優勝争いは千秋楽まで縺れる展開となった。
とりあえずそれはファンとして喜ばしいことだが、本日の取り組みに関しては、不満・怒りが2つある。
まず『白鵬ー高安』。
取り組みの内容自体は白鵬が張り差しで右四つに組み、さらに巻きかえてもろ差しで勝利したという万全なものだった。
不満は『立ち合い』である。
昨年秋場所の両者の対戦も立ち合いが合わず、最終的に立ち遅れた高安が呆気なく押し倒されるというものだった。
白鵬は意識する相手には『立ち合いをずらす』ことが多い。
過去に最も顕著だったのは稀勢の里戦であった。
2年程前から『左張り手・右かち上げ』の立ち合いが物議を醸したが、私個人の意見としてそれは特に問題ないと考えていた。
なぜならその立ち合いは十分に隙もあるからである。
結果としてその隙をつくことが出来なかった周りにも少し問題があると考えていた。
しかし立ち合いをずらすというのは『両者しっかり合わせる』という美学から逸れている。
上記の通り、稀勢の里戦でずらすことが多く、両者熱戦が多い一方で『立ち合いが合わない』という観戦者からするとしこりが残る結果になることも多かった。
そしてまだまだ若手の壁として立ちはだかってほしいと願っている。
そのためつまらないことで横綱の名を汚してほしくないところである。
この一番に関しては怒りしかない。
内容は豪栄道が張り差しから速攻で完勝というものだった。
この両者の対戦成績は27ー13と鶴竜がダブルスコアでリードしていたが、相撲内容は豪栄道が圧倒するものが多かった。
そして大半が『豪栄道の立ち合いは張り差し』という事実である。
今場所の豪栄道は優勝争いから脱落したとはいえ、調子は良好であった。
そして白星の中身は『張り差し』が大半だった。
これに関して私はブログ内で何度も記載していた。
私の怒りは『それに全く対応出来ず敗れる鶴竜』である。
何度も同じ手段で敗れ、そして今場所も大半張り差しを選択している力士に対してなぜ無抵抗なのか。
無気力を疑われても仕方のない一番である。
そんな力士が明日白鵬戦である。
番付上当然だし、仕方のないことだが、期待できるものが1つもない。
言い方は悪いが、そもそも私は『優勝の懸かるモンゴル出身力士』と『優勝の可能性がないモンゴル出身力士』の千秋楽の対戦が大嫌いである。
なぜなら結果が見えているからである。
がっぷりになり、ある程度熱戦を演じ、最終的には優勝の懸かる力士が勝利する『お決まりのパターン』である。
この結果が一度だけ逸れたのが平成27年夏場所の白鵬ー日馬富士である。
この一番は『勝てば優勝決定戦に進む白鵬』と『優勝の可能性がない日馬富士』という対戦だった。
結果は日馬富士が勝ったので上記の私が嫌う理由の例外となるが、この一番は日馬富士が勝てば『弟弟子の照ノ富士が優勝する』という状況だった。
日馬富士にとっては援護射撃となる一番だったため、事情が異なるのである。
どちらにせよこの一番以外は例外がないのである。
白鵬ー鶴竜の対戦成績は40ー7と過去を見てもただでさえ期待値が薄く、それに加え上記の通りである。
『さすが白鵬』
結局この一言で片付けられるだろう。
私の中で昨日白鵬が豪栄道に勝利したこと、そして白鵬ー逸ノ城の割が組まれない時点で優勝争いは興ざめした。
そんな優勝争いよりも、明日千秋楽の注目は何と言っても
『栃ノ心ー貴景勝』
この一番である。
事実上『入れ替え戦』となる一番である。
栃ノ心は敗れると大関陥落であり、歴代1位タイとなる5場所の短命大関となる(横綱に昇進した力士は除く)。
審判部長が『今場所は星ではなく内容重視』と発言しているが、さすがに9勝で昇進は如何なものかと思う。
さらにその内容も12日目豪栄道戦、本日の逸ノ城戦は全くらしさを見せることが出来なかった。
栃ノ心にとっても貴景勝にとっても、今後の土俵人生に大きな影響を及ぼす一番となるだろう。
はてさて…