大相撲名古屋場所は中盤戦へ突入。
全勝力士は高安、豪ノ山が敗れ、錦木が単独先頭に立った。
錦木の勢いが止まらないが、正直本日は負ける可能性が高いと思っていた。
阿炎の突っ張りに下がることなくある程度余裕を持って残すとは思っていたが、土俵際に落とし穴があるのではないかと思っていた。
しかしそれは杞憂に終わり、突っ張りにも下がらず、土俵際も全く問題なかった。
明日琴ノ若に勝利すれば出場している役力士を総なめすることになるが、どうなるものか。
とりあえず今場所の錦木は私の知っている錦木ではない(もちろん良い意味で)。
高安は阿武咲の押しに屈して初黒星。
本日は良いところがなかったと言って良いだろう。
そして私個人の思いとしては10日目終了時点で最低でも9勝1敗としなければ優勝に対する期待はない。
優勝を狙うならば大勝した場合終盤戦に組まれるであろう役力士達を倒さなければならないだろうが、このままではその土俵に立つことすらできない。
とにもかくにも痛すぎる1敗と言えるだろう。
豪ノ山は先場所十両で優勝争いした伯桜鵬に敗れて初黒星。
立ち合いの当たりは良かったと思うが、1回目の叩きで決められると思ってしまったか。
伯桜鵬に叩きを残され、そこからは明らかにばたついてしまい、2回目の叩きは完全に墓穴を掘ることとなった。
勿体無いようにも感じるが、安易な叩きは墓穴を掘るということを改めて知るきっかけになれば良いだろう。
新入幕のためのびのび取ってほしいところである。
一方伯桜鵬は十両で決定戦も含めて3連敗中だった相手から初白星。
年齢差はあれど出世争いのライバルとも言える存在であるため、苦手にするわけにはいかなかっただろう。
本日は豪ノ山に当たり負けせず、むしろ伯桜鵬の方が低く当たっており、良い相撲だった。
大関取りの関脇陣は本日も安泰ならず。
本日注目の割である『大栄翔ー琴ノ若』は琴ノ若に軍配が上がった。
大栄翔としてはまず立ち合いで当たることが出来ず、先手を取ることが出来なかった。
合い口の問題か、大体いつも琴ノ若に密着されることが多く、本日も途中大栄翔が離れる展開になったが、足がついていかなかった。
大栄翔としては苦手を下して波に乗りたいところだったが敗れてしまい、これで4勝2敗となった。
絶望的な成績ではないものの、この流れでは終盤戦に組まれるであろう関脇同士の割を考えると少し厳しい成績とも言える。
また大栄翔は連敗癖もあるため、修正していきたいところである。
一方琴ノ若としては大きな白星を手にしたと言えるだろう。
このところ関脇以上との差が開きつつあり、その差を縮めるためにも関脇から白星を挙げる必要があった。
大栄翔の押しに下がることなく、自分の身体を活かした良い相撲と言えるだろう。
豊昇龍は苦手の翠富士を下して5勝目。
もろ差しを許して苦しい形に見えたが、慌てることなく冷静に対処した。
磐石とは言い難いが、今場所はとにもかくにも白星の数が求められる場所であるため、苦手相手に落とさずいけたのが大きいだろう。
若元春が明生を下して連敗を免れた。
中々左四つに組んで攻める相撲で白星とはいかないが、若元春の左四つはもはや現役ナンバーワンと言っても過言でないほどの代物であるため、相手も細心の警戒を払っているだろう。
その中でも白星を積み重ねられるのが力をつけている証拠である。
すでに2敗を喫しているが、大栄翔同様絶望的な成績ではないため、格下相手にはしっかり白星を積み重ねていきたいところである。
館内が沸いていた『宇良ー北青鵬』の一番にも触れよう。
北青鵬が肩越しの上手を引いて棒立ち気味になるのは予想通りだったが、それにしても北青鵬は左手をお留守にしすぎではないだろうか。
先場所もそんな光景が見受けられたが、上手を引いていない方の手もしっかり仕事をすればもっと楽な展開に持ち込めるのではないだろうか。
他の力士の場合、あの体勢になった時点で絶望的だが、北青鵬の場合まずまずの形であるため、肩越しの上手を狙う相撲にしてももっと工夫を凝らしていく必要があるだろう。
さすがに腕1本で勝てるほど甘くないだろうし、怪我にも繋がるため修正していきたいところである。
明日の注目の割は
『豊昇龍ー朝乃山』
『琴ノ若ー錦木』
この2番である。
朝乃山ファンには申し訳ないが、この一番は絶対豊昇龍に勝ってほしいと思っている。
というよりも勝たなければならない。
確かに元の番付は朝乃山が大関のため上である。
しかし今は豊昇龍の方が上である。
どんな経緯があろうとも、朝乃山が休場していた期間、豊昇龍は上位圏内で勝ち越しを続け、三役の常連となった。
そして今場所は大関取りの場所である。
ここ数年三役で勝ち越しを続けてきたため、近年の三役の厳しさを朝乃山に知らしめてほしいところである。
先場所大栄翔は朝乃山にそれを知らしめることに成功している。
豊昇龍も大関昇進を狙うならばここは落としてはならない。
そして『琴ノ若ー錦木』だが、本日琴ノ若は関脇陣に意地を見せる白星を挙げた。
そして役力士最後の砦として錦木に立ちはだかることが出来るかどうか。
今場所の錦木は元来の腰の重さに加え、脇の甘さを克服しているため、ケンカ四つの琴ノ若としては右を差し勝てるかどうか。
錦木が勝てば役力士総なめとなるが、そうなればさすがに私自身も錦木の優勝を少し考えるかもしれない。
ここ数日記載しているが、どれだけ錦木が強くても現状優勝候補に挙げづらい。
そのイメージをぶち壊してくるのか。
楽しみな一番である。
先場所と比較すると、関脇陣の黒星がやや目につくように感じるが、実際はそこまで悪い成績ではない。
しかし『大関取りの場所』と考えた場合、この先どうなるか。
如何せん関脇同士の直接対決が残されているため、展開によっては一気に形勢逆転という可能性も秘められている。
そして優勝争いも全く先が読めない。
このまますんなり錦木がいくとは思えないがはてさて…