『豊昇龍がいよいよ覚醒か?』
そう思わせる3日目の相撲内容。
本日注目の割である『豊昇龍ー御嶽海』。
豊昇龍のここまで2日間の内容は立ち合いの鋭さが目立っていた。
御嶽海もこの2日間は前に出る圧力が冴えており、昨日は若隆景を圧倒している。
そのため今場所を占う意味でも楽しみな一番だったが、豊昇龍が御嶽海を意に介さずといったところか。
立ち合い低く鋭く踏み込み、前頭ミツを取り引き付けて完勝。
私は常々豊昇龍に対して『型がない』『これといった強さがない』と記載し続けていた。
しかし今場所は私自身豊昇龍に求めていたものが存分に発揮されている。
まだ3日間のため、極論言えばこの先3勝12敗で終える可能性もゼロではない。
しかしこれまでの白星とは明らかに意味合いが異なる。
先場所の11勝よりも価値があるのではないかとすら思わせる程の素晴らしい相撲内容である。
豊昇龍の相撲内容が確立されつつある。
3日目にして早くも注目するべきは豊昇龍のみになってしまうか。
敗れた御嶽海は豊昇龍が完璧な相撲を取ったことは間違いないが、受けに回ったときの脆さは変わらずといったところか。
ここ数場所そうだが、攻めているときは強いが守りに入ると、いや守ることすら出来ずに敗れる事が多い。
このまま崩れてしまえば結局ここ4場所と何ら変わらないためこの先どうなるか。
貴景勝、若隆景が連敗を免れた。
貴景勝はこのところ7連勝中の大栄翔とはいえ、この2日間大栄翔の突き押しも冴えている。
激しい突っ張り合いになり、貴景勝は土俵際まで押し込まれたが、何とか逆転の突き落としを決めた。
押し込まれる展開になったが、貴景勝としては安易に引かず、しっかり突き押しに応戦して我慢できたことが勝因だろう。
序盤で連敗だけは避けたかったため、良い白星だったのではないだろうか。
若隆景もうるさい翔猿相手だったが、右四つに組み止めることに成功した。
出し投げで崩す辺りはさすがといったところか。
敗れた翌日に完勝出来たことは大きい。
その他役力士で白星先行は霧馬山。
左四つに組むと力を発揮する若元春相手に突っ張りで主導権を握ることが出来た。
先場所も記載したが、ここ最近の霧馬山は突っ張りの威力があり、しっかり武器として使うことが出来ている。
初日は攻め急ぐ場面があったが、この2日間は完勝と言えるだろう。
大関復帰を狙う正代が3日目で初日を挙げた。
苦手の琴ノ若であり、本日も立ち合い踏み込めてはいなかったが、体を入れかえて反撃することが出来た。
正直内容はパッとしないが、この力士は1つの白星をきっかけに化ける可能性があるためこの先どうなるか。
一方新三役の琴ノ若が3連敗。
この3日間攻める場面はあるが、腰高の印象を受ける。
ややばたついている印象も見受けられるため、落ち着いて相撲を取ることが重要になってくるか。
まぁ新三役の緊張もあるだろうが。
気掛かりなのが高安である。
本日は立ち合い張り差しを選択したが、どうにも腰が軽い様子である。
玉鷲に起こされて呆気なく押し出されてしまった。
怪我による影響なのか不明だが、このまま修正困難となればずるずるいってしまう可能性が高い。
一方2場所前の覇者玉鷲は元気いっぱいである。
昨年の玉鷲は序盤戦好調で中盤戦以降崩れるというパターンが多く見受けられたが、秋場所は優勝にまで上り詰めた。
実力者であることは誰もが認識しているため、この先も楽しみである。
そして先場所の覇者阿炎も動き良く3連勝。
明生相手に右腕を手繰られたが、慌てることなく反撃することが出来た。
圧倒する相撲内容ではないものの、優勝した翌場所でも気負いなく挑むことが出来ている。
3日間対戦相手はいずれも小結であり、やはり実力では阿炎の方が上といったところか。
明日の注目の割は
『豊昇龍ー玉鷲』
この一番である。
相撲内容も伴った全勝同士対戦である。
この3日間の相撲内容で考慮するならば、豊昇龍が立ち合い低く鋭く踏み込み圧倒するというイメージが浮かぶ。
冒頭の方でも記載したが、それだけ今場所の豊昇龍は強さが目立っている。
逆にここで玉鷲が勝つようならば、またまた玉鷲に期待が寄せられ、そして混沌とする展開に陥る可能性もある。
豊昇龍は今場所大関への足固めの場所と言えるだろう。
本気で大関を目指すならば相手が2回優勝を果たしている実力者といえど、ここで落とすわけにはいかない。
3日目が終了したばかりでまだまだ先は長いが、それでもここで豊昇龍が負けるようならばここ数場所ように平幕力士が優勝を果たすお馴染みのパターンになる可能性も高いだろう。
もちろん貴景勝、若隆景もまだ1敗を喫しただけであるため、この先どうなるかわからない。
とはいえこのまま全勝でいくとは考えにくい。
関脇にかける期待としては大きいかもしれないが、豊昇龍は明日の玉鷲戦、ぜひとも白星を掴んでほしいところである(もちろん玉鷲に負けろと思っているわけではないのであしからず)。