きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

173. 2020年春場所4日目を勝手に語る

東日本大震災が起きた3月11日。

大相撲においてこの日は白鵬の誕生日である。

その白鵬隠岐の海相手に今場所初めて得意の右四つに組み、白星を掴んだ。

基本隠岐の海は変化なくまともに組んでくれる相手であるため、白鵬としても楽に取ることができる相手とも言える。

とはいえ、やはり全盛期の白鵬と比較すると上手の取り方が衰えたように感じる(上手の取り方が衰えたという表現もおかしいが)。

何はともあれ誕生日にしっかり白星を掴んで4連勝とし、いつも通り場所中に流れを掴んで波に乗っていくかどうか。

もう一人の横綱鶴竜は苦手高安相手に辛勝。

立ち合いは低く踏み込み、左前ミツを引く良い流れだったが、高安に左上手を引かれて劣勢となった。

最後は何とか突き落として命拾いした。

内容は苦し紛れだったが、序盤で2敗目を喫するわけにはいかないため、苦手を下して1敗を守ったという点は大きいだろう。

そして心配なのが高安だ。

今場所一番の相撲を取ったが、最後は腰高が災いして土俵際で逆転され、さらには負傷してしまった。

おそらく左下肢の負傷だろうが、昨年から肘、腰と怪我に苦しめられている。

怪我の具合によっては今年中に十両へ陥落してしまう可能性も出てきてしまった。

一人大関貴景勝が最悪な内容で2敗目。

立ち合いは悪くないが、その後決まるわけのない叩きを見せて墓穴を掘った。

勝っている内容は良いのだが、負けている内容が本当に最悪である。

自分の相撲を貫くしかないのだが、何か迷いがある様子である。

好調力士に目を向けると、大関取りの朝乃山が北勝富士を下して4連勝。

立ち合いしっかり踏み込み、右を深く差した時点で朝乃山としては安心できただろう。

左はハズにかけられていたため、上手を引くことが出来なかったが、右の腕を返してすくい投げを決めた。

2日前に記載したが、左前ミツ狙いではなく、右差し主体の立ち合いがやや気掛かりだが、現状ほぼ完璧な4日間である。

平幕の御嶽海が豊山を問題にせず完勝。

今場所の豊山は、身体も動いている様子であったが、御嶽海が常時下から攻め続けて圧倒した。

ツボにハマったときの御嶽海は本当に強い。

この状態が続けば、優勝候補筆頭と言っても過言でないレベルなのだが、連敗癖があるだけに油断ならない。

平幕下位に目を向けると、明生の状態が気掛かりである。

肘の怪我も癒えているかどうか不明だし、何より信条であるスピードが全く感じられず、さらには軽い。

昨年から徐々に力を付けてきており、幕内下位に留まる力量ではないのだが、今場所は苦戦を強いることになりそうだ。

そして先場所終わりにも記載したが、琴奨菊栃ノ心の元大関の2力士が引退間際を予感させるような内容である。

両者ともに下半身の衰えが顕著である。

腰も高く、あっさり後退する場面が目立つ。

琴奨菊はまだしも、栃ノ心に関して言えば、大関陥落は昨年のことであり、まだ老け込むには早いのだが、怪我には勝てないといった状況である。

明日の注目の取り組みは
貴景勝ー御嶽海』
この一番に尽きるだろう。

何かと因縁のある対戦だが、本割りではここ最近貴景勝が4連勝中である。

この4日間を見る限り、御嶽海がモノにすると思うのだが、貴景勝大関としての意地があるだろう。

どちらが立ち合い当たり勝って流れを掴むかどうか。

また貴景勝の場合、安易ないなしに頼ってしまっては御嶽海の思う壺である。

明日で序盤戦も終了する。
朝乃山、御嶽海が白鵬に食らい付いていくことが出来るかどうか。

172. 2020年春場所3日目を勝手に語る

無観客開催の春場所も3日目を終了した。

3日目となると、そろそろ各力士の調子が善し悪しが何となく把握できる頃である。

昨日記載したが、本日の注目の取り組みである『正代ー御嶽海』は、御嶽海が正代を寄せ付けず完勝した。

立ち合いで当たり勝ち、土俵際で正代に左を差されたが、前に出る圧力、右おっつけで圧倒した。

ここ数場所の正代は立ち合いの圧力に目を見張るものがあったが、それ以上に御嶽海の当たり、その後の流れが素晴らしかった。

やはり地力では御嶽海の方が数枚上ということか。
そう感じさせる内容だった。

まだ3日目だが、この一番は今場所を占う意味でも重要な一番になると予想していたため、今場所の御嶽海は何かやってくれそうな予感がある。

問題は『ツラ相撲』の傾向があるため、如何に好調を維持できるかどうかである。

一方正代は完敗してしまったが、3日間総合すれば決して悪い内容ではないため、腐らず集中していきたいところである。

大関取りの朝乃山は難敵を退けて3連勝とした。

立ち合いは右差しを狙って当たっていったが、差せないとみるや廻しに拘らず、逆に突き返していき、圧力勝ちする内容だった。

大栄翔にはここ2場所連勝中であり、苦手意識も薄れているとはいえ、難敵であることには変わらないため、これだけ圧倒する展開になるとは思いもしなかった。

この3日間は結果と内容が伴っており、この流れのまま序盤戦無傷で乗り越えたいところ。

横綱大関は安泰。

まず白鵬だが、今場所最も長い相撲となったが、しっかり白星に結び付けた。

高安が健闘したようにも見えるが、それよりも白鵬がもたついたという印象の方が強かった。

高安は白鵬のいなしに対して向き直るのが遅すぎる。

身体があまり動いていない証拠だろう。

一方白鵬は組むことが出来ず、離れる展開となったが、やはり四つに組むことが出来なければもたつくということか。

とはいえ、身体自体は動けている様子である。
本日も常に先手を取っていた。

ここまで自分の型である右四つの相撲がないため、それがこの先どのような影響を及ぼすか。

もう一人の横綱鶴竜は完璧の一言。

立ち合い低く当たり左前ミツを引き、しっかり引き付けて寄り切る。

昨日の敗戦を引きずらず、素晴らしい内容だった。

序盤で早くも黒星を喫したとはいえ、内容自体は白鵬よりも上に感じる。

貴景勝も連敗は逃れて白星。

遠藤相手にしっかり圧力をかけ、さらには深追いすることもなく冷静さも持ち合わせていた。

北勝富士ー徳勝龍』の一番で、今場所初めて物言いがついた。

説明を聞いていて思ったのが、普段の物言いの説明はどちらかと言えば『客に向けてのもの』だということである。

これまでの説明で何ら問題はないのだが、説明を聞いていて『無観客なのになぜ説明しているんだろう』という感覚に陥った。

もちろん当事者である力士に説明しているのはわかっているのだが、何となくそう感じてしまった。

明日の注目の取り組みは
鶴竜ー高安』
『朝乃山ー北勝富士
この2番である。

鶴竜はここまでの相撲内容ならば問題ないと思うが、如何せん高安相手にこのところ5連敗中である。

しかもお互い休場があり、対戦していない場所も多いため、鶴竜が最後に勝ったのはちょうど3年前の春場所である。

高安が大関に昇進してから一度も勝てていないのである。

その高安も今は平幕である。
本日を見てもわかるように、身体があまり動いていないが、立ち合いの当たりだけは復調の兆しがある。

そのため鶴竜にとっても油断ならない相手である。

3場所連続休場のため、序盤で2敗目を喫するわけにはいかないだろう。

朝乃山ー北勝富士は両者ともに今場所身体が動いている様子であり、好取り組みである。

ここ2場所は朝乃山が圧倒しているとはいえ、北勝富士のおっつけは驚異である。

朝乃山としては本日のように、右差しを果たせない、廻しが引けない状態でも慌てず我慢して、圧力をかけることだろう。

昨日も記載したが、間違っても下手に抱え込みにいったりしないことだ。

大関取りのためには序盤戦躓きたくないところである。

各力士の調子が少しずつわかってきた中、序盤戦でまだ波乱は起きるのだろうか。

171. 2020年春場所2日目を勝手に語る

1横綱1大関が敗れ、2日目にして早くも『荒れる大阪場所』が本領発揮した。

当たり前のことだが、波乱が起きても『無音』であった。

土俵下にいる審判、力士も声を上げることはないのだとわかる瞬間でもあった。

まぁ当然と言えば当然なのだが。

取り組みに目を向けると、上記の通り鶴竜が黒星。

本日も立ち合い頭から当たっていき、威力自体も悪くないのだが低すぎた。

この微調整が相撲の難しいところであるが、本日の鶴竜は『立ち合いで負けたくない』という気持ちが強すぎたようだった。

とはいえこの先消極的な立ち合いになり、悪手をみせるようでは悪循環である。

切り替えて白星を積み重ねていくことが重要だろう。

そして貴景勝はお得意様の隠岐の海に敗れて黒星。

右脇が開いてしまい、完全に左差しを許してしまった。

四つに組んでしまっては貴景勝に勝ち目はない。

昨日の内容が素晴らしかっただけに序盤戦の黒星は痛手過ぎる。

この先修正できるかどうか。

横綱白鵬は大栄翔を寄せ付けず連勝。

本日も立ち合いは右張り差しを選択し、その一発で大栄翔の当たりをうまく止めた。

近年白鵬の立ち合いに対して否定的な意見も多く聞かれるが、結果的に白星へ結びつけている以上、何も言えないのが事実と言ったところか。

換言すれば若手力士がそれを打破しない限り、白鵬が止まることはないだろう。

大関取り朝乃山は徳勝龍を落ち着いて捌き、連勝スタート。

相手のとったりに対しても落ち着いていた点は評価できるが、気掛かりなのは立ち合いで『右差しを選択』していることである。

元々左前ミツを狙うよりも右差しでいくことの多い力士ではあったが、ここ数場所はそれが改善傾向にあった。

右差しでいくこと自体が悪いことではないが、安定性を考慮するならば上手狙いの方が良いと思っているため、この先の内容に注目である。

何はともあれ比較的取りやすい相手にしっかり白星を掴んだことは良いことだろう。

正代は高安相手に立ち合い当たり負けしたものの、冷静にすくい投げで対処した。

というより高安の負け方は信じられない。

昨日、本日と立ち合いの当たり自体は悪くなく、しっかり相手に圧力をかけることもできている。

しかし右を差してから上手も引かない状態で攻める意味がわからなかった。

相撲があまりにも雑すぎる。

上記の通り、立ち合いは改善傾向にあるため、その後の展開をもっと丁寧に行うべきだろう。

平幕上位に目を向けると、御嶽海の状態が良さそうである。

この2日間、自分の間合いで相撲を取ることが出来ている。

相手によって使い分けるのだろうが、この2日間はもろ差しに拘らず、元来より得意の突き押しを主体にしている。

ここ2場所連続で負け越し、大関候補筆頭も朝乃山に奪われ、悔しい思いをしているだろう。

今場所存在感をみせられるかどうか。

明日の注目の取り組みは
貴景勝ー遠藤』
『朝乃山ー大栄翔』
『正代ー御嶽海』
この3番である。

貴景勝としては序盤でこれ以上躓く訳にはいかない。

遠藤相手には連勝中とはいえ、先場所は劣勢であった。

立ち合いで先手を取らなければ厳しい相手であり、前捌きの巧さもあるため注意が必要である。

朝乃山は対戦成績で3勝7敗と苦手にしている大栄翔戦である。

ここ2場所連勝しており、苦手意識も薄れているだろうが、大栄翔としても自信満々に攻めてくるだろう。

大栄翔の突っ張りに対し、顎を上げずしっかり下から攻めることが出来るかどうか。

雑に引っ張り込みにいかないことが重要だろう。

正代ー御嶽海はもしかしたら今場所を占う意味でも重要な一番になるかもしれない。

ここ数場所積極的な相撲内容になり自信を付けている正代、ここ数場所負け越しているがこの2日間は完璧な御嶽海。

どちらが自分の相撲を取ることが出来るか。

この一番をモノにした方が、今場所の主役になる可能性を秘めているのではないだろうか。

まだまだ違和感のある無観客開催だが、場所は早くも動き始めている。

はてさて…

170. 2020年春場所初日を勝手に語る

いよいよ初日を迎えた『無観客開催』の2020年春場所

無観客という想像出来ないものだったが、実際目にして見ると『想像以上の静けさ』だった。

廻しを叩く音、身体を叩く音、行司・呼び出しの声が響き渡り、さらには所作においても衛生面を考慮して力水を口に含まないなど、大相撲を25年以上観戦しているが、やはり感じたことのない独特の雰囲気だった。

そもそも『衛生面』という考え方をしてしまえば、今回のコロナウイルスだけに限らず、全ての感染症に通じることだろうから今更な感じは受けた。

そしてまだ初日のため断定出来ないが、無観客ということで力士のモチベーションに大きな影響を及ぼし、淡白な内容が多かったようにも感じる。

観戦者がいても淡白な内容は珍しくもないのだが、土俵際の粘りがほとんど見られなかった。

関脇以上が安泰ということもあり、そういう点では波乱もなかったわけだが、明日以降どのような内容になってくるだろうか。

さて取り組みに目を向けよう。

注目の大関取り朝乃山は初日白星発進。

寄っていくときやや腰高に感じたが、土俵際はしっかり注意を払い、何より自分の型で初日白星というのが大きいだろう。

立ち合いもしっかり踏み込んでいたし、明日以降も立ち合い集中して右四つに組む相撲を取っていきたいところ。

休場明けの両横綱も白星発進。

白鵬は先場所苦杯を舐めている遠藤を一蹴。

ここ2場所見せていた左からの張り手ではなく、右からだった。

張り差しの時点で遠藤の体勢が崩れたため、呆気ない一番となった。

白鵬としては先場所敗れた相手に白星を掴み、まずまずのスタートを切ったと言える。

横綱大関鶴竜は大栄翔に押し込まれたが、立ち合い頭から当たって踏み込んでいたため余裕を感じた。

場所前の報道通り、稽古は十分な様子である。

この立ち合いを続けていき、悪手を見せずまずは序盤戦乗り越えられるかどうか。

一人大関貴景勝は高安の当たりに下がらず、しっかり当たって突き放してから左へ突き落とし、その後も攻め続ける最高の内容だった。

貴景勝の場合、自分の相撲を貫くことだけを考えていれば結果は付いてくるだろう。

安易ないなしには頼らないことが重要だろう。

余談だが本日の取り組みの中で『貴景勝ー高安』が最も両者ともに力を出し切った一番に思ったが、激しいぶつかり合いの音は響くが、そこに声援がないということに寂しさを感じた。

関脇へ復帰した正代は先場所の覇者 徳勝龍を圧倒した。

左四つから前に出る圧力で圧倒したが、やはりここ数場所もろ差しに拘らず攻める姿勢を貫いている様子である。

先場所苦杯を舐めた徳勝龍の伝家の宝刀突き落としも全く意に介さなかった。

一方徳勝龍だが、得意の左四つに組んだが、それでも正代に圧倒された。

いわゆる『地力の差』だが、立ち合い自体は悪くなかったため、とにかく本日のように左四つに組むことが重要だろう。

明日の注目の取り組みは
白鵬ー大栄翔』
鶴竜北勝富士
横綱の2番である。

白鵬は先々場所敗れており、またそれ以前にも攻め込まれる場面があったため、油断ならない相手である。

白鵬としては早く組み止めたいところだろう。

立ち合い張り差しを選択するだろうが、大栄翔もそれはしっかりと認識しているだろう。

張り差しを気にせず攻め込むことが出来るかどうか。

鶴竜北勝富士は、鶴竜が本日のようにしっかり当たり悪手を見せなければ問題ないと思うが、北勝富士には何度か苦杯を舐めているため油断ならない。

如何せん北勝富士鶴竜に引かせるような相撲を取ってくるため、鶴竜は立ち合いで先手を取りたいところ。

異様な場所が幕を開けたが、場所の展開としてはまだ波乱は見られていない。

明日以降どうなるか。

169. 2020年大相撲春場所展望

明日から『無観客開催』される大相撲春場所が初日を迎える。

注目は大関昇進を目指す朝乃山である。

ここ数場所上位圏内で3場所連続二桁勝利を挙げており、三役で11勝、10勝としているため、大きな期待がかかる。

初日、2日目は隠岐の海、徳勝龍と組まれており、ここ数場所の相撲内容ならば大きな問題はないだろう。

両者ともに土俵際の突き落としが強いため、土俵際に細心の注意を払う必要があるだろう。

序盤で流れを作って弾みをつけたいところ。

休場明けの両横綱も注目である。

第一人者 白鵬はここ数場所軽さが露呈される場面も多いが、場所中に流れを作るのがうまい百戦錬磨のため、序盤戦が鍵となるだろう。

初日、2日目は遠藤、大栄翔の追手風部屋の2力士である。

先場所は遠藤、先々場所は大栄翔に不覚をとっているため、油断ならない相手である。

横綱大関』の鶴龍は先場所まで3場所連続休場だっため、今場所も躓くようでは進退問題も浮上してくるだろう。

場所前は絶好調という情報もある中、本場所ではどうなるか。

とにかく悪手である引き、叩きをみせず、序盤を無傷で乗り越えることが絶対条件とも言える。

1人大関となった貴景勝は先場所幕尻に敗れた屈辱をバネにして、今場所意地をみせられるかどうか。

先場所の覇者 徳勝龍は初めて上位総当たりの地位まで番付を上昇させた。

正直2~3勝出来れば良い方ではないかと考えているのだが、先場所千秋楽のような左四つから積極的に攻める相撲を見せることが出来たら面白いかもしれない。

そして先場所活躍して関脇へ復帰した正代は、ここ数場所もろ差しに拘らず攻める相撲が増えてきているため、それが今場所も見せられるかどうか楽しみである。

今場所は『無観客開催』のため、力士のモチベーションにも大きな影響を及ぼすことになるだろう。

そして途中で感染者が出た場合、場所を中止することが決定しているため、その場合の成績はどうするかといった問題もある。

また感染者が出て、その力士が『自分のせいで中止になった』と考えるだろうから、力士へのケアも今まで以上に重要になってくるだろう。

問題は山積みだが、とにかく無事に15日間終了してほしいところである。

168. 無観客開催決定

本日、春場所を無観客で開催することが発表された。

私個人としては単純に相撲を観たいという考え方のため良い決断だったと思っている。

力士側からすると、中止にしろ無観客開催にしろ『早く決断してほしかった』というのが本音ではないだろうか。

『3月8日の初日』に向けて調整することに変わりないとは思うが、中止と開催どちらかわからない状況ではモチベーションにも関わることである。

そして無観客に関しては全く想像つかない。

序ノ口~三段目の場合、少ない観客の中相撲を取ることに慣れているかもしれないが、それでも『無観客』という状況ではない。

ちらほら観客は見られるし、熱戦が繰り広げられると少ない中でも盛り上がりを見せている。

それすら無くなるのが『無観客』である。

熱戦が繰り広げられても反応がない。

テレビ観戦しているファン達は盛り上がっていても、肝心の現地では『無音』ということだ。

『声援が力になる』と感じる力士にとっては多大なる影響をもたらすことになるだろう。

無観客開催が決定し、それについてああだこうだ言っても仕方ない。

力士達はどんな状況下に置かれてもベストを尽くしてほしいところである。

『協会で感染者が出たら中止』とされているが、無観客開催に踏み切った以上、とにかく15日間やり遂げることが義務だし、感染者を出すわけにもいかない。

変な形でさっそく『荒れる大阪場所』となってしまったが、何事もなく場所を終えてほしいところである。

私はこの『荒れる大阪場所』をテレビで楽しみたいと思う。

167. 平幕優勝力士の翌場所

昨日2月24日、大相撲春場所の番付発表日だった。

先場所の覇者 徳勝龍が『西前頭2枚目』と予想以上に番付を上昇させた。

単純計算の+13よりも上のためやや驚かされたが、そこは優勝のボーナスのようなものだろうか。

38年ぶりに『横綱大関』の番付が記載されるなど、興味深い番付発表となった。

新型コロナウイルスの影響のため、春場所の開催がどうなるかという問題もあるのだが、それはさておき、題名通り『平幕優勝力士の翌場所』について記載したと思う。

先場所、徳勝龍が幕尻優勝を果たしたわけだが、平幕の優勝は年6場所制となった1958年以降、徳勝龍を含めて20人目である。

平幕力士が優勝を果たすと、今場所の徳勝龍を見てもわかるように、番付を大きく上昇させ、上位総当たりの地位となる。

そのため大半の力士が『大負け』を喫してしまう。

以下に平幕優勝力士と翌場所の成績を記載する。

四股名

年代

優勝場所成績・番付

翌場所成績・番付

若三杉

1960年夏

14勝1敗

(前頭4枚目)

7勝8敗

(関脇)

佐田の山

1961年夏

12勝3敗

(前頭13枚目)

11勝4敗

(前頭2枚目)

富士錦

1964年名古屋

14勝1敗

(前頭9枚目)

4勝11敗

(小結)

若浪

1968年春

13勝2敗

(前頭8枚目)

2勝13敗

(小結)

栃東

1972年初

11勝4敗

(前頭5枚目)

3勝9敗3休

(小結)

高見山

1972年名古屋

13勝2敗

(前頭4枚目)

5勝10敗

(関脇)

金剛

1975年名古屋

13勝2敗

(前頭筆頭)

6勝9敗

(関脇)

魁傑

1976年秋

14勝1敗

(前頭4枚目)

11勝4敗

(関脇)

多賀竜

1984年秋

13勝2敗

(前頭12枚目)

6勝9敗

(小結)

琴富士

1991年名古屋

14勝1敗

(前頭13枚目)

4勝11敗

(小結)

琴錦

1991年秋

13勝2敗

(前頭5枚目)

12勝3敗

(小結)

貴花田

1992年初

14勝1敗

(前頭2枚目)

5勝10敗

(関脇)

水戸泉

1992年名古屋

13勝2敗

(前頭筆頭)

8勝7敗

(関脇)

琴錦

1998年九州

14勝1敗

(前頭12枚目)

6勝9敗

(小結)

貴闘力

2000年春

13勝2敗

(前頭14枚目)

2勝13敗

(小結)

琴光喜

2001年秋

13勝2敗

(前頭2枚目)

9勝6敗

(関脇)

旭天鵬

2012年夏

12勝3敗

(前頭7枚目)

2勝13敗

(前頭筆頭)

栃ノ心

2018年初

14勝1敗

(前頭3枚目)

10勝5敗

(関脇)

朝乃山

2019年夏

12勝3敗

(前頭8枚目)

7勝8敗

(前頭筆頭)

徳勝龍

2020年初

14勝1敗

(前頭17枚目)

 

全20名(徳勝龍含む)

・勝ち越し:6名

・二桁勝ち越し:4名

・負け越し:13名

・二桁負け越し:8名(栃東含む)

 

上記の通り、大半が負け越しであり、さらには二桁負け越しも珍しくない。

後の大横綱貴乃花貴花田)、現在大関候補筆頭の朝乃山も負け越しを喫している。

貴乃花に関して言えば、優勝場所も上位総当たりだったのだが、翌場所結果を残すことができなかった。

翌場所も二桁勝ち越しを果たした力士の共通点は『大関昇進』である。

1人目の佐田の山は、上位が総崩れする中、平幕下位で大勝ちして優勝するという、私から言わせると『インチキ優勝』だった。

さらに言えば、この場所十両優勝を果たした清ノ森に敗れており、当時『優勝は清ノ森』と言われるほどフロック感が否めなかったが、翌場所11勝を果たしてフロックではないことを証明し、その後すぐに大関へ昇進した。

2人目の魁傑は、すでに優勝を果たしており、大関から陥落した後に2度目の優勝を平幕で達成した。

そしてそれを足固めに翌場所以降も2場所連続二桁勝利を果たして大関帰り咲きを果たした。

3人目の琴錦は、最終的に大関昇進は叶わなかったが、優勝を果たす場所の前までは5場所連続関脇在位の大関候補筆頭であった。

平幕に番付を落とした場所に優勝を果たし、その勢いのまま翌場所も12勝を果たした。

ちなみにこの場所は、14日目を終了し、小錦と2敗でトップに並んでおり、もし優勝を果たしていれば『関脇を飛び越えて大関へ昇進させる』という意見も出ていたが、残念ながら小錦に優勝をさらわれる結果となった。

そして4人目の栃ノ心は、優勝の翌場所も10勝を挙げ、さらに翌場所も13勝と大勝ちして大関へ昇進した。

そのため平幕力士の優勝の翌場所で二桁勝利を挙げるということは、大関昇進に大きく近づくということである。

正直、来場所の徳勝龍が大勝ちする予想など全くしていない。

勝ち越しすら無理だと考えているし、おそらく2~3勝だと考えている。

はてさて先場所のように奇跡を起こせるかどうか。