大相撲名古屋場所も残り3日間。
優勝争いも大関取りも佳境を迎えている。
注目は上記2点であるが、新入幕力士『豪ノ山』『湘南乃海』『伯桜鵬』の活躍も目立っている。
豪ノ山に関しては5日目終了時点でも触れたが、新入幕で初日から5連勝し、素晴らしい押し相撲を見せている。
5連勝の後4連敗、しかも内容が下火だったため心配されたが、ここ数日はらしさが戻ってきているように感じる。
湘南乃海は場所前の評価としては豪ノ山、伯桜鵬にやや劣っている印象を受けたが、元々期待の大きい力士であった。
幕下で苦戦したが、十両は3場所で通過し、今場所も新入幕で白星を積み重ね、終盤戦早々役力士と割が組まれ、さらには優勝争い先頭を走る錦木と割が組まれている。
しかもその中錦木に勝利したため、さらに注目を集めている。
伯桜鵬はデビューから注目されていた若手有望株であり、所要3場所で新入幕となり、今場所も期待に違わず役力士と割が組まれそれに勝利し、優勝争いでも現在四股名が残っている状況である。
豪ノ山が勝ち越しを決めれば、新入幕3名全員が勝ち越しということになる。
皆がそれぞれ良さを発揮しているが、新入幕3名が勝ち越しは過去に何回あるだろうか。
詳細は以下の通りである。
昭和33年秋場所 |
若秩父(西前頭18枚目) 12勝3敗(次点・敢) |
富樫(前頭20枚目) 9勝6敗 |
豊ノ海(前頭21枚目) 8勝7敗 |
昭和52年初場所 |
琴風(西前頭11枚目) 8勝7敗 |
大ノ海(東前頭12枚目) 9勝6敗 |
大登(西前頭12枚目) 8勝7敗 |
昭和60年春場所 |
琴ヶ梅(西前頭12枚目) 8勝7敗 |
花乃湖(西前頭13枚目) 9勝6敗 |
服部(東前頭14枚目) 8勝7敗 |
昭和62年九州場所 |
琴稲妻(東前頭12枚目) 8勝7敗 |
南海龍(西前頭12枚目) 8勝7敗 |
恵那櫻(東前頭13枚目) 9勝6敗 |
平成3年九州場所 |
武蔵丸(東前頭12枚目) 11勝4敗(敢) |
貴ノ浪(東前頭13枚目) 8勝7敗 |
鬼雷砲(東前頭15枚目) 9勝6敗 |
平成9年秋場所 |
千代大海(西前頭11枚目) 8勝7敗 |
若ノ城(東前頭13枚目) 8勝7敗 |
安芸ノ州(東前頭15枚目) 8勝7敗 |
平成12年名古屋場所 |
高見盛(東前頭11枚目) 10勝5敗(敢) |
戦闘竜(東前頭13枚目) 8勝7敗 |
安美錦(西前頭13枚目) 10勝5敗(敢) |
過去は7回である。
そして実は過去に『新入幕4名が勝ち越し』というパターンも存在する。
それは以下の通りである。
平成2年秋場所 |
若花田(西前頭10枚目) 8勝7敗 |
大翔山(東前頭12枚目) 8勝7敗 |
貴闘力(東前頭13枚目) 11勝4敗(敢) |
曙(東前頭14枚目) 9勝6敗 |
妙義龍(西前頭11枚目) 10勝5敗 |
松鳳山(東前頭15枚目) 10勝5敗 |
佐田の富士(西前頭15枚目) 8勝7敗 |
碧山(東前頭16枚目) 11勝4敗(敢) |
上記表を見ると、同時に勝ち越しを決めたグループの中で必ず横綱・大関が誕生するといった法則はない。
そして表の通り『新入幕3名が二桁』というのは平成23年九州場所の1回だけである。
この場所はいわゆる『新入幕二桁で敢闘賞』に該当したのは11勝で最も白星挙げた碧山のみとなった。
そのため新入幕で2名同時に三賞受賞は上記表の平成12年名古屋場所の『高見盛・安美錦』、そして上記表とは別に平成30年初場所の『阿炎・竜電』の2回だけである。
机上の空論だが、現段階では豪ノ山、湘南乃海、伯桜鵬が全員二桁勝ち、そして全員三賞受賞という展開も考えられるということである。
まず豪ノ山に関しては残り全て勝たなくてはならないし、そもそもその他力士との兼ね合いを見ても厳しいだろうが、残り3日間こういった観戦の仕方も面白いかもしれない。
とりあえず豪ノ山も勝ち越しを決めてほしいところである。