初場所千秋楽から早1週間。
この1週間は月末週だったこともあり、時間の流れを速く感じていた。
1月31日には琴ノ若の大関昇進の伝達式が行われ、まずは琴ノ若の四股名のまま大関に在位することが決まった。
初場所は琴ノ若の大関昇進だけでなく、照ノ富士の復活優勝が大きな話題となった。
周囲が崩れての優勝ではなく、上位陣が優勝争いをしている中、その力士を圧倒して優勝しているのだから『さすが横綱』『これぞ横綱』と思わせる相撲だった。
しかし序盤戦を観る限りでは、このような結果になると思っていたファンも少なかっただろう。
盤石とは程遠い内容であり、7日目には2敗目を喫した。
しかもその2敗はいずれも金星配給であった。
そこから見事8連勝して優勝へ結び付けたわけだが、過去に金星を2つ以上配給して優勝を果たした横綱はどの程度存在するのだろうか。
昭和33年以降にて詳細は以下の通りである。
場所 |
成績 |
敗れた相手とその力士の成績 |
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昭和40年秋場所 |
12勝3敗 |
・初日:富士錦(東3) 7勝8敗 ・6日目:琴櫻(東1) 9勝6敗 ※10日目:大豪(西関脇) 2勝13敗 |
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昭和49年春場所 |
輪島 |
12勝3敗 |
・3日目:長谷川(東2) 10勝5敗 ・中日:高見山(西1) 10勝5敗 10勝5敗 |
昭和54年秋場所 |
13勝2敗 |
・4日目:三杉磯(西3) 6勝9敗 ・中日:玉ノ富士(西1) 8勝7敗 |
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昭和 57年初場所 |
13勝2敗 |
・初日:栃赤城(東1) 2勝13敗 ・4日目:若島津(西2) 12勝3敗 |
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平成6年春場所 |
曙 |
12勝3敗 |
※5日目:琴錦(東関脇) 10勝5敗 ・中日:魁皇(西1) 9勝6敗 ・12日目:小城錦(東6) 9勝6敗 |
平成9年春場所 |
12勝3敗 |
・4日目:琴の若(西2) 2勝10敗3休 ・7日目:魁皇(東1) 12勝3敗 12勝3敗 |
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平成11年秋場所 |
12勝3敗 |
・2日目:栃東(東1) 10勝5敗 ・11日目:湊富士(西5) 6勝9敗 10勝5敗 |
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13勝2敗 |
・3日目:隠岐の海(東2) 8勝7敗 ・9日目:嘉風(西5) 10勝5敗 |
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平成29年秋場所 |
11勝4敗 |
・3日目:琴奨菊(西1) 10勝5敗 ・4日目:北勝富士(東2) 7勝8敗 ・5日目:阿武咲(東3) 10勝5敗 ・10日目:貴景勝(西5) 9勝6敗 |
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令和4年夏場所 |
12勝3敗 |
・初日:大栄翔(西1) 11勝4敗 ・6日目:玉鷲(西3) 9勝6敗 ・中日:隆の勝(西4) 11勝4敗 |
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令和6年初場所 |
13勝2敗 関脇琴ノ若と優勝決定戦 |
・2日目:若元春(東1) 10勝5敗 ・7日目:正代(西4) 4勝11敗 |
四股名は当時
※は金星ではない黒星
今回で『11回目』であり、珍しいと言えば珍しいが特段珍しい記録でもないと言った所か。
実は照ノ富士自身2回目の記録である。しかも前回は金星を3つ配給している。
照ノ富士は今回の優勝で兄弟子の日馬富士の優勝回数に並んだが、ここでも日馬富士の記録に並ぶことになった。
錚々たる横綱でも1場所に2つ以上金星を配給することはあるわけだが、そこからでも優勝を果たすというのは力がなければ出来ない事だろう。
とはいえ照ノ富士はここ2年程、皆勤、途中休場問わず、出場した場所全てで金星を配給している。
今場所の活躍は素晴らしかったが、平幕への取りこぼしを減らす事が今後の課題であるか。
身体はボロボロだろうが、霧島戦、琴ノ若戦を観るとまだまだ壁として立ちはだかってほしい気持ちが強い。
今後の照ノ富士にも注目である。