きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

72. 白鵬の一代年寄に関して

名古屋場所初日まであと4日。

各力士の状態も気になる所だが、白鵬の『モンゴル国籍離脱』に関する情報を耳にした。

これにより近い将来、白鵬が親方になることがほぼ確定した(まさか日本国籍を取得して親方にならないということはないだろう)。

そして昨日、名古屋場所の情報収集をしている中で以下の記事が気になった。

news.livedoor.com

簡潔に言えば、記録上は大横綱だが、素行により一代年寄を認めるのはどうかという旨の内容である。

 

そもそも一代年寄とは、現役時代の功績が著しかった横綱が、その横綱一代に限って認める年寄名跡である。

一代限りのため譲渡・継承は出来ないが、一代年寄名跡と別に一般の年寄株を一つ保有することが認められる。

歴代の権利取得者は、大鵬北の湖千代の富士貴乃花の4名であり、千代の富士は辞退している。

『現役時代の功績が著しかった横綱』とされているが、厳密な権利取得条件は存在せず、この4名から考えると『優勝回数20回以上』は一つの目安と言える。

そのため単純に考えれば、日本国籍を取得した白鵬ならば歴代の権利取得者の記録を大きく凌ぐ記録を保持しているため、権利取得条件は満たしているということになる。

しかし近年の『万歳三唱』『三本締め』の問題。

取り組みでは『張り差し』『かちあげ』『ダメ押し』の問題。

これらを考慮すると『品格』という面で拙劣であり、一代年寄を認めるのは如何なものかということである。

 

ここから先は私個人の考えを記載する。

私の思い入れ、考え方で話を進めるため、この点に関してはご容赦いただきたい。

各々の思い入れ、考え方に関して否定することはないのでご理解いただきたい。

 

まず単刀直入に白鵬一代年寄に関しては『あり』だと考えている。

 

優勝回数、通算勝利数、幕内勝利数、双葉山の69連勝には一歩届かなかったものの年6場所制以降最多となる63連勝など、もう二度と破られることがないであろう数々の大記録を樹立した。

そして『野球賭博問題』『八百長問題』と大相撲暗黒期を『絶対的な強さ』で牽引し、どん底の大相撲界を救ってくれた。

白鵬がいるから今の大相撲が成り立っていると言っても過言ではない。

それだけの功労者に対して、当時のファンは『相手が弱いから』と意見し、白鵬の強さを称えることがほとんどなく、白鵬に対して感謝の気持ちはほとんどなかっただろう。

2015年秋場所横綱として初めて休場し、そこから絶対的強さにやや陰りが見え始めてきたが、相撲内容を工夫することで優勝回数を重ねていった。

その一つの形が上記の問題にも挙げられている『張り差し』『かちあげ』である。

横綱として相応しくない』などの声が挙がっていたが、これに関しては工夫を凝らさない対戦相手にも問題があると感じていた。

本来張り差しは脇が甘くなるため、リスクも伴う立ち合いである。

しかしそれに対して無策で挑む力士が多く、白鵬が順調に白星を積み重ねるのも相まって、批判の対象になってしまったと私自身は考えていた。

そして『万歳三唱』『三本締め』に関してだが、確かに万歳三唱は当時暴力事件が解決していない中での事だったため、余計な行為だっただろう。

しかし三本締めに関してはどうだろうか。

これに関しても『余計なこと』といえばそれまでなのだが、コアな大相撲ファンですら『何がダメか説明してみろ』と言われれば難しい問題だったと思う。

そもそも大相撲ファンですら『表彰式のその後』をいまいち把握していないからである。

だからこの問題に関しては、マスコミも喰い付きが悪かったと認識している。

もちろん『三本締めが問題視された』『けん責処分』に関しては報道されたが、その間に関しては誰も深く解析することはなく、珍しく『事実を報道するだけ』に留まった。

上記を踏まえると、これらの一件で一代年寄の権利が与えられないのは、白鵬に対して感謝の気持ちが薄いと考えている。

 

私の中で白鵬が起こしてきたことに関して問題視することは

①ダメ押し

②2015年初場所後の『子供でもわかる』発言

③2017年九州場所11日目嘉風戦の『自身が負けたあとの物言いの要求』

 以上3点である。

 

まず①のダメ押しに関しては、横綱云々ではなく、力士としてやってはいけない行為である。

横綱になってから問題視されるようになってきたが、実は若手時代からしばし見受けられていた行為である。

単純に考えて、ダメ押しは対戦力士、観客も巻き込む危険行為であり、事実 井筒親方(元 逆鉾)がダメ押しされた力士が上から降ってきて大怪我をしてしまった。

 

次に②の『子供でもわかる一番』発言だが、2015年初場所13日目『白鵬稀勢の里』の取り組みに関してである。

これに関して振り返ると、この一番に白鵬は歴代最多33回目の優勝が懸かっていた。

稀勢の里の土俵際の突き落としにより、両者同体と判定され取り直しとなった。

結果的に取り直しの一番を制して優勝を果たしたが、千秋楽の翌日のインタビューにて『子供でもわかる一番』と発言し、審判部を批判したことで物議を醸した。

当時私はこの発言に対して、さすがに正当化することは許されないことだと考えていた。

そう思うだけならば良いだろう。

しかし間違っても『公の場で発言することではない』と感じていた。

 

そして最大の問題点が③の『自身が負けたあとの物言いの要求』である。

この一番に関しては『翌日から出場停止にするべきだ』と感じたほどだった。

両拳をついている嘉風に対して自分のタイミングで立ち合い、そして張り差しまでやっておいて、極めつけは物言いを要求するという悪態・醜態であった。

 

私自身許容範囲である問題も、範囲外の問題でも共通することは上記でも少し記載しているが『余計なこと』である。

『万歳三唱』『三本締め』ともに白鵬の考え方としては『ファンサービスの一環』だっただろう。

ダメ押しに関しては勝負がついたあとの『余計な危険行為』。

②、③に関しては『余計な発言』。

 

歴代の一代年寄取得権利者である大鵬北の湖千代の富士貴乃花を振り返ってみると、どの横綱も一時代を築いた大横綱であり、力量に関して不服がある者は間違いなく存在しないだろう。

しかし『品格』に関して考えるとどうだろうか。

例を挙げると北の湖だが、現役時代の北の湖は『憎たらしいほど強い』『勝つ度嫌われた』という逸話があった。

そして負けた相手には手を差し伸べないことで有名だった。

これは『負けた相手に手を差し伸べるのは失礼』という北の湖の美学が存在していたためである。

しかしこれを当時のファンはどう思っていただろうか。

今となっては『美学』だが、当時はそう思っていないファンも多かったと思う。

私はリアルタイムにおける北の湖全盛期を知らないため、憶測でしかないのだが。

 

一代年寄ではないが、曙も現役時代は『若貴のライバル』として立ちはだかり『ヒール』としての認識が大半だった。

曙が負ければファンは大歓声をあげ、勝てばため息をつく。

現役時代のファンの言動から考えると『曙は品格に優れた横綱である』と認識している者は存在しないと言っても過言ではないだろう。

大半が『ヒール』としての認識であり、『品格』に対しては見向きもしていなかっただろう。

そして引退後には『日本人よりも日本の心を持った横綱』と品格面において称されるようになった。

 

要は品格に関して言えることは『後付け』による影響も大きいと思う。

もちろん全ての力士がそうではないのだが『品格』という意味を把握している者も少ないことも事実である。

そしてこれからの白鵬に求められることは『余計なことをしない』ことである。

 

自身が勝ってもため息をつかれ、負ければ大歓声があがる。

曙と似たような境遇だが、それは白鵬の力量をわかった上での言動である。

 

白鵬が休場している場所は盛り上がりに欠けていることは、誰もが感じていることである。

自身が巻いた種も大きく、何をしても批判の対象となってしまっているため、とにかく『余計なことをしない』ことに徹してほしいと願っている。

 

上記記事のタイトルの通り、一代年寄の承認は今後の素行次第とも言える。

私はどん底を救った白鵬の存在を忘れたことはない。

しかし今後の素行によっては、それも薄れてしまう可能性がある。

現に世間はそうなりつつある。

『余計なこと』をして大横綱の名を汚すのだけはやめていただきたい。

『最強白鵬』という認識だけを残し、今後も精進していただきたいと切に願っている。

71. 大関2場所目の成績

早いもので、あと1週間で大相撲名古屋場所が初日を迎える。

場所前の情報は第一人者 白鵬、先場所の覇者 朝乃山、そして先場所新大関貴景勝に関してが大半である。

今場所角番となる貴景勝だが、実践的な稽古は出来ておらず、休場も視野に入れているとの情報である。

その一方で、出場には意欲的という情報もあるため詳細は不明だが、それでも稽古不足であることは事実だろう。

無理をして怪我を悪化させるのだけは避けてほしいため、休場という決断に至っても私は何も不満に思わない。

 

ちなみに年6場所制となった1958年以降において『大関2場所目の角番』は貴景勝で『9例目』である。

 

過去の事例を以下の表にまとめた。

四股名

1場所目

2場所目

豊山

7勝8敗

13勝2敗

前の山

全休

9勝6敗

大受

2勝6敗7休

9勝6敗

増位山

3勝5敗7休

8勝7敗

全休

9勝6敗

千代大海

3勝8敗4休

全休(公傷)

武双山

全休

4勝11敗

雅山

6勝9敗

8勝7敗

栃ノ心

5勝2敗8休

9勝6敗

貴景勝

3勝4敗8休

 

 

現行の『2場所連続負け越しで大関陥落』という規定は、1969年7月以降から制定されたので、※で記している豊山はそれ以前の記録(1963年春・夏)のため、2場所目が角番には該当しないのだが、参考記録として記載した(ちなみにこの当時は『3場所連続負け越しで大関陥落』である)。

大関在位2場所目で角番となり、負け越して関脇へ陥落した力士は武双山だけである。

武双山は翌場所『特例復帰』の10勝を挙げて大関復帰を果たしている。

ちなみに千代大海は、2場所目を全休しているが公傷場所のため、翌大関在位3場所目が角番となり、10勝して角番を脱出している。

現行のルールならば千代大海は、2場所目に負け越しとなり、翌場所関脇へ陥落する事になる(結果的に翌場所10勝しているため特例復帰が可能)。

2場所目に角番となっている力士は、1場所目は雅山を除き全員休場となっている。

そして2場所目は全員『一桁白星』に終わっている。

正直大関としては物足りない成績であり、角番脱出に精一杯という印象である。

まだ出場するか否かは不明だが、貴景勝も場所前の情報を聞く限りでは稽古不十分であり、厳しいと言わざるを得ないだろう。

まずは怪我をしっかり完治させ、万全な状態で場所に臨んでもらいところである。

十分に力を発揮すれば、仮に今場所全休して関脇へ陥落しても、特例復帰の10勝以上を果たすことが可能だろう。

 

最後に年6場所制となった1958年以降に昇進した大関(後に横綱へ昇進した力士も含む)の1場所目、2場所目の成績を以下にまとめた。

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大関1場所目、2場所目成績

いずれも8~11勝に集中していると言える。

そして『勝率』『優勝人数』『休場数および負け越し人数』は以下の通りである。

 

1場所目

2場所目

勝率(勝)

9.02

9.48

優勝人数(人)

4

5

休場数 / 負け越し数(人)

8 / 10

5 / 7

※2場所目の成績は貴景勝を除いて算出

 

私の勝手な想像では1場所目の方が勝率が上だと考えていたが、休場数の関係で2場所目の方が上となっている。

また優勝人数も2場所目のほうが上回っているが、2場所目に優勝を果たしている5人はいずれも後に横綱へ昇進している(北の湖若乃花2、旭富士貴乃花朝青龍)。

ちなみに1場所目、2場所目と優勝できなかった大関は51名存在するが、そのうち20名が後に横綱へ昇進している。

後の大横綱大鵬』『千代の富士』もこの中に含まれているため、『早く優勝=横綱昇進』とは一概に言えないようである(結果的に千代の富士は3場所目に優勝を果たしてその翌場所には横綱へ昇進しているが)。

貴景勝大関2場所目はどのような結果が待ち受けているだろうか。

勇気ある決断も必要である。

はてさて

 

70. 優勝→全休、そして翌場所の成績に関して

本日、令和元年大相撲名古屋場所の番付が発表された。

余談だが、初日が7月14日からだと勘違いしていたため、本日が発表であることに驚いてしまった。

今年の名古屋場所は第一日曜日から開催するようである。

番付に目を向けると、小結に昇進した力士は『竜電』だった。

星勘定から考えても、大半の予想屋さんが朝乃山を挙げていたため、ここを的中させたことに関しては誇らしいものがある。

その他に関しては触れずにしておこう。

やはりすべてを的中させることは無理難題である。

 

さて本日の本題に移るが、名古屋場所まであと2週間程度であり、私個人としては第一人者 白鵬の状態が気になるところである。

平成27年秋場所横綱として初めて休場して以降、それまで休場と無縁だった鉄人白鵬も今では『2~3場所に1場所皆勤ペース』になりつつある。

こちらでも記載したが、近年の白鵬は出場した場合『優勝 or 11勝』という印象が強い。

さらには『優勝の翌場所は休場』という印象も見受けられる。

雑誌『相撲6月号』にて『優勝横綱が翌場所全休』という記事があった。

年6場所制以降では、今回の白鵬を含め12例あるのだが、『全休の翌場所の成績』を以下に記載する。

四股名

場所

成績

備考

大鵬

昭和40九

昭和41初

昭和41春

13勝2敗(優勝)

全休

13勝2敗(優勝)

 

千代の富士

昭和58春

昭和58夏

昭和58名

15勝0敗(優勝)

全休

13勝2敗(次点)

 

平成元春

平成元夏

平成元名

14勝1敗(優勝)

全休

12勝3敗(優勝)

 

北勝海

平成3春

平成3夏

平成3名

13勝2敗(優勝)

全休

9勝6敗

唯一の一桁勝利

貴乃花

平成8秋

平成8九

平成9初

15勝0敗(優勝)

全休

13勝2敗(次点)

 

平成12九

平成13初

平成13春

14勝1敗(優勝)

全休

引退

初場所後に引退

貴乃花

平成13夏

平成13名

平成13秋

13勝2敗(優勝)

全休

全休

朝青龍を除き、優勝後の2場所連続全休は初

朝青龍

平成19名

平成19秋

平成19九

14勝1敗(優勝)

全休

全休

2場所出場停止

日馬富士

平成25九

平成26初

平成26春

14勝1敗(優勝)

全休

12勝3敗(次点)

 

白鵬

平成29名

平成29秋

平成29九

14勝1敗(優勝)

全休

14勝1敗(優勝)

 

平成30秋

平成30九

平成31初

15勝0敗(優勝)

全休

10勝4敗1休

 

平成31春

令和元夏

15勝0敗

全休

 

雑誌では朝青龍を除いていたが、私の記事では朝青龍も含めた。

『優勝→全休→優勝』は12例中3例。次点も同じく3例。

『優勝争いを演じた』という点で考えれば5割という考え方ができる。

そもそも曙は引退、朝青龍は出場停止のため仕方なく、北勝海の9勝、貴乃花の2場所全休以外は、基本的に横綱として責任を果たしている成績と言える。

平成31年初場所白鵬も初日から10連勝として優勝争いの先頭を独走しかけていた中、11日目から3連敗を喫して14日目から休場となった。

何を言いたいかというと、やはり第一人者 白鵬が出場している中で次世代の力士の活躍を見てみたいということである。

平成30年から栃ノ心、御嶽海、貴景勝玉鷲、朝乃山と5名の初優勝力士が誕生したが、この全ての場所で白鵬は休場している。

厳密に言えば玉鷲は、白鵬に直接対決で勝利しており、13日目終了時点で玉鷲が星1つでリードしていたため自力優勝が可能な状態だったが。

しかし玉鷲には失礼な話だが、玉鷲は決して『若手』と言える年齢ではない。

もちろん遅咲きの玉鷲の活躍も喜ばしい出来事である。

しかし時代を切り開いていく力士は、若手であってほしいと願っている。

白鵬を倒してこその世代交代だ。

その一方で、壁として立ちはだかる白鵬の姿も見たい。

まだ出場するかどうかも不明だが、名古屋場所まで待ちきれない。

69. 12勝の優勝に関して

先日、令和初の本場所にて平幕 朝乃山が初優勝を果たし、幕を閉じた2019年夏場所

千秋楽は朝乃山よりもトランプ大統領が目立つ形となってしまったが、それに関しては特に触れないでおこう。

若手の朝乃山が優勝を果たしたことで、令和の幕開けとともに、大相撲界も新時代へと突入する予感を感じさせるものだったが、その一方で審判委員に対する不平不満も多く聞かれた。

そして朝乃山自身の優勝は喜ばしいが、上位対戦圏外にて12勝のいわゆる『低次元優勝』であり、これに関しては上位陣の不甲斐なさも目につく結果となった。

今回は『12勝による優勝』に関して色々振り返ってみようと思う。

また今回記載する記録は、年6場所制となった1958年以降のものである。

 

まず12勝にて優勝を果たした力士は以下の通りである。

年代 四股名 番付 備考   年代 四股名 番付 備考
1961夏 佐田の山 前頭13枚目 初優勝   1989名 千代の富士 横綱 決定戦
1961秋 大鵬 横綱 3人による決定戦   1994春 横綱 3人による決定戦
1965秋 柏戸 横綱 3人による決定戦   1995九 若乃花 大関 決定戦
1967九 佐田の山 横綱     1997春 貴乃花 横綱 4人による決定戦
1969名 清國 大関 初優勝&決定戦   1998初 武蔵丸 大関  
1972春 長谷川 関脇 初優勝   1998夏 若乃花 大関  
1972夏 輪島① 関脇 初優勝   1999秋 武蔵丸 横綱  
1973九 輪島② 横綱 12勝2敗1休   1999九 武蔵丸 横綱 同一力士による
連続12勝優勝
1974九 魁傑 小結 決定戦   2003春 千代大海 大関  
1975初 北の湖 横綱     2003名 魁皇 大関  
1975秋 貴ノ花 大関 決定戦   2007九 白鵬 横綱  
1981秋 琴風 関脇     2012夏 旭天鵬 前頭7枚目 初優勝&決定戦
1981九 千代の富士 横綱 決定戦   2015夏 照ノ富士 関脇 初優勝
1982名 千代の富士 横綱     2015秋 鶴竜 横綱 決定戦
1987初 千代の富士 横綱 決定戦   2019夏 朝乃山 前頭8枚目 初優勝
1987春 北勝海 横綱          

 

四股名の隣の数字は12勝優勝の回数。

 

左側が昭和の記録であり、右側が平成以降の記録である。

1958年以降、昭和は全186場所、平成以降今場所の令和初の本場所も含め全182場所とほぼ同じである。

『12勝優勝』は過去に全31回あり、昭和16回、平成以降15回である。

『初優勝が12勝』というケースは全7回あり、昭和4回、平成以降3回である。

そして『12勝による優勝決定戦』は全13回あり、昭和7回、平成以降6回である。

面白いことに約30年区切りで見た場合、上記の割合は『ほぼ同じ』となっている。

単純計算ならば、2年に1回は12勝の優勝であり、10年に1回は初優勝が12勝ということになる。

そして12勝優勝の4割近くが、優勝決定戦になる可能性を秘めている。

私が何度か記載している『低次元優勝』と揶揄したくなる背景はここにあるかもしれない。

優勝決定戦に縺れる展開ならば『今場所は星の潰し合いによる面白い場所だった』という認識に至る可能性も生まれてくるが、上位陣が取りこぼしを繰り返し、下位の力士に優勝を奪われるような展開だと、やや興ざめする傾向にあるかもしれない。

今場所は3大関出場しており、貴景勝は途中休場、残り2大関は9勝止まり。

一人横綱鶴竜は終盤失速して11勝。

そして栃ノ心-朝乃山の『疑惑の一番』。

結果論だが、この一番で栃ノ心が勝利していれば、鶴竜栃ノ心、朝乃山の巴戦になる可能性を秘めていた。

さすがに11勝の優勝は低次元過ぎて、それはそれで興ざめする可能性は高いが、それでも『22年ぶりの3人以上の決定戦』と考えた時、別の盛り上がりを見せた可能性はある。

こちらでも記載したが、朝乃山としては今後の活躍次第で今場所の優勝が輝きを増すと思われるので、来場所以降も奮闘していただきたい。

 

最後に12勝優勝に関する様々な記録を以下に記載する。

①複数回12勝優勝を果たした力士

千代の富士:4回

武蔵丸:3回

佐田の山・輪島:2回

 

②場所毎の12勝優勝回数

f:id:ksumo:20190528215940p:plain

場所毎の回数

③番付毎の12勝優勝回数

f:id:ksumo:20190528220411p:plain

番付毎の回数

最後に『同年の複数12勝優勝』は、上記表の通り

1961年・1972年・1975年・1981年・1987年・1998年・1999年・2003年・2015年

9回となっており、そのうち『2場所連続12勝優勝』は1972年・1999年の2回である。

ちなみに『3場所以上連続12勝以上』は過去に存在しない。

令和へ突入した大相撲。

果たして今後どのような優勝が見られるだろうか。

68. 2019年大相撲名古屋場所番付予想

番付 西
鶴竜 横綱 白鵬
豪栄道 大関 高安
貴景勝 大関 栃ノ心
御嶽海 関脇 玉鷲
阿炎 小結 竜電
朝乃山 前頭筆頭 北勝富士
正代 前頭2枚目 明生
遠藤 前頭3枚目 大栄翔
碧山 前頭4枚目 逸ノ城
琴奨菊 前頭5枚目 宝富士
千代大龍 前頭6枚目 志摩ノ海
妙義龍 前頭7枚目 友風
阿武咲 前頭8枚目 隠岐の海
松鳳山 前頭9枚目 貴源治
大翔鵬 前頭10枚目 琴恵光
嘉風 前頭11枚目 錦木
琴勇輝 前頭12枚目 栃煌山
矢後 前頭13枚目
千代丸 前頭14枚目 佐田の海
炎鵬 前頭15枚目 豊ノ島
魁聖 前頭16枚目 照強

 

栃ノ心大関復帰により4大関

貴景勝が途中休場により負け越しているが、ここ数年の傾向からしておそらく栃ノ心は西大関2に在位するだろう。

そしてまず最初に悩まされるのが『三役』である。

関脇は小結で9勝した御嶽海が確定、そして西前頭3枚目で10勝した玉鷲も確定と言っても過言ではないだろう。

問題は小結で、西前頭4枚目で10勝した阿炎は確定として、西前頭5枚目で10勝の竜電と西前頭8枚目で12勝の朝乃山どちらが小結に在位するかである。

単純計算ならば5枚目で+5と8枚目の+9ならば後者に軍配が上がるだろうが、比較対象は以下の点である。

①上位との対戦人数

②幕内優勝

①に関しては竜電の方が上であり、1横綱2大関と対戦して、1大関から白星を掴んでいる。

対して朝乃山は上位戦は1大関のみに留まっている(ちなみにこれには勝利)。

朝乃山のアピールポイントは何と言っても幕内優勝だが、私は上位戦を経て10勝を果たした竜電を小結とした。

ちなみに平幕の優勝力士が翌場所三役に昇進できなかった場合、2012年夏場所に優勝を果たした旭天鵬以来となる。

そして次に悩まされたのが、前頭3~5枚目である。

東西2枚目の遠藤、大栄翔が1点の負け越しのため3枚目に位置、東西7枚目の正代、明生が5点の勝ち越しのため2枚目に位置すると考えた場合、逸ノ城(東関脇)、碧山(東小結)、琴奨菊(西前頭筆頭)をどこに位置させるかで悩んだ。

そのため私は、碧山、琴奨菊を負け越し数以上の4枚下降という予想にした。

一番悩まされたのが、前頭二桁台である。

まず東十両2枚目の貴源治が単純計算ならば7枚目まで位置することが可能である。

そして周りの力士との兼ね合いでもそれが十分可能であるが、先場所十両筆頭で13勝を果たした志摩ノ海が10枚目に留まったので、9枚目と予想した。

それでも新入幕で前頭一桁台のため、来場所どこまで活躍することができるかどうか。

そして悩まされた前頭二桁台だが、勝ち越し力士が圧倒的に少ないため、二桁負け越しを喫していても、単純計算5枚以上下降させることが難しい状態にある。

そのため錦木は前頭9枚目で5点の負け越しだが、2枚しか下降しないという大胆な予想をしてみた。

幕尻は魁聖、照強と予想したが、これも場合によっては両者十両に陥落してもやむを得ない成績だったが、十両から幕内への昇進は

・東十両筆頭:豊ノ島(8勝7敗)

・東十両2枚目:貴源治(13勝2敗)

・東十両6枚目:琴勇輝(11勝4敗)

この3名が確定であり、十両陥落確定が

・東前頭14枚目:徳勝龍(4勝11敗)

・西前頭16枚目:石浦(5勝10敗)

・東前頭17枚目:千代翔馬(5勝10敗)

この3名である。

残り十両の上位では西十両4枚目:東龍(8勝7敗)が最高成績であるため、これならば魁聖、照強の幕内残留が濃厚だろう。

 

最も気になるところは小結だが、どのような番付編成となるだろうか。

67. 2019年夏場所千秋楽を勝手に語る

昨日で優勝は決まっていた令和初の本場所

昨日も記載したが、本日は栃ノ心、朝乃山に勝って締めてほしいところだったが、両者ともに黒星。

特に朝乃山としては、これから出世争いでもライバルになるであろう御嶽海相手に完敗だった。

逆に言えば御嶽海は、大関に昇進した貴景勝も含め、平成4~8年生まれの力士の中で最も地力があるのかを見せつけるかのように朝乃山を圧倒した。

毎場所のように言われていることだが、この力士の課題は『15日間総合しての力』だろう。

今場所も勝ち越しを決め、来場所は15場所連続三役在位となるが、二桁勝利を果たしたのは優勝した昨年名古屋場所のみである。

1日における爆発力はある。
しかし15日間総合しての安定感がない。

関脇より上を目指すというのは、安定感が求められるものである。

一方朝乃山だが、来場所は初めて上位圏内にて相撲を取ることになる。

優勝を果たしたが、横綱との対戦はなく(昨日も記載したが、今場所に限らずここまで横綱との対戦なし)、千秋楽も敗れていわゆる『低次元優勝』に終わってしまった。

この優勝に泥を塗らないためには、今後上位圏内にて結果を残すことである。

丁度58年前の夏場所で前頭13枚目の佐田の山が12勝3敗で優勝を果たした際は、十両優勝を果たした力士に敗れており、当時かなり問題視された。

しかし佐田の山も翌場所以降も結果を残し、横綱まで昇進を果たしている。

今場所の朝乃山の優勝が輝きを増すのも、今後の頑張り次第だろう。

昨日大関復帰を果たした栃ノ心も高安に完敗。

ケンカ四つの相手に、得意の右四つになったが、高安は右四つでも上手を取れば力を発揮するため、先に上手を引かれてそのまま攻められた。

栃ノ心としては地獄の3日間を潜り抜け、気が抜けたのだろう。

来場所以降も前半戦までの相撲を取り続けてもらいたいところだ。

あの相撲内容ならば、再び優勝することも夢ではない。

大怪我で幕下まで陥落し、そこから這い上がり、優勝&大関を手にした矢先、再び怪我により大関陥落。

そして再び力強い内容で這い上がってきた。

この先も『努力を続ける力士の鏡』として頑張ってほしい。

朝乃山の他、今場所成長著しかった力士は竜電、明生だろう。

竜電は元々ここ数場所でもろ差しもしくは頭をつけて食い下がる相撲を身に付けていたが、攻めが遅いため上位戦では苦戦していた。

今場所は攻めの早さも見られ、元々の我慢する内容も健在で素晴らしい場所だった。

あとは立ち合いの当たりをさらに強化し、上位戦で安定した結果を残すことが出来るかどうか。

明生は着実に勝ち越して番付を上げ、その度相撲に厳しさを増している印象を受ける。

もろ差し速攻の力士は、いつの時代でも面白い存在である。

来場所は初の上位戦となるが、栃ノ心戦で見せた速攻がどこまで通じるのか楽しみである。

新入幕の志摩ノ海は前半戦、同じく新入幕 炎鵬の活躍に影を潜め、成績もパッとしないものだったが、後半戦は6連勝で二桁とし、敢闘賞を受賞した。

2場所連続13勝の十両優勝は伊達じゃなかった。

派手さはないが、おっつけの巧さ、しぶとさは持ち合わせているため、立ち合いの当たりを強化すれば面白い存在になるかもしれない。

そして審判委員に対しては、最後の最後まで納得のいかない結果となった。

正直、14日目の取り組みが全て終了してから取り組み編成を決めるというものは、良い考え方だと思った。

むしろ今後もそうしていただきたいほどである。

千秋楽の怒り、それは『三賞に関して』である。

朝乃山の無条件ダブル受賞(殊勲賞に関して)もあまり納得いかないところもあるが、これは『優勝のおまけ要素』と考え譲るとして、玉鷲の条件付きが全くもって納得できない。

まず本日の玉鷲は阿炎との対戦であったが、両者ともに条件付きとなっていた。

14日目終了時点で、玉鷲10勝4敗、阿炎9勝5敗としていた。

そして星の内訳を見ると、玉鷲は不戦勝が1つあるものの1横綱1大関を降す内容に加え、小結以上と総当たり、さらには番付下とはいえ優勝力士を降した相撲もあった。

一方阿炎は、上位に対しては1大関から白星、その他は全敗である。
そして小結 御嶽海とは対戦していない。

中盤戦まで優勝争いのトップに立っていた栃ノ心から白星を掴み、千秋楽に勝てば二桁となるため、阿炎の条件付きに関してはそこまで大きな問題はない。

問題は阿炎が玉鷲に勝利して両者ともに10勝とし、なぜ『玉鷲<阿炎』となるのだろうか。

上記の通り、玉鷲の方が上位戦は健闘しているのにも関わらず。

それにしても玉鷲三賞運が悪い。
2017年九州場所も上位で11勝を果たしながら三賞受賞はならず、上位と全く対戦していない平幕中位の隠岐の海が同じく11勝で受賞を果たすという始末だった。

この結果にも腐らず、玉鷲には今後も上位キラーとして頑張ってほしいところ。

今場所は新大関 貴景勝が途中休場し、話題性に欠ける展開となったが、若手の優勝、栃ノ心大関を復帰などめでたいことも多かった。

その一方、上位陣の不甲斐なさが目立つ形にもなった。

白鵬が休場すると荒れる展開が多くなり、初優勝力士も多くなる傾向にあるが、白鵬が復帰したときに若手は同じように活躍することが出来るかどうか。

来場所以降どうなるか。

令和最初の本場所もこれにて千秋楽。
あっという間の15日間だった。

相撲ファンの皆様、15日間観戦お疲れ様でした。

66. 2019年夏場所14日目を勝手に語る

令和最初の本場所
前頭8枚目朝乃山が14日目に優勝を果たした。

『三役経験なし』
横綱との対戦経験なし』
という珍記録尽くめの優勝となった。

そして栃ノ心は苦しみながらも大関復帰を果たした。

豪栄道ー朝乃山』
鶴竜栃ノ心
本日はこの2番に尽きる。

まず昨日優勝争い単独トップに再度立った朝乃山は、先に上手を引かれる苦しい展開だった。

豪栄道としては自分十分、相手不十分の形を作り、正直私はここから頭をつけて出し投げを打って崩し、豪栄道が勝つと思った。

しかし豪栄道は攻められなかった。
攻めなかったのか攻められなかったのかは不明だが。

朝乃山は上手を引けないながらも圧力をかけながら攻め、そして前に出ながら上手を引いた。

上手を引いてからは休まず攻め続け、見事白星を手にした。

今場所の朝乃山は立ち合いから廻しに拘らず攻め、本日は先に上手を引かれたことによりそれが出来なかった。

それでも我慢しながら相撲を取り、今場所は本当に好調であることを改めて思い知らせれた。

こういう我慢する相撲も取ることが出来るというのは、力をつけている証拠だと思う。

そして結びの一番『鶴竜栃ノ心』。

栃ノ心としては最初から狙っていた立ち合いだろう。

左上手を狙うのでもなく、叩きで完全に仕留めにいくような変化であった。

これしかないという立ち合いだったかもしれない。

前半戦までの内容ならば、正面から行っても十分に勝機はあっただろう。

しかしこの地獄の3日間で栃ノ心の相撲は失われた。
怪我の問題ではなく、精神的な問題だ。

大関復帰を叶えたい。
相撲内容が崩壊しながらもその一心だけはブレなかったはずだ。

誉められた内容ではないが、執念で大関復帰を果たした。

欲を言えば明日は前半戦までの栃ノ心の力強い相撲で白星をつかんでほしい。

なぜなら今場所9日目に『不戦勝』を手にしているからである。

これにより10勝丁度ならばうるさい輩も多いだろう。

せびとも明日勝って締めてほしい。

鶴竜としては昨日の敗戦により、集中力が切れたようである。

なぜなら『最後の栃ノ心の仕切りがいつもと異なる』ことに気付いていないからである。

立ち合いで中々手を下ろさない栃ノ心に対して、何も疑問に思わなかったのか。

集中力の欠けた鶴竜は本当に脆い。
それは以前から見られる姿である。

明日は豪栄道と割が組まれているが、何度も苦杯をなめている張り差しに対して無策、無力のまま敗れるのではないだろうか(ちなみにこの旨の怒りの記載に関してはこちらを参照)。

明日の割は14日目の取り組みが全て終わってから編成された影響のためか、幕内では7勝7敗同士の割が3組存在する。

元々千秋楽の割は一応いつもより比較的遅くに発表されるが、何なら来場所以降も14日目の取り組みを全て終えてから編成しても良いのではないだろうか。

今場所だけ例外にする意味もないのなら、そうした方が昇進問題などの兼ね合いも含め良いと思うのだが。

明日は朝乃山、栃ノ心に勝ってもらいたいという思いが強い。

朝乃山としては完全なる『インチキ優勝』とは言い難いが、完全優勝とは言えない。

そして千秋楽敗れるようならば3敗となり、俗に言う『低次元優勝』と揶揄されてしまうだろう。

対戦相手は御嶽海と、相手にとって不足はない。
今後三役定着、さらなる出世を目指すならば同格以上の負けられない相手だ。

立場だけで考えるならば、御嶽海は12日目に対戦して敗れた玉鷲とほぼ同格だ。

2年以上上位圏内で結果を残している相手に白星を掴むことが出来るかどうか。

ぜひ有終の美を飾ってほしい。

栃ノ心も上記の通り、前半戦までの力強い相撲を見せてほしいところ。

三賞の行方も気になるところ。

優勝した朝乃山、上位圏内で1横綱1大関を破った玉鷲は確定だろう。

新入幕 志摩ノ海は勝てばの条件付きだろう。

阿炎、竜電、明生あたりがどうなるか。

また志摩ノ海と同じく新入幕の炎鵬は、連日小兵力士で沸かせたという考えから、勝ち越せば受賞する可能性がある。

そうなれば、もし負けて受賞することが出来ない志摩ノ海があまりにも不運なため、私個人としては止めてほしいところだが。

優勝は決定したが、まだ明日の千秋楽が残されている。

三賞予想、番付予想をしながら楽しむとしよう。