先日、曙死去という残念なニュースが流れてきた(曙関連の記載は前回記載したのでそちらをご参照ください)。
改めて曙の相撲を動画で観たが、相手を寄せ付けず圧倒するという点において、異なる視点から横綱相撲を貫いた力士だと感じた。
また引退の美学も素晴らしかった。
話題は逸れるが、大相撲では巡業も始まっているようである。
私自身、あまり巡業話題に興味を示さないが、8月には北海道で巡業があるため観戦しようかどうか迷っているところではある。
そして本題に入るが、先場所活躍した尊富士と大の里。
この両者は春場所千秋楽の取組前に三賞2つが確定しており、優勝すればトリプル受賞という流れになっていた。
尊富士はその可能性は高いと思っていたが、大の里は意外だった。
私自身、大の里の場合は勝てばダブル受賞、もしくは優勝すればダブル受賞だと思っていた。
結果的に優勝は尊富士となったため、大の里はダブル受賞に終わったが、大の里自身千秋楽に敗れてしまった。
大の里自身が敗れたことにより三賞の数に変動はないが、私個人の思いとしては『今場所の活躍は素晴らしいけど三賞2つはどうだろうか?』という思いはあった。
そこで今回、11勝以下で三賞を2つ以上受賞した力士を調べてみた(昭和33年以降)。
詳細は以下の通りである。
場所 |
成績 |
||
柏戸(東関脇) |
11勝4敗 |
殊勲賞、技能賞 |
|
昭和41年名古屋場所 |
鶴ヶ嶺(東前頭11枚目) |
11勝4敗 |
敢闘賞、技能賞 |
昭和43年夏場所 |
栃東(西前頭2枚目) |
10勝5敗(次点) |
殊勲賞、技能賞 |
昭和43年秋場所 |
栃東(西前頭3枚目) |
11勝4敗(次点) |
殊勲賞、技能賞 |
昭和44年秋場所 |
栃東(東前頭2枚目) |
9勝6敗 |
殊勲賞、技能賞 |
昭和45年初場所 |
栃東(東小結1) |
10勝5敗 |
殊勲賞、技能賞 |
昭和48年夏場所 |
大受(東関脇1) |
11勝4敗(次点) |
殊勲賞、技能賞 |
昭和48年秋場所 |
大錦(西前頭11枚目) |
11勝4敗(次点) |
敢闘賞、殊勲賞、技能賞 |
昭和49年名古屋場所 |
高見山(西関脇1) |
11勝4敗 |
敢闘賞、殊勲賞 |
昭和51年名古屋場所 |
麒麟児(西前頭4枚目) |
11勝4敗 |
殊勲賞、技能賞 |
昭和57年春場所 |
出羽の花(東関脇1) |
9勝6敗 |
殊勲賞、技能賞 |
昭和59年春場所 |
大乃国(東関脇1) |
10勝5敗 |
敢闘賞、技能賞 |
平成元年春場所 |
板井(東前頭7枚目) |
11勝4敗 |
殊勲賞、技能賞 |
平成2年夏場所 |
安芸ノ島(東前頭筆頭) |
10勝5敗 |
殊勲賞、技能賞 |
平成2年九州場所 |
琴錦(西関脇1) |
10勝5敗 |
殊勲賞、技能賞 |
平成3年名古屋場所 |
貴花田(西小結1) |
11勝4敗 |
殊勲賞、技能賞 |
平成3年秋場所 |
若花田(西前頭3枚目) |
11勝4敗 |
殊勲賞、技能賞 |
平成7年夏場所 |
武双山(西前頭4枚目) |
11勝4敗 |
敢闘賞、殊勲賞、 |
平成7年九州場所 |
土佐ノ海(西前頭筆頭) |
9勝6敗 |
殊勲賞、技能賞 |
平成9年春場所 |
出島(東前頭13枚目) |
11勝4敗 |
敢闘賞、技能賞 |
平成9年秋場所 |
出島(東前頭筆頭) |
11勝4敗 |
殊勲賞、技能賞 |
平成11年秋場所 |
安芸乃島(西前頭3枚目) |
11勝4敗(次点) |
敢闘賞、技能賞 |
平成17年九州場所 |
琴欧州(東関脇1) |
11勝4敗(次点) |
敢闘賞、殊勲賞 |
嘉風(西前頭筆頭) |
11勝4敗 |
殊勲賞、技能賞 |
|
令和5年名古屋場所 |
伯桜鵬(西前頭17枚目) |
11勝4敗 |
敢闘賞、技能賞 |
令和6年春場所 |
大の里(西前頭5枚目) |
11勝4敗(次点) |
敢闘賞、技能賞 |
※四股名当時
今回の大の里で『26回目(21名)』であり、思った以上に多いというのが率直な感想である。
しかし大半が昭和~平成一桁の時代と言える。
平成10年から現在まで26年の間では5回しかない。
栃東(初代)が史上最多の4回経験しているが、面白いことに優勝を果たした昭和47年初場所は技能賞のみの受賞である。
それぞれの三賞の内訳を見ると
・敢闘賞、殊勲賞:4回
・敢闘賞、技能賞:5回
・殊勲賞、技能賞:16回
・トリプル受賞:1回
以上の結果である。
上位を多く倒すことにより殊勲賞が確定し、そこにもう1つ受賞させても良いのではないか?となった時、敢闘賞の場合12勝以上の大勝のイメージも強いため、技能賞が添えられるといったパターンが多いのか。
過去には上記の表の通り、一桁勝ち越しでもダブル受賞もある。
その時代、その場所の流れというのもあるのだろう。
平成10年以降珍しい記録であったが、令和に突入してから2回目の出来事である(しかもここ2年の話)。
大の里は来場所おそらく新三役だし、伯桜鵬は現在十両在位とはいえ期待の星である。
両者ともに今後の活躍に期待である。
ちなみに上記表の力士で後の横綱昇進者は4名(柏戸、大乃国、貴乃花、若乃花)、大関昇進者も4名(大受、出島、武双山、琴欧洲)である。
大関以上が8/19、確率にして0.421とこれはあまり多いとは言えないか(伯桜鵬、大の里は母数から除外しての計算)。
はてさてこの先どうなるか。