きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

698. 今場所の三賞に関して

本日豊昇龍の大関昇進伝達式が行われた。

正式に『大関豊昇龍』が誕生したが、とにもかくにも怪我には気を付けてほしいという思いが強い。

 

さて名古屋場所は場所を盛り上げた力士が多く存在し、結果的に盛り上げた力士全員が三賞を受賞したと言っても過言でないほどのレベルだった。

 

7名の受賞、三賞総数8個、同一三賞(敢闘賞)に6名といずれも過去最多である。

条件付きが4名存在したため、最少で三賞総数4個の可能性もあったが、条件付きの力士は全員勝利したため受賞となった。

 

2場所前、若元春が技能相撲を遺憾なく発揮し、最終的に11勝しながら三賞なしだったことを考えると随分と大盤振る舞いに感じる。

この背景には『新入幕3名』が挙げられるだろう。

 

新入幕の場合『10勝したら敢闘賞』という暗黙のルールがあるが、これはもちろん絶対ではない。

過去には10勝しながらも三賞受賞ならずというパターンも存在する。

ちなみにそれは以下の通りである。

場所

四股名

成績

その場所の三賞

昭和33年九州場所

若三杉(西前頭19枚目)

10勝5敗

3名(敢闘賞1名)

昭和36年初場所

佐田の山(東前頭12枚目)

10勝5敗

3名(敢闘賞1名)

昭和39年初場所

若見山(東前頭14枚目)

10勝5敗

3名(敢闘賞1名)

昭和40年秋場所

福の花(東前頭14枚目)

10勝5敗

3名(敢闘賞1名)

昭和47年名古屋場所

北瀬海(東前頭13枚目)

10勝5敗

3名(敢闘賞1名)

平成19年夏場所

龍皇(東前頭14枚目)

10勝5敗〇

3名(敢闘賞1名)

平成19年九州場所

若麒麟(西前頭15枚目)

10勝5敗

3名(敢闘賞1名)

平成20年名古屋場所

将司(東前頭16枚目)

10勝5敗

3名(敢闘賞1名)

平成23年名古屋場所

富士東(東前頭15枚目)

10勝5敗

2名(敢闘賞1名)

平成23年九州場所

妙義龍(東前頭11枚目)

10勝5敗〇

3名(敢闘賞2名)

平成23年九州場所

松鳳山(東前頭15枚目)

10勝5敗

3名(敢闘賞2名)

※成績隣の〇は14日目までに10勝している力士

 

昭和40年代までは『三賞は各賞1名ずつ』という事が大半だったため、現在とは時代背景による問題も大きいが、平成19年、平成20年には立て続けに見受けられる事態となった。

平成2年名古屋場所の富士東は、三賞の総人数も2名に留まっており、受賞させても何ら問題ないと思われるが受賞はならなかった。

上記表にも記載通り、また場所途中に新入幕に関することを記載したが、平成23年九州場所では新入幕の碧山、妙義龍、松鳳山が全員二桁の白星を挙げたが、三賞を受賞したのは3名の中で最も白星を挙げた(11勝)碧山だけが受賞となった。

今場所も平成23年九州場所を例に出すならば、伯桜鵬のみが受賞、豪ノ山と湘南乃海は涙を呑む形となるのだが、結果的に全員受賞となった。

私自身もそうだし、予想屋さんの多くも豪ノ山と湘南乃海を予想から外した人は多かったのではないだろうか。

それだけ伯桜鵬の活躍が光り過ぎていたこともあったし、平成23年九州場所の事例、優勝争いをしている力士を優先することを考えたらそうなるだろう。

そして私自身、最も驚いた受賞が『琴ノ若』である。

今場所の琴ノ若は東小結で11勝。

単純にこの成績だけを見れば何ら不思議ではない。

むしろこれだけ見れば『受賞は普通』と考える方も多いだろう。

しかし今場所15日間を見た上で琴ノ若を挙げられたかと言えば否、如何せん頭から抜けていた。

もちろん今場所の琴ノ若の活躍は素晴らしかった。

2関脇を下しており、その内1名は優勝した豊昇龍である。

錦木に初黒星を付けたのもそうだし、新入幕の湘南乃海、10連勝と波に乗っていた竜電の壁にもなった。

そして最終的には優勝した力士と星の差1つであるし、星の上でも内容面でも文句なしである。

しかしなぜ三賞候補に挙げられなかったかというと『優勝争いからは早々脱落していた』ことが挙げられる。

千秋楽の割が組まれる前までは琴ノ若も優勝の権利は持っていたが、割の関係で4敗力士の優勝は消滅してしまった。

しかし割云々の前に今場所の琴ノ若は優勝争いをしていたというより、先頭グループが落ちてきたため、何だかんだで追いついてきたという印象が強かった。

そのため優勝争いを盛り上げた豊昇龍、錦木、北勝富士、伯桜鵬が優先されると思った。

そしてどうしても『新入幕の10勝=敢闘賞』の印象の方が強いため、私自身琴ノ若を候補には挙げていなかった。

それでも琴ノ若が条件付きで受賞と聞いた時、否定の気持ちは一つもなかった。

むしろ珍しく協会がしっかり上位圏内で白星を積み重ねた力士を正当に評価したので良かったと思ったくらいである。

結果的に三賞は大盤振る舞いとなり、この先どうなっていくのか注目であるが、今場所に至っては悪くないとは思っている。

私の思いとしては『新入幕の10勝=敢闘賞』は廃止して『新人賞』みたいなものを設けたら良いと思っている。

そうすることで今場所みたいな大盤振る舞いは減少するのではないだろうか。

三賞が少なければ批判の対象になり、大盤振る舞いでも文句を言う方がいるとは思う。

上記の通り今場所に限っては良いと思っているが、今後は工夫も必要になってくるだろう。