大相撲春場所千秋楽から早1週間。
この1週間は月末週という事で余計早く感じており、いわゆる『相撲ロス』もそこまで感じなかった。
春場所は尊富士が優勝を果たし『110年ぶりの新入幕優勝』が話題となった。
この凄さに関しては相撲観戦している人ならばすぐにわかることだが、やはり話題性として十分だったのか、相撲観戦していない人でも耳にするレベルだったようである。
そのため『相撲凄かったんでしょ?』『110年ぶりなんでしょ?』等と声をかけられることが多かった。
新入幕優勝もそうだし、初土俵から所要10場所もとんでもないし、そして何気に幕尻優勝でもあった。
優勝ばかりに目がいきがちだが、今場所の尊富士は『三賞トリプル受賞』も達成している。
これは『6人目』の達成者であり、十分珍しい記録である。
今回は三賞トリプル受賞について触れていくが、過去の達成者は以下の通りである。
場所 |
成績 |
翌場所成績 |
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昭和48年夏場所 |
大受(東関脇) |
13勝2敗 |
2勝6敗7休(東大関1) |
昭和48年秋場所 |
大錦(西筆頭11枚目) |
11勝4敗(次点) |
3勝12敗(東小結1) |
平成4年初場所 |
貴花田(東前頭2枚目) |
14勝1敗(優勝) |
5勝10敗(西関脇) |
平成11年名古屋場所 |
出島(西関脇) |
13勝2敗(優勝) |
10勝5敗(東大関2) |
平成12年九州場所 |
琴光喜(西前頭9枚目) |
13勝2敗(次点) |
4勝11敗(西関脇1) |
令和6年春場所 |
尊富士(東前頭17枚目) |
13勝2敗(優勝) |
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優勝絡みや新入幕で相当な活躍をした力士が受賞している。
まず初めての受賞となった大受だが、優勝でもなく(ちなみに唯一の次点でもない)、新入幕でもなくトリプル受賞を果たしている。
この場所は関脇以下でその他大勝ちした力士が存在せず(西前頭7枚目の増位山、西前頭12枚目の龍虎の10勝が最高)、14勝1敗で同点だった横綱北の富士を下して優勝したことでトリプル受賞となったか。
大錦は成績こそ飛びぬけたものではないが、新入幕で横綱琴櫻、大関貴ノ花を下したことが評価されてトリプル受賞となった。
貴花田、出島は上位圏内で優勝を果たしてトリプル受賞となった。
琴光喜は入幕2場所目であるが、新入幕の場所が全休であり、実質新入幕の場所で大勝ちし、さらには1横綱3大関を下したことが評価されて受賞となった。
しかしトリプル受賞を果たした翌場所勝ち越した力士は出島だけである。
来場所の尊富士はどうなるか。
上記でも少し触れているが、トリプル受賞を果たした場所の横綱・大関戦は以下の通りである。
最終番付 |
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輪島(横綱) |
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大錦 |
清國(大関) |
小結 |
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霧島(大関) |
霧島 |
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出島 |
曙(横綱) |
曙 |
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出島(大関) |
出島 |
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尊富士 |
豊昇龍(大関) |
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その時の上位の人数、調子等も加味されるため判断は難しいところだが、冷静に考えると尊富士の上位戦は2名に留まる。
これは貴花田と同じで最少人数である(貴花田の場合この当時横綱不在で2大関のみ)。
尊富士の場合、最初に役力士戦割を組まれた小結阿炎を圧倒した一番、また同じく平幕で活躍していた大の里の印象が相まっているものがあるか。
いずれにしても文句のつけようがない優勝ではあるのだが。
最終番付に目を向けると、貴花田は説明不要の後の大横綱貴乃花であり、一時代を築いた力士である。
大受、出島に関しては大関としてあまり結果を残すことは出来ず、両者ともに短命大関である。
琴光喜は大関昇進を果たしたのがこのトリプル受賞から約7年後の事であり、結果的には苦労人と言える。
大錦に関してはこの翌場所小結に昇進し、結局三役在位はこの1場所のみである。
大関まで昇進できること自体素晴らしい事ではあるが、それでもファンが望むような最高の結果を残したのは貴乃花だけと言っても過言ではないかもしれない。
ただでさえ尊富士の期待値は大きく跳ね上がっている。
この先尊富士はどのような成績を残していくだろうか。