きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

641. 『優勝→負け越し』の大関

昨日霧馬山の逆転優勝によって幕を閉じた大相撲春場所

横綱大関不在の穴を埋めるべく三役力士が活躍した良い場所であった。

霧馬山は来場所いよいよ大関取りに挑戦である。

その一方最悪な場合、2場所後に『大関不在』の可能性もある。

貴景勝が勝ち越す、霧馬山が11勝以上となればその問題も杞憂に終わるだろうが、人間という生き物はどうしても最悪な場合を想像してしまうものである。

貴景勝はここ数場所は安定して二桁の白星を挙げ、さらには『同点→優勝』という成績であったため、機は熟したように感じていた。

それが怪我により残念な結果となってしまった。

優勝の翌場所に負け越したことになるが、これは貴景勝自身『2回目』である。

過去に大関在位で『優勝→負け越し』というケースはどれだけ存在するだろうか。

またさらにその翌場所はどのような成績を残しているだろうか。

詳細は以下の通りである。

四股名

優勝場所

翌場所

翌々場所

朝汐

(S33春~S33名)

13勝2敗

5勝4敗6休

10勝5敗

若羽黒

(S34九~S35春)

13勝2敗

7勝8敗

8勝7敗

北の富士

(S42春~S42名)

14勝1敗

5勝10敗

7勝8敗

琴櫻

(S43名~S43九)

13勝2敗

6勝5敗4休

10勝5敗

霧島

(H3初~H3夏)

14勝1敗

5勝10敗

11勝4敗

若乃花

(H7九~H8春)

12勝3敗

0勝4敗11休

12勝3敗(次点)

若乃花

(H9初~H9夏)

14勝1敗

3勝1敗11休

全休

魁皇

(H13春~H13名)

13勝2敗

4勝5敗6休

13勝2敗(優勝)

魁皇

(H13名~H13九)

13勝2敗

0勝4敗11休

10勝5敗

魁皇

(H15名~H15九)

12勝3敗

7勝8敗

10勝5敗

貴景勝

(R2.11~R3.3)

13勝2敗

2勝8敗5休

10勝5敗

※昭和33年以降の記録

 

今回で『12回目』である。

時代により公傷制度の有無、3場所連続負け越しで大関陥落と角番の概念が異なるため、北の富士若乃花(2回目)の場合、現行の規定ならば大関陥落となっている(余談だが北の富士の場合この翌場所10勝しているため、結果論ではあるが特例復帰可能である)。

仮にこの2名を現行の規定通り大関陥落とした場合、11回中9回角番脱出ということになる。割合にして『約82%』である。

平均勝ち星に関しては全休の若乃花を除くと『10.1勝』である。

貴景勝自身も1回目は10勝だったため、平均通りといった所か。

この記録で若乃花魁皇が複数回名を連ねているが、両者ともに通算優勝回数は5回であり、大関在位の優勝回数も4回と全く同じである。

唯一異なる点が若乃花横綱昇進を果たし、魁皇大関に留まったという点である。

貴景勝もこの両者を辿るならばあと2回優勝は出来るということか。

貴景勝の場合、横綱へ昇進するのか、それとも大関に留まるのか。

怪我の具合がどの程度か不明だが、とにもかくにも角番は脱出してほしいところである。

640. 2023年春場所千秋楽を勝手に語る

霧馬山が本割、決定戦と連勝し、見事逆転優勝を果たして幕を閉じた2023年大相撲春場所

本割、決定戦いずれも土俵際逆転の突き落としであった。

2年連続で春場所は新関脇が優勝を果たすという結果になった。

正直7日目で3敗目を喫したとき、霧馬山の優勝は全くもって予想していなかった。

余程な霧馬山のファンでなければこの時点で霧馬山が優勝すると思っていた人は存在しないと言っても過言ではないだろう。

何せこの時点で先頭とは星の差3つだったのだから。

ましてや6日目で怪我をした様子だったし、私個人としては『何とか気力で二桁勝ってくれ』という思いだった。

それが気が付けば星の差1つとし、最後は見事な逆転優勝を決めた。

千秋楽の相撲はいずれも逆転だが、今場所好調の大栄翔の突っ張りに対して大きく後退することはなかったため、ある程度余裕を持って残すことが出来たか。

元々足腰の良い力士であるが、攻める力もついたことでよりそれを感じさせるようになった。

ここ1年優勝を果たした力士に期待を寄せ、翌場所裏切られるという結果が続いていた。

霧馬山の場合、先場所三役で二桁の白星を挙げているため、いやが上にも期待を寄せられる事になるだろう。

如何せんここ最近で役力士で2場所連続二桁の白星が照ノ富士貴景勝しかいないのだから。

霧馬山も大関候補とは呼ばれていたものの若隆景、豊昇龍と比較した場合、評価は低い傾向にあっただろう。

さらに言えば少し前ならば阿炎と比較しても霧馬山の方が低かったと思う。

それが先場所三役で二桁の白星を挙げ、そして今場所見事優勝を果たした。

名実ともに大関候補筆頭となり、期待のかかる来場所結果を残すことが出来るか楽しみである。

優勝に王手をかけていたが逆転されてしまった大栄翔。

本割、決定戦ともに固くなった様子は見受けられなかった。
自分の相撲を取り切っていたとは思うが、霧馬山がうまく残したといった所か。

結果は残念だったが、それでも今場所は大栄翔の良さが存分に発揮された場所と言える。

突き押しの威力はもちろんの事、終始場所を引っ張った事は十分に価値がある。

上位圏内で2場所連続二桁の白星を挙げたため、大栄翔にとっては来場所重要な場所になるだろう。

大栄翔は実力者だが関脇での勝ち越しが一度もないため、来場所も今場所のような相撲を取り切る事が出来るかどうか。

その他三役陣に目を向けると豊昇龍が千秋楽高安に敗れて10勝で終えた。

二桁に乗せていること自体は良いが、先場所序盤戦の覚醒したかと思わせた内容から考えると星数も内容面も物足りなさを感じる。

霧馬山戦で露呈されたが、色々なことが出来るのはもちろん良いことだが、ここぞというときに力を発揮するためには勝ちパターン、型が必要になってくると思う。

変化も多用しているため、まだここぞという場面で力を発揮出来ていない印象を受ける。

未完の状態で二桁勝つのだから潜在能力は計り知れないし、群を抜いている証拠ではあるのだが、また先場所序盤戦のような立ち合い低く鋭く当たって左前ミツを引く相撲を取ってほしいところである。

小結で11勝した若元春は小細工なしに力をつけている印象を受ける。

何度か記載しているが、左四つに組めば負けないという自信もかなりついてきているのではないだろうか。

問題は後手に回りやすいことであり、千秋楽の一番も土俵際の逆転だった。

土俵際しぶといことは持ち味の一つではあるが、これで攻めも早くなれば鬼に金棒ではないだろうか。

決して若いわけではないが、若手に負けじと積極的に上の番付を目指してほしいところである。

琴ノ若は終盤戦3連敗で二桁の白星を逃した。
今場所は詰めが甘い場面が多く見受けられた。

腰の重さを活かした相撲内容も多かったが、土俵際の詰めを注意していけばすぐにでも三役で二桁勝つことが出来るだろう。

そして今場所忘れてはいけないのが翠富士。
終盤戦は上位圏内の力士と割が組まれて5連敗を喫した。

悪い言い方をすれば『上位圏外で白星を挙げただけで上位圏内では通用しなかった』とも言える。

しかし5連敗の相撲内容を見ていても全く通用していないわけではないし、そもそもここ数場所は上位圏内で相撲を取っていた力士である。

横綱大関不在の中、中盤戦まで場所を引っ張ったのは間違いなく翠富士である。
終盤戦5日間も存在感は十分に示していた。

翠富士にとっては天国と地獄を見たような場所になったと思うが、大きな経験になったと思う。

また他の小兵力士が『真っ向勝負でも勝てる』と自信を持ったのではないだろうか。

来場所は上位総当たりの地位で相撲を取ることになる。
屈辱を糧にして上位圏内での活躍に期待したいところである。

今場所の場所前は貴景勝の綱取りが最大の焦点であった。
というよりもそれ以外話題が無かったと言っても過言ではない。

それが貴景勝の休場に伴い、どこに注目すれば良いのかわからない場所になる恐れがあった。

しかし蓋を開けてみれば翠富士の健闘、そして何より三役力士が7名中4名二桁の白星を挙げ、さらには関脇が優勝を果たすという見事上位陣不在の穴を埋めたと言えるだろう。

そしてここ数場所番付変動が多く見受けられたが、固定化されつつあるか。

若隆景は怪我により脱落の恐れが考えられるが、霧馬山、豊昇龍は番付通り少し抜けた存在になっているだろう。
本当の意味で『大関候補』だろう。
霧馬山は来場所勝負の場所である。

そしてこれも番付通りだが大栄翔、若元春、琴ノ若が次点といったところか。

ここに阿炎も割って入りたいところだが、ここ2場所の成績を見ると少し遅れを取っている印象を受ける。

そしてかつて同格と呼べる存在であった明生、隆の勝に関してはやや厳しい立場となっている。

特に隆の勝に関しては平幕下位で苦戦を強いられているほどである。

そして御嶽海、北勝富士の平成4年生まれの2名は完全上位圏外に陥った印象を受ける。

北勝富士は中盤戦の7連勝があったが、終盤戦上位圏内の力士と割が組まれて結局4連敗である。
昨年秋場所も優勝争いをしていたが、終盤戦上位圏内の力士と割を組まれて崩れてしまった。

御嶽海に関しては怪我の影響もあるのかもしれないが、かつての『強い御嶽海』は影を潜めている。

同じ平成4年生まれの翔猿は今場所負け越したものの、ここ数場所は上位圏内の力士と渡り合う力をつけている。

そのため御嶽海と北勝富士もまだ老け込むには早いため、奮起してほしいところである。

新入幕では金峰山の活躍が光っていた。
実力者の阿炎、高安、隆の勝から白星を挙げているのだから、この先も恐ろしい存在になりそうである。

もう一人の新入幕北青鵬も原石の状態で9勝する辺りタダ者ではない。

十両では話題の落合が二桁勝っている。

上記の通り、貴景勝が途中休場したときはかなり不安に感じたが、三役力士の活躍に見事救われた場所であった。

来場所は霧馬山の大関挑戦、豊昇龍、大栄翔、若元春も足固めの場所となり、朝乃山も幕内へ復帰するため注目点は多いだろう。

その一方で下手をすれば大関が不在になる可能性もあるため、相変わらず心配される部分も多い。

とにもかくにも今場所も無事場所を終えられたことは良かったと思っている。

相撲ファンの皆様も15日間お疲れ様でした。

639. 2023年大相撲夏場所番付予想

番付 西
照ノ富士 横綱  
大関 貴景勝
霧馬山 関脇 豊昇龍
大栄翔 関脇 若元春
琴ノ若 小結 正代
阿炎 小結 若隆景
翠富士 前頭筆頭 高安
翔猿 前頭2枚目 遠藤
宇良 前頭3枚目 錦富士
金峰山 前頭4枚目 錦木
玉鷲 前頭5枚目 明生
御嶽海 前頭6枚目 琴勝峰
北勝富士 前頭7枚目 佐田の海
阿武咲 前頭8枚目 隆の勝
竜電 前頭9枚目 宝富士
平戸海 前頭10枚目 碧山
逸ノ城 前頭11枚目 朝乃山
大翔鵬 前頭12枚目 琴恵光
北青鵬 前頭13枚目 千代翔馬
妙義龍 前頭14枚目 一山本
剣翔 前頭15枚目 水戸龍
前頭16枚目 王鵬

 

過去11勝以上を果たした小結は皆関脇へ昇進を果たしているため、大栄翔、若元春は関脇昇進と予想。

小結に関しては本当の意味で確定は琴ノ若と正代だけか。

関脇で7勝の場合小結に留まることが多いが、小結を2名とするならばおそらく若隆景は平幕に落とされるのではないだろうか。

阿炎に関しても東前頭2枚目で9勝ならば十分昇進できる一方、番付運悪ければ昇進できないことも容易に想像できる。

ここらは2小結かそれ以上の人数にするかで予想も大きく変わるだろう。

前頭3~4枚目で大負けしている力士も多いが、中位で大勝も少ないため、下降幅を少なく予想しているが、この辺りもどうなるか。

また私個人最も気になるのが、逸ノ城、朝乃山の番付がどこまで上昇するかという点である。

単純計算ならば7枚目付近まで上昇可能だが、実際どうなるか。

 

来場所は4関脇全員大関昇進及び足固めに関与する場所となるため、面白い場所になりそうである。

638. 千秋楽結びの一番に関すること

大相撲春場所も千秋楽を残すのみとなった。

優勝争いは2敗大栄翔、3敗霧馬山の一騎打ちとなり、この両者が千秋楽に直接対決となった。しかも千秋楽結びの一番である。

仮に本割で霧馬山が勝利となれば優勝決定戦となるが、昨日も記載した通り『関脇-小結』の優勝決定戦は史上初である。

また『関脇-小結』によるもう一つ史上初の出来事がある。

それは『千秋楽結びの一番が関脇-小結の割』ということである。

そもそも昭和33年以降、関脇もしくは小結が千秋楽結びの一番に関わるのは過去『13回』である(関脇11回、小結2回)。

基本番付通りにいけば横綱大関が務めることが多いため、関脇、小結が関与するのが少ないのは当然と言えば当然である。

過去には平幕が務めたことも数回あるが、先場所の琴勝峰が記憶に新しいだろう(正確に数えていないが平幕力士が千秋楽結びの一番を取るのは確実に5回以上はあるため小結より回数は多い)。

今場所は初日の段階で番付順にいけば『貴景勝ー若隆景』になっていただろうが、この両者が休場となったため、14日目段階で番付上位の2名は『豊昇龍』『霧馬山』となる。

しかしこの両者は12日目に割が組まれ、そして単純な番付順で言えば豊昇龍が最も番付上位となるため『豊昇龍-高安』の割が結びの一番になるはずだが、やはり優勝に関わる割は最後に回そうという流れになったか。

過去関脇、小結が千秋楽結びの一番に相撲を取った結果は以下の通りである。

場所

勝者

敗者

昭和47年名古屋

清國(西大関)9勝6敗

長谷川(東関脇張出)5勝10敗

平成4年夏

小錦(東大関)9勝6敗

安芸ノ島(東小結)9勝6敗

平成4年九州

曙(西大関)14勝1敗(優勝)

武蔵丸(東関脇)9勝6敗

平成5年初

曙(東大関)13勝2敗(優勝)

貴花田(東関脇)11勝4敗

平成6年夏

琴錦(東関脇)9勝6敗

貴ノ浪(東大関)9勝6敗

平成13年秋

栃東(東関脇)12勝3敗

武蔵丸(東横綱)9勝6敗

平成30年九州

御嶽海(東関脇)7勝8敗

高安(西大関)12勝3敗

平成31年

豪栄道(西大関)9勝6敗

貴景勝(東関脇)11勝4敗

令和2年7月

朝乃山(西大関)12勝3敗

正代(東関脇)11勝4敗

令和2年11月

照ノ富士(東小結)13勝2敗

貴景勝(東大関)13勝2敗

令和4年初

御嶽海(東関脇)13勝2敗(優勝)

照ノ富士(東横綱)11勝4敗

令和4年春

正代(東大関)9勝6敗

若隆景(東関脇)12勝3敗(優勝)

令和4年九州

貴景勝(東大関)12勝3敗

若隆景(東関脇)8勝7敗

関脇が4勝7敗、小結が1勝1敗という結果である。

如何せん過去は横綱大関と番付上位と割が組まれているため、勝率が低くなるのは仕方ない事である(小結に至ってはそもそも母数があまりにも少ない)。

史上初となる『千秋楽結びの一番が関脇-小結の割』だが、両者の健闘を祈っている。

637. 2023年春場所14日目を勝手に語る

2敗大栄翔、3敗霧馬山。
優勝争いはこの2名に絞られ、そしてこの両者が明日直接対決。

3敗霧馬山は不戦勝により3敗を守る形となった。

その対戦相手の若隆景だが、昨日取り直し前の一番で怪我をした様子だったが、思った以上に重症だったようである。

7勝しているため来場所は小結に留まる可能性はあるが、そんなことよりも長期休場になるのではないかという懸念がある。

霧馬山が大関候補の筆頭となり、兄の若元春も三役で二桁勝つなど悔しい思いもあるだろうが、まずは治療に専念してほしいところである。

話は霧馬山に戻るが、思わぬ形で終盤戦に白星を手にする形となった。

これが明日の取り組みにどのような影響を及ぼすかはわからないが、単純に白星を積み重ねたというのは今場所の優勝争いにおいても来場所の大関取りにおいても大きいだろう。

そして本日注目の『大栄翔ー翠富士』は大栄翔が圧勝して単独先頭譲らず千秋楽へ。

大栄翔がよく見ながら次々と突っ張りを繰り出すため、翠富士に回り込む隙を与えなかった。

昨日も記載したが、11日目に翠富士が初黒星を喫してから相撲内容に厳しさが増している。

本日翠富士との直接対決も重圧がかかるのは追われる側の大栄翔の方だと思っていたが、自分の相撲を取ることに集中している様子である。

これで優勝に王手をかけたが、明日の霧馬山との直接対決もここ数日と変わらず自分の相撲に徹するだけだろう。

優勝の可能性が残されていた3敗の若元春は豊昇龍の豪快な投げに屈して4敗となり、優勝争いから脱落した。

豊昇龍が立ち合い右に変わって右上手を求め、左四つに組む展開となったため、豊昇龍としてはその立ち合いはどうなんだろうという思いがあった。

しかし先に上手を引いていたため、豊昇龍としては余裕があったか。
相撲が長引くと厄介だと思ったか、豪快な投げで仕留めた。

若元春としては左四つに組めばある程度余裕があると思ったかもしれなかったが、十分に上手を許してしまったことが敗因か。

左四つに組めばかなり強さを発揮する一方、ここ数日後手に回ることが多いのも事実か。

これに関しては若元春自身、今後の課題になるのではないだろうか。

これで攻めも早くなれば今以上に面白い存在になると思う。

明日の注目の割は言うまでもなく『霧馬山ー大栄翔』の一番だろう。
多くは語るまい。

どちらが優勝しようが熱戦を期待するだけである。
一つ注目するとすれば史上初の『関脇ー小結』による優勝決定戦に突入するかどうかというところか。

最後に三賞予想だが
・敢闘賞:霧馬山、金峰山
・殊勲賞:大栄翔
・技能賞:若元春、翠富士(条件)
こんな感じだろうか。

金峰山はいわゆる『新入幕で10勝』のため受賞となるだろう。

霧馬山は本日の不戦勝をマイナスに捉える者も存在すると思う。

私個人としては敢闘賞受賞で問題ないと思う。
技能賞の声もあがるか。

大栄翔が間違いなく三賞は受賞するだろうが、どの賞に該当するか判断が難しい。

相撲内容は敢闘精神溢れるものだし、突き押しの技術に関しても文句なしである。

殊勲賞に関しては如何せん横綱大関とは対戦がないし、関脇に目を向けても14日目終了時点で1勝1敗である。

そのため私個人としては敢闘賞が最も適しているとは思うが、その他力士と見合わせて殊勲賞になるのではないかと予想する。

若元春は左四つが評価されて技能賞と予想。

翠富士は終盤戦の4連敗が響くが、10連勝の相撲は光るものがあった。
技能賞の場合、星数は関係ないものだと思うが、過去の傾向からして条件付きになる可能性は高いか。

その他諸々語りたいことはあるが、とにもかくにも明日の『霧馬山ー大栄翔』を静かに見守ろう。

貴景勝が途中休場し、上位陣不在の中、三役力士が存在感を見せて、最終的には三役力士が優勝を果たすという展開は良かったと思っている。

霧馬山、大栄翔。
両者の健闘を祈っている。

636. 2023年春場所13日目を勝手に語る

2敗の大栄翔、翠富士に明暗が分かれた。

大栄翔が単独先頭で残り2日間という展開になった。

まずその大栄翔だが、明生相手に自分の相撲を取り切った。

過去の合い口、今場所の勢いから考えてもやはり大栄翔が俄然有利だったか。

明生が何度か突き落としにいこうとしていたが、大栄翔がよく見ながら突き放していたため、全く体勢を崩す事がなかった。

翠富士が初黒星を喫した11日目から相撲内容が日に日に厳しさを増している印象を受ける。

単独先頭に立ったことで残り2日間連勝すれば優勝だが、このまま変わらず自分の相撲に徹することが出来るかどうか。

優勝経験者であるため、重圧も経験済みだと思うがはてさて。

そして3連敗となった翠富士。
三役陣の中では合い口の良い豊昇龍が相手だった。

とはいえ単純な力量で言えば豊昇龍の方が上だし、また優勝争い先頭の中で対戦するという未だかつてない経験のため、状況は大きく異なるだろう。

それでも本日の相撲内容を見る限り、固さは見られなかったと思う。

緊張して足が出なければ豊昇龍の肩透かしにあっさり手をついていただろう。

しかしあれを驚異的な足腰で残し、その後横に食いつく最大のチャンスが訪れたが、それをモノにすることが出来なかった。

翠富士はベストを尽くしたが、それ以上に豊昇龍が意地を見せた一番だと思う。

これで役力士相手に3連敗。
力負けである。
悔しさも大きいと思うが、明日大栄翔と直接対決である。

追いかける立場となったわけだが優勝云々ではなく、まずは力を出し切る事が出来るかどうかが鍵となるだろう。

まだまだチャンスはあると思う。

3敗3名は琴ノ若が敗れて脱落。

若隆景と取り直しの末敗れた。
取り直し前の一番は一呼吸置けば良かったか。
取り直しの一番はなぜ引いてしまったのか。

どちらの相撲も少しもったいないように感じてしまった。

今場所負けている相撲は土俵際の詰めの甘さが露呈されている。

これに関しては来場所以降の課題といったところか。
二桁のためにも残り2日間重要である。

勝った若隆景は13日目にして今場所初めて白星が先行した。

ここに来てようやく持ち前のしぶとさも見られるようになってきたが、取り直し前の一番で右足を負傷してしまったか。

取り直しの一番は気力で制したが、如何せん残りの対戦相手は霧馬山(確定)、豊昇龍のため、残り2日間気力でどうにかなるものなのか心配である。

まだ勝ち越していないため、若隆景にとっては試練の2日間になるか。

大関の足固めの場所である霧馬山が遠藤を下して二桁10勝目。

これで来場所は大関取りの場所と言って良いだろう。
霧馬山にとってはおそらく千秋楽大栄翔と割が組まれるだろうから、逆転優勝のチャンスも十分に残されている。

残り2日間連勝して12勝まで星を伸ばせば来場所の大関取りの弾みになるし、何より連勝すればほぼ間違いなく同点以上の成績を残すことになる。

ここに来て最も恐ろしい存在になってきたかもしれない。

3敗若元春は北勝富士を下して3敗を死守。

立ち合い遅れたのか北勝富士に攻め込まれたが、左を差した時点である程度余裕を持って残すことが出来たか。

今場所何度も感じさせるが、本日も左四つに組んだら安定して強いと感じさせる一番だった。

優勝争いとは話が逸れるが、本日の御嶽海、隆の勝の相撲を見ていると何だか悲しくなってきた。

まず御嶽海は佐田の海の突き落としにあっさりと転がってしまった。

ここ数場所感じていることだが、引退間際の力士の相撲を見ている感覚である。

かつて正代に対してもそれを感じたが、正代は今場所ある程度立ち直りを見せた(とはいえ昨年もその流れで勝ち越し負け越しを交互に繰り返していたのだが)。

御嶽海はこの先果たして勝ち越すことが出来るのかどうかすら怪しいレベルである。

これでコロナ休場も含めて6場所連続勝ち越しなしである。
どこかで立ち直ることは出来るのであろうか。

そして隆の勝だが、本日も何をやりたいのか全くわからない相撲だった。

攻め手がなかったのかもしれないが、本日だけに限らず精彩を欠いているように感じる。

3年程前は関脇に在位していたし、そこから少し低迷した時期もあったが、昨年夏場所は上位圏内で優勝争いもしていた。

本来ならば現在の三役陣と対等なレベルであるはずなのに、ここ数場所は前頭10枚目前後で勝ち越しもままならないレベルである。

怪我の影響もあるかもしれないが、まだ老け込むような年齢ではないため奮起してほしいところである。

明日の注目の割は
『大栄翔ー翠富士』
この一番である。

3日程前は大栄翔が直接対決まで食らいついていきたいところだと考えていたが、立場が逆転し、翠富士が追いかける展開となった。

これにより重圧がかかるのは大栄翔か。
的が小さいため突っ張りも当てにくいことが予想される。

翠富士としてはこれまで通り動きの良さを活かして中に入れるかどうか。

明日3敗力士は皆別々の力士と割が組まれているため、大栄翔としては明日で優勝が決まる可能性も0ではない。

固くならずに自分の相撲に徹することが出来るかどうか注目である。

中日辺りに『大栄翔>琴ノ若>正代=翠富士』と記載したが、琴ノ若と正代は脱落した(数字の上で琴ノ若はまだ可能性が0ではないが)。

やはり大栄翔が抜けるのかと思う一方、霧馬山が一気に浮上してきた。

何なら逆転優勝に最も近い存在と言っても過言ではない。

残り2日間、まだ場所は動くのか。
それとも大栄翔が逃げ切るか。

はてさて…

635. 2023年春場所12日目を勝手に語る

翠富士が絶対的に有利な状況から一変、役力士が力を示して翠富士、大栄翔が2敗で並ぶ展開となった。

翠富士が連敗。
大波兄弟相手に連敗となったが、翠富士どうこうではなく、単純に力を発揮すれば若隆景の方が力量は上といったところである。

1年間関脇に在位しているのは伊達じゃない。

両者激しく動き回る展開だったが、常に攻めているのは若隆景だった。

翠富士もよく残した場面はあったが、反撃までには至らず、残すのが精一杯といったところだった。

今場所の翠富士は間違いなく素晴らしい。
巧さ、速さ、そして今場所は力強さも感じさせる相撲であった。

しかし役力士との割が組まれてからは1勝2敗である。

これに関しては上記の通り、単純に力量が劣っているということである。

残り3日間、状況により変わるかもしれないが、役力士との対戦は続くだろう。

ここで勝てないようではあくまで『上位圏外で活躍した』だけに留まってしまう。

優勝のためにはもちろんのこと、この先上位圏内で相撲を取り続ける力士になるためにここで力を示す必要があるだろう。
残り3日間は落とすことが出来ない。

2敗大栄翔は7連勝とノッている北勝富士を圧倒した。

この一番も単純な力量、今場所の状態を鑑みれば大栄翔が俄然有利だっただろう。

しかし北勝富士も昨日琴ノ若を下して7連勝としているため、決して油断できない相手であった。

それでも大栄翔は意に介さず自分の相撲を取り切って力量の差を見せつけた。

2日前までは星の差2つとなり、やや絶望的な状況にも至ったが、あっという間に並んでしまった。

大栄翔としては残り3日間、変わらず本日のような相撲を取っていくだけだろう。

3敗の関脇同士、優勝争いの生き残りを懸けた『豊昇龍ー霧馬山』は霧馬山に軍配が上がった。

両者廻しを引いて十分な力士であるが、本日の相撲を見ると相撲の型がしっかりしているのは霧馬山だと感じさせる内容だった。

立ち合い霧馬山は前ミツ狙い、豊昇龍は張り差しだった。
この段階で両者の腰の位置がだいぶ違っていた。

先場所序盤戦の豊昇龍の相撲ならばまた違った内容になっただろうが、とにもかくにも霧馬山が丁寧に相撲を取った。

優勝争いに残ったことも大きいし、何より大関の足固めのための二桁まであと1勝とした。

同格相手に自分の相撲で白星を掴んだことは自信に繋がるだろう。

一方豊昇龍は兼ねてから言われている『絶対的な型がない』ことが露呈された一番と言える。

上記の通り先場所序盤戦の相撲内容ならば違った結果になっていただろう。

またあくまで今場所は霧馬山に軍配が上がったが、来場所以降どうなるかもわからない。
如何せん対戦成績はほぼ五分の相手だから。

とはいえ本日の相撲を見ると、霧馬山の方が型は持っており、やるべきことが決まっていたという展開であった。

豊昇龍としては優勝争いから脱落してしまったが、残り3日間で二桁に乗せられるか注目である。

3敗同士の『若元春ー遠藤』は若元春に軍配が上がった。

遠藤が予想以上に立ち合い鋭く前に出てきたが、若元春が土俵際でうまく残すことが出来た。

誉められた相撲ではないが、ここで白星を拾ったのは大きいだろう。

2敗の2名とは直接対決が終わっているため、自力優勝は消滅しているが、食らいついていけばチャンスはあるだろう。
如何せんその2敗力士どちらにも勝利しているのが面白い。

敗れた遠藤は昨日もこのような相撲を取りたかったところだろう。
黒星で良いことはもちろんないが、昨日の黒星よりは好感の持てる内容だった。

琴ノ若が明生を下して3敗を守った。
もろ差し狙いの明生相手に巻きかえて逆にもろ差しになって圧倒した。

この相撲を見ると昨日の相撲が本当に悔やまれる。
とりあえず本日切り替えて臨めたことは何よりであり、明日以降の活躍にも期待である。

最後に十両に目を向けると、朝乃山が2敗目を喫した。
相手は王鵬であり、現在の番付で言えば王鵬の方が上だが、正直朝乃山がここで負ける姿は思い浮かばなかった。

昨日から後手に回っている展開も気になるところではある。

先場所大翔鵬に敗れた際にも記載したが、過度な期待はせず静かに見守るのが良いといったところか。

明日の注目の割は
『豊昇龍ー翠富士』
この一番である。

過去は翠富士が5勝1敗と勝ち越しており、豊昇龍が明らかに苦手意識を持っている様子である。

しかし今場所は翠富士が優勝争い先頭の中で割が組まれた。
いつもと異なる状況でいつも通り豊昇龍と相撲を取ることが出来るかどうか。

ここ2日間、見ている分には固さはあまり感じられない。
役力士相手でも力を出し切れば翠富士としては十分チャンスがあるだろう。

ここで落とすようならば、流れは大栄翔を筆頭とした完全に他の優勝争いをしている力士に持っていかれるだろう。

豊昇龍としても大波兄弟のように三役の意地を見せたいところだし、自身が二桁に乗せるためにも負けられないだろう。

12日目が終了して優勝争いも佳境を迎えるが、結果的に2敗、3敗力士5名中4名が三役である。
落ち着くところに落ち着いており、また三役が横綱大関の穴を埋めるように力を示していることは喜ばしいだろう。

翠富士の活躍は素晴らしいし、仮に優勝となっても何ら文句はないが、それでも私個人の思いとしては三役に優勝してほしいという思いが強い。

本来ならばこういった重圧は横綱大関が背負うものであり、三役には酷だと思う。

とにもかくにも残り3日間、熱戦を期待したいところである。