木枯らし吹きすさぶ季節。
2019年も本日をもって終了である。
今年の大相撲も様々な出来事があった。
・稀勢の里引退
・ベテラン(豪風、安美錦、嘉風)の引退
・貴景勝大関昇進→陥落→復帰
・栃ノ心完全に大関陥落
・高安大関陥落
・白鵬が日本国籍取得
・年間最多勝の最少記録樹立
・照ノ富士関取復帰
などなど…
今年は朝乃山を中心に若手の台頭も目立ったが、それでも年間で最も優勝を果たした力士は白鵬だった。
結局白鵬が皆勤している中優勝を果たした力士は、同じ横綱である鶴竜のみであった。
そもそも鶴竜以外で白鵬皆勤の中優勝を果たした力士は、2017年初場所の稀勢の里が最後である。
初優勝力士が多く誕生しており、若手が台頭していることは間違いないのだが『白鵬を完全に脅かす程には至っていない』のが現状である。
その原因の一つとも言えるのが『大関』である。
それこそ大関の最後の優勝は、上記の2017年初場所の稀勢の里が最後である。
もう2年間優勝していないわけだ。
昨年高安が優勝次点3回と兄弟子 稀勢の里の悪い部分を引き継いでいるような展開だったが、それでも大関として見た場合は比較的高水準であった。
しかしその高安も大関陥落が決まってしまった。
栃ノ心は昨年の初優勝を皮切りに、歴代最多タイとなる3場所37勝で大関昇進を果たした。
新大関の場所も初日から5連勝と好調だったが、6日目の玉鷲戦で負傷して以降、輝きを失ってしまい大関陥落してしまった。
最も期待される貴景勝も新大関の場所で負傷し、見事大関復帰を果たすもその特例復帰場所で再度別の部位を負傷してしまった。
豪栄道は年齢+慢性的な怪我に苦しんでいる。
大関が皆怪我に苦しんでいる。
大関だけではなく、他の力士もだ。
遡れば照ノ富士の大関陥落も怪我が原因だった(照ノ富士の場合、内部疾患の問題もあるが)。
怪我への対策をどうするか。
何度も記載しているが、具体案を示さなければならない。
『土俵の充実化』という抽象的な発言はもうこりごりである。
ネットニュースで目にした内容だが、力士達も公傷制度を望んでいるようである。
公傷制度に関しては私も賛成であるが、旧来の制度ではなく、新案が必要である(私案に関しては以前記載したので割愛)。
『稽古が足りない』と発言する者もいるが、それは『事実であるが真実ではない』。
全員が当てはまるものではない。
稽古十分の力士の中には、土俵際最後まで諦めず相撲を取った結果、負傷してしまう力士もいる。
『稽古が足りない』ではなく『怪我をしないためにはどのような稽古が必要なのか』という指導が必要になる。
これに通ずるところが『引き・叩きへの注意喚起』である。
昔から言われ続けていることであるが、叩きを主体に白星を積み重ねている力士にとっては『叩きで勝って何が悪い』と思う力士も多いだろう。
指導者側としたら内容面における不服が大半だろうが、問題は九州場所の友風のように『大怪我に繋がる可能性が高くなる』という点だろう。
引き・叩きが習慣化し、劣勢でもそれを繰り出すようになると土俵下に勢いよく転落して大怪我してしまう可能性が高いのである。
指導者は頭ごなしに否定するのではなく『なぜダメなのか』を明確化した指導が今後必要になってくるだろう。
そして怪我がしにくくなる身体作りはもちろんのこと『怪我をしないための動き』『予測を立てる』稽古が必要となってくるだろう。
いつの時代でもそうだが、今後より一層指導者の力量が問われる時代となるだろう。
具体案を示すことが中々出来ない協会人にこのような指導が出来るかどうかも不明だが、それを期待するしかないのが現状だ。
正直貴景勝、朝乃山が潰れたら日本出身力士はしばらく終わりだと思う。
新しい芽を潰すことだけは絶対に避けてほしい。
はてさて来年はどのような年になるだろうか…