役力士の全勝が消滅した秋場所3日目。
『やはり御嶽海か』と思うところも少しはあるが、それ以上に明生がここ2日間素晴らしい相撲で連勝としたことが私個人としては喜ばしい。
ここ数場所は低迷しており、大きく番付を落としてからも中々大勝することが出来なかった。
今場所も番付運良く上位に復帰したため、正直あまり期待していなかったが、思った以上に明生が復調しているように感じる。
やはりこの力士は上位で活躍してほしい力士だと思う。
そして敗れた御嶽海に話を移すが、立ち合いの当たりこそ悪くなかったが、密着した状態から我慢出来ず引いて墓穴を掘ってしまった。
おそらく少し引いてから体勢を立て直したかったのだろうが、横に回り込むことが出来なかった。
敗れたこと自体は残念だが、悲観するような内容ではないため、明日以降修正していってほしいところである。
そして本日注目の『照ノ富士ー琴ノ若』。
正直琴ノ若としては工夫が足りなかったか。
たぶんもろ差し狙いだったと思うが、照ノ富士相手に簡単になれる形ではない。
過去にももろ差し狙いで敗れているため、もろ差しを狙うにしてももう少し工夫がほしかった。
一方連敗を免れた照ノ富士だが、相撲内容こそ悪くないが、膝の状態が思わしくないか。
本日の勝敗云々より15日間相撲を取り切ることが出来るのかどうかという不安がある。
翔猿を正面においていたため、全く危なげのない相撲だった。
初日は苦手に屈したが、この2日間は小兵力士相手にらしさが出ている。
正代が翠富士に敗れ連敗。
ここ数場所の序盤戦と比較すればまだマシなのかもしれないが、嫌な雰囲気は漂っている。
上位初挑戦場所の翠富士相手に翻弄されっぱなしだった。
また迷いが生じてしまっているのか、早く立ち直ってほしいところである。
そして役力士で最も深刻なのが若隆景か。
本日もやや合い口の悪い霧馬山とはいえ、一方的に敗れてしまった。
霧馬山は若隆景戦では立ち合いから突っ張って来ることが多く、若隆景もそれは頭に入っているはずだが、対処できず一方的に敗れた。
粘り腰が信条の若隆景があっさりと土俵を割ってしまっている姿を見ると心苦しいものがある。
どこかできっかけを掴んでほしいところだが。
先場所の覇者逸ノ城が豊昇龍に敗れ連敗。
豊昇龍に左前ミツを許し、終始豊昇龍ペースの中、最後は外掛けで転がされた。
場所前から懸念していたが、逸ノ城としては同格相手に結果を残せるかどうかが鍵となると思っていたので、本日の相撲を見るとやはり同格相手が厳しいと言わざるを得ない。
とはいえまだ3日目であり、同格との対戦は本日が初のため、何とも言い難いところもあるのだが(しかも厳密に言えば番付は豊昇龍の方が上)。
平幕下位に目を向けると、新入幕の平戸海が素晴らしい相撲内容で初日から3連勝とした。
一応十両時代から知ってはいるし、中卒叩き上げという知識もあるが、私の中で平戸海は『大勝と無縁の力士』というイメージがある(平戸海ファンには大変申し訳ないが)。
現に幕下以下は通算32場所在位しており、全勝・優勝経験なし、6勝に関しても2回しか経験していない。
十両に昇進してからも、先場所こそ10勝したが、それでも大勝というレベルではない。
そのため印象としてはやや薄かったのだが、逆に言えば『大負けもしていない』ため、コツコツと着実に力をつけた結果、新入幕の場所でも気後れすることなく、自分の相撲が取り切れているのかもしれない。
まだ3日目だがこの先も楽しみである。
明日の注目の割は
『照ノ富士ー明生』
この一番である。
上位に戻ってきてこの2日間素晴らしい相撲を取っている明生が照ノ富士に挑む。
昨日記載したが、明生は『横綱照ノ富士』には勝ち越しているため、照ノ富士としても油断できない相手である。
照ノ富士の膝の状態はあまり思わしくないだろうから、明生にもろ差しを許し、強引に引っ張り込むような相撲を取ると相撲内容としても膝にもよろしくないだろう。
明生としてはここ2日間のようにしっかり踏み込んでもろ差しの形を作ることが出来るかどうか。
またもろ差しになっても照ノ富士に極められないように工夫する必要がある。
3日目で役力士の全勝が消滅したが、この先誰が場所を引っ張っていくのか。
貴景勝、御嶽海は踏ん張りどころだろう。