きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

141. 何かと珍記録の多かった2019年年間最多勝争い

先日、白鵬の優勝により幕を閉じた九州場所

白鵬は今年2回目の優勝であり、年間で最も優勝した力士にもなったわけだが、休場数が多いため、年間最多勝は朝乃山が受賞した。

朝乃山の受賞により

・最少白星による受賞(55勝35敗)

・最高位小結以下の受賞

・最低勝率による受賞(0.611)

といった記録が生まれた。

勝率に関してだが、過去最低勝率は1992年の貴花田の0.667であった。

この年は60勝30敗の当時最少白星の記録であったが、勝率も過去最低であった。

これは勝率にすると1場所平均10勝である。

そして55勝以前の最少白星は2017年白鵬の56勝であったが、この年の白鵬の成績は56勝9敗25休だった。

これは勝率にすると『0.862』であり、1場所平均『約12.93勝』となる。

休場数を含めないかそれとも黒星として計算するかで概念が変化するが、一般的に大相撲の勝率を算出する場合、休場数を含めずに算出する。

今年の朝乃山の1場所平均は『約9.17勝』となる。

そのため1勝差といえど、勝率は雲泥の差である。

 

ちなみに今年の年間勝利数次点は阿炎の54勝であった。

実はこの成績も次点成績の中では『最少タイ記録』である。

過去の最少次点成績は以下の通りである。

年代 次点力士 年間最多勝力士 成績
1975年
昭和50年
魁傑 11勝4敗 11勝4敗 12勝3敗 8勝7敗 6勝9敗 6勝9敗 北の湖 71勝19敗
2017年
平成29年
御嶽海
貴景勝
11勝4敗
7勝8敗
9勝6敗
11勝4敗
8勝7敗
11勝4敗
9勝6敗
5勝10敗
8勝7敗
9勝6敗
9勝6敗
11勝4敗
白鵬 56勝9敗25休
2019年
平成31
令和元年
阿炎 10勝5敗 8勝7敗 10勝5敗 8勝7敗 9勝6敗 9勝6敗 朝乃山 55勝35敗

 

魁傑は初場所時点では大関であり、初場所から夏場所にかけての3場所は好成績を収めているが、後半3場所失速し、九州場所では2場所連続負け越しを喫して大関陥落となった。

ちなみにこの年は貴ノ花が年間2回の優勝を果たしているが、1場所休場しており、九州場所で8勝止まりだったことが災いし、52勝止まりである。

そして北の湖の最大のライバルである輪島は、この年最も不振といえる年であり、3場所休場、年間優勝なしのため年間最多勝争いに顔を出すことはなかった。

 

2017年は初場所春場所稀勢の里が連覇を果たしたが、春場所で負傷した影響で離脱。

日馬富士鶴竜も休場が多く(日馬富士九州場所終了後に引退)、この年大関昇進を果たした高安も、後半は休場が重なって白星を積み重ねることが出来なかった。

その結果、休場数が多いながらも年間3回優勝を果たした白鵬が年間最多勝を受賞した。

この年は表の通り次点が2名いるが、貴景勝に至っては三役すら未経験であった。

 

そして今年は上位陣が壊滅状態の中、御嶽海、阿炎、朝乃山が引っ張る展開の中、朝乃山が受賞した。

 

ちなみに過去次点の最高成績は1978年の2代目若乃花の78勝である。

この年若乃花横綱昇進の年であり、1場所平均13勝の好成績を収めながらも、北の湖が当時最高記録となる82勝を挙げたため、若乃花の受賞はならなかった。

 

今年の年間最多勝は上記の通り様々な珍記録が生まれているわけだが、最大の珍記録は『最多勝受賞者も次点の力士も小結以下の力士』ということである。

過去関脇以下の年間最多勝受賞は

・1960年:大鵬(66勝24敗)

・1992年:貴花田(60勝30敗)

以上2回だがそれぞれの次点力士は

・1960年:柏戸(62勝28敗)

・1992年:曙(57勝18敗15休)

となっており、その年には大関に昇進している力士である。

今年は如何に上位陣の休場が多いかを物語る結果といえる。

 

余談だが、私個人が選ぶ最も年間最多勝のレベルが高い年は

『1979年』『1994年』の2つである。

まず1979年は輪島、北の湖、2代目若乃花の3横綱に加え、三重ノ海横綱昇進を果たす年であり、結果は以下の通りである。

四股名

輪島

10-5

12-3

12-3

14-1

10-5

10-5

68-22

北の湖

14-1

15-0

13-2

12-3

13-2

10-5

77-13

若乃花(2)

11-4

12-3

14-1

11-4

11-4

12-3

71-19

三重ノ海

11-4※

10-5※

13-2※

14-1※

11-4

14-1

73-17

大関在位

赤字は優勝および年間最多勝

 この年の優勝者は上記4名で占められており、また全員が全場所二桁勝利を果たしている。

さらには『年間3名の70勝以上』はこの年が史上初である。

上位が充実していると、これだけ締まった展開になるということだ。

 

そして1994年だが、この年は曙の一人横綱時代であったが、曙は夏場所にて途中休場し、その後も休場が続いてしまったため、以下の3名が引っ張る展開となった。

四股名

貴ノ花貴乃花

14-1

11-4

14-1

11-4

15-0

15-0

80-10

武蔵丸

12-3※

9-6

12-3

15-0

11-4

12-3

71-19

貴ノ浪

13-2※

12-3

9-6

12-3

12-3

12-3

70-20

※関脇在位

貴乃花が年4回優勝し、九州場所で連覇を果たし、横綱昇進を決めた年である。年間80勝で圧倒的にも見えるが、1979年以来の3人の年間70勝以上である。

またこの年は何が凄いかというと『全員大関』という点である。

一人横綱の曙が休場している影響があるとはいえ、大関がしっかり責任を果たすというのは、この時代の大関の質の高さを裏付ける結果とも言える。 

現在の大関陣ではこのような好成績想像もつかないだろう。

 

今場所は白鵬が優勝を果たしたものの、年間で見た場合、休場が目立つようになり、以前のように80勝以上を挙げることは出来ないだろう。

おそらく70勝も厳しいといえる。

若手が成長し、新時代の第一人者と呼べる力士が誕生すれば、年間最多勝争いも面白くなるのだが、それはいつになるのだろうか…

140. 2019年九州場所千秋楽を勝手に語る

白鵬が千秋楽もしっかり締めて、有終の美を飾った。

左から張って回り込んで、あっさり絶対的な型である右四つに組み止めた。

その後膠着状態に陥ったが、大技でも狙っていたのだろうか。

よくわからないが、右四つになった時点で貴景勝が勝てるわけない。

優勝インタビューでも、余計な発言はせず良かったと思う。

一方貴景勝大関として初めて勝ち越した場所となったが、勝ち越して以降は存在感がまるでなかった。

場所前は先場所千秋楽に負傷した胸の怪我の具合が心配され、場所に入ってからも精彩を欠いていたが、7~11日目の内容は素晴らしかった。

それで勝ち越しを果たし、気が抜けたのか、白鵬戦もまるで相撲にならなかった。

とりあえず怪我は癒えたようであり、勝ち越しも果たして明るい話題であるのだが、来場所以降は勝ち越しで満足せず、優勝争いに絡める力士になってほしいところである。

来場所は高安が関脇へ陥落し、豪栄道が角番であり、最悪の場合2場所後には1大関になる可能性もある。

若い貴景勝は来年大関としての真価が問われる年となるだろう。

そして今年飛躍した1人である朝乃山だが、千秋楽は正代に敗れて黒星。

本日は踏み込みが高く、上手の取り方も下からではなく上から取りにいくという雑な内容だった。

それでも右を差し、朝乃山の形に持ち込んだため何とかなると思ったが、本日は正代の気迫が勝った。

朝乃山としては最後の最後で課題が残る一番となった。

しっかり踏み込んで左の前ミツを狙うことを徹底すべきである。

雑に上手を狙いにいくと、本日のような展開に陥ってしまうことも多くなるだろう。

正代としては自分の方が上位経験が長いという意地もあったか。

以前も記載したが、本日のようにもろ差しに拘らず、上手を引いて引き付けて攻める相撲を覚えた方が良いだろう。

窮屈なもろ差しよりも攻めの幅が広がると思う。

御嶽海が阿炎に敗れて9敗目を喫し、17場所連続で在位した関脇・小結の座からの陥落が決定した。

昨日も記載したが、これで良いだろう。

来場所以降這い上がるかどうかは、本人の努力次第だろう。

いまや大関候補筆頭の座は朝乃山に奪われた。

ここで這い上がれないようではそれまでの力士だということだ。

平幕上位に目を向けると、2回目の上位挑戦となった明生は、2回目も跳ね返される形となった。

前回同様、力は出し切っているが、馬力不足が露呈されたように感じた。

突き放してからもろ差しになるという狙いが多く感じたが、馬力がないためあまり押し込めず、逆に相手に押し返されて体勢を悪くし、もろ差しも果たせないという展開が多かった。

高安戦のように動き勝つ内容もあったが、15日間この内容では身体がもたないだろう。

改善点としては馬力向上も考えられるが、私個人としては『さらなるスピード向上』を目指してほしいと思っている。

今場所は動きの良さを十分に見せ、立ち合いのスピードを向上させることで、立ち合いからもろ差しを果たすケースも多くなると考えている。

目指すは日馬富士のような相撲ではないだろうか。

来年は明生の躍進に期待したい。

そしてもう一人目を引いたのは隆の勝である。

序盤戦は目立っていなかったが、中盤戦以降は右を差して走る相撲が際立っていた。

正直特に気にしていなかった力士だが、今場所の内容に磨きをかけることが出来たら面白い存在になるかもしれない。

明生にも言えることだが、差して速攻を得意とする力士は、上位で通用するようになると必ず面白い存在になると信じているため、隆の勝も来年の躍進が期待される。

今年は5場所連続で異なる力士が優勝を果たしていたが、最後に白鵬が締めたことで6場所連続とはならなかった。

ここ数年で初優勝の力士が多く誕生しているが、昨日も記載した通り、白鵬が皆勤している場所で優勝を果たした力士は2年連続で鶴竜のみである。

結局本当の意味で白鵬を脅かすまでには至っていないのが現状である。

そして若手の台頭も著しく、皆力を出し切っており、実力伯仲であるが、悪い言い方をすれば『どんぐりの背比べ』である。

その結果、若手同士で星を潰し合うため星が伸び悩み、誰も白鵬を倒すことができず、白鵬が抜け出してしまう。

10年程前で言えば稀勢の里琴奨菊豪栄道栃煌山豊ノ島がこれに該当するだろう。

問題は『2場所以上連続で結果を残せるかどうか』である。

貴景勝は結果を残したため、大関へ昇進できた。

現状大関候補筆頭となった朝乃山は、先場所も平幕上位で二桁、今場所も三役で二桁と結果を残している。

しかし来場所もこれを継続できるかどうかが問題である。

千秋楽の正代戦のように雑な内容となり、ライバル達がそこを狙い、最悪の場合負け越しを喫するかもしれない。

御嶽海がよい例だ。

優勝の翌場所に結果を残すことが出来ない、2場所以上連続で結果を残すことが出来ないのである。

一時の爆発力ならば皆持っているが、それが15日間、2場所連続となると出来ない。

今場所は朝乃山が主役だったが、来場所は主役が変わるかもしれない。

どんぐりの背比べにならず、そこから抜け出すためにも、自分の勝ちパターンの習得は絶対条件であり、稽古はもちろんのこと研究も大切になってくるだろう。

朝乃山にはそれが出来ると信じている。

ちなみにこれで10勝、11勝としているが、来場所大勝しても大関昇進にはあまり賛成できない。

その理由として挙げられるのが『貴景勝大関昇進問題』である。

貴景勝は9勝、13勝(優)、11勝(次)で昇進を逃した。

この時の理由が『新関脇だったから』というものだった。

このとき私も千秋楽に完敗したため、昇進は見送っても良いと思ったが、理由はやや曖昧だと感じた。

朝乃山はおそらく来場所関脇へ昇進するが『新関脇』である。

さらに先場所は平幕であった。

貴景勝のときよりも条件は整っていないのである。

状況が異なる点は『大関の人数』である。

上記の通り、来場所豪栄道が負け越せば、大関貴景勝一人となる。

救世主がほしいという考え方で安易に昇進させてしまうと、昇進後苦労する可能性も高い。

直近で言えば豪栄道照ノ富士がそれに近い。

照ノ富士は8勝、13勝(次)、12勝(優)で昇進を果たしている。

3場所合計は33勝だが、8勝の場所は平幕であり、甘めの昇進と言えた。

低迷の原因は怪我であるが、結果論としてもう1場所様子を見ても良かったかもしれない。

豪栄道は12勝(次)、8勝、12勝(次)で昇進を果たしており、いわゆる『33勝』には届いていない。

そして何より気掛かりだったことは『三役で2場所連続二桁勝利を果たしたことがない』点である。

結果として昇進後はかなり苦戦を強いられており、全勝優勝を果たす力量はあるものの、安定した成績を残すことができていない。

救世主、新しい主役を誕生させたい気持ちは痛いほどわかるが、だからといってむやみやたらに甘めの昇進となると、昇進後苦戦を強いられる可能性が高いため注意が必要である。

朝乃山の場合、仮に昇進させるならば13勝以上の優勝くらい大きい条件だろう。

話は変わって三賞だが、昨日私が予想した通りの展開だった。

今場所は正代、大栄翔、朝乃山以外考えられなかったからこれで良かったと思っている。

今年の大相撲も本日をもって終了した。

私にとって九州場所が終了した時点で、1年が終了した気持ちに陥ってしまう。

明日から退屈になるものだ…

139. 2020年大相撲初場所番付予想

番付 西
白鵬 横綱 鶴竜
貴景勝 大関 豪栄道
朝乃山 関脇 高安
阿炎 小結 大栄翔
妙義龍 前頭筆頭 遠藤
北勝富士 前頭2枚目 御嶽海
玉鷲 前頭3枚目 琴勇輝
隠岐の海 前頭4枚目 正代
明生 前頭5枚目 炎鵬
宝富士 前頭6枚目 松鳳山
碧山 前頭7枚目 竜電
隆の勝 前頭8枚目 阿武咲
豊山 前頭9枚目 剣翔
佐田の海 前頭10枚目 石浦
千代大龍 前頭11枚目
琴恵光 前頭12枚目 琴奨菊
千代丸 前頭13枚目 栃ノ心
照強 前頭14枚目 志摩ノ海
友風 前頭15枚目 東龍
前頭16枚目 栃煌山
魁聖 前頭17枚目 霧馬山

 

御嶽海、遠藤の成績次第では、関脇・小結がそれぞれ3人以上となる可能性もあったが、両者ともに敗れたため、関脇2、小結2になるのではないだろうか。

その結果、大栄翔が新三役確定と言って良いだろう。

上位圏内で3場所連続勝ち越しを果たしていたが、周りにも好成績力士が多かったため、番付運に泣かされていたが、念願の昇進である。

阿炎が2場所連続で大関から陥落する力士が存在するため、関脇昇進が出来ないという不運に泣かされる可能性がかなり高いが、関脇昇進の可能性も0ではない。

そして御嶽海が17場所連続三役在位の記録が途切れることになる。

昨日も記載したが、これで良いだろう。

 

平幕中位~下位だが、大いに悩まされた。

今場所は小結4人の影響があり、三役以上の力士の人数は11人であった。

私の予想では、来場所関脇・小結の人数を2人ずつに設定しているため、三役以上の人数が8人ということになる。

そうなると平幕の力士は『相対的に上昇する』ことになる。

例を挙げると、東前頭13枚目で9勝を挙げた千代丸だが、私の予想では同じく前頭13枚目と予想した。

今場所の千代丸は正確に言えば上から数えて『36人目』である。

しかし予想の東前頭13枚目は上から数えて『33人目』であるため、しっかり3枚は上昇していることになる。

負け越して番付を下降させる力士と、勝ち越して番付を上昇させる力士との兼ね合いの関係で、見かけ上ではあまり変化がないように感じても、計算上は上下がはっきりしていると思う(正直かなりズレはあると思うが)。

 

幕内から十両へ陥落する力士は逸ノ城、錦木、大翔丸、大翔鵬、若隆景の5名が確定。

十両から幕内へ上がりそうな力士は東龍、栃煌山、勢が確定と言える。

残る2枠は

・西十両筆頭 徳勝龍:8勝7敗

・東十両5枚目 魁聖:11勝4敗

・西十両5枚目 霧馬山:11勝4敗

この3名で争うが、おそらく東西の5枚が優勢だろう。

徳勝龍は泣く泣く東へ回るだけとなるだろう。

 

上記の通り、予想と実際の番付はかなりズレると思うがはてさて…

138. 2019年九州場所14日目を勝手に語る

白鵬が厳しい相撲を取り、43回目の優勝を果たした九州場所14日目。

右から張って左四つに組み止め、右上手もがっちり引いていた。

本来左四つは逆の四つであり、一度御嶽海に敗れたときは左四つで敗れていた。

今場所の御嶽海相手ならば問題ないという判断なのか、それとも差し手争いをあえて避けたのか。

詳細は不明だが、どちらにせよ立ち合いの踏み込みスピードが速く、決まり手は白鵬自身あまり見ない足技だったが、身体の反応も群を抜いて速いということだ。

終盤戦へ突入して以降の集中力は圧巻だった。

御嶽海からすると、昨日の相撲を見せられては期待できるものがない。

ここ一番の集中力を僅かに信じていたが、白鵬の集中力には遠く及ばない。

これで負け越しが決まり、明日も負ければ17場所連続で在位した関脇・小結から陥落となる。

平幕に落ちてしまっても別に構わないという意見が多く聞かれるが、私も同意見である。

一度完全に落ち方が御嶽海のためだと思う。

そこからなにくそ精神で這い上がってくるならば大関も十分狙えるだろうが、悔しさを感じず一桁勝ち越しor負け越しを繰り返すようならばそれまでの力士ということだ。

言ってしまえば1横綱2大関が休場した今場所ですら勝ち越し出来ない時点で、大関昇進を目指す資格すらないだろう。

朝乃山を降した一番は圧巻だったが、それも『関脇が小結を倒しただけ』である。

2度の優勝という実績は間違いなく素晴らしい。

しかしその2場所も上位陣の休場が多い中での優勝だった。

完全に天狗になっていたのだろう。

その鼻を完全にへし折って、一からやり直してほしい。

結局白鵬が皆勤している場所で優勝を果たせる力士が、2年連続で鶴竜のみという結果となった。

この件に関して語りたいことは色々あるが、千秋楽の明日に記載しようと思う。

朝乃山が11勝目を挙げ、関脇昇進が確定した。

10勝止まりでは御嶽海の成績次第で難しいところだったが、結果として御嶽海が負け越したため杞憂に終わった。

相撲内容は磐石と言い難いものだった。

立ち合いはやや遅れ、今場所光っていた立ち合いの踏み込みは不十分だった。

それでも右肩から当たり、右を差して前に圧力をかけて攻めた。

前に圧力をかけ、竜電に左前ミツ許さず、得意の左上手を引いた。

最終的に竜電に下手から振られ、左前ミツを引かれたが、自身も上手十分のため、投げで崩して攻めきった。

磐石と言い難い内容でも白星に結び付ける辺り、成長の証ではないだろうか。

小結 阿炎が貴景勝を降し、今年唯一の年間全て勝ち越しを果たした。

これで3場所連続三役で勝ち越しを果たした。

今場所の内容を見ていると、引き、叩きなど動きの良さだけでなく、突っ張りに重みが出ている。

白鵬戦、隠岐の海戦で力を出し切れなかったことが悔やまれるだろう。

さらにここから廻しを引いて相撲が取れるようになると、相撲の幅が大きく広がると思うが、それを会得するのはまだまだ先の話だろう。

一方敗れた大関貴景勝は、昨日と別人の内容である。

まるで御嶽海を見ているようだ。

この力士の長所は、ムラ無く自分の相撲を貫くところだが、本日は阿炎の術中にハマってしまった。

明日の白鵬戦は一矢報いてほしいところ。

平幕上位に目を向けると、大栄翔が勝ち越しを決めた。

相手は阿武咲だったが、この1年の成長、力量差がわかる一番だった。

元々阿武咲はライバル貴景勝よりも先に三役へ昇進し、三役でも勝ち越しを果たし、将来を期待されたが、怪我で番付を下降させた。

その間に貴景勝大関へ昇進し、そして新たに力を付けている1人である大栄翔にも圧倒された。

阿武咲としても奮起してもらいたいところだ。

そして勝ち越しを決めた大栄翔だが、これで上位圏内の勝ち越しを3場所連続とした。

新三役の座も見えてきたが、こればかりは番付運に泣かされる可能性もある。

金星も2場所連続とノーマークには出来ない存在になっているが、大勝出来ないのも事実である。

突っ張りが主体であり、前に出る圧力も付けているが、悪く言えば『それだけ』である。

あまりにも愚直過ぎるため、今後上位で二桁勝つためには工夫も必要になってくるだろう。

明日の注目は
『朝乃山ー正代』
『遠藤ー琴勇輝』
この2番である。

朝乃山に関しては勝って締めてほしいというその願いだけだ。

正代も番付を大きく落としているとはいえ、上位経験は朝乃山よりも長い。

いまや大関候補筆頭となった朝乃山だが、同格あるいは格下相手に貫禄を示してほしいところ。

遠藤ー琴勇輝は単純に遠藤が勝ち越してほしいという願いが強い。

正直今場所の遠藤の相撲を見ていると、巧さは随所にみせているのだが、栃ノ心戦、隠岐の海戦のように現状の力量からすると星勘定出来るところで落とす傾向にあった。

明日の琴勇輝に対しても一気に持っていかれそうな嫌なイメージが沸いてしまう。

ぜひとも勝ち越しを決めてほしいところ。

とはいえ琴勇輝も久々の上位戦でかなり健闘していると言えるだろう。

相次ぐ上位の休場により、役力士との対戦も多かったが、見せ場はかなりあった。

膝の怪我も大分癒えてきた様子である。

何だかんだで佐渡ヶ嶽の部屋頭になっており、今場所は幕内に在位する佐渡ヶ嶽部屋の力士は皆負け越しているため、琴勇輝にも意地があるだろう。

最後に今場所の三賞予想は
・敢闘賞:正代(勝てばの条件付き)
・殊勲賞:大栄翔
・技能賞:朝乃山
この通りである。

石浦の技能賞』だけは絶対に止めていただきたい。

恐らく三所攻めを決めて勝ち越したことで、候補に挙がる可能性が高いだろう。

私から言わせてもらえば、あれは三所攻めと言い難いし、そもそもそれだけで『技能』とも言えないと思う。

炎鵬に関してもそうだが『派手≠技能』ということだ。

『身体機能の良さ』『派手さ』『技能・技術』を一緒に考えてはいけない。

正直今場所は上記3名以外考えられないし、さらに言えば正代に関しては『無し』でもありだと思っている。

優勝も年間最多勝も決まっているが、まだ三役の枠に関しては未定である。

はてさて…

137. 2019年九州場所13日目を勝手に語る

番狂わせなく終了した13日目。

注目の『白鵬ー阿炎』は、白鵬の集中力が素晴らしかった。

立ち合いは左張り差しを選択し、顔に張り手は決まらなかったが、阿炎のもろ手突きをずらす形となり、左の廻しもすぐに引いて圧倒した。

序盤戦の時は白鵬の立ち合いを見て、全盛期と比較すると『高い』『遅い』『軽い』と感じたが、場所が進むにつれ、『速さ』を取り戻したように感じた。

本日も立ち合いの踏み込みスピードが速かった。

それだけで圧倒した内容だった。

昨日3敗へ後退した朝乃山は、琴勇輝相手に落ち着いた内容で白星を掴み、平成以降で7人目となる新三役で二桁を挙げた。

昨日も記載したが、立ち合い引っ張り込んだり、手を伸ばすだけの雑な上手の取り方だけは避けたいところだったが、本日は相手の突っ張りを下から跳ね上げて圧力をかけて圧倒した。

昨日の敗戦を引きずることなく、自分の相撲を取り切ることができた。

とりあえず今場所築き上げた相撲内容が崩れることがなかったためホッとした。

これで朝乃山の年間最多勝が確定した。

場所前にも記載したが、最高位関脇以下が年間最多勝を受賞するのは3回目だが、『最高位小結以下の受賞』は史上初である。

とにかく残り2日間も集中してほしい。

今場所の相撲内容ならば余程の事がない限り負けることはないだろう。

貴景勝ー御嶽海という本来ならば好取り組みである一番は、今場所に限って言えば話題性のない一番となった。

結果は貴景勝の完勝だったが、それよりも御嶽海が酷すぎる。

本当に昨日朝乃山を降した御嶽海と同一人物なのか。

そう思わせるくらい本日の内容は酷すぎた。

これで7敗となり、関脇を維持するためには明日の白鵬戦勝利が絶対条件となった。

小結の北勝富士が負け越しを喫した。

序盤戦の出来からすると、勝ち越しは問題ないと思われたが、小結戦全敗に加え、平幕にも2敗し、同格相手に勝ち切れなかった。

これにより現時点で関脇、小結の枠が1つずつ空いたわけだが、来場所も関脇・小結を3人以上にするのかどうかも注目である。

平幕下位に目を向けると、正代が10勝目を挙げた。

今場所は大勝すると予想していたが、中盤戦に躓き、ギリギリ二桁に到達するのが精一杯かと思わせたが、本日10勝目を挙げた。

終盤戦へ突入してから、もろ差しに拘らず攻める姿勢が見受けられる。

あとは右でも左でも上手を浅く引き付けて攻める相撲が取れたら、上位でももっと活躍できると思うのだが。

私個人としては場所前11勝以上はすると思っていたため、最低でもあと1つは白星を積み重ねて欲しいところ。

幕下に目を向けると、西幕下10枚目照ノ富士が幕下全勝優勝を果たし、10場所ぶりの関取復帰を確定させた。

大関ということを考えると何一つ驚くことではないのだが、今年の春場所から場所に復帰し、それから順調に番付を上昇させていった。

相撲を見ていると、相変わらず引っ張り込む内容が多く、体格で勝っているような内容ばかりだが、幕下でもそれが通用するというのも相当なセンスと言える。

しかしこの内容で仮に幕内まで番付を戻しても、再び膝の怪我を負うことになるだろう。

来場所十両に復帰するが、この間に相撲内容を変化させる必要があるだろう。

この力士が白鵬のように立ち合いしっかり踏み込んで左前ミツを浅く引き付け攻める相撲を覚えれば、鬼に金棒だろう。

まだ老け込む年齢ではないため、十分修正は可能だ。

怪我の辛さは誰より本人が痛感しているだろうから、ぜひ相撲内容を変化させてほしい。

明日の注目は
白鵬ー御嶽海』
この一番だろう。

正直本日の内容だけを見たら何一つ期待できるものなく白鵬の優勝が決定すると考えるが、御嶽海としても関脇維持が懸かっている。

昨日の朝乃山戦のような集中力が出せるかどうか。

正直その集中力を引き出すことが出来ても、相手は大横綱のため分が悪いだろう。

相撲ファンが望むことは『熱戦』だろう。

優勝はほぼ決定したようなものだから、御嶽海は負けるにしてもせめて『御嶽海も善戦したけどさすが白鵬』と思わせる相撲を取ってほしいところである。

136. 2019年九州場所12日目を勝手に語る

本日で優勝力士が確定してしまったと言えるか。

そんな印象を受けた12日目の相撲内容。

まず注目の『御嶽海ー朝乃山』。

昨日記載したが、今場所だけではなく、今後の大相撲を占うと言っても過言ではない一番である。

結果は御嶽海の意地が勝ったという内容だ。

立ち合いは両者ともに良く、ほぼ互角。

朝乃山は素早く得意の左上手を引いたが、右は差し負け、もろ差しの体勢を許した。

ここは御嶽海が巧かった。

左を固めて当たっていき、突き放してからもろ差しを果たした。

あとは朝乃山の上手を切って攻めるだけである。

昨日の両者の相撲を見て、大関に最も近い力士が御嶽海から朝乃山になりつつあると感じたが、出世争いのライバルに対して向かっていくときの御嶽海は本当に強い。

ここ一番の集中力は圧巻である。

これが15日間出来ない弱さを秘めているのも御嶽海なのだが、本日の相撲を見てより強く感じるのは、殻を破って欲しいということである。

朝乃山としては決して悪い相撲ではなかった。

それでも御嶽海に敗れてしまった。

御嶽海の方が一枚上手だった、本日の取り組みはそんな感じだ。

朝乃山はこれで3敗となり、優勝争いから後退し、明日からは自分自身との戦いになるだろう。

残り3日間の対戦相手は全員平幕力士である。

今場所の立ち合いの踏み込み、右四つの組み方の過程を間違えなければ簡単に負けることはないだろう。

しかし問題は『負けられない』という気持ちが強くなり過ぎ、安易に引っ張り込みにいったり、手を伸ばすだけの雑な上手の取り方になってしまうことである。

そうすることで星を落とすだけでなく、今場所築き上げた『勝利の方程式』を自ら崩壊させてしまう可能性もあることだ。

残り3日間。
朝乃山の真価が問われるだろう。

調子が上向きで昨日勝ち越しを果たした大関貴景勝は、竜電の変化についていけず、優勝争いから完全に脱落してしまった(数字上0ではないが)。

押し相撲の力士が変化で敗れるというのは珍しいことではないが、この貴景勝の黒星が白鵬優勝への最高のお膳立てとも言える空気をもたらしてしまったように感じた。

そして後続と星の差2つをつけた白鵬だが、遠藤相手に荒々しい相撲を取った。

立ち合いは左で張り、右でかち上げ。
その後も張り手を2発食らわし、KOとでも表現出来る内容だった。

正直醜い相撲であるが、遠藤としてももう少し立ち合い見ていけばかち上げを回避し、白鵬のがら空きとなっている右脇に差し込むことが出来たのではないだろうか。

2年前嘉風がその戦法で白鵬を降しているが、遠藤にはその判断が出来なかったか。

白鵬の左張り差し、右かち上げの立ち合いがやや久し振りだったことで警戒していなかったのか。

白鵬の相撲内容が醜い反面、遠藤の工夫が足りなかったことも悔やまれる。

相撲の巧い遠藤なだけに余計そのように感じた。

明日の注目は
白鵬ー阿炎』
『朝乃山ー琴勇輝』
この2番である。

中盤戦突入して以降、白鵬を脅かす可能性のある力士として貴景勝、御嶽海、そして阿炎を予想していた。

今場所の阿炎は、突っ張りの威力がかなり向上している。

本日は叩きから流れを作って白星を掴んだが、今場所は突き放して圧倒する相撲が目立っている。

とにかく阿炎としては『力まない』ことだ。

上半身だけに力を入れて突っ込んでいっても、叩きに落ちるだけである。

目指すは今場所2日目、大栄翔が白鵬に勝った一番だ。

突っ張りながらしっかり足を運べば、白鵬が引いてきたところに付け入るチャンスがある。

今の白鵬に勝つのは、その戦法が最も効果的ではないだろうか。

貴景勝、御嶽海、朝乃山の影に隠れがちだが、阿炎も今年に入って三役で連続勝ち越しを果たすなど力をつけており、今年唯一5場所連続で勝ち越しも果たしている。

若手代表としての意地もあるだろう。

そして朝乃山ー琴勇輝だが、朝乃山としては上記の通り、自分との戦いだ。

今場所みせた阿炎戦、大栄翔戦のようにしっかり踏み込み、顎を上げずに下から跳ね上げて圧力をかけること。

絶対安易に上手を求めてはダメだ。

とにかく我慢しなければいけない。

優勝は白鵬と言っても過言じゃないが、若手力士にとっては今後を占う意味でも自分の相撲を貫けるかどうか。

残り3日間、三役の枠も気になるところだがはてさて…

135. 高安の大関陥落により悔やまれる記録

本日11日目を終了し、高安の大関陥落が決定した。

昨日割が組まれた時点で高安の四股名が無かったため、昨日の時点で決まってはいたのだが、これで名古屋場所から貴景勝栃ノ心に続いて3場所連続であり、回数だけで言えば今年4回目の出来事である(栃ノ心春場所も陥落したため)。

はっきり言えば異常事態だろう。

『自己管理がなっていない』

『最近の大関が情けない』

といった簡単な話ではないだろう。

 

まぁこの件に関しても語りたいことはあるのだが、本日は題名の通り高安の記録についてである。

高安の大関在位数は今場所で15場所目。

今場所は3勝5敗7休で事実上場所を終え、これにより大関在位中の成績は113勝57敗55休であり、勝率は0.665である。

この勝率は年6場所制となった1958年以降の最高位大関の中で『最高勝率』である。

そして題名の『悔やまれる』ことだが、それは『1場所平均10勝の勝率を下回ってしまった』ことである(1場所10勝平均は0.667)。

 

過去、大関昇進に関しての記載をしたことがあり、そこでも似たようなことを記載しているが、よく解説者や大相撲ファンの中で『大関は最低10勝』と唱えるものが多いが、最高位大関の勝率は全員それを下回っているのである(過去の記載は252627を参照)。

 

歴代の最高位大関の勝率を以下にまとめた。

1.高安(0.665)

10.清國(0.613)

17.琴欧洲(0.589)

28.琴ヶ濱(0.549)

2.琴風(0.658)

11.貴景勝(0.611)

20.出島(0.585)

29.前の山(0.545)

2.把瑠都(0.658)

12.北天佑(0.607)

21.北葉山(0.583)

30.照ノ富士(0.525)

4.霧島(0.647)

13.貴ノ花(0.603)

22.豪栄道(0.581)

31.魁傑(0.519)

5.貴ノ浪(0.645)

14.豊山(0.600)

23.旭國(0.579)

32.増位山(0.500)

6.小錦(0.637)

15.千代大海(0.599)

24.琴光喜(0.576)

33.雅山(0.496)

7.若嶋津(0.633)

16.朝潮(0.592)

25.琴奨菊(0.571)

34.大受(0.484)

8.栃東(0.623)

17.栃光(0.589)

26.若羽黒(0.567)

35.栃ノ心(0.449)

9.魁皇(0.615)

17.大麒麟(0.589)

27.武双山(0.557)

 

※赤字は現役力士

※現役力士は2019年九州場所11日目終了時点の成績

 

貴景勝は今場所11日目終了時点の成績のため、今後大きく変化するだろう。

大関が9勝で場所を終えた場合『クンロク』と揶揄されることも多い。

クンロクの勝率はちょうど6割であり、その6割以上の成績を残した大関も14人であり半分に満たない。

現役の栃ノ心が歴代ワーストの勝率を残しており、また平成29年初場所稀勢の里の優勝を最後に大関の優勝が遠ざかっているため、『最近の大関は情けない』という声も多く聞かれる。

それに関しては間違いない事実であるが、勝率を見てみると高安は歴代1位であるため、一概に不甲斐ないという言葉だけで片付けることが出来ないことも事実である。

少し話が逸れたが、私個人としては1人でもいいから1場所平均10勝の勝率を超えたまま大関として引退する力士を望んでいた。

要は『強い大関のまま引退してほしい』ということだ。

高安の場合、まだ引退には早いし、横綱を目指す気持ちで望んで欲しいところだが、今回は大関陥落という残念な結果になった。

それこそ来場所10勝すれば特例復帰が可能である。

昨年の高安は12勝が3回と、まさに最高位大関としては最高の成績だった。

高安にとって必要な物は『優勝』だけであった。

それを目指していた2019年であったが、怪我に泣き、大関陥落となってしまった。

高安にはぜひ大関復帰を果たしてもらい、1場所10勝平均の勝率を再度超えてもらいたいと願っている。