日馬富士横綱

白鵬横綱

14勝1敗

令和2年春

白鵬横綱

鶴竜横綱

13勝2敗

44回の優勝を果たしながら、相星決戦は2勝3敗と分が悪い。

過去のデータをまとめると、千秋楽相星決戦は大関の方が強く、また白鵬は相星決戦に負け越しており、さらに9年前は千秋楽全勝相星決戦にも敗れている。

白鵬にとっては嫌なデータが揃っているが、長年にわたり第一人者として君臨してきた不死鳥はこれらのデータを跳ね除けて優勝を手にするのか。

あと6時間程で決戦を迎えると思うがはてさて…

370. 9年前の名古屋場所

平成24年7月21日。
この日は今でも鮮明に記憶している。

白鵬日馬富士が揃って白星を挙げて、両者初日から14連勝となった。

14日目は白鵬稀勢の里と、日馬富士琴欧洲と割が組まれていた。

まず日馬富士が先に土俵へ上がり、やや左に動いて上手を引いて崩してから寄り切って14連勝とした。

そしてその後土俵へ上がった白鵬は立ち合い変化で稀勢の里を下して14連勝とした。

内容面に苦言を呈する者も少なくなかったが、それでも私自身はそんなことよりもリアルタイムで千秋楽全勝相星決戦を観ることが出来る喜びを感じていた。

この当時は朝青龍が引退して2年程経過しており、白鵬が『63連勝』『7連覇』と全盛期真っ只中だった(厳密に言えばその全盛期から少し経った後だが)。

朝青龍白鵬の2人でなければ全勝相星決戦を観ることは不可能だと思っていた。

さらにこの場所は日馬富士が東正大関ではなかったため、本来ならば番付順に言えば12日目に対戦予定だったが、協会が割を遅らせて実現することになった。

本当に大相撲を観戦してきて良かったと思う瞬間であった。

この当時私は大学4年生であり、実務研修中だった。

研修地で私が大相撲ファンということが知れ渡っていたため『今場所日馬富士が強いみたいだね』『誰が優勝すると思う?』等声をかけられていた。

帰宅すると毎日課題提出のためにレポート作成等に追われていたが、千秋楽全勝相星決戦となった瞬間、どのような展開になるのか気になり過ぎて全く課題に集中することが出来なかった。

結局千秋楽全勝相星決戦は呆気ない一番で幕を閉じたが、それでも私の心に刻まれる一番となった。

9年前の上位陣の顔触れは、1横綱白鵬、そして史上初の6大関時代の2場所目であった(稀勢の里琴奨菊把瑠都日馬富士琴欧洲鶴竜)。

その後横綱に昇進した力士もいれば関脇へ陥落した力士もいた(丁度半々の人数である)。

そして9年経った現在、当時の6大関は全員引退した。

その中上位陣で唯一残っている力士が、当時から第一人者の白鵬である。

9年経って進退が囁かれる立場となったが、今場所は見事に跳ね返し、そして再び千秋楽全勝相星決戦へ挑むことになった。

どんな結果になろうと、令和時代における印象に残る取り組み、場所として語り継がれることになるだろう。

白鵬照ノ富士
両雄の健闘を祈っている。

369. 2021年名古屋場所14日目を勝手に語る

ついにここまできた。

白鵬照ノ富士が初日から14連勝とし、明日いよいよ千秋楽全勝相星決戦が実現する。

まず先に土俵へ上がった照ノ富士から振り返るが、今場所最大の関門である高安戦。

立ち合いは前ミツ狙いではなく、頭から当たっていった。

過去にも高安戦で何度か見せているが、功を奏したことがないため、正直如何なものかと思った。

両者差し手争い、おっつけ合いの中、高安がジリジリと攻める形となり、そこから照ノ富士が少し叩いて体を開いた。

その後高安も僅かに引く場面があり、照ノ富士が攻めていき、最後は得意の左上手に手がかかり勝負あり。

やはり苦手力士ということもあり一筋縄ではいかなかったが、危ない場面は無かったと言ってもいいだろう。

常時前傾姿勢を保っており、膝もしっかり曲がっていた。

幕内復帰以降すでに3回の優勝を果たしているが、この3回の優勝の15日間ではどこかしらで膝に負担がかかっている場面があった。

しかし今場所はそれが一度も見られていないと言える。

今場所は本当に力強さと冷静さにより完璧な相撲である。

そしてそんな照ノ富士の相撲を14日間土俵下で見続けた白鵬が土俵へ上がる。

本日の内容に関しては率直に言えば『意味不明』であった。

仕切り線からだいぶ後ろの位置で仕切ったが、正代の立ち合いの圧力を警戒したのか。

それにしてもあんな立ち合いする必要があったのかどうか不明だし、その後の展開に関しても張り手を交える場面があったが、あれも張り手というよりは『ビンタ』だった。

『なにふり構わず』という言葉がぴったりな内容だったが、どんな形であれ白星に結びつける辺りがさすがである。

照ノ富士が14連勝とした中で、絶対に負けられないという思いがあっただろう。

9年ぶりの千秋楽全勝相星決戦が実現するわけだが、両者ともに場所前の焦点となる力士だった。

白鵬は進退を懸ける場所。
照ノ富士は綱取り場所。

両者ともにこれはクリアしたと言える中で対戦するわけだが、単純にどちらが強いのか注目である。

相撲内容の『強さ』という点では照ノ富士だろう。
左前ミツを引く早さ、力強さ、冷静さはもはや横綱レベルである。

しかし『経験値』『対応力』では白鵬が上だろう。

今場所はむしろ本来絶対的な型である右四つになる機会が圧倒的に少ない。

その中でも抜群の対応力、引き出しの多さを武器にここまでやってきた。

両者右四つ得意だが、がっぷりならば照ノ富士有利だろう。

長期戦の場合、どちらとも膝に不安を抱えているため予想が難しいところだが、重さを発揮して照ノ富士が有利か。

白鵬としては相手に上手を許さず自分十分の形を作りたいところだろう。

以前も記載したが、元々全盛期の白鵬は相四つ相手に絶対的な強さを発揮していた。

その背景に『廻しを切る技術』があるが、今場所はがっぷり四つになる場面もないため、それが見られる場面もない。

この大一番でかつての技術を発揮することが出来るかどうか。

私は『照ノ富士有利』と予想する一方で、場所前展望で『序盤戦無傷ならば白鵬優勝』と予想した。

そのため『白鵬優勝』と予想しておこう。

まだまだ色々予想出来るのだが、楽しみは明日に取っておこう。

第一人者が不死鳥のこどく復活するのか。
それとも地獄を見た男が栄光を掴むのか。

本当に楽しみである。

さて千秋楽全勝相星決戦ばかりに目がいってしまうが、千秋楽なので三賞予想もしておこう。

・敢闘賞:玉鷲琴ノ若
・殊勲賞:該当者なし
・技能賞:豊昇龍

殊勲賞は誰も2強に太刀打ち出来なかったため該当者なし。

敢闘賞は平幕下位で11勝と大勝している2名が受賞と予想。

玉鷲は幕内優勝を果たしたことのある実力者のため、条件付きの可能性もゼロではないが、連続出場の祝福も兼ねて無条件ではないだろうか。

技能賞は豊昇龍と予想するが、これも条件付きになる可能性が高い。

7勝7敗以外の条件付きの技能賞はいい加減考えてほしいと思うのだが、今場所の活躍を見たらとりあえず候補には挙がると思う。

私個人としては条件付きで逸ノ城の敢闘賞も良いと考えているが、おそらく候補外となるだろう。

平幕下位の11勝より上位の10勝の方が価値はあると思うが、ここ数年は同様の成績で上位の10勝が涙することが多い。

明日で千秋楽。
最高の結果で千秋楽を迎えることになったが、勝利の女神はどちらに微笑むか…