大相撲秋場所も序盤戦終了。
そして序盤戦最終日に波乱が起きた。
朝乃山としては胸を合わせ、左上手を引くという最高の形を作った。
あとはがむしゃらに攻めるだけだ。
ここ数場所、攻めの姿勢が目立っており、それが横綱戦でも発揮された。
鶴竜としては立ち合いで左前ミツを取れず、朝乃山に深く右を差され、胸を合わされただけでなく、下手投げにいったことが最大の敗因だろう。
結果的に下手投げにいったところで上手を引かれてしまった。
朝乃山としては誉められる一番だが、鶴竜としてはもったいない一番と言える。
鶴竜はこの負けを引きずることなく、中盤戦挑むことができるかどうか。
突如崩れることも多いため、ここは踏ん張りどころだろう。
もう一番注目の『貴景勝ー北勝富士』は、貴景勝にとって今場所最も危ない内容であった。
立ち合いからの攻めは貴景勝であったが、そこから北勝富士も凌いで下から攻めていき、貴景勝は我慢できず引く形となった。
立ち合い当たり勝っていた分、少し余裕はあっただろうが、誉められた内容ではない。
とはいえ15日間全て完璧な相撲を取り続けるのは難しい話であり、こういう一番もモノにできるあたりが好調な証拠かもしれない。
序盤戦無傷は最高の出来である。
心配されるのはスタミナ面と初黒星を喫したあとの翌日でないだろうか。
このまま10勝まで到達することがベストであるが、2場所前の栃ノ心の例もある。
中盤戦以降、より厳しい相手が待ち構えているため、気持ちの切り替えが重要になってくるだろう。
角番の大関2名は両者ともに白星。
豪栄道は苦手の大栄翔相手だったが、何とか捌くことができた。
やはり苦手意識があるのか、豪栄道としては立ち合い踏み込みよく当たったが、突き放されて足が揃いかけてしまった。
それでもいつも異なるのが、立ち合い踏み込んでいた分、突き落としも決まったというところだろう。
栃ノ心は立ち合い高く、あまり中身のない内容だったが、何とか白星に結びつけた。
今場所連勝がないため、連勝して波にのっていきたいところ。
好調の遠藤は、苦手の碧山を降して4連勝とした。
下から攻めていき、相手に引き技も繰り出させず、自分の間合いで相撲を取ることが出来ていた。
苦手とはいえ、今場所調子の上がらない同格相手に落とすわけにはいかないため、遠藤にとっては貴重な白星と言える。
明日の注目は
『鶴竜ー大栄翔』
『豪栄道ー朝乃山』
『貴景勝ー遠藤』
この3番である。
鶴竜ー大栄翔は、過去鶴竜の4戦4勝だが、決して楽に勝っているわけでなく、また初黒星を喫した翌日に当たる相手としては嫌な相手である。
ここらで悪手が顔を覗かせる可能性も大いにある。
鶴竜としては切り替えて相撲を取ることができるかどうか。
豪栄道ー朝乃山は、今場所立ち合いに迷いがない豪栄道に対して、朝乃山は本日のように大きな相撲を取ることが出来るかどうか。
相四つでもタイプは異なり、豪栄道としては速攻、朝乃山としては胸を合わせる形になりたい。
両者ともにここまで持ち味を発揮しているため、どちらが自分の相撲を取ることが出来るか。
貴景勝ー遠藤は、鶴竜を除いて前半戦最高の相撲を取り続けている力士同士の対戦である。
ここ2場所は貴景勝が圧倒しているが、これは参考にならないだろう。
まぁ貴景勝が勝つパターンは突き押しで圧倒する以外にないのだが、遠藤としては今場所その圧力、馬力に耐えられるだけの足腰を持ち合わせている。
相撲の巧さに関しては遠藤の方が何百、何千倍と上である。
遠藤には柔らかさもあるため、貴景勝は土俵際も注意しなければならない。
明日から中盤戦。
序盤戦最後に波乱があり、中盤戦以降も波乱が続く予感はするがはてさて…