きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

218. 2020年七月場所千秋楽を勝手に語る

地獄を見た男が2年ぶりに幕内へ復帰し、そして復帰して早々劇的な優勝を飾り幕を閉じた2020年七月場所。

照ノ富士が幕内へ戻ってくる』

これは先場所終了し、番付予想をした時点からわかっていたことであり、大相撲ファンにとっては喜ばしい出来事だった。

十両2場所での成績、相撲内容を見る限り、今場所も力を出し切れば二桁は勝てるだろうと思っていた。

それでも現状、上位で相撲を取るにはまだ力量不足だと思えたし、状態も上向きとはいえ、完全復活にはまだ時間を要すると考えていた。

とにかく無理せずゆっくり戻ってきて、以前のような力強い相撲を見せてほしい。
そういった願いの方が強かった。

場所が始まると、早々勝ち越しを果たし、さらには二桁に乗せた。

しかしこの段階でも『平幕下位では力が違う』ことを見せ付けただけであり、上位に通用するかどうかは不明だった。

それは5日目に敗れた高安戦から見てもわかる。

両者大関から陥落した力士同士の対戦とはいえ、下降気味の高安と上昇気流に乗る照ノ富士では照ノ富士有利だと思っていた中、高安にうまく取られて敗れた。

そして上位休場も相まって朝乃山との割が組まれた。

昨日も記載したが、この対戦を本当に楽しみにしており、それは『現状の照ノ富士の力がどの程度戻っているのか?』という興味から来るものであった。

しかし蓋を開けてみれば朝乃山に完勝。

事実上の決定戦を制し、見事復活を果たした。

昨日は正代に敗れたものの、あの一番に関しては正代が素晴らしかった。

さて本日の取り組みに目を向けよう。

本割で優勝を決めた照ノ富士だが、本日の御嶽海戦は立ち合いで勝負が決まったと言っても過言でなかった。

左上手の取り方は前ミツではなくやや深めだったが、右の使い方が巧かった。

右は前ミツを引き付け、御嶽海の生命線とも呼べる左を完全に封じ、両上手でがっちり引き付けて完勝した。

御嶽海にとってはこんな相撲を取られたら勝ち目がないというレベルの内容だった。

今場所は日を追うごとに照ノ富士の強さが増していった。

それは番付上位と割が組まれてもただ勝利するだけでなく、完勝しているのだから間違いない。

冷静さも加わり、強引な相撲が全くもって無くなったわけではないが、それでも無理せず現状の身体に合った相撲を取ることが出来るようになった。

常に上位で相撲を取り続けるために必要なものは『激しさ』ではないだろうか。

これは玉鷲戦で見られたが、あの一番はムキになることなく、それでも激しく前に出る相撲を取っていた。

強引と激しさは似て非なるものであり、今の冷静さと激しさが加われば鬼に金棒だろう。

来場所は上位圏内まで番付を戻すだろう。

本当に楽しみな力士が復活を果たし、嬉しい限りである。

今場所の焦点であった新大関朝乃山が千秋楽を白星で飾り、上位圏内で初となる12勝を挙げた。

大関としては十分合格点だろう。

以前記載したが、新大関の12勝以上は過去に5人しか存在せず、初日から9連勝も歴代3位タイである。

そして何より上記の通り、上位圏内で初めて12勝を挙げたことが何よりの収穫だろう。

屈辱的な連敗をしたが、15日間総合で見れば立派な成績だろう。

本日の取り組みに目を向けると、昨日も記載したが、正直本日朝乃山が勝利する確率はかなり低いと思っていた。

すでに照ノ富士が優勝を決めたこと、この2日間屈辱的な敗戦により集中力が低下していること、そして正代が大関昇進の足固めのために是が非でも勝ちたいという思いが強いだろうと予想していたためだ。

立ち合い正代よりも踏み込みよく、右を差すことに成功した。

左上手も引いたもののすぐ切れてしまったが、常時圧力をかけて圧倒した。

上手を引かずに攻めるのは逆転を食らう恐れもあったが、下半身は崩れることがなかった。

千秋楽最後の一番ということで吹っ切る事が出来たか。

昨日も記載したが、今場所は朝乃山にとって悔しさの方が勝る場所となってしまっただろう。

しかし悔しさをバネにして、来場所以降の巻き返しを期待したい。

横綱への勝利。
御嶽海対策。
そして復活してきた照ノ富士への雪辱。

まだ課題は残されているため、克服していってほしいところである。

終盤戦まで優勝争いを盛り上げた両関脇は、両者ともに千秋楽は黒星。

正代は10日目、11日目の連敗が響く形となったが、場所全体を通じてみると、よく11勝出来たなという印象を受ける。

前半戦はどちらかと言えば凌いで勝つ相撲が大半であり、中盤戦は左が少しでも覗けば強烈なすくい投げを打てるというところは見せていたが、絶対的な強さとは異なるものだった。

しかし御嶽海戦、照ノ富士戦は本当に強さを感じた。

昨年九州場所から前に出る圧力が増しており、今年の初場所で開花して13勝を挙げ、そして先場所は三役で初めての勝ち越し。

今場所も11勝を果たし、地力をつけた印象を受ける。

来場所が大関を目指す場所になる可能性はやや低いが、2場所前に上位圏内で13勝していることも評価され、展開次第では十分チャンスはあるだろう。

ぜひとも上を目指してほしいところである。

そして御嶽海だが、今場所も強さと弱さを混在させた場所であった。

しかも今場所は正代同様、絶対的な強さを見せることも少なかったような印象を受ける。

その中でも11勝するあたりはさすがの一言である。

上位圏内で初めて2場所連続二桁白星を果たし、来場所は成績次第で十分に大関を目指す場所になるだろう。

この力士に求められるのはとにかく『安定感』だ。

もう決して若手と呼べる年齢ではないため、発奮してほしいところ。

三賞に目を向けると
敢闘賞:正代
殊勲賞:御嶽海、大栄翔、照ノ富士
技能賞:照ノ富士

賞の違いはあれど、受賞する力士に関しては予想通りといったところか。

大栄翔が条件付きにする必要があったのかという疑問はあったが、不戦勝2つが問題となったのか。

とにもかくにも本日白星を積み重ねて見事殊勲賞を受賞した。

意外だったのが照強である。

昨日朝乃山と割が組まれた瞬間、援護射撃を果たせば三賞受賞確定だと思っていた。

はっきり言ってしまえば照強ファンには申し訳ないが、照強が受賞しなかったこと自体は私自身良かったと思っている。

確かに朝乃山との一番での足取りは見事だったが、言い換えれば『変化』である。

私は変化に対して否定的な意見を述べるタイプではないが、普段解説者などが変化を批判の対象にするのに、この一番だけ評価の値にするのはいささかどうだろうかと思う。

照強はよくやったが、他の三賞力士と比較すると活躍が薄いのは見ての通りである。

だから三賞受賞に至らなかったのは妥当だと思う。

十両に目を向けると、6人による優勝決定戦から、最終的に立浪部屋の3力士による巴戦となった。

特に『明生ー豊昇龍』の一番は見ごたえがあった。

結果として明生が優勝したわけだが、序盤戦の内容を見る限り、今場所の明生は状態もかなり戻っており、12~13勝はするかと期待を寄せていたのだが、意外にも10勝止まりだった。

まぁ久々の場所で10勝し、幕内復帰を確実にしているため及第点だろう。

元々昨年から期待を寄せていた力士なだけに、早く上位へ番付を戻してほしいところである。

そして朝青龍の甥である豊昇龍が来場所おそらく新入幕だろう。

また期待できる力士が幕内へ昇進してくるため、本当に楽しみである。

場所前から色々懸念されていた今場所も本日で千秋楽。

私は人生において、千秋楽翌日の月曜日が最も嫌いな日と言っても過言でない。

明日から本当に退屈になるものだ…