早いもので大相撲春場所初日まで1週間を切っている。
各力士の情報はネットニュースで何となく目を通しているのだが、両横綱も出場する様子であり、順当にいけば久々の上位陣休場無しで初日を迎えられそうである。
場所の展望に関しては後日記載するとして、今回の題は『3小結』に関してである。
今場所は高安、御嶽海、大栄翔の3小結という番付編成である。
4小結は令和元年九州場所にみられたが、3小結となると平成12年夏場所以来実に21年ぶりの出来事である。
4小結となった令和元年九州場所では、平成18年九州場所以来13年ぶりの4小結であったため、それよりも遠ざかっていた3小結である。
年6場所制となった昭和33年以降、3小結は今回で『42回目』である。
昭和33年初場所から令和3年春場所まで全378場所であり、割合にすると11%程度となる。
回数にしろ割合にしろ思ったよりも多く感じたというのが正直なところである。
以下に過去の41回を表でまとめた。
年代 |
四股名(成績) |
昭和33年初場所 |
清水川(7勝8敗)、玉乃海(5勝10敗)、若前田(8勝7敗) |
昭和33年春場所 |
若前田(10勝5敗)、北の洋(6勝9敗)、時錦(4勝11敗) |
昭和33年九州場所 |
時津山(10勝5敗)、玉乃海(8勝7敗)、大晃(4勝11敗) |
昭和34年初場所 |
安念山(4勝11敗)、北の洋(7勝8敗)、若前田(10勝5敗) |
昭和34年春場所 |
若羽黒(10勝5敗)、若秩父(2勝13敗)、栃光(9勝6敗) |
昭和34年名古屋場所 |
北葉山(8勝7敗)、若羽黒(11勝4敗)、潮錦(3勝12敗) |
昭和34年九州場所 |
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若ノ海(6勝9敗)、冨士錦(7勝8敗)、栃光(8勝7敗) |
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若三杉(9勝6敗)、岩風(10勝5敗)、小城ノ花(7勝8敗) |
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冨士錦(7勝8敗)、青ノ里(3勝12敗)、若三杉(7勝8敗) |
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栃ノ海(11勝4敗)、羽黒花(9勝6敗)、栃光(10勝5敗) |
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昭和37年春場所 |
若三杉(6勝9敗)、栃光(10勝5敗)、青ノ里(5勝10敗) |
昭和40年九州場所 |
長谷川(7勝8敗)、琴櫻(10勝5敗)、明武谷(9勝6敗) |
昭和42年初場所 |
清國(3勝12敗)、麒麟児(9勝6敗)、富士錦(6勝9敗) |
昭和43年名古屋場所 |
栃東(5勝10敗)、海乃山(6勝9敗)、前の山(8勝7敗) |
昭和43年秋場所 |
陸奥嵐(4勝11敗)、前の山(9勝6敗)、若二瀬(8勝7敗) |
昭和47年初場所 |
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昭和47年夏場所 |
貴ノ花(11勝4敗)、福の花(6勝9敗)、魁傑(11勝4敗) |
昭和47年秋場所 |
豊山(5勝10敗)、前の山(5勝10敗)、富士櫻(4勝11敗) |
昭和49年初場所 |
富士櫻(9勝6敗)、魁傑(11勝4敗)、黒姫山(8勝7敗) |
昭和51年初場所 |
高見山(9勝6敗)、若三杉(4勝11敗)、富士櫻(3勝12敗) |
昭和51年夏場所 |
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昭和52年初場所 |
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昭和56年九州場所 |
北天佑(6勝9敗)、巨砲(7勝8敗)、朝汐(12勝3敗) |
平成3年秋場所 |
安芸ノ島(9勝6敗)、曙(7勝8敗)、琴富士(4勝11敗) |
平成3年九州場所 |
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平成4年春場所 |
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平成4年秋場所 |
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平成4年九州場所 |
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平成5年春場所 |
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平成6年名古屋場所 |
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平成7年秋場所 |
琴の若(4勝11敗)、剣晃(6勝9敗)、琴錦(10勝5敗) |
平成8年名古屋場所 |
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平成8年秋場所 |
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平成9年名古屋場所 |
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平成9年秋場所 |
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平成10年九州場所 |
武双山(9勝6敗)、出島(9勝6敗)、琴乃若(10勝5敗) |
平成11年初場所 |
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平成11年九州場所 |
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平成12年夏場所 |
この表を見てもわかるように、昭和33年~昭和37年までは大半が3小結による編成である。
またこの時代は2小結である方が珍しいくらいであり、4名在位することも多かった。
それ以降徐々に2小結であることが増加してきたが、時々3小結になることが見受けられるレベルとなっていった。
言い換えると、前頭筆頭もしくは3枚目辺りの8勝・9勝による勝ち越しは基本小結へ昇進させる傾向が強かった。
それと同時に関脇で7勝の力士は小結へ陥落するため、結果として『関脇で7勝した力士』『小結で8勝した力士』『前頭筆頭で8勝した力士』というような形で3小結になるというケースが大半だった。
また前頭5枚目、6枚目辺りで二桁を挙げた場合も小結へ昇進させる傾向が強かった。
この場合、3名ないし4名となるケースが多かった。
さらに付け加えると、優勝ボーナスによる昇進もほぼ決まりであったとも言える。
前頭下位で優勝を果たした琴富士、琴錦、貴闘力は皆小結へ昇進している(そして結果的に皆3小結となっている)。
特に貴闘力は前頭14枚目で13勝であり、単純計算ならば11枚上昇の3枚目付近が妥当であるが、一気に小結まで昇進している。
しかもこの場所は土佐ノ海、魁皇の両小結が勝ち越しを決めているのにも関わらずである。
しかしこの平成12年夏場所以降は3小結にすることはなくなり、平成24年名古屋場所の旭天鵬の番付を見てもわかるように、優勝ボーナスもあまり加味されなくなった(旭天鵬は夏場所前頭7枚目で12勝による優勝を果たしたが名古屋場所は前頭筆頭)。
その中、平成4年春場所の番付編成が当時としては思い切ったことを行っていると言える。
上記の通り平成4年春場所の3小結は栃乃和歌、若花田、水戸泉であるが、この前の場所である初場所の三役から前頭上位の成績は以下の通りである。
琴錦(7勝8敗) |
関脇 |
貴闘力(7勝8敗) |
栃乃和歌(8勝7敗) |
小結 |
曙(13勝2敗) |
水戸泉(8勝7敗) |
前頭筆頭 |
若花田(10勝5敗) |
貴花田(14勝1敗) |
前頭2枚目 |
大翔山(5勝10敗) |
武蔵丸(9勝6敗) |
前頭3枚目 |
両国(5勝10敗) |
まず関脇は曙、貴花田で確定だろうが、小結が非常に悩ましいところである。これを見ると現在の考え方でも非常に悩ましい成績となっている。
小結で勝ち越しを決めている栃乃和歌は確定、若花田も前頭筆頭で10勝ならば昇進させなければおかしいレベルである。
そして問題は両関脇である。
本来ならば両者7勝のため小結に留まることのできる成績だが、結果的に琴錦は東前頭筆頭、貴闘力は東前頭2枚目まで降下した。
西前頭筆頭が武蔵丸となったが、琴錦と貴闘力で1枚差をつけたのは疑問である。
おそらく現在ならば水戸泉は貧乏くじを引く形となるだろうが、琴錦、貴闘力も同様に小結に留まるのは難しいと判断される可能性は高かっただろう。
さて表を見てもわかるように、過去3小結全員が勝ち越した場所は昭和36年名古屋場所、昭和49年初場所、平成10年九州場所のわずか『3回』に留まる。
また全員が二桁勝利というケースは一度も存在しない。
今場所は高安、御嶽海、大栄翔と実力者が揃っており、全員勝ち越しにおいては十分可能であると考えられる。
余談だが、3小結時代に優勝を果たした小結は貴花田、若花田、魁皇であり、奇しくも『花の63年組』の3名である。
ここに曙が加われば完璧だったが。
話が逸れたが、久々の3小結の場所。
何かしらの波乱が起きるかどうか注目である。
ちなみにまた余談だが、本日で300投稿と区切りが良いが、何かと『3』に縁のある投稿になったのは本当に偶然である。