きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

398. 2021年秋場所千秋楽を勝手に語る

照ノ富士が年6場所制以降で5人目となる新横綱優勝により幕を閉じた大相撲秋場所

先に土俵へ上がった妙義龍が敗れたため、結びの一番を待たずに優勝が決定した。

これに関して色々意見は飛び交うだろうが、私個人としては結び前に決定しても、照ノ富士がしっかり締めてくれたので良かったと思っている。

そして『照ノ富士ー妙義龍の割を組むべきだ』という意見に関しては昨日も記載した通り、上位圏外の下位力士が既に3敗を喫していることが悪いという考え方である。

また2大関が妙義龍の壁として立ちはだかる事が出来ず、その中で明生が役力士の意地を見せたという点においても良かったと思う。

まず『明生ー妙義龍』から振り返るが、妙義龍からすると立ち合いの踏み込みは良かったが、明生の方が当たりは強く、妙義龍の上体が起きてしまったため、タイミング良く明生が肩透かしを決めた。

妙義龍にしてはあっさり手をついたようにも見えなくはないが、それ以上に明生の当たりが強く、タイミングも良かったと思う。

妙義龍は昨日正代戦を見てもわかるように、速攻相撲を得意としており、かつては大関候補の1人でもあったが、やはり何度か記載しているように大勝するイメージがなかった。

2大関を下して11勝はもちろん素晴らしいのだが、優勝というラインで考えた場合、やはり12~13勝は難しかったか。

しかし今場所の妙義龍の活躍は素晴らしかった。
妙義龍がいなければ千秋楽まで縺れることすらなかったため、相撲内容を見ても技能賞は納得である。

結果的に消化相撲となった『照ノ富士ー正代』は照ノ富士がしっかりと締めた。

差し手争いでは正代有利と見ており、正代は左差しを果たしたものの、照ノ富士に胸を合わされては厳しい展開である。

正代が巻きかえにいったが、巻きかえにきたところを出るという定石でまさに横綱相撲だった。

今場所は長い相撲が多く、また相手を圧倒するというよりも守りの強さから白星を積み重ねていった。

2敗目を喫した明生戦を見ると、膝への負担がかなりかかっているのではないかと心配したが、その後3日間は落ち着いて白星へと繋げていった。

先場所優勝を果たしているとはいえ、白鵬も膝の状態が思わしくないとの情報があり、年齢から考えてもいつ引退してもおかしくないレベルである。

そうなるとこの先しばらくは今場所と似たような展開は続くだろう。

照ノ富士が独走するか、もしくは照ノ富士が膝の調子が悪く場所全体が荒れるか。

どちらかの状況には陥るため、いずれにせよ照ノ富士中心になっていくだろう。

照ノ富士としては膝の怪我とは常に隣り合わせであるため、終盤戦は毎場所のように苦戦を強いられる事になるかもしれない。

今後も照ノ富士の活躍には期待である。

余談だが照ノ富士は12勝による優勝が多かったが、これで2回目の13勝による優勝となった。

大関についても一応触れておこう。

正代はやはり場所前展望通り勝ち越しが関の山だった。

序盤戦を見る限りでは、今場所二桁に乗せる可能性はあると思わせたが、中盤戦重要所で敗れ、さらには終盤戦に至ってはあまりにも内容が酷すぎた。

平幕力士にいいようにやられ、これで奮起しないようならばこの力士は一生勝ち越しが関の山の力士で終わるだろう。

立ち合いの踏み込み、差し身の巧さは良いのだが、立ち合いの当たりを止められた後の展開があまりにも無さすぎる。

逆に攻められたときも上体があまりにも伸びすぎである。
顎を上げる癖は修正不可能だろうが、腰高に関しては修正しないと厳しいだろう。

貴景勝は初日から3連敗を喫したときは今場所は諦めた方が良いとすら思ったが、中盤戦は素晴らしい内容だった。

角番脱出を果たしたこと自体は良くやったとは思うが、角番脱出後の3日間は序盤戦の貴景勝に戻った印象である。

特に千秋楽の御嶽海戦は何だったのか。
首の怪我が完治していないのかそれとも再発してしまったのか。

首の怪我に関しては押し相撲である以上、これからも付きまとう問題だろう。

このところの貴景勝は良い場所と悪い場所を繰り返している印象だったが、このままでは正代同様勝ち越しが関の山になってしまう恐れがある。

良くも悪くもこの力士は突き押ししかないため、突き押しに必要な稽古を積んでいくしかないだろう。

関脇に目を向けると御嶽海は結局いつも通りだった。

要所で黒星を喫し、終盤戦は照ノ富士だけでなく、好調平幕力士相手にも見せ所なく敗れた。

私は今場所期待せずにいたが、今後もそれで良いと思った。

明生は新関脇の場所で終盤戦存在感を示して勝ち越しを決めた。

照ノ富士に勝つなど新関脇の場所としては十分な活躍と言えるだろう。

この先は上を狙う力士として期待されることが多くなるだろう。
その場合求められる成績は二桁であるため、今後の活躍に期待である。

場所前展望にて照ノ富士の次点として期待を寄せていた高安、逸ノ城の両小結だが、高安は序盤戦から見せ場なく途中休場となった。

年齢から来る衰えなのか、腰痛の問題なのか、大関復帰が白紙になったことによる精神面の問題か、はたまた全てか。

来場所は上位圏外に番付を下降させるだろうが、まだまだ奮起してもらいたいところである。

逸ノ城は要所で強さを発揮したが、8勝に留まるのは物足りなかった。

場所前コロナウイルス感染により稽古不十分の影響もあっただろうが、今場所を見てもわかるように強い時は本当に強い。

右四つの安定した相撲を取ることが出来れば三役定着は間違いないと思うのだが。

その他平幕力士に目を向けると、霧馬山、若隆景が確実に地力をつけている様子である。

霧馬山は後半戦に怪我の影響もあり失速したが、前ミツを引き付けての力強さは確実に増している。

やはり課題は立ち合いの踏み込み、圧力だろう。
目指すは日馬富士のような相撲だと思われる。

若隆景は関脇以上に全敗したが、小結以下には9勝1敗という成績だった。

おっつけをはじめとした相撲技術の高さは変わらず健在だが、前ミツを引き付けて食い下がる相撲も取ることが出来ればもっと白星が積み重なると思う。

今場所は立ち合いで圧倒される相撲もあったが、体重に関しては無理に増やす必要はないだろう。

照ノ富士横綱初黒星をつけた大栄翔は久々に二桁白星を挙げた。

今場所はらしい相撲が久々に見られたが、さらに加えるならば突っ張りの回転を意識させることではないだろうか。

初場所で優勝したときは両腕がしっかり伸びて相手に力を伝えていた。

この力士は爆発力を秘めているため、是非とも三役での活躍を見たいところである。

今場所途中休場もあり負け越しを喫した豊昇龍だが、要所で存在感を示した。

気掛かりなのはまだ相撲が大きすぎることか。

前ミツを引き付けて食い下がるような相撲を覚えたらもっと白星が増えてくると思う。

足腰の良さ、廻しを引いたら強いことは十分に証明しているが、大型力士に対しては食い下がる相撲も重要だろう。

今場所二桁に乗せた阿武咲、隠岐の海、遠藤。

阿武咲はやはり平幕中位ならば立ち合いの当たりの強さ、出足が光るが、これが上位総当たりならば厳しい印象を受ける。

来場所は上位総当たりの地位へ番付を上げるため、そこでの活躍を期待したい。

隠岐の海、遠藤はこの地位ならばやはり力が違ったか。

両者ともにここ数場所上位圏内における活躍が中々厳しいため来場所どうなるか。

三賞はほぼ予想通りだった。
条件付きの敢闘賞で妙義龍が挙がっていたが、最近は成績問わず優勝となれば2つ受賞させようとする流れが気になるところである。

14勝もしくは上位圏内の13勝ならばわかるが、下位で12勝ならば無理して2つにする必要はないかと思うのだが。

全体を通じて今場所は呆気ない相撲が多かった印象である。

もちろん中には豊昇龍の一本背負いのような派手な決まり手だったり、熱戦もあるにはあったが。

役力士が団子状態であり、平幕力士の壁として立ちはだかる事が出来ない役力士が多かったことも盛り上がりに欠けた原因だろう。

また割の編成に関してはそれなりに疑問点はあった。

それに関しては後日記載しようと思う。

とりあえず照ノ富士が13勝による優勝を果たしてくれたことは何よりだった。