優勝争いも佳境を迎える12日目。
立ち合いの踏み込みで貴景勝の上体を起こし、足が揃ったところで叩き込んだ。
貴景勝としては、踏み込み負けした時点で後手に回り焦った印象である。
足も出ておらず、珍しく叩きにあっさり手を付いた。
昨日白鵬に健闘したが、結果としては黒星。
最低ラインの二桁を考えたとき、あと2つ勝たなければならない。
やはり終盤戦に突入し、星勘定も考え始め、やや固くなってきたか。
残り3日間、対戦相手は高安、逸ノ城、栃ノ心でおそらく決まりだろう。
上位相手とはいえ、連敗を喫してしまった。
残り3日で修正できるかどうか。
泣いても笑ってもあと3日間だ。
優勝争い生き残りをかける『鶴竜ー高安』は高安に軍配が上がった。
逆の右四つに組んだが、上手を引くと強引に振り回した。
直近で3連勝していたためか、自信を持って良くも悪くも豪快に相撲を取った印象だった。
一方鶴竜としては後手に回り、やられたい放題の内容だった。
昨日も辛勝であり、集中力が途切れてきた印象である。
全勝白鵬は磐石の内容。
相四つの栃ノ心相手には、教科書通りの相撲を取ったという印象である。
廻しを切る技術は歴代でもトップクラスである。
唯一の1敗平幕逸ノ城も磐石の内容。
やや深い上手であったが、覇気の感じられないことも見受けられる逸ノ城としては、あれくらい豪快さを見せる気持ちが重要だろう。
ここ数日間、自信を持って相撲を取っている。
2敗の碧山、琴奨菊も完勝。
上位戦も組まれず、星の差は2つあるためのびのび取っている。
明日の注目の割は
『白鵬ー豪栄道』
『高安ー貴景勝』
この2番だろう。
白鵬ー豪栄道は、先場所豪栄道の不戦勝だったが、それ以前は白鵬の11連勝中だった。
余談だが一時期の豪栄道は『第三の白鵬キラー』と勝手に命名していた(第一は日馬富士、第二は稀勢の里)。
豪栄道としては立ち合い鋭く踏み込んで、もろ差しになる展開が理想だろう。
今場所の白鵬は、相四つの力士以外は四つに組む展開が少なく、離れた展開から動き勝つ内容が多い。
その展開になったとき、豪栄道は冷静に対処できるかどうか。
明日白鵬が勝てば優勝は9割方決まりだろう。
逆に豪栄道が勝てば、単純に星の差が縮まるだけでなく、後続力士の意欲にも変化が見られるだろう。
白鵬との直接対決を残している高安は尚更だ。
そういった意味でも豪栄道は大きな役割を担っている。
高安ー貴景勝は両者ともに負けられない一番である。
高安は初優勝のために絶対落とせず、貴景勝は大関昇進のために先場所敗れた2大関に2連敗するわけにはいかない。
過去は6ー2で高安リード。
また高安の3連勝中であるが、その中身は高安が『何となく勝っている』相撲も多い。
貴景勝としては、豪栄道ほど嫌な印象は持っていないと考えられる。
まずは立ち合いしっかり踏み込めるかどうか。
そして足をしっかり運べるかどうか。
大関昇進にあたって、3連敗となると印象はかなり悪くなるだろう。
そして昨日も記載したが、『白鵬ー逸ノ城』の割が組まれるかどうか。
私個人の意見として白鵬の割は
14日目 逸ノ城
千秋楽 高安
これが良いと考えている。
横綱同士の割を崩すことは確かに問題だが、過去事例がないわけではない。
この場所は幕尻 貴闘力が初日から12連勝としていたため、貴闘力は13日目、14日目にそれぞれ武蔵丸、曙と割が組まれた。
その結果、史上初の横綱同士の割が崩された場所となった。
さらにこの場所は曙、武蔵丸ともに優勝争いを演じていたにも関わらず割が崩された。
今場所(特にここ4日間)の逸ノ城はそれだけの期待を抱かせるものがある。
協会はどのように考えるのだろうか。