きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

145. 2020年初場所初日を勝手に語る

本日から新年の幕開けとなる大相撲初場所が初日を迎えた。

今場所も15日間、勝手に語っていこうと思う。

まず横綱に目を向けると、明暗が分かれる形となった。

第一人者 白鵬は、先場所敗れた大栄翔相手に右から張って左四つに組み止めた。

得意の右四つとは逆の四つだったが、白鵬としては組み止めてしまえば勝てるという自信があったのだろう。

大栄翔としては張り手でずらされたため、突っ張ることが出来なかった。

張ってくるにしても左から張ってくると予想していたかもしれないが、いずれにせよ白鵬が先場所の雪辱を果たした。

もう一人の横綱である休場明けの鶴竜が初日早々黒星。

最終的に引いてしまったことも問題だが、立ち合いもやや高く、遠藤に踏み込み+圧力負けしていた。

遠藤が良かったと言えばそれまでかもしれないが、本日の内容だけみると鶴竜は相撲勘が鈍っているように感じる。

序盤戦でこれ以上躓くわけにはいかないため、とにかく気持ちを切り替えていくしかないだろう。

大関陣も明暗が分かれる結果となった。

『明』である貴景勝はお得意様の妙義龍を冷静に捌いた。

立ち合いある程度様子を見て当たり、突き放してから左突き落とし、そして再び押し上げていった。

初日としては良いスタートを切ったと言えるが、問題は『安易な叩き、突き落とし』だろう。

そこを狙っている力士は多いため、どんな形であろうとまずは立ち合いしっかり当たって圧力をかける必要があるだろう。

そして『暗』である角番豪栄道は、先場所負傷した足首が癒えていないのか、北勝富士の引きにばったり手をついた。

昨日の初日展望で、勝ち越しは難しくないという記載をしたが、本日の内容だけみると非常に良くない。

まずは左前ミツを引く自分の相撲で初日を上げ、そこから流れを掴みたいところである。

両関脇も明暗が分かれた。

まず大関復帰を目指す高安だが、玉鷲相手に完敗だった。

立ち合いはかち上げを選択したが、腰高のためまるで通じず、その後右から突き放そうとするもバランスを崩して押し出された。

当然のごとく腰高は改善されておらず、立ち合い強く当たることばかりに意識が向いているため、その後の展開が雑である。

昨日も記載しているが、過去に特例復帰を果たした力士は全員『初日から2連勝以上』のため、早くもデータ上では完全陥落が決まった形である。

まだ初日のため切り替えていけるかどうか。

いずれにせよ序盤戦で流れを作らなければ復帰は困難だろう。

注目の新関脇朝乃山は、出世争いのライバルである御嶽海を降し、幸先の良いスタートを切った。

立ち合い当たり負けせず、その後押されて後退したが相手の引きをうまく残した。

その後土俵際まで攻め込んだが、深追いせず自分の形に持ち込んで冷静に寄り切った。

本人は立ち合いに納得していないようだが、初日に苦手を降したという点は大きいだろう。

まだ先は長いので、修正は徐々にしていけば良いと思う。

明日の注目の取り組みは
鶴竜ー阿炎』
『朝乃山ー玉鷲
この2番である。

鶴竜としては初日早々敗れ、その翌日に思いきりの良い相手のため中々苦しいだろう。

とにかく悪手である引き・叩きをみせず、相手に合わせず相撲を取ることが重要だろう。

朝乃山は2日連続で同格の苦手が相手である。

安易に右を差そうとせず、本日のように立ち合いしっかり当たり、我慢して自分の形を作ることが重要だろう。

まだ初日であるが、早くも場所が動いているようにも感じる初日であった。

序盤戦、まだまだ波乱は起こりそうである。

144. 2020年大相撲初場所展望

新年明けて早くも10日以上経過したが、本日が初投稿である。

今年もよろしくお願いいたします。

明日から新年の幕開けとなる大相撲初場所が初日を迎える。

上位陣に休場者はいないようだが、ここ数場所の傾向からすると全員が皆勤は難しいかもしれない。

連覇を狙う第一人者 白鵬だが、連覇となると3年前の夏場所名古屋場所が最後となる。

また年6場所で白鵬初場所の優勝が最も少なく、そしてここ4年は初優勝力士がずっと続いているため、白鵬にとっては鬼門の初場所となるだろう。

休場明けとなるもう一人の横綱鶴竜は序盤戦が鍵となるだろう。

悪癖である引き・叩きをみせずに相撲を取ることが出来るかどうか。

大関陣に目を向けると貴景勝は場所前好調との情報である。

昨年は『大関昇進→陥落→復帰→怪我』という天国と地獄を交互に味わった1年だったが、今年は優勝争いに顔を覗かせることが出来るかどうか。

もう一人の大関である豪栄道は角番であり、力量からすれば角番脱出は難しくないだろうが、脱出が関の山と言ったところか。

『強い豪栄道』ならば優勝争いも可能だろうが、毎場所必ず『弱い豪栄道』も混在するため難しいところである。

仮に大関陥落となれば4場所連続の大関陥落ということになってしまうがはてさて。

関脇へ陥落した高安は特例復帰場所のため、10勝すれば大関復帰となる。

何度か記載しているが、過去に復帰している6名(7回)の共通点は『初日から2連勝以上』である。

3連勝以上で確定となっているが、とにかく序盤戦が重要だろう。

如何せん昨年の高安は良いところが少なく、怪我により相撲内容も崩壊し、また休場明けのため相撲勘・土俵勘も鈍っているだろう。

序盤で流れを作ることが出来るかどうか。

昨年から大関候補筆頭に名乗り出た新関脇朝乃山は、場所前の情報を聞く限りでは散々な様子である。

横綱稀勢の里相手に1勝16敗とのことだが、これは相当深刻に感じる。

親方相手にやりづらさもあっただろうが、ケンカ四つ相手に差し負けるというのが本場所にどのような影響を及ぼすか。

先場所みせた廻しに拘らず、立ち合いしっかり踏み込んで前に圧力をかけながら自分の形に持ち込む相撲を心掛ける必要があるだろう。

また1つ気掛かりなのが、場所前の計測にて6kg増量したとのことだが、これ以上増量するのは如何なものかと感じた。

そして初日、2日目の対戦相手は御嶽海、玉鷲と同格の中で苦手の相手である。

ここで躓くようでは大関昇進を果たすことはできないだろう。

今場所を大関への足固めの場所に出来るかどうか。

上記の通り、初場所は4年連続で初優勝力士が誕生している。

今年も初優勝力士誕生か。
それとも第一人者 白鵬が意地をみせるか。
はたまた他の上位陣が名乗りをあげるか。

明日から楽しみである。

143. きょうへいくんの2019年大相撲総括

木枯らし吹きすさぶ季節。
2019年も本日をもって終了である。

今年の大相撲も様々な出来事があった。

稀勢の里引退
・ベテラン(豪風安美錦嘉風)の引退
貴景勝大関昇進→陥落→復帰
栃ノ心完全に大関陥落
・高安大関陥落
白鵬日本国籍取得
・年間最多勝の最少記録樹立
照ノ富士関取復帰
などなど…

今年は朝乃山を中心に若手の台頭も目立ったが、それでも年間で最も優勝を果たした力士は白鵬だった。

結局白鵬が皆勤している中優勝を果たした力士は、同じ横綱である鶴竜のみであった。

そもそも鶴竜以外で白鵬皆勤の中優勝を果たした力士は、2017年初場所稀勢の里が最後である。

初優勝力士が多く誕生しており、若手が台頭していることは間違いないのだが『白鵬を完全に脅かす程には至っていない』のが現状である。

その原因の一つとも言えるのが『大関』である。

それこそ大関の最後の優勝は、上記の2017年初場所稀勢の里が最後である。

もう2年間優勝していないわけだ。

昨年高安が優勝次点3回と兄弟子 稀勢の里の悪い部分を引き継いでいるような展開だったが、それでも大関として見た場合は比較的高水準であった。

しかしその高安も大関陥落が決まってしまった。

栃ノ心は昨年の初優勝を皮切りに、歴代最多タイとなる3場所37勝で大関昇進を果たした。

大関の場所も初日から5連勝と好調だったが、6日目の玉鷲戦で負傷して以降、輝きを失ってしまい大関陥落してしまった。

最も期待される貴景勝も新大関の場所で負傷し、見事大関復帰を果たすもその特例復帰場所で再度別の部位を負傷してしまった。

豪栄道は年齢+慢性的な怪我に苦しんでいる。

大関が皆怪我に苦しんでいる。

大関だけではなく、他の力士もだ。

遡れば照ノ富士大関陥落も怪我が原因だった(照ノ富士の場合、内部疾患の問題もあるが)。

怪我への対策をどうするか。
何度も記載しているが、具体案を示さなければならない。

『土俵の充実化』という抽象的な発言はもうこりごりである。

ネットニュースで目にした内容だが、力士達も公傷制度を望んでいるようである。

公傷制度に関しては私も賛成であるが、旧来の制度ではなく、新案が必要である(私案に関しては以前記載したので割愛)。

『稽古が足りない』と発言する者もいるが、それは『事実であるが真実ではない』。

全員が当てはまるものではない。

稽古十分の力士の中には、土俵際最後まで諦めず相撲を取った結果、負傷してしまう力士もいる。

『稽古が足りない』ではなく『怪我をしないためにはどのような稽古が必要なのか』という指導が必要になる。

これに通ずるところが『引き・叩きへの注意喚起』である。

昔から言われ続けていることであるが、叩きを主体に白星を積み重ねている力士にとっては『叩きで勝って何が悪い』と思う力士も多いだろう。

指導者側としたら内容面における不服が大半だろうが、問題は九州場所の友風のように『大怪我に繋がる可能性が高くなる』という点だろう。

引き・叩きが習慣化し、劣勢でもそれを繰り出すようになると土俵下に勢いよく転落して大怪我してしまう可能性が高いのである。

指導者は頭ごなしに否定するのではなく『なぜダメなのか』を明確化した指導が今後必要になってくるだろう。

そして怪我がしにくくなる身体作りはもちろんのこと『怪我をしないための動き』『予測を立てる』稽古が必要となってくるだろう。

いつの時代でもそうだが、今後より一層指導者の力量が問われる時代となるだろう。

具体案を示すことが中々出来ない協会人にこのような指導が出来るかどうかも不明だが、それを期待するしかないのが現状だ。

正直貴景勝、朝乃山が潰れたら日本出身力士はしばらく終わりだと思う。

新しい芽を潰すことだけは絶対に避けてほしい。

はてさて来年はどのような年になるだろうか…

142. 優勝人数のとある記録

年内余白も狭くなり、寒さ身に染みる今日この頃。

年末ということで、大相撲2019年の総括を考えていたら、ふと題名の通り『とある記録』に気が付いた。

まぁ正直どうでもいいと言えばそれまでだが、その記録とは『2019年日本人力士と外国人力士の優勝人数が半々』ということである。

これは2003年以来16年ぶりの出来事である。

今年の優勝力士は
玉鷲白鵬、朝乃山、鶴竜、御嶽海、白鵬
この5名である。

あくまで『日本人』という括りである。

九州場所時点で白鵬日本国籍を取得しているため、今年の白鵬はモンゴル人として1回、日本人として1回優勝を果たしたことになる。

この『日本人力士』と『日本出身力士』という概念が強くなったのは2012年夏場所旭天鵬の優勝が一つのきっかけとも言える。

この場所は旭天鵬栃煌山による史上初の平幕同士の優勝決定戦となったわけだが、どちらが優勝しても2006年初場所栃東以来となる『日本人力士の優勝』は確定していた。

しかし『日本出身力士の優勝』という考え方になると、それは2016年初場所琴奨菊の優勝まで待たなければならなかった。

ちなみに上記の2003年時の優勝力士の内訳は
朝青龍千代大海朝青龍魁皇朝青龍栃東
であった。

東京場所を朝青龍が制し、地方場所を3大関がそれぞれ制するという面白い展開だった。

さらに補足すると日本人力士と外国人力士の優勝人数が半々というのは、今回を含め4回目である(1992年、2000年、2003年、2019年)。

日本人と外国人という括りは2000年、2019年
日本出身と外国人という括りは1992年、2003年
ということになる。

1992年の内訳は
貴花田小錦、曙、水戸泉貴花田、曙

2000年の内訳は
武双山貴闘力魁皇、曙、武蔵丸、曙
となっており、2000年の場合『日本人の優勝』ならば6場所全てである。

ハワイ勢が台頭してきた昭和後期~平成初期は千代の富士貴乃花といった第一人者が存在しており、平成中期以降はモンゴル勢が圧倒していたため、半々になるというのは中々難しい記録のようである。

話は少し逸れるが日本人力士の優勝人数が外国人力士の優勝人数を上回った最後の年は2001年である。

この年の優勝力士の内訳は
貴乃花魁皇貴乃花魁皇琴光喜武蔵丸
であり『日本人』という括りならば6場所全て日本人である。

『日本出身力士』という括りでも5人が該当する結果である。

ちなみに『6場所全て日本出身力士の優勝』となると1990年まで遡ることになる。
千代の富士北勝海旭富士
旭富士北勝海千代の富士

今年は白鵬鶴竜が優勝を果たしているとはいえ、年齢による衰えは見えてきており、若手も台頭していることは間違いないが『優勝争い』という面ではまだまだ厳しい力士達が多い。

その中、来年はどのような力士が優勝を果たすのだろうか。

141. 何かと珍記録の多かった2019年年間最多勝争い

先日、白鵬の優勝により幕を閉じた九州場所

白鵬は今年2回目の優勝であり、年間で最も優勝した力士にもなったわけだが、休場数が多いため、年間最多勝は朝乃山が受賞した。

朝乃山の受賞により

・最少白星による受賞(55勝35敗)

・最高位小結以下の受賞

・最低勝率による受賞(0.611)

といった記録が生まれた。

勝率に関してだが、過去最低勝率は1992年の貴花田の0.667であった。

この年は60勝30敗の当時最少白星の記録であったが、勝率も過去最低であった。

これは勝率にすると1場所平均10勝である。

そして55勝以前の最少白星は2017年白鵬の56勝であったが、この年の白鵬の成績は56勝9敗25休だった。

これは勝率にすると『0.862』であり、1場所平均『約12.93勝』となる。

休場数を含めないかそれとも黒星として計算するかで概念が変化するが、一般的に大相撲の勝率を算出する場合、休場数を含めずに算出する。

今年の朝乃山の1場所平均は『約9.17勝』となる。

そのため1勝差といえど、勝率は雲泥の差である。

 

ちなみに今年の年間勝利数次点は阿炎の54勝であった。

実はこの成績も次点成績の中では『最少タイ記録』である。

過去の最少次点成績は以下の通りである。

年代 次点力士 年間最多勝力士 成績
1975年
昭和50年
魁傑 11勝4敗 11勝4敗 12勝3敗 8勝7敗 6勝9敗 6勝9敗 北の湖 71勝19敗
2017年
平成29年
御嶽海
貴景勝
11勝4敗
7勝8敗
9勝6敗
11勝4敗
8勝7敗
11勝4敗
9勝6敗
5勝10敗
8勝7敗
9勝6敗
9勝6敗
11勝4敗
白鵬 56勝9敗25休
2019年
平成31
令和元年
阿炎 10勝5敗 8勝7敗 10勝5敗 8勝7敗 9勝6敗 9勝6敗 朝乃山 55勝35敗

 

魁傑は初場所時点では大関であり、初場所から夏場所にかけての3場所は好成績を収めているが、後半3場所失速し、九州場所では2場所連続負け越しを喫して大関陥落となった。

ちなみにこの年は貴ノ花が年間2回の優勝を果たしているが、1場所休場しており、九州場所で8勝止まりだったことが災いし、52勝止まりである。

そして北の湖の最大のライバルである輪島は、この年最も不振といえる年であり、3場所休場、年間優勝なしのため年間最多勝争いに顔を出すことはなかった。

 

2017年は初場所春場所稀勢の里が連覇を果たしたが、春場所で負傷した影響で離脱。

日馬富士鶴竜も休場が多く(日馬富士九州場所終了後に引退)、この年大関昇進を果たした高安も、後半は休場が重なって白星を積み重ねることが出来なかった。

その結果、休場数が多いながらも年間3回優勝を果たした白鵬が年間最多勝を受賞した。

この年は表の通り次点が2名いるが、貴景勝に至っては三役すら未経験であった。

 

そして今年は上位陣が壊滅状態の中、御嶽海、阿炎、朝乃山が引っ張る展開の中、朝乃山が受賞した。

 

ちなみに過去次点の最高成績は1978年の2代目若乃花の78勝である。

この年若乃花横綱昇進の年であり、1場所平均13勝の好成績を収めながらも、北の湖が当時最高記録となる82勝を挙げたため、若乃花の受賞はならなかった。

 

今年の年間最多勝は上記の通り様々な珍記録が生まれているわけだが、最大の珍記録は『最多勝受賞者も次点の力士も小結以下の力士』ということである。

過去関脇以下の年間最多勝受賞は

・1960年:大鵬(66勝24敗)

・1992年:貴花田(60勝30敗)

以上2回だがそれぞれの次点力士は

・1960年:柏戸(62勝28敗)

・1992年:曙(57勝18敗15休)

となっており、その年には大関に昇進している力士である。

今年は如何に上位陣の休場が多いかを物語る結果といえる。

 

余談だが、私個人が選ぶ最も年間最多勝のレベルが高い年は

『1979年』『1994年』の2つである。

まず1979年は輪島、北の湖、2代目若乃花の3横綱に加え、三重ノ海横綱昇進を果たす年であり、結果は以下の通りである。

四股名

輪島

10-5

12-3

12-3

14-1

10-5

10-5

68-22

北の湖

14-1

15-0

13-2

12-3

13-2

10-5

77-13

若乃花(2)

11-4

12-3

14-1

11-4

11-4

12-3

71-19

三重ノ海

11-4※

10-5※

13-2※

14-1※

11-4

14-1

73-17

大関在位

赤字は優勝および年間最多勝

 この年の優勝者は上記4名で占められており、また全員が全場所二桁勝利を果たしている。

さらには『年間3名の70勝以上』はこの年が史上初である。

上位が充実していると、これだけ締まった展開になるということだ。

 

そして1994年だが、この年は曙の一人横綱時代であったが、曙は夏場所にて途中休場し、その後も休場が続いてしまったため、以下の3名が引っ張る展開となった。

四股名

貴ノ花貴乃花

14-1

11-4

14-1

11-4

15-0

15-0

80-10

武蔵丸

12-3※

9-6

12-3

15-0

11-4

12-3

71-19

貴ノ浪

13-2※

12-3

9-6

12-3

12-3

12-3

70-20

※関脇在位

貴乃花が年4回優勝し、九州場所で連覇を果たし、横綱昇進を決めた年である。年間80勝で圧倒的にも見えるが、1979年以来の3人の年間70勝以上である。

またこの年は何が凄いかというと『全員大関』という点である。

一人横綱の曙が休場している影響があるとはいえ、大関がしっかり責任を果たすというのは、この時代の大関の質の高さを裏付ける結果とも言える。 

現在の大関陣ではこのような好成績想像もつかないだろう。

 

今場所は白鵬が優勝を果たしたものの、年間で見た場合、休場が目立つようになり、以前のように80勝以上を挙げることは出来ないだろう。

おそらく70勝も厳しいといえる。

若手が成長し、新時代の第一人者と呼べる力士が誕生すれば、年間最多勝争いも面白くなるのだが、それはいつになるのだろうか…

140. 2019年九州場所千秋楽を勝手に語る

白鵬が千秋楽もしっかり締めて、有終の美を飾った。

左から張って回り込んで、あっさり絶対的な型である右四つに組み止めた。

その後膠着状態に陥ったが、大技でも狙っていたのだろうか。

よくわからないが、右四つになった時点で貴景勝が勝てるわけない。

優勝インタビューでも、余計な発言はせず良かったと思う。

一方貴景勝大関として初めて勝ち越した場所となったが、勝ち越して以降は存在感がまるでなかった。

場所前は先場所千秋楽に負傷した胸の怪我の具合が心配され、場所に入ってからも精彩を欠いていたが、7~11日目の内容は素晴らしかった。

それで勝ち越しを果たし、気が抜けたのか、白鵬戦もまるで相撲にならなかった。

とりあえず怪我は癒えたようであり、勝ち越しも果たして明るい話題であるのだが、来場所以降は勝ち越しで満足せず、優勝争いに絡める力士になってほしいところである。

来場所は高安が関脇へ陥落し、豪栄道が角番であり、最悪の場合2場所後には1大関になる可能性もある。

若い貴景勝は来年大関としての真価が問われる年となるだろう。

そして今年飛躍した1人である朝乃山だが、千秋楽は正代に敗れて黒星。

本日は踏み込みが高く、上手の取り方も下からではなく上から取りにいくという雑な内容だった。

それでも右を差し、朝乃山の形に持ち込んだため何とかなると思ったが、本日は正代の気迫が勝った。

朝乃山としては最後の最後で課題が残る一番となった。

しっかり踏み込んで左の前ミツを狙うことを徹底すべきである。

雑に上手を狙いにいくと、本日のような展開に陥ってしまうことも多くなるだろう。

正代としては自分の方が上位経験が長いという意地もあったか。

以前も記載したが、本日のようにもろ差しに拘らず、上手を引いて引き付けて攻める相撲を覚えた方が良いだろう。

窮屈なもろ差しよりも攻めの幅が広がると思う。

御嶽海が阿炎に敗れて9敗目を喫し、17場所連続で在位した関脇・小結の座からの陥落が決定した。

昨日も記載したが、これで良いだろう。

来場所以降這い上がるかどうかは、本人の努力次第だろう。

いまや大関候補筆頭の座は朝乃山に奪われた。

ここで這い上がれないようではそれまでの力士だということだ。

平幕上位に目を向けると、2回目の上位挑戦となった明生は、2回目も跳ね返される形となった。

前回同様、力は出し切っているが、馬力不足が露呈されたように感じた。

突き放してからもろ差しになるという狙いが多く感じたが、馬力がないためあまり押し込めず、逆に相手に押し返されて体勢を悪くし、もろ差しも果たせないという展開が多かった。

高安戦のように動き勝つ内容もあったが、15日間この内容では身体がもたないだろう。

改善点としては馬力向上も考えられるが、私個人としては『さらなるスピード向上』を目指してほしいと思っている。

今場所は動きの良さを十分に見せ、立ち合いのスピードを向上させることで、立ち合いからもろ差しを果たすケースも多くなると考えている。

目指すは日馬富士のような相撲ではないだろうか。

来年は明生の躍進に期待したい。

そしてもう一人目を引いたのは隆の勝である。

序盤戦は目立っていなかったが、中盤戦以降は右を差して走る相撲が際立っていた。

正直特に気にしていなかった力士だが、今場所の内容に磨きをかけることが出来たら面白い存在になるかもしれない。

明生にも言えることだが、差して速攻を得意とする力士は、上位で通用するようになると必ず面白い存在になると信じているため、隆の勝も来年の躍進が期待される。

今年は5場所連続で異なる力士が優勝を果たしていたが、最後に白鵬が締めたことで6場所連続とはならなかった。

ここ数年で初優勝の力士が多く誕生しているが、昨日も記載した通り、白鵬が皆勤している場所で優勝を果たした力士は2年連続で鶴竜のみである。

結局本当の意味で白鵬を脅かすまでには至っていないのが現状である。

そして若手の台頭も著しく、皆力を出し切っており、実力伯仲であるが、悪い言い方をすれば『どんぐりの背比べ』である。

その結果、若手同士で星を潰し合うため星が伸び悩み、誰も白鵬を倒すことができず、白鵬が抜け出してしまう。

10年程前で言えば稀勢の里琴奨菊豪栄道栃煌山豊ノ島がこれに該当するだろう。

問題は『2場所以上連続で結果を残せるかどうか』である。

貴景勝は結果を残したため、大関へ昇進できた。

現状大関候補筆頭となった朝乃山は、先場所も平幕上位で二桁、今場所も三役で二桁と結果を残している。

しかし来場所もこれを継続できるかどうかが問題である。

千秋楽の正代戦のように雑な内容となり、ライバル達がそこを狙い、最悪の場合負け越しを喫するかもしれない。

御嶽海がよい例だ。

優勝の翌場所に結果を残すことが出来ない、2場所以上連続で結果を残すことが出来ないのである。

一時の爆発力ならば皆持っているが、それが15日間、2場所連続となると出来ない。

今場所は朝乃山が主役だったが、来場所は主役が変わるかもしれない。

どんぐりの背比べにならず、そこから抜け出すためにも、自分の勝ちパターンの習得は絶対条件であり、稽古はもちろんのこと研究も大切になってくるだろう。

朝乃山にはそれが出来ると信じている。

ちなみにこれで10勝、11勝としているが、来場所大勝しても大関昇進にはあまり賛成できない。

その理由として挙げられるのが『貴景勝大関昇進問題』である。

貴景勝は9勝、13勝(優)、11勝(次)で昇進を逃した。

この時の理由が『新関脇だったから』というものだった。

このとき私も千秋楽に完敗したため、昇進は見送っても良いと思ったが、理由はやや曖昧だと感じた。

朝乃山はおそらく来場所関脇へ昇進するが『新関脇』である。

さらに先場所は平幕であった。

貴景勝のときよりも条件は整っていないのである。

状況が異なる点は『大関の人数』である。

上記の通り、来場所豪栄道が負け越せば、大関貴景勝一人となる。

救世主がほしいという考え方で安易に昇進させてしまうと、昇進後苦労する可能性も高い。

直近で言えば豪栄道照ノ富士がそれに近い。

照ノ富士は8勝、13勝(次)、12勝(優)で昇進を果たしている。

3場所合計は33勝だが、8勝の場所は平幕であり、甘めの昇進と言えた。

低迷の原因は怪我であるが、結果論としてもう1場所様子を見ても良かったかもしれない。

豪栄道は12勝(次)、8勝、12勝(次)で昇進を果たしており、いわゆる『33勝』には届いていない。

そして何より気掛かりだったことは『三役で2場所連続二桁勝利を果たしたことがない』点である。

結果として昇進後はかなり苦戦を強いられており、全勝優勝を果たす力量はあるものの、安定した成績を残すことができていない。

救世主、新しい主役を誕生させたい気持ちは痛いほどわかるが、だからといってむやみやたらに甘めの昇進となると、昇進後苦戦を強いられる可能性が高いため注意が必要である。

朝乃山の場合、仮に昇進させるならば13勝以上の優勝くらい大きい条件だろう。

話は変わって三賞だが、昨日私が予想した通りの展開だった。

今場所は正代、大栄翔、朝乃山以外考えられなかったからこれで良かったと思っている。

今年の大相撲も本日をもって終了した。

私にとって九州場所が終了した時点で、1年が終了した気持ちに陥ってしまう。

明日から退屈になるものだ…

139. 2020年大相撲初場所番付予想

番付 西
白鵬 横綱 鶴竜
貴景勝 大関 豪栄道
朝乃山 関脇 高安
阿炎 小結 大栄翔
妙義龍 前頭筆頭 遠藤
北勝富士 前頭2枚目 御嶽海
玉鷲 前頭3枚目 琴勇輝
隠岐の海 前頭4枚目 正代
明生 前頭5枚目 炎鵬
宝富士 前頭6枚目 松鳳山
碧山 前頭7枚目 竜電
隆の勝 前頭8枚目 阿武咲
豊山 前頭9枚目 剣翔
佐田の海 前頭10枚目 石浦
千代大龍 前頭11枚目
琴恵光 前頭12枚目 琴奨菊
千代丸 前頭13枚目 栃ノ心
照強 前頭14枚目 志摩ノ海
友風 前頭15枚目 東龍
前頭16枚目 栃煌山
魁聖 前頭17枚目 霧馬山

 

御嶽海、遠藤の成績次第では、関脇・小結がそれぞれ3人以上となる可能性もあったが、両者ともに敗れたため、関脇2、小結2になるのではないだろうか。

その結果、大栄翔が新三役確定と言って良いだろう。

上位圏内で3場所連続勝ち越しを果たしていたが、周りにも好成績力士が多かったため、番付運に泣かされていたが、念願の昇進である。

阿炎が2場所連続で大関から陥落する力士が存在するため、関脇昇進が出来ないという不運に泣かされる可能性がかなり高いが、関脇昇進の可能性も0ではない。

そして御嶽海が17場所連続三役在位の記録が途切れることになる。

昨日も記載したが、これで良いだろう。

 

平幕中位~下位だが、大いに悩まされた。

今場所は小結4人の影響があり、三役以上の力士の人数は11人であった。

私の予想では、来場所関脇・小結の人数を2人ずつに設定しているため、三役以上の人数が8人ということになる。

そうなると平幕の力士は『相対的に上昇する』ことになる。

例を挙げると、東前頭13枚目で9勝を挙げた千代丸だが、私の予想では同じく前頭13枚目と予想した。

今場所の千代丸は正確に言えば上から数えて『36人目』である。

しかし予想の東前頭13枚目は上から数えて『33人目』であるため、しっかり3枚は上昇していることになる。

負け越して番付を下降させる力士と、勝ち越して番付を上昇させる力士との兼ね合いの関係で、見かけ上ではあまり変化がないように感じても、計算上は上下がはっきりしていると思う(正直かなりズレはあると思うが)。

 

幕内から十両へ陥落する力士は逸ノ城、錦木、大翔丸、大翔鵬、若隆景の5名が確定。

十両から幕内へ上がりそうな力士は東龍、栃煌山、勢が確定と言える。

残る2枠は

・西十両筆頭 徳勝龍:8勝7敗

・東十両5枚目 魁聖:11勝4敗

・西十両5枚目 霧馬山:11勝4敗

この3名で争うが、おそらく東西の5枚が優勢だろう。

徳勝龍は泣く泣く東へ回るだけとなるだろう。

 

上記の通り、予想と実際の番付はかなりズレると思うがはてさて…