中盤戦最終日の10日目。
『鶴竜ー貴景勝』
『高安ー逸ノ城』
優勝争いに関係する上記2番が本日の注目である。
とはいえ、鶴竜も決して悪くなかった。
立ち合いの当たりは五分、その後押し合い、突き合いもほぼ五分。
しかし貴景勝の方が僅かに圧力勝ちしていた。
鶴竜は最後引いているが、これはいつもの悪手とは異なり、圧力に屈して『引かざるを得ない』ものだった。
それだけ貴景勝の圧力が強く素晴らしかった。
貴景勝は大関昇進を果たすための最低ライン10勝のために、2横綱3大関に対して最低でも2勝しなければならない。
まずは1勝を果たし、明日は第一人者 白鵬戦。
大関昇進のためはもちろんのこと、自身の優勝にも影響を及ぼす一番である。
次に『高安ー逸ノ城』
逸ノ城が『どっしり構えた一番』であった。
高安が体当たりするが、全く下がらず、叩く動きを見せてから逸ノ城十分の右四つに組んだ。
高安は右四つでもそれなりに取ることは出来るが、逸ノ城相手ではさすがに無理があった。
高安が先に上手を引いても、逸ノ城は余裕で捌く形となった。
ここ2日間の逸ノ城は冷静かつ腰が重い。
このまま『あっさり土俵を割る悪い逸ノ城』が出現しないことを願う。
一方高安は優勝争いから大きく後退。
まだ2敗だが、白鵬との星の差が2つなだけにかなり厳しい。
白鵬戦は14日目に組まれると思うが、それまで落とさずいけるかどうか。
本日の敗戦で気落ちし、明日は角番脱出に意欲を燃やす栃ノ心にも敗れるような気もするがはてさて。
白鵬は先場所不覚を取った玉鷲相手に、一瞬ヒヤッとさせたが白星を掴んだ。
玉鷲の左おっつけ、ハズから白鵬が左四つに『組んでしまう』形となり、すぐに玉鷲が右から小手に振り、横に付くという玉鷲としては完璧な展開だった。
しかし僅かに隙間が生じた瞬間、白鵬が素早く体を開いて叩き込んだ。
中日栃煌山戦のように、瞬時の対応力は他が真似できない白鵬の強さを支える要因の1つだが、やはり今場所は磐石とは言い難い。
隙は十分にある。
他の上位陣はその隙をついて一矢報いることが出来るかどうか。
豪栄道がやや深い上手となったが、自分十分相手不十分の形になり、最後は鮮やかな上手捻りだった。
昨日の敗戦を感じさせない良い内容だった。
星の差2つだが、白鵬との直接対決は残されているため、明日で平幕戦最後となる千代大龍には絶対に落とせない。
一方栃ノ心としては、角番脱出のために終盤戦はかなり厳しい戦いを強いられるだろう。
過去の合い口から言って、明日の高安戦は非常に重要となるだろう。
平幕では碧山が1敗と好調である。
体調が万全ならばこの地位である程度大勝しても不思議ではない。
問題は『インチキ優勝』する可能性が高いことである。
明日は逸ノ城との割が組まれた。
上位陣の調子が良いだけに、終盤戦で割を変更するのはかなり困難である。
三役陣、逸ノ城が踏ん張らないと可能性が十分にある。
私個人としてはインチキ優勝はあまり見たくない。
明日の注目の割は
『白鵬ー貴景勝』
『逸ノ城ー碧山』
2番ともに優勝争いに大きく関わる取り組みである。
貴景勝としては白鵬に組まれず、貴景勝独自の間合いで突き押しに徹することが出来るかどうか。
ここ数場所の白鵬は離れる展開になると張り手を交えるなど、雑になる傾向がある。
その展開に持ち込むことが出来るかどうか。
先場所のような展開になれば貴景勝も十分にチャンスはあるがはてさて。
逸ノ城ー碧山は上記の通り、逸ノ城に意地を見せていただきたい。
とにかく『インチキ優勝』は見たくない。
明日から終盤戦へ突入し、優勝争いも佳境を迎える。
優勝争い星の潰し合いも楽しみだが、協会の終盤戦の取り組み編成にも注目である。