照ノ富士の調子がかなり上向きである。
本日注目の『照ノ富士ー金峰山』の割だが、横綱としての力を見せつけた。
元々この一番の期待としては『荒削りの金峰山がどこまで力を出し切る事が出来るか?』という点にあった。
そのため照ノ富士が圧倒する姿も想像できたが、まさにその通りとなった。
とはいえ照ノ富士が今場所初めて右四つ左上手の形を作って若手を圧倒したというのは、完全にエンジンがかかった証拠ではないだろうか。
ここまで無傷の連勝のため忘れがちだが、照ノ富士は膝に爆弾を抱えている。
この先膝にも負担はかかるだろう。
後半戦以降もこの流れでいけるかどうか注目である。
特に大栄翔戦は照ノ富士にとって今場所最大の関門と言えるだろう。
関脇陣に目を向けると、大関取りの霧馬山が正代に敗れて2敗目を喫した。
立ち合い当たり負けした時点ですぐに叩く動きを見せてしまった。
土俵際で右四つに組んで凌いだかに見えたが、そこでもすぐに呼び込むような突き落としを見せて墓穴を掘った。
正代の圧力が素晴らしかったと言えばその通りなのだが、それにしても霧馬山の相撲があまりにも消極的なことが気掛かりである。
昨日落ち着きを取り戻したかに見えたのだが、まだ噛み合っていない部分があるか。
残り8日間。
関脇以上との割が5日間残されている中、ここで2敗はやや痛手と言える。
いわゆる目安の3場所も33勝には残り5勝だが、現状の内容面から考慮するとやや印象は悪いか。
今場所は立ち合いがしっくりきていない様子であるため、修正していきたいところである。
大栄翔は合い口の悪い琴ノ若を下して6勝目。
踏み込みは琴ノ若の方が良く、琴ノ若十分の右四つに組んだが、今場所の大栄翔は四つに組まれてもすぐに振りほどき、自分の間合いに持っていく巧さを発揮している。
対戦相手としては大栄翔の当たりを止めれば一安心と思いきや、そこから振りほどき大栄翔の流れになるため、今までの対戦とは異なる印象を持っているのではないだろうか。
1敗を喫した相撲を見てもあれはあれで大栄翔らしいと言えるため、改めて今場所の大栄翔は良いと感じる。
昨日初黒星を喫した若元春は引きずることなく完勝。
錦富士相手に力の差を見せつけた。
左四つに組んでの強さはもちろんの事、とにかく安心して見ていられる。
敗れた翌日にこれだけの相撲を取ることが出来るのはやはり地力をつけている証拠だろう。
豊昇龍は今場所2度目の不戦勝。
何度か記載しているが、4関脇の中で印象が薄い感じがするが、不戦勝による影響が大きいだろう。
結果的に連敗を免れる形となったが、豊昇龍も負けじと全勝、1敗力士に食らい付いていきたいところである。
角番貴景勝は宇良を圧倒して5勝目。
相手の変化気味の立ち合いもしっかり見えており、恐れず前に出て完勝した。
昨日から貴景勝らしい相撲が続いており、この流れならば角番脱出も容易に感じるが、如何せんここから厳しい対戦相手が待ち受けている。
とにもかくにもこの力士には押ししかないため、自分の相撲を貫いていくしかない。
平幕全勝の明生、朝乃山はともに全勝とした。
明生は十分の左差し速攻とはならなかったが、動きの良さを発揮した。
朝乃山は一山本を寄せ付けず圧倒した。
昨日触れた北青鵬だが、剣翔相手に何も出来ず敗れた。
北青鵬の攻略としては、廻しを引かせず中に入って攻めるという事なのだろうが、それが中々出来ないため、対戦相手は皆苦戦を強いられている状況である。
北青鵬攻略のお手本のような相撲を剣翔が見せてくれるとは思わなかった。
剣翔には失礼だが、正直本日北青鵬は問題にせず白星を掴むと思っていた。
剣翔は小兵力士相手に巧く相撲を取る事が出来るし、相手の弱点を突くことに長けているのか。
そうだとしたらこの番付に留まっているのが不思議なのだが。
明日の注目の割は
『貴景勝ー正代』
この一番である。
上記の通り、貴景勝は角番脱出のためにこの先厳しい対戦相手が待ち受けているが、その第一ラウンドとも言えるか。
正代は黒星先行とはいえ、全ての相撲で出足が光っており、本日も霧馬山を圧倒している。
この両者貴景勝の方が対戦成績はリードしているが、今場所の両者の状態を考慮すると予想は中々難しいが、正代の方がやや優勢に感じる。
貴景勝としては当たり負けだけは避けたいところだろう。
それにしても協会は学習能力がまるでない。
明日の割
『照ノ富士ー琴勝峰』
『若元春ー錦木』
この2番はないだろう。
明生に関しては明日照ノ富士と割を組んでも何ら問題ないだろう。
朝乃山が大勝することも場所前から予想出来たはずである。
このままではまた終盤戦に割崩しを行う展開に至る可能性が高い。
今場所割崩しを行うと様々な点で問題が起こるだろう。
まず貴景勝だが、仮に割崩しを行って終盤戦平幕力士と割を組まれる展開になるとする。
その中勝ち越しを決めても『関脇と対戦がなかったから』と文句をつける者も出てくるだろう。
関脇陣に関しても割崩しを行って二桁勝ったとしても批判の対象となる可能性が高い。
如何せんいつも以上に役力士が好調なだけに、それだけいつも以上に簡単な割崩しは避けたいところである。
役力士が充実した良い場所なだけに、割の方もしっかり編成してほしいところである。