きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

609. そろそろ朝乃山に過度な期待を抱くのはやめにしないか?

大相撲初場所は終盤戦に突入し、優勝争いも熱を帯びている。

その中、十両の土俵で全勝の朝乃山に土がついた。

これで3場所連続黒星を喫したわけだが、これが全て11日目である。

偶然なのだろうが、それにしても恐ろしいものである。

朝乃山は幕下でも2敗を喫しているわけだが、本日の黒星が一番衝撃的だったと言っても過言ではないかもしれない。

押し相撲の一発を食らったでもなく、朝乃山得意の右四つに組んで敗れた。

完全に力負けである。
正直ぐうの音も出ないほどの完敗ではないだろうか。

幕下での2敗は土俵際の逆転、相手の引きについていけずといった内容だった。

特に幕下で最初に黒星を喫したときは、負ける可能性がある最もありがちなパターンと言っても過言ではなかった。

それを避ける意味でも今場所は慎重に相撲を取っているような印象を受けた。

相手を正面に置いているときは廻しに拘らず攻め切る事もあったが、基本右四つに組むことが多かった。

しかし本日は得意の右四つに組みながらも敗れた。

本日の対戦相手である大翔鵬には失礼だが、相四つのため朝乃山からすれば変化もなければ押しの一発もない、そして自分の形になりやすいと何も恐れる事のない相手だった。

それが蓋を開けてみれば力負け。

朝乃山のファンは数多く存在し、現役力士ナンバーワンと言っても過言ではないかもしれない。

その結果NHKの幕内の取り組み動画では十両力士でありながら毎日1位の視聴回数である。

しかしその一方で多くのファンが朝乃山に対して過度な期待を抱いている部分がある。

中には『貴乃花を彷彿とさせる』とまで期待しているファンもいるほどだ。

ファンが期待を抱くのは構わない。
好きな力士を応援、期待するのは良いことである。
しかし過度な期待は如何なものかと思うときもある。

小さい頃から貴乃花ファンの私からすればさすがにこの発言は片腹痛い。

片や平成の大横綱、そして右四つでも左四つでも廻しを引けば強く、廻しを切る技術に関しては歴代最高峰と言っても過言ではない。
四つ相撲の教科書と呼べる存在だろう。

片や幕内での最高成績は12勝、しかも上位圏内では1度だけ。
朝乃山が大関昇進を果たした頃から記載しているし、今場所も狼雅戦の後記載したが、右四つの完成度は低い(特に上手の取り方)。

だからこそ照ノ富士に5戦全敗という結果が残っている。

本日の相撲を見てもそうだ。
大翔鵬には何度も申し訳ないが、大翔鵬も右四つ得意の力士だが、四つの完成度は低い。

そのため大翔鵬は幕内在位5場所に留まるし、勝ち越しは1場所のみである。
さらにそれは4年前の出来事だ。

ここ4年程十両力士だった相手に力負けした。
だから貴乃花と比べることなどおこがましい。

さすがに冷静に判断してほしいという気持ちが強くなる。

朝乃山の今場所10日間の相撲を見て、強いと思うのは間違いない。

しかしあくまで『十両の土俵』である。

今場所幕内では阿武咲が好調である。
相撲内容も良く、強さも感じさせるが、それもあくまで平幕中位~下位での話である。
この先上位と割を組まれたらどうなるかわからない。

要は現状朝乃山もこれに近い感覚である。

朝乃山は元大関という実績がある。
しかも衰えて陥落したわけではないため状況は異なるだろう。

しかし幕下で2敗、十両で1敗は紛れもない事実である。

何度も言うが、好きな力士を応援、期待するのは良いことである。
ファンあっての大相撲だし、ファンにとってはそれが大相撲の楽しみ方でもある。

そしてこれだけ記載していると勘違いされるかもしれないが、私自身朝乃山にはちゃんと期待している。
早く戻ってきてほしい気持ちはある。

しかし朝乃山への過度な期待はどうにも現在幕内で突き抜けた力士がおらず、それを朝乃山がいれば全て解決出来るというニュアンスに聞こえてしまう。

ましてや朝乃山は28歳(来場所は29歳)と若手ではない。

何なら2~3年後、今の御嶽海や正代のように低迷する可能性だって秘められているのである。

この先は過度な期待をせず、静かに見守ることも必要ではないだろうか。

上位圏内で復帰し、大関復帰を果たし、その頃に再度期待をかけたら良いのではないだろうか。

今場所も残り全勝すれば幕内へ返り咲くチャンスはある。

まず期待するのはそこだろう。

そろそろ過度な期待を抱くのはやめにしよう。