きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

689. 2023年名古屋場所12日目を勝手に語る

快進撃を続けていた錦木が新入幕の湘南乃海に敗れ、3関脇も全滅した12日目。

優勝争いは再び錦木と北勝富士の2名が先頭で並ぶ展開となった。

まず単独先頭を走っていた錦木だが、立ち合いは両者ふわっと立ち、左四つに組む展開となった。

両者力の出る四つだが、錦木が我慢出来ず右巻き返えを狙ったところ、湘南乃海が圧力をかけてから小手投げを決めた。

湘南乃海としては錦木のお株を奪うかのような力強い小手投げを決めたわけだが、錦木としてはさすがにあの巻き返えは無理があったか。

思えば2日目、照ノ富士に勝ったときも窮屈な状態から巻き返えを成功させてすくい投げを決めたが、もしかしたら湘南乃海としては巻き返えを予想していたのかもしれない。

真相は不明だが、錦木は意外なところで落としてしまったという思いが強い。

関脇陣を総なめにし、苦手の遠藤を圧倒するなど強い錦木を見てきたが、優勝争い単独先頭の立場で初顔合わせと割が組まれるというのが錦木にとって重圧が大きかったのかもしれない。

琴ノ若に敗れて初黒星を喫した翌日以降、見事に修正して変わらず強さを発揮してきた。

しかし優勝争いが佳境を迎える終盤戦で明日も新入幕と割が組まれている中で修正していけるかどうか。

錦木にとって今場所は一世一代の勝負の場所だろう。
精神論になるが、残り3日間ここからは気力勝負だろう。
踏ん張りどころである。

一方湘南乃海としては新入幕としては上々の成績を挙げていたとはいえ、優勝争いに絡むほどの成績ではなかった。
いきなり小結と当てられたり、優勝争い先頭の力士と当てられて散々な感じでもあるが、その中でもしっかり相撲を取ることが出来ているし、本日も白星に結びつけている。

関取へ昇進してから快進撃が続いているが、今場所も二桁に乗せられるか注目である。
私個人としてはいわゆる『新入幕10勝の敢闘賞』ではなく、9勝でも十分に受賞に価値があるくらい本日の白星は大きいと思う。

錦木が敗れた後に土俵へ上がった2敗同士『豊昇龍ー北勝富士』。

豊昇龍にとっては優勝と大関昇進を同時に手繰り寄せるチャンスが舞い降りてきた訳だが、北勝富士相手に良いところなく敗れた。

北勝富士としては、この相撲を取ることが出来ればまだまだ上位圏内の力量を発揮できるということを証明した一番にもなった。

頭を上げず前傾姿勢を保ち、豊昇龍に引かせる相撲を取った。

かつて上位に定着していた時、白鵬鶴竜からも白星を挙げていた頃の北勝富士らしい相撲を思い出させてくれた。

昨年秋場所の屈辱をバネにすることが出来たか。
ここから連敗して終わってみれば10勝となっては昨年秋場所と同様だが、秋場所と異なる点は役力士相手に自分の相撲を取って白星を挙げたということだ。

残り3日間、明日の遠藤戦は確定として霧島or大栄翔、錦木と割が組まれるだろうから楽な相手は存在しないが、本日のような相撲を取ることが出来ればひょっとしたらがあるかもしれない。

一方豊昇龍は3敗に後退し、優勝争いもそうだし、目安の『3場所33勝』にも後がなくなった。

ここまで全体を通じて良い点が勝っていることは間違いないが、気掛かりなのは『連勝中の相手に黒星を喫している』ことである。

琴ノ若には10連勝中だったし、本日北勝富士にも5戦負けなしだった。

油断していたわけではないだろうが、一方的に敗れていることも気掛かりである。

残りの対戦相手は大関と関脇である。
互角以上の相手にしっかり力を発揮出来るかどうか。

大栄翔が終盤戦にきて痛手となる連敗。
しかもここに来て大栄翔の悪い負け方である突っ込んで引き、叩きを食うパターンである。

昨日苦手霧島に敗れたことで、やはり精神面に影響を及ぼしたか。

逃げも隠れもしない玉鷲相手とはいえ、あまりにも無策に突っ込んでしまった。

豊昇龍同様『3場所33勝』に後がなくなった。
ここに来て大栄翔の相撲にばらつきが見え始めたが、残り3日間で修正出来るかどうか。

若元春が霧島に相撲を取らせてもらえず4敗目。
今場所『3場所33勝』には届かない成績となった。

まず成績云々よりも、何も出来ず敗れたことが問題だろう。
若元春自慢の粘り腰もまるで見られなかった。

そしてここ2日間の霧島の相撲が素晴らしい。
大関昇進を狙う関脇相手に力を出させず圧倒している。
『これぞ大関』という堂々とした取り口である。

本当の意味で怪我が癒えてきたのか。
また大関としての重圧、さらにはただ一人の上位陣という重圧にも慣れつつあるのか。

割崩しはされていなくても、割の順番を変更されているという事はやや屈辱的な事だと思うし、その中で力を示しているのは立派である。

これで星を五分に戻したが、明日の豊昇龍相手にも壁として立ちはだかる事が出来るかどうか注目である。

気が付けば優勝争いの中に四股名が残っている新入幕3敗の伯桜鵬。

本日は小結阿炎との割が組まれたが、伯桜鵬の良さが存分に発揮された一番と言えるだろう。

立ち合い当たってからすぐに引いてしまいどうかと思ったが、その後の粘り腰、足腰の良さは天下一品であり、相手の引きに乗じて前に出る辺りも勝利への嗅覚が冴え渡っているか。

取り組み後、肩を気にしていたため気掛かりだが、今場所だけに限らず、今後も期待できる力士であることは間違いない。

明日の注目の割は
『霧島ー豊昇龍』
『錦木ー伯桜鵬』
この2番である。

何だかんだで2敗、3敗の4名で役力士は豊昇龍だけとなり、関脇陣の大関取りも背水の陣と言えるだろう。

平幕の勢いに押される形となっているが、その陰の立役者は霧島と言えるか。

やはり番付上位の霧島を倒さない限り、大関昇進は見えてこないということか。

大栄翔、若元春は為す術なく霧島に敗れた。
豊昇龍はこの壁を越えることが出来るかどうか。

今思えば先場所関脇陣で唯一霧島に勝ったのが豊昇龍だった。
この辺りもどのように影響するだろうか。

錦木は連日の新入幕との対戦である。
伯桜鵬とは相四つだが、伯桜鵬は中に入る巧さも持っている。

昨日までのどっしり構えた錦木ならばもろ差しを許しても両外廻しを引き付けて攻める姿が思い浮かぶが、如何せん本日の黒星によりどうなるか。

全員に共通する事だがここまで来たら白星が絶対である。
誰が気力で白星を掴み取るのか。
そこが残り3日間の見所だろう。