きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

590. 2022年九州場所千秋楽を勝手に語る

25年ぶりの複数人による優勝決定戦。
そして28年ぶりの3人による優勝決定戦巴戦。

その中で阿炎が見事に1日3勝の大逆転優勝を果たして幕を閉じた2022年大相撲九州場所

平幕力士が優勝決定戦で役力士を下して優勝を果たすのは史上初である。

昨日阿炎が有利に感じてしまうと記載したが、実際逆転優勝を目の当たりにすると驚きが強い。

ここ数場所、巴戦になってもおかしくないほどの混戦に陥ることが多かったが、結果的に単独優勝及び2名による優勝決定戦に留まっていた。

それが久々に巴戦へ突入し、観戦することが出来たというのはファンにとっては大きな喜びなのだろうが、高安からすれば気の毒な結果になってしまった。

もちろん阿炎の大逆転優勝は素晴らしい。
平幕力士が1日3勝、ましてやその中には大関戦も含まれている。

全て自分の相撲を取り切って見事大逆転優勝を決めた。

それぞれ優勝争いに関与する本割も熱戦だった。

まず『高安ー阿炎』の一番。

この日、そしてこの場所最大の注目の割。

高安としては決して動きは悪くなかった。
今年の春場所のように重圧に押し潰されて何も出来ないということはなかった。

むしろ攻めの姿勢は貫いていたと思う。
しかしそれでもやや慎重になり過ぎたという面はあったかもしれない。

阿炎を押し込んでいくが、土俵際の逆転を警戒してそこまで踏み込んでいかなかった。

それでもあの場面で強引に攻めていたら昨日豊昇龍のように叩きを食っていたかもしれない。

あの場面はどちらが正解だったかはわからない。

とにもかくにも阿炎がよく残し、捕まらずに最後まで動き回って高安を上回ったという内容だった。

そして『貴景勝ー若隆景』の一番。

貴景勝としては高安の結果を受けた後に土俵へ上がっているため、何が何でも勝ってやるという強い気持ちを持って臨んでいっただろう。

先場所立ち合い変化で敗れている相手だったが、そこへの迷いはなくしっかり当たっていった。

何度も当たって突き放し、途中張り手を交えて最後は叩き込んだ。

勝った後珍しくガッツポーズも見られたため、貴景勝大関としての責任、重圧と闘っていたのだろう。

優勝決定戦巴戦は結果的に本割と比較すると呆気ない取り組みにはなってしまった。

しかし最後まで自分の相撲を信じて貫いたのが阿炎だったのではないだろうか。

まず『高安ー阿炎』の一番は、阿炎が変化のような形で出会い頭かのごとく高安が脳震盪を起こしてしまった。

この大一番でも思い切ったことをするのが阿炎という力士である。

そして『貴景勝ー阿炎』の一番は、明らかに貴景勝に迷いが生じていた。

高安戦の立ち合い、過去の対戦成績など色々考えてしまい、本割のような貴景勝らしい相撲を取ることが出来なかった。

私自身、場所前阿炎は優勝候補の1人に名を挙げていた。

この番付ならば大勝しても何ら不思議ではない実力者だからである。

ある程度順当に白星を積み重ねていったが、それでも幕内に戻ってきて2場所連続12勝を果たした時と比較したら絶対的な強さはあまり感じさせなかった。

その結果9日目、10日目と連敗を喫してこの時点で先頭とは星の差2つ開いていた。

しかしここから王鵬、輝、豊昇龍、高安と優勝争いに名を連ねていた力士を全員下した。

14日目終了時点では最も不気味な存在だと思っていた。
阿炎が阿炎の相撲を取り切って掴み取った優勝と言えるだろう。

この優勝にケチをつける者など存在しないだろう。

そして高安。
今場所ほど優勝まであと一歩という場所はなかった。

王手をかけてからの同じ相手に連敗。
しかも優勝決定戦は不完全燃焼と言える内容である。

高安にとっては地獄のような1日になってしまっただろう。

しかし収穫もあったと思う。
それは15日間上位総当たりの地位で相撲を取り続けても、まだまだ結果を残すことが出来るということである。

正直私自身、場所前高安が優勝争いするとは予想していなかった。

確かに今年の春場所秋場所と優勝にあと一歩というところまで来ていたが、この時は上位総当たりの地位ではなかった。

現に今年の夏場所では上位総当たりの地位で6勝9敗と負け越している。

春場所秋場所は上位と割は組まれていたため、仮に優勝していても何一つ文句はなかったが、ある意味では今場所が最も力を発揮した場所と言えるだろう。

15日間通して、極端に悪い相撲はなかった。
自分を信じて相撲を取ることは出来ていた。
ただ千秋楽は阿炎がそれを上回った。
そんな感じだと思う。

高安だけでなく、高安ファンにとっても地獄のような1日だったと思うが、高安の優勝を皆待ち望んでいるだろう。

間違いないなく少しずつ近付いている。
重圧に打ち勝つ場面も見受けられる。

月並みの言葉だが、まだまだがんばれ高安。

最後に貴景勝
ゲンの良い九州場所のため場所前の期待は大きかったと思うが、3日目、4日目と敗れたときはその期待は裏切られたような気分だった。

その後修正したかに見えたが、9日目に3敗目を喫したときは今場所も二桁勝って終わりという思いが強くなった。

しかし貴景勝は腐ることなく、10日目からは全て白星を並べて巴戦まで辿り着いた。

御嶽海の場所後の大関復帰が叶わなくなり、正代も場所後の大関陥落が決定し、大関に対する評価がかなり厳しくなっている中で、貴景勝は重圧に打ち勝って責任を果たしたと言えるのではないだろうか。

平幕に決定戦敗北したというのは印象が悪いかもしれない。
それでも貴景勝を責める者は少ないと思う。

来場所は1人大関となり、照ノ富士の復帰もいつになるかわからない。

今場所以上に重圧のかかる場所になる可能性も高いが、今場所のように諦めない気持ちを持っていればチャンスはあるだろう。

今場所はまだまだ語りたいことが多いが、三役から平幕上位の力士が比較的好調だったことは良かったと思うし、その中で貴景勝が巴戦に出場したことは良かっただろう。

そして何より引退した千代大龍を除いて途中休場なしで場所が進んでいったことが良かった。

来場所以降も無事に場所が迎えられることを切に願う。

これで今年の大相撲も90日間終了した。
私自身、本日で今年が終了したようなものである。

今年も残るところあと僅かだが、なんぼか投稿しようとは考えている。

相撲ファンの皆様も15日間お疲れ様でした。