大相撲は早くも中日8日目。
昨日まで全勝で来ていた2人の力士に明暗が分かれた。
まず中日全勝ターンの白鵬。
今場所で最も危ない内容だった。
先場所も栃煌山相手に背を向ける形となって逆転したが、今場所もその形となった。
しかも先場所よりも劣勢であった。
あの形になっても勝てるあたり、他の力士と比較しても群を抜いているのだが、それ以上にあの形になっても勝てない栃煌山にも問題があると思う。
過去白鵬に2回勝利したことがあるが、いずれも決まり手は『叩き込み』である。
それはそれで良いのだが、攻めて勝ったことがないということだ。
そして『何度も腕を手繰る』『猫だまし』など白鵬に遊ばれているような内容も多かった。
ここ2場所は絶好の形を作った。
他の力士ならば挽回不可能と言っても過言ではないレベルに絶好の形である。
それでも勝てない。
栃煌山が攻める形で白鵬に勝つのは無理なのではないだろうか。
しかし白鵬相手にはそれが出来ない。
合い口があるにしろ、本日の取り組みをみて栃煌山が白鵬に攻めて勝つのは本当に無理だと感じた。
白鵬に話を戻すが、これで今場所初の単独トップである。
常勝 白鵬にとって慣れた展開だが、先場所は11日目からまさかの3連敗を喫している。
そして今場所は右四つに組む相撲がほとんどない。
この内容で後半戦も乗り切ることが出来るかどうか注目である。
一方、もう1人の全勝逸ノ城に土。
番付を考えると栃ノ心に軍配が上がっても不思議ではないのだが、ここまで全勝で迎えていた逸ノ城、そして調子が良いとは言い難い栃ノ心ということもあったため注目であった。
また優勝争いを考えたとき、逸ノ城にとっては重要な一番であった。
率直な感想は、やはり逸ノ城は『平幕中位の力量』ということか。
栃ノ心が左に変わって上手を取りにいったという過程はあるにしろ、逸ノ城は先に上手を引かれても廻しを切る技術がない。
まだ1敗だし、もちろんこの先上位をなぎ倒していく可能性もある。
しかし上位をなぎ倒していく姿よりも『あっさり土俵を割る』悪い逸ノ城の姿が目に浮かぶ。
今場所の優勝争いはもちろんのこと、自身も出世をしていくためには、今場所を足固めにしたいところである。
勝つにしろ負けるにしろ、とにかく『貪欲』に相撲を取ってほしい。
正直、毎場所あっさり土俵を割る姿を見ると苛立ちすら覚える。
当たってから叩いたが、呼び込む叩きではなく、回り込んでの叩きであり、その後も厳しい攻めだった。
連勝を重ね、内容も徐々に厳しさを増してきた。
後半もこの内容を継続していきたいところ。
大関陣も安泰。
高安は珍しく右前ミツを狙う立ち合いだった。
普段あまり見せない立ち合いだし、腰高でやや不恰好だったが、もろ差しを許さず圧力をかけたことが良かった。
豪栄道は本日も立ち合いで張り差しを選択した。
それは通じず、攻め込まれ一瞬引きかけたが、身体をうまく沈めて前ミツを引いた。
万全とは言い難いが、難敵を降したことは大きいだろう。
栃ノ心は上記の通り、左へ変わって上手を引き、自分十分相手不十分の形を作った。
栃ノ心側からみると、調子の良い相手とはいえ、角番脱出のためには相四つで組みやすい相手に落とすわけにはいかない。
大関の意地をみせた一番だった。
立ち合いの当たりは完璧であり、遠藤をしっかり正面に置いて、貴景勝の間合いで相撲を取った。
ここ3日間はほぼ完璧な内容である。
後半戦もこのままの流れでいきたいところ。
明日は注目の割が多い。
『白鵬ー御嶽海』
『高安ー玉鷲』
『豪栄道ー逸ノ城』
白鵬は先場所苦杯を舐めた御嶽海戦である。
御嶽海はここまで中盤戦全敗だが、先場所も途中出場したその日に白鵬を降している。
白鵬としては油断できない相手である。
高安は苦手 玉鷲相手に早く左四つに組みたいところ。
しかし左を差しても小手投げに注意しなければならず、また左を差すことばかりに固執するとおっつけられて一気に持っていかれる可能性がある。
今場所の内容を考慮すると、豪栄道がかなり有利だと思うが、逸ノ城としてもここで連敗するようでは何の成長もないということになる。
豪栄道圧倒の姿が目に浮かぶがはてさて。
上記に挙げていないが、鶴竜、貴景勝も油断できない相手である。
悪手を見せなければ問題ないと思うがどうだろうか。
立ち合い当たり負けないことは絶対条件であり、当たってからの叩きも注意しなければならない。
明日から後半戦。
優勝争いが面白くなる展開を望みたい。