きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

797. 2024年春場所9日目を勝手に語る

本日より後半戦へ突入した春場所だが、平幕好調の2名の勢いが止まらない。

関脇、小結でも止めることは出来なかった。

まず『阿炎ー尊富士』だが、昨日も記載したがどちらが勝つにしても早い相撲になると思っていた。
そしてそれを制したのが新入幕の尊富士だった。

立ち合い踏み込み良く、阿炎のもろ手突きを意に介さず、下から跳ね上げて出足で圧倒した。
阿炎も思わずすぐに引いてしまった。

実力未知数の新入幕だが、昨日も記載したように間違いなく先場所よりも強くなっているのだろう。

新入幕で役力士を倒しているのだから当然といえば当然なのだが、相撲の質が変わっているようにも感じる。

『出足』『速攻』と新入幕にして早くも尊富士の代名詞になるのではないだろうか。

阿炎相手にもこれだけの相撲を取ることが出来るというのは驚きだった。

一方阿炎は昨年名古屋場所で新入幕の伯桜鵬に敗れた苦い経験があるが、今場所も新入幕相手に完敗だった。
しかも今場所の阿炎は3大関2関脇に勝って好調にも関わらず新入幕に敗れてしまった。
これは屈辱以外の何ものでもないだろう。

3敗へ後退し、優勝争いという点でも星の差3つとかなり厳しい展開になったが、気持ちを切り替える事は出来るだろうか。

そして『若元春ー大の里』の一番。
正直言うとこの一番は若元春が勝つと思っていた。

昨日も記載したが、現状の大の里は当たりを止められてしまった後の対応が出来ていない力士である。
そのため若元春ならば当たりを受け止めて左四つに組んで対処出来ると思っていた。

しかし実際は大の里が若元春に左を差されても止まらなかった。
止まりかけたが構わず前に出続けた。

大の里の勝因としてはとにかく止まらなかったことである。
そして若元春相手にそれが出来たというのが驚きである。

先場所役力士との3連戦は全敗に終わったが、入幕2場所目にして早くも1つ壁をぶち破ったと言えるか。

それにしても尊富士と大の里。
両者ともに底知れない存在である。

敗れた若元春だが、得意の左を差したが、それでも止まらず大の里が前に出てきたため、落ち着く暇がなかった。

一瞬でも止めることが出来れば流れは変わったと思うが、大の里がそれを許さなかった。

若元春としては悔しい敗戦だが、まだ大関戦が2つ残っているため、腐らず切り替えていきたいところである。

尊富士、大の里が勝った後土俵へ上がった大関陣。
2敗の大関3名に明暗が分かれた。

まず琴ノ若は大栄翔を寄せ付けず7勝目。
この2日間は廻しに拘らず、圧力で圧倒している。
力のある関脇相手に良い相撲で連勝としているため、新大関という重圧から開放され、エンジンがかかってきたか。

角番貴景勝は苦手の翔猿に完勝。
常に翔猿を正面に置き、横への動きをうまく封じていた。
土俵際も冷静に対処し、貴景勝も相撲内容に厳しさが増している。

まずはあと1つ。
角番脱出を早々決めて、優勝争いに集中してほしいところである。

豊昇龍が翠富士に敗れ痛恨の3敗目。
本日は翠富士にしてやられたといったところか。
翠富士を褒めるべき一番ではあるが、豊昇龍としてはやはり小兵力士相手にあっさりもろ差しを許すという悪い癖は出ていた。

とにもかくにも痛恨の3敗目である。
まだまだ優勝争いに絡む力士との直接対決が残されているとはいえ、尊富士、大の里とは割が組まれる保証はないし、星の差3つはかなり厳しい状況である。

霧島が連敗を止めて3勝目。
相変わらずバタついているが、何とか白星を掴んだ。
この先上位陣との割崩しが行われる立場にあるかもしれないが、いずれにしても白星をきっかけに立ち直ってほしいと思う。

明日の注目の割は
『大の里ー尊富士』
平幕好調力士同士の割である。

優勝争いという点で見ても上位陣からすれば星の差が1つになるのか2つになるのかという重要な一番である。

そして単純に若手同士楽しみな一番である。

大の里の圧力が勝るのか。
それとも尊富士の出足が勝るのか。

今場所だけに限らず、この先順調にいけば両者何度も顔を合わせることになるだろう。
その初顔合わせというのが優勝争い(まだ終盤戦ではないが)をしている中というのが面白い。
そしてこの両者に熱海富士、豪ノ山といった力士が加わる未来予想もこれまた面白い。

この一番も早い相撲になると思うがはてさて。

余談だが、本日敗れて3敗へ後退した平幕の御嶽海。
明日は小結の阿炎と割が組まれた。

これは良い試みだと思う。
というのも尊富士と大の里が役力士と割が組まれて星を落とし、上位陣も星の潰し合いをしている中、ひっそり抜け出す可能性も考えられるからである。

それは湘南乃海、佐田の海にも言えることだが、湘南乃海に関しては本日2敗を守ったし、11日目はそれなりの相手と組まれるのではないだろうか。

まだ終盤戦に突入していないものの、大関同士の割を崩すわけにはいかないため、早めの対応が必要だが、如何せん尊富士、大の里ともに凄まじい勢いのため対応は中々難しいだろう。

霧島と残り3大関の割を中日辺りから組んでも良かったとは感じているが、とにもかくにもまずは明日の『大の里ー尊富士』。
この一番を全力で楽しもう。

796. 新入幕の初日から8連勝

大相撲春場所は新入幕の尊富士が全勝で単独先頭の展開であり、明日から後半戦へ突入する。

新入幕の初日から8連勝は年15日制となった昭和33年以降今回で『5回目』である。

過去4回の詳細は以下の通りである。

四股名・番付

初日からの連勝数

三役以上との対戦

最終成績

大鵬(西前頭13枚目)

11連勝

1勝2敗

12日目:柏戸(東小結1)●

13日目:出羽錦(西関脇2)〇

千秋楽:北葉山(西関脇1)●

12勝3敗

(次点、敢)

鷲羽山(西前頭13枚目)

8連勝

1勝2敗

10日目:黒姫山(西小結1)●

11日目:清國(西大関1)〇

14日目:大受(東関脇1)●

11勝4敗

(次点、敢)

佐田の海(西前頭12枚目)

9連勝

0勝2敗

10日目:千代の富士(東関脇1)●

11日目:隆の里(西関脇1)●

11勝4敗

(敢)

魁聖(西前頭16枚目)

9連勝

0勝1敗

13日目:鶴竜(東小結1)●

10勝5敗

(敢)

尊富士(東前頭11枚目)

8連勝※

 

 

※2024年春場所中日終了時点

 

最高は大鵬の『11連勝』である。

余談だが、新入幕の最終的な最高成績は13勝2敗だが、上記では存在しない(北の冨士、陸奥嵐逸ノ城の3名)。

初日から8連勝をした新入幕はどこかのタイミングで三役と割が組まれているが、全員が三役との対戦は負け越している。

また割が組まれるタイミングだが、今回尊富士は9日目に小結阿炎と割が組まれた。

単独先頭に立っているという事が大きな要因だと思うが、これは上記力士の中では最速である。

そう考えると大鵬の12日目に組まれるというのはずいぶん遅い事だと言える(とはいえ上位圏内の平幕力士とは9日目から割が組まれているが)。

尊富士は連勝を伸ばすことは出来るだろうか。そして役力士との対戦では勝ち越すことが出来るだろうか。

ここ最近、伯桜鵬、大の里、尊富士と『新入幕優勝なるか?』といった話題が尽きない。

私個人としては尊富士に頑張ってほしい気持ちはあるが、それ以上に上位が壁として立ちはだかってほしいという気持ちの方が強い。

はてさてどうなるものか…

795. 2024年春場所中日を勝手に語る

新入幕の尊富士が全勝で中日折り返し。
大の里は連敗せず1敗を守った。

大関陣もある意味安泰と言って良いか。
残念ながら霧島は改めて厳しいと言わざるを得ない状況、相撲内容である。

本日注目の『琴ノ若ー若元春』の一番は新大関琴ノ若に軍配が上がった。

琴ノ若としては組みたくないという気持ちがあったのだろう。
終始突き放しにいって若元春を寄せ付けなかった。

突き放してから四つに組む、もしくは差し手争いになると思っていたため意外な展開だった。

若元春としては思った以上に突き放してくるため面を食らった部分もあったか。

琴ノ若としては先場所敗れた相手に完勝し、気分良く後半戦へ突入出来るだろう。

貴景勝は王鵬を下して6勝目。
正直本日は安易な左突き落としにいって呼び込むのではないかと思っていた。
しかしそれも取り越し苦労であり、貴景勝らしく何度も頭で当たって王鵬を圧倒した。

これぞ貴景勝の相撲だが、首の状態もあるため、毎日この相撲が取れるわけではないといったところか。
とにもかくにもまずはあと2つだろう。

豊昇龍は隆の勝に立ち合い押し込まれたが、土俵際で残して反撃に転じた。

ある程度余裕はあったと思うが、盤石とは言い難い内容である。
それでも白星に結び付けているのは地力がある証拠か。

ここ2日間連敗していた小結阿炎が宇良を下して連敗を止めた。
宇良に何もさせず阿炎の間合いで相撲を取ることが出来た。

連敗中にやっかいな相手と割が組まれたが、慌てることなく対処できたのは大きいだろう。

全勝尊富士は実力者竜電を下した。
昨日ここに勝つようならば面白いと記載したが、本当に面白い存在なってきた。

相撲が長引けば竜電は力を発揮するため、その場合竜電有利の展開になると思っていた。
しかし尊富士はここまで7日間と同様、速攻相撲で竜電に相撲を取らせなかった。

実力者相手にこの相撲が取れるのは素晴らしい。
先場所の大の里同様、平幕下位で尊富士に太刀打ち出来る力士はいないのだろう。

役力士との対戦でどれだけ力を発揮出来るのか楽しみである。

昨日敗れて初黒星を喫した大の里は玉鷲を下して7勝目を挙げた。

立ち合い踏み込み良く、玉鷲の突きに大きく後退することはなかった。
そして本日は土俵際にも気を付けて攻め切る事が出来た。

先場所同様、前半戦は7勝1敗の成績だが、先場所と番付は大きく異なるため、今場所の方が充実していると言っても差し支えないだろう。

あとはこれを役力士相手に通用するかどうか。
先場所は役力士戦3連敗だったため、今場所どうなるのか見ものである。

明日の注目の割は
『若元春ー大の里』
『阿炎ー尊富士』
この2番である。

現在場所を引っ張る平幕2名が役力士と割が組まれた。
組むタイミングとしては悪くないだろう。

まず『若元春ー大の里』だが、注目すべきは『若元春が大の里の当たりを止められるか?』だろう。

先場所照ノ富士、豊昇龍、琴ノ若は全員大の里の当たりを止めることに成功した。
大の里は一応右四つ得意との事だが、いわゆる上手を引いて胸を合わせるといった相撲を見たことがない。

現状当たりを止められてからのその後の対応が乏しいという事である。

若元春としては当たりを止めて左四つに組むことが出来るかどうか。
一方大の里は当たり、出足で圧倒する事が出来るかどうかである。

もう一番『阿炎ー尊富士』の一番は『どちらが先手を取るか?』が注目だろう。

阿炎のもろ手突きが炸裂すれば一方的に攻めるもしくは引いてすぐに尊富士がばったり手をつくというパターンもあるだろう。

一方尊富士が踏み込み良く、中に入るような展開になればこれまで通り速攻相撲になるだろう。

予想としてはどちらが勝つにしても早い相撲になるのではないだろうか。

阿炎は小結だった昨年名古屋場所で新入幕の伯桜鵬相手に敗れた苦い経験がある。
相手は違えど勢いのある新入幕には負けたくない気持ちは強いのではないだろうか。
そう何度も新入幕に敗れるわけにはいかないだろう。

明日から後半戦へ突入するが、霧島が残念なことを除けば大関陣は落ち着きを取り戻しつつある。

とはいえ貴景勝の明日の相手は苦手の翔猿だし、豊昇龍も本当の意味での安定感という点ではやや乏しい。
そういう意味では琴ノ若の守りの強さが後半戦強さを発揮してくるかもしれない。

とにもかくにも明日の尊富士と大の里が役力士にぶつかっていく相撲は楽しみである。

794. 2024年春場所7日目を勝手に語る

照ノ富士が休場。
特に驚きはなく、むしろ1日遅いとすら感じている。

昨日も記載したように進退に関しても向き合う時期と言える。
まずはしっかり休養してほしいが、今後復活はあるのだろうか。
勝てなくなれば引退。それが横綱の宿命ではある。

土俵に目を向けると、平幕全勝の2名に明暗が分かれ、尊富士が単独先頭に立つ展開となった。

その尊富士は身体の大きい湘南乃海を意に介さず攻め切った。

正直尊富士の力量がわからず、いつの間にか単独先頭に立ってしまったという印象である。

もちろんここまで7日間の相撲は素晴らしい(狼雅戦だけは酷評したが)。

しかし先場所までは幕内の土俵経験が全く無い力士であるし、狼雅、北の若といった『十両と幕内の境界線の力士』に敗れている。

先場所から今場所までの間で特段変わったのかと言われたらよくわからないし、そもそも上述したように尊富士の力量がわからない。

それでもここまで幕内下位では圧倒的な強さを示していることは間違いない。

先場所の大の里同様、幕内中位〜下位の力士では歯が立たないほどの力量なのか。
それとも中位の力士ならば何とかなるレベルなのだろうか。

明日の竜電は現在番付こそ下位だが実力者だし、型にはまれば力を発揮する力士である。
ここも圧倒するようならばかなり面白い存在である。
まぁ本音を言えば昨日記載したように髙安、御嶽海、正代といったところと組んでほしいというのがあるが。

本日敗れて初黒星を喫した大の里。
幕内昇進以降、平幕相手に唯一敗れている阿武咲だったが、今場所も苦杯を舐めた。

先場所と異なる点は、阿武咲に攻められなかったこと。
ここは評価できる部分だが、攻め方があまりにも雑だった。

さすがにあれは身体の大きさに身を任せ過ぎである。
まだ入幕2場所目のため徐々に修正していけば良いと思うが、対戦相手も研究して慣れてきた頃には本日みたいな負け方が増えるのかもしれない。

本日の黒星が今場所だけに限らず今後の大の里にどのような影響を及ぼすだろうか。

役力士に目を向けると、阿炎が敗れて役力士では1敗力士も消滅した。

『豊昇龍ー阿炎』の一番だが、豊昇龍としては今場所最高の相撲を取ったのではないだろうか。

阿炎としては先手を取りたかっただろうが、豊昇龍の立ち合いの踏み込み良く、むしろ豊昇龍が先手を取って圧倒した。
阿炎戦は過去の対戦からも自信を持っているといったところか。

これくらい良い踏み込みが出来れば、前ミツ引いて速攻という相撲ももっと取ることが出来ると思うのだが。

とにもかくにも優勝争いのためにはもはや1つも落としたくない状況のため、この白星は大きいだろう。

過去の対戦という点から見ると、霧島は過去1勝9敗と苦手にしている隆の勝に完敗。

ここ2日間連勝していたが本来の霧島の姿には程遠く、本日も立ち合いの当たりで圧倒されてしまった。
今場所の霧島は軽いしバタついている。

これで2勝5敗となり、関脇以上との対戦を残してこの成績はかなり厳しい状況である。
内容面の問題はあれど一応連勝としていた中での再度黒星となり、霧島にとってはやはり試練の場所である。

角番貴景勝が錦木を下して5勝目。
当たって押し込んでからの十八番の左突き落としであった。
そこまで押し込んでいるようには見えなかったが、タイミングが良かったか。

決して万全ではない中、何だかんだここまでは5勝2敗の成績である。
苦しい場面は何度も経験しているため、経験で闘っている部分も大きいと思うが、とにかくあと3つといったところか。

大関琴ノ若が明生を下して5勝目。
もろ差しを狙っていたが中に入ったのは明生だった。
それでも小手投げでねじ伏せることが出来た。

危なげはないが、何度も記載するようになぜもろ差し狙いに固執するのかよくわからない部分はある。

まぁとりあえず置いていかれず白星を積み重ねたのは良かった。

関脇は若元春は宇良を下して5勝目。
貴景勝が宇良相手にうまく相撲を取るが、若元春も宇良相手にうまく相撲を取っている。

宇良に相撲を取らせず自分の間合いで相撲を取ることが出来ている。
勝っている相撲は危なげない相撲が続いている。

大栄翔が朝乃山に敗れて黒星先行。
朝乃山が幕内復帰以降、負け無しだったが本日は腕が伸びなかった。

一方朝乃山は失望させる土俵際逆転の連敗の後に苦手から白星を掴んだ。
本日も土俵際は危なかったが、大栄翔の突きを封じたのが勝因だろう。

元々朝乃山が大関昇進を果たした要因として、苦手の押し相撲への対策が出来たことが挙げられる。
特に大栄翔戦が顕著であったが幕内復帰以降、再度大栄翔には勝てなくなってしまった。

本日大栄翔に勝ったことで今後の朝乃山に影響を及ぼすのだろうか。

明日の注目の割は
琴ノ若ー若元春』
この一番である。

琴ノ若は先場所守りの強さをいかんなく発揮したが、それでも若元春に敗れてしまった。

ケンカ四つの両者だが、どちらが差し勝つか。
琴ノ若としてははじめからもろ差し狙いにいくのだろうか。
若元春としては突き放してから左を差しを狙うと思うがはてさて。

新入幕の尊富士が単独先頭に立ち、上位陣とは星の差2つという展開になった。
1敗も平幕大の里1名であり『平幕優勝か?』という声もちらほら聞こえるが、まだ場所は半分以上残されている。

だからといって上位陣も安定しているとは言えないため、本当に予想が難しいところである。

明日で中日折り返しだが、どのような展開で後半戦に突入するのだろうか。

793. 2024年春場所6日目を勝手に語る

役力士で勝ちっ放しが消滅し、全勝は平幕の大の里と尊富士。
そして横綱大関から1敗力士も消滅した。

私自身注目していた『琴ノ若ー阿炎』の一番は新大関が見事壁として立ちはだかった。

今場所だけに限ってみれば『好調の阿炎』『普通の琴ノ若』の対戦だろう。

しかしこのところ阿炎は琴ノ若の重い腰を崩すことが出来ず6連敗中である。

今場所は先手を取ることは出来た。
阿炎が攻め込んではいるものの、琴ノ若が崩れるまでには至らなかった。
琴ノ若としてはある程度余裕を持っての突き落としだっただろう。

今場所の両者の状態であっても阿炎が勝てないとなればこの先も阿炎にとって琴ノ若は天敵となるだろう。

これで今場所初黒星を喫した阿炎だが、元々このまま突っ走るとは考えにくかったため、気にせず明日以降も先手を取ることに集中するだけだろう。

敗れたことで変に考えて受け身に回っては阿炎の魅力が半減するため、切り替えて臨んで欲しいところである。

一方琴ノ若は重たい腰を活かした『らしい相撲』だった。
先場所の活躍と比較するとやや物足りなさはあるものの、まだまだ先は長いため白星を積み重ねていきたいところである。

その他大関陣に目を向けると、角番貴景勝が初顔の平戸海を下して連敗を免れた。

立ち合いの当たり良く、その後の突き押しも貴景勝らしい相撲だった。
久しぶりに貴景勝本来の相撲を見たような気がした。

平戸海はいわゆる小兵力士特有の変則的なタイプではないが、身体が大きいわけではないため、貴景勝としてはある程度やりやすさはあったか(いずれにしても貴景勝は小兵力士を比較的得意にしているが)。

角番脱出のためには平幕相手に取りこぼしは避けたいため、このまま白星を積み重ねることが出来るかどうか。

一方平戸海は真っ向勝負で清々しかったが、最後踏ん張り切れず足が出たのが勿体なかった。
おそらく残していても貴景勝が押し切る展開にはなっていたと思うが、あの続きを見たい気持ちもあった。

昨日初日を出した霧島が王鵬を下して連勝。
攻める意識はあれどバタついており、本来の姿とはかけ離れているが、それでも連勝とした。

白星が何よりの薬であり、この先内容も修正していけたら良いだろう。

本日敗れて2敗に後退した豊昇龍は翔猿にうまく取られてしまった。

本日は翔猿の前捌きのうまさが目立った一番ではあるが、それと同時に豊昇龍がずいぶん大人しい相撲を取っていた印象を受けた。

劣勢だから仕方ないと言えば仕方ないが攻める姿勢が見受けられないし、残すにしても必死さが伝わらなかった。

また豊昇龍は小兵力士相手にもろ差しの形を許すことが多い。
昨日の朝乃山戦同様、劣勢になっても何とかなるという気持ちがあるのか。

豊昇龍ファンには申し訳ないが、どうにも豊昇龍の相撲を見ていると自信ではなく過信に見えてしまい、良い印象を持たない。

横綱照ノ富士に関してはまず率直な感想として『今日出場するんだ』だった。
案の定本日も相撲になっていないし、自信も失っているような内容である。

長期休場後の復活を何度も目にしているため忘れかけていたが、引き際も難しくなっているかもしれない。

長期休場明けの場所で優勝を果たすのはもちろん素晴らしいことだが、とはいえ年間で1場所しか結果を残す事ができない、ましてや皆勤ですら1場所ないし2場所というのは致命的だと思う。

私自身も照ノ富士にはまだ壁として立ちはだかってほしいという気持ちは強い。
何度か記載しているが霧島、豊昇龍、琴ノ若、朝乃山、十両に下がっているが若隆景と照ノ富士戦未勝利の力士が多く存在する。

彼らには照ノ富士を倒して引導を渡して欲しいという気持ちも強いが、彼らに倒される前に照ノ富士が自分自身との闘いに敗れてしまっている。

さすがに明日は休場すると思うが、進退に関しても考える時なのかもしれない。

関脇に目を向けると、今場所初めて両者揃って白星。

連敗中の若元春は錦木相手に左四つの形で攻め切った。
これぞ若元春の相撲といったところだろう。
この2日間受け身に回っていたため一安心である。

大栄翔は曲者宇良相手によく見て突き放し、懐に入れず追い詰めることが出来た。

大栄翔のうまさが出た一番でもあるし、やはりこの力士は白星をきっかけに勢い付くタイプだと改めて感じた。

平幕に目を向けると、熱海富士が朝乃山戦初白星を掴んだ。

相四つで朝乃山の方が地力が上だが、熱海富士が持ち前のしぶとさを見せた。

完勝ではないが、それでも上手を引けば熱海富士もやはり強いと感じさせる内容だった。

一方朝乃山は昨日に続いて詰めが甘い。
元々朝乃山は大関在位中も土俵際の詰めの甘さが目立っていた力士だが、勢いに任せ過ぎな部分が大きい。

これが功を奏して昨年の秋場所では熱海富士との初顔の一番で白星を掴んでいるが、土俵際の落とし穴に気を付けるためには勢いだけではダメだろう。

初日の時にも記載したが、やはり今の朝乃山が大関復帰を果たすのは夢のまた夢に感じてしまう。

極論今の状態でも大関を維持できる力量はあると思う。
しかし大関に昇進する爆発力がない。
元々安定感を売りにして昇進を果たした力士ではあるが、この2日間の相撲を見ていると厳しいと言わざるを得ない。

今場所ここまで2勝4敗であるが、おそらく勝ち越しには結びつけてくるとは思う。
しかしそれ以上が見えてこない。

全勝の大の里は実力者明生を下して6連勝。
今場所初めて一瞬立ち合いの当たりを止められたかに見えたが、圧力勝ちしており結局は一方的な内容だった。

先場所から幕内では17勝4敗の成績だが、平幕相手には1敗しかしていない。
そしてその1敗の相手阿武咲と明日割が組まれている。

大の里は腰高が欠点であるが、その欠点を見事に突いたのが阿武咲である。
大の里としては先場所の反省を活かして相撲を取ることが出来るかどうか。

そしてもう一人全勝の尊富士。
本日も美ノ海を圧倒した。

場所前完全に幕内の土俵が未経験という点を懸念していたが、どこ吹く風である。

まずは髙安、御嶽海、正代といったところと割が組まれたらどうなるのか見ものだと思っている。
というか早くここらと当てて欲しいという気持ちが強い。
もたもたしていたらまた終盤戦の割が窮屈になる可能性も高い。

明日の注目の割は
『豊昇龍ー阿炎』
この一番である。

豊昇龍としては優勝争いを考えるとここで落とすわけにはいかない。
1敗の阿炎としては事実上最後の役力士戦になると思うが(たぶん照ノ富士が休場すると思うから)、ここをモノにすればかなり大きいだろう。

豊昇龍は比較的阿炎戦はうまく取っているが、阿炎の引き技を食ってしまうこともある。

阿炎としては如何にして先手を取るかどうかが鍵となるだろう。

優勝争いの予想はかなり難しいが、久しぶりに上位陣が不安定の中、充実した平幕若手の力士が2名も存在する。
大の里、尊富士ともに勢いがあるとはいえ、このままいくとは中々思えない。

はてさてどうなるものか。

792. 2024年春場所5日目を勝手に語る

本日で序盤5日間が終了したが、上位陣安泰には程遠い展開である。
大関以上で1敗は豊昇龍だけである。
そして照ノ富士は連敗で序盤戦黒星先行となった。

その照ノ富士の一番。
正直王鵬には申し訳ないが、波乱を一つも期待していなかった。

しかし蓋を開けてみればこれまで私が見た王鵬の相撲の中で最高の相撲を取ったのではないだろうか。

今場所の照ノ富士は残り腰がない。
それをうまく突くようにやること全てが照ノ富士に刺さっていたような相撲だった。

過去に役力士との対戦は経験しているが、上位総当たりの地位で相撲を取るのは今場所が初めてである。

少し気になる存在ではあるが、それでも大負けして出直しになるだろうと予想していた。

王鵬はこの一番をきっかけに化けることが出来るかどうか。
本日の一番は素晴らしいの一言だが、ここから白星を積み重ねることが出来るかどうか。

極論2勝13敗で終わる可能性もあるわけだが、ぜひともこの一番をきっかけにしてほしいところである。

一方照ノ富士は2日目、3日目である程度修正したかに思われたが、この2日間の相撲を見ると下がってしまっては相撲になっていない。
本日も防戦一方だった。

場所前展望でも記載したが、やはり2場所以上連続で結果を残すのがかなり難しくなっている。

元々膝に爆弾を抱えているが、それに加え腰や内部疾患の問題もある。

まさに自分自身との闘いだが、それに打ち勝つことが出来ない状況である。

おそらく途中休場になるだろう。

大関陣で白星を挙げたのは豊昇龍と霧島である。

本日注目の割としていた『豊昇龍ー朝乃山』は案の定とでも言うべき内容か。

さすがに朝乃山は学習能力が無さ過ぎではないだろうか。
何度同じ負け方を繰り返せば良いのだろうか。

右四つに組めると思っていたし、何なら左上手は比較的早かった。
なぜあんな簡単に投げ技を食ってしまうのだろうか。

豊昇龍の投げ技が強いのは間違いないだろうが、さすがにやられ過ぎだろう。

そして豊昇龍としてもこれがうまいこと決まってしまうものだからある意味豊昇龍も進歩しないのではないだろうか。

本来ならば豊昇龍にとっては立ち合い踏み込んで前ミツを引いて攻める相撲が理想だろう。

しかし立ち合いの踏み込みは朝乃山の方が勝っており、むしろ投げ技で何とでもなるという気持ちがあるのかもしれない。

実際にこのような考え方をしているかどうかは定かではないが、いずれにしても豊昇龍は投げ技頼りの相撲が続くようならば上の番付は見えてこないと思う。
相撲内容に関しては見つめ直す必要があると思う。

霧島が明生を下して5日目にして初日を挙げた。

本来の相撲とは程遠い内容だが、とにかく1つ白星を手にしたというのが大きいだろう。
まだまだ前途多難だが、この白星をきっかけにしたいところである。

貴景勝琴ノ若が黒星でともに3勝2敗。

貴景勝は頭で当たりにいき、突き放そうとするも熱海富士を後退させることが出来なかった。

本来の当たりと比較すると弱いし、また熱海富士の圧力も素晴らしかった。

角番の場所で序盤戦3勝2敗は及第点だろうが、如何せん貴景勝らしい相撲には程遠いため、中盤戦以降も厳しい展開になりそうである。

一方熱海富士はここ最近は大の里に話題を奪われがちだが、着実に上位で戦える力を付けつつある。

特に貴景勝戦は優勝決定戦でも敗れている因縁の相手だったため、貴景勝に勝てたというのは成長の証だろう。

まだまだ脇が甘く、粗削りな部分もあるが、この先も楽しみな力士である。

大関琴ノ若が宇良に敗れた。
琴ノ若としては迷いがあったか、立ち合い腰高であった。

宇良としては自分の相撲を取り切ったといったところか。
見事に肩透かしを決めた。

琴ノ若は序盤戦の相撲を見ていると、特段調子が悪いというわけではなく『数場所前に戻った』印象を受ける。

琴ノ若の守りの強さが明確に現れてきたのは2場所前11勝を挙げたときではないだろうか。

それ以前の琴ノ若は良くも悪くも上位圏内で堅実に勝ち越しを果たすも二桁に中々届かないといった力士だった。

今場所は守りの強さも影を潜めるまでとはいかないまでも、先場所ほどではない。
星数を見ても3場所ほど前に戻ったような印象である。

中盤戦以降、立て直すことが出来るかどうか注目である。

関脇同士の対決は大栄翔に軍配が上がった。
大栄翔としては昨日の白星が良い薬になったか、初日からの3日間とは完全に異なる内容だった。

攻め切ることが出来なかった点は気掛かりと言えば気掛かりだが、それでも立ち合いの当たりは戻りつつあるか。

一方若元春は2日連続受け身の相撲になっており、良いところなく連敗である。

初日から3日間を見て今場所はかなりやってくれると思っただけに印象の悪い連敗である。

役力士唯一の全勝力士である阿炎が錦木を下して序盤戦無傷の5連勝とした。

錦木に攻め込まれる展開となったが貴景勝戦同様、土俵際のうまさを見せた。

先手を取っていることもそうだし、白星も積み重ねているため身体も動くのだろう。
この流れがどこまで続くのか見ものである。

明日の注目の割は
琴ノ若ー阿炎』
この一番である。

数日前から記載していたが、今場所の阿炎の活躍を見て、早く琴ノ若戦が見たいと思っていた。

本日も阿炎は腰の重たい錦木を押し込むことは出来なかった。

土俵際のうまさでカバーしているが、腰が重たく錦木以上にどっしり構えている琴ノ若相手に通用するかどうか。

このところ阿炎は琴ノ若に対して圧力負けしているが、上記の通り今場所の琴ノ若は守りの強さが先場所程ではない。

今場所はどうなるのか注目である。

序盤戦が終了し、上位陣では星数でも内容面でも盤石な力士は存在しない。
豊昇龍はこれが豊昇龍らしい相撲と言えばそうなのだが、それでもこのままいきそうな雰囲気には感じられない。

阿炎、大の里、尊富士と星を伸ばして全勝としているが、さすがにこの中から優勝力士が誕生するとも中々考えにくい。

大の里は番付もある程度上のため、早々役力士と割が組まれる可能性もあるだろう。

尊富士も先場所の大の里同様、役力士と割が組まれるまで星を積み重ねるかどうか。

優勝争いはまるで予想出来ないが、若手の活躍は楽しみである。

791. 2024年春場所4日目を勝手に語る

照ノ富士が敗れて序盤戦で2敗目。
ある程度落ち着きを取り戻したかに思えたが、荒れる春場所はまだ猛威を振るっている。

横綱昇進以降、分の悪い明生戦だったが、明生からすればこれぞ照ノ富士攻略のお手本と言わんばかりの内容だった。

立ち合い鋭く踏み込み一発突き放してからもろ差し速攻。
流れるような展開だった。

照ノ富士としては錦木戦同様、下がってしまったら残り腰がない。
本日は立ち合いも高かったか。

この2日間冷静に相撲を取っていたが、本日はまるで良いところがなかった。

もちろん明生を褒めるべき一番ではあるが、序盤戦で2敗は今の照ノ富士の状態からすると厳しく見えてしまう。

うまく立て直していくことが出来るかどうか。

大関陣の前に好調の三役同士『若元春ー阿炎』の一番は阿炎が制し、役力士で唯一全勝を守った。

正直若元春が有利な一番になると思っていたが、阿炎が先手を取って一方的な内容になった。

先場所の阿炎は序盤戦に迷いが見られたが、今場所は迷いなく先手を取ることが出来ている。
先手を取って攻め込むことが出来れば本日のような展開にもなるし、引き技もうまく決めることが出来る。

この4日間は自身より上の番付相手に完璧な相撲を取っているが、さすがにこのまま全勝で突っ走るとは考えにくい。
どこまで自分の相撲を取り続けることが出来るかどうか注目である。

敗れた若元春は先手を取られたかつ自身もやや立ち遅れたように見えた。
3日間素晴らしい相撲が続いていただけに残念ではあるが、本日は仕方ないと割り切って明日以降に臨んでほしいところである。

大関陣は本日も霧島が黒星で初日が出ず。
朝乃山の圧力を止めることが出来ず、一方的な内容で敗れた。

本日の引き技も消極的だし、自信を失っているような相撲である。
昨日までは噛み合っていないの一言だったが、さすがに本日の相撲を見ると厳しいように感じる。

昨日も記載したように、霧島にとって試練の場所になるだろうが、腐らず白星を目指してほしい。
まず1つ、とにかく1つほしいところである。

豊昇龍は同学年の王鵬を下して3連勝。
盤石とは言い難いが、危なげも無いといったところか。

この力士は絶対的な型、強さという点ではまだ不十分であるが、それを動きでカバーしており、本日も身体が動いていたようである。

上位陣がやや不安定であるため、このまま白星を積み重ねていきたいところである。

角番貴景勝が今場所初めて攻める相撲で白星を掴んだ。

比較的得意としている宇良ということもあってか、余裕を感じる相撲内容だった。
土俵際も落ち着いて対処した。

本来の貴景勝からすればまだまだ本調子と言い難いが、昨日苦しい一番をモノにし、貴景勝としては上向きになりつつあるか。

大関琴ノ若が隆の勝を下して3勝目。

本日の相撲を見て改めて右四つでの強さが感じられない。
腰が重たいため残すことは出来たが、右四つに組んでからの工夫がない。

もちろん隆の勝も右を差して十分な力士ではあるが、おっつけて上手を狙いにいくといった工夫なく、小手投げで何とかしようという守りの相撲である。

結果的に小手投げを決めたが、このような相撲内容では照ノ富士はもちろんのこと朝乃山にも右四つに組んで勝つことは出来ないだろう。

何度か記載したことがあるが、型が無いと言えば豊昇龍の四股名が挙がりやすいが、正直琴ノ若も型が無いと思っている。

絶対的な型が必ずしも重要なのかどうかは正直わからない部分もあるが、いずれにしても四つに組んでもう少し工夫しなければ上の番付は見えてこないと思う。

この4日間、琴ノ若に対して辛辣な記載をしているが、期待の裏返しである。
守りの強さはここ数場所で証明されているため、あとは攻めの強さだろう。

関脇大栄翔が錦木を下して初白星を挙げた。
正直今場所の大栄翔は霧島より深刻、というよりも出場している幕内力士で最も深刻と言っても過言でないレベルに感じていたため、とりあえず一安心である。

昨年秋場所も序盤戦躓いた後に終盤まで優勝争いをしたため、この先の巻き返しに期待である。

平幕に目を向けると大の里の出足、圧力が光っている。
本日は小兵の翠富士が相手だったが、迷うことなく踏み込んで圧倒した。

先場所役力士には跳ね返されたが、明生や隆の勝といった上位圏内の力量を持った力士には圧倒していたため、上位陣でなければ圧力をまともに受け止めることが出来ないということか。

今場所上位圏外の番付だが、このまま白星を積み重ねていけば役力士と割が組まれるだろう。
まだ序盤戦だが楽しみである。

明日の注目の割は
『豊昇龍ー朝乃山』
この一番である。

過去豊昇龍の4戦全勝だが、朝乃山の敗因としては上手の引きつけの甘さである。
これにより逆転の投げ技を食うことが大半である。

今場所の朝乃山の踏み込みは悪くないため、上手を引けるかどうかは別として右四つに組むことは出来るのではないだろうか。

上手を引かずに攻めてしまうと土俵際逆転の投げを食ってしまうため、右四つに組んだ後に上手を引くまでじっくり構えることが出来るどうか。

一方豊昇龍は身体能力の高さでカバーしているが、胸を合わせるとさすがに厳しいため、上手は許さずに相撲を取りたいところである。

まだ荒れる展開が収まらない中、1敗の大関3名はこのまま白星を積み重ねていけるかどうか。

全勝力士が阿炎、大の里、尊富士という中々興味深い3名である。

明日で序盤戦が終了するが、どのような展開で中盤戦へ突入するだろうか。