大相撲春場所は初日から1横綱2大関が黒星を喫し、波乱の幕開けとなった。
『荒れる春場所』という意味では良いのかもしれないが、上位陣としては序盤戦でそう簡単に黒星を喫するわけにはいかないだろう。
先場所復活優勝を果たした横綱照ノ富士はここ最近、連続して結果を残すのが難しくなっているため、今場所も苦しいスタートとなってしまった。
今回の照ノ富士のように優勝した横綱が翌場所初日黒星を喫したのは過去にどのくらい存在するだろうか。
年6場所制となった昭和33年以降、横綱に在位していた力士に絞っていきたいと思う。
詳細は以下の通りである。
優勝した場所 |
四股名・成績 |
翌場所成績 |
その場所の優勝力士 |
昭和34年夏場所 |
14勝1敗 |
11勝4敗 |
15戦全勝 |
13勝2敗 |
0勝4敗11休 |
佐田の山(西13) 12勝3敗 |
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昭和38年秋場所 |
15戦全勝 |
10勝5敗 |
14勝1敗 |
昭和39年夏場所 |
13勝2敗 |
11勝4敗 |
冨士錦(西9) 14勝1敗 |
昭和39年九州場所 |
14勝1敗 |
11勝4敗 |
13勝2敗 |
昭和41年春場所 |
13勝2敗 |
14勝1敗(優勝) |
|
昭和46年夏場所 |
15戦全勝 |
8勝7敗 |
15戦全勝 |
昭和46年九州場所 |
13勝2敗 |
7勝7敗1休 |
栃東(西5) 11勝4敗 |
昭和48年名古屋場所 |
14勝1敗 |
9勝6敗 |
輪島(横綱) 15戦全勝 |
昭和50年初場所 |
12勝3敗 |
13勝2敗(同点) |
13勝2敗 |
昭和51年春場所 |
輪島 13勝2敗 |
13勝2敗(同点) |
13勝2敗 |
昭和53年秋場所 |
14勝1敗 |
11勝4敗 |
15戦全勝 |
昭和62年秋場所 |
14勝1敗 |
13勝2敗(次点) |
15戦全勝 |
平成5年夏場所 |
14勝1敗 |
8勝7敗 |
琴富士(東13) 14勝1敗 |
平成7年秋場所 |
15戦全勝 |
12勝3敗(同点) |
12勝3敗 |
平成11年秋場所 |
12勝3敗 |
12勝3敗(優勝) |
|
平成12年名古屋場所 |
曙 13勝2敗 |
13勝2敗(次点) |
14勝1敗 |
平成13年九州場所 |
13勝2敗 |
1勝3敗11休 |
13勝2敗 |
平成17年名古屋場所 |
13勝2敗 |
13勝2敗(優勝) |
|
平成19年初場所 |
14勝1敗 |
13勝2敗(同点) |
13勝2敗 |
平成19年秋場所 |
13勝2敗 |
12勝3敗(優勝) |
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平成20年春場所 |
13勝2敗 |
11勝4敗 |
14勝1敗 |
平成20年秋場所 |
14勝1敗 |
13勝2敗(優勝) |
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13勝2敗 |
10勝5敗 |
旭天鵬(西7) 12勝3敗 |
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14勝1敗 |
11勝4敗 |
照ノ富士(関脇) 12勝3敗 |
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14勝1敗 |
0勝3敗12休 |
12勝3敗 |
|
12勝3敗 |
9勝6敗 |
13勝2敗 |
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平成29年春場所 |
13勝2敗 |
6勝5敗4休 |
15戦全勝 |
平成29年秋場所 |
11勝4敗 |
0勝3敗12休 |
14勝1敗 |
令和4年夏場所 |
12勝3敗 |
11勝4敗(次点) |
逸ノ城(西2) 12勝3敗 |
※赤字は翌場所も優勝した力士
優勝の翌場所全休というパターンもあるが、今回はあくまで『初日黒星』という事で絞っている。
過去30回だが、回数だけ見れば特段珍しく感じないかもしれないが、昭和33年初場所から先場所の初場所まで『全395場所』であり、その内横綱優勝は『251場所』である。
251場所の内の30回(今回を入れて31回)と割合にすれば1割ちょっとのため、珍しい事だと言えるだろう。
大鵬、北の湖、朝青龍、白鵬といった時の第一人者が複数回経験している。
これは優勝回数が多ければ多いほど、可能性としては広がるため無理もないかもしれない。
その中で横綱在位中で29回優勝を果たしている千代の富士が0回というのは凄いことだと言える。
実は照ノ富士自身も過去に経験している。
前回初日黒星を喫した場所は皆勤は果たしたものの、優勝は平幕逸ノ城にさらわれる結果となった。
過去にこの状況で優勝を果たしたのは5回(大鵬、武蔵丸、朝青龍、白鵬2回)だけであり、割合としては2割とかなり低い。
ここ最近連続して好成績を残するのが難しくなっている照ノ富士としては嫌なデータと言えるだろう。
先場所も照ノ富士は序盤戦盤石とは程遠い内容だった。
それでも白星を積み重ねて、終盤戦は圧巻の相撲内容だったため、この先の巻き返しに期待したいところである。