大相撲春場所は10日目を終了し、明日から終盤戦へ突入する。
明日はWBCの決勝戦があり、野球界は相当盛り上がりを見せているが、大相撲も優勝争いが佳境を迎える終盤戦である。
平幕の翠富士がここまで10戦全勝とし、さらには後続力士との差を2つに広げている。
現状だけを考慮すれば俄然翠富士が有利な展開だが、翠富士はこの先役力士との割が立て続けに組まれるため、一筋縄にはいかないだろう。
さて今回のように10日目で単独先頭且つ星の差2つの展開は過去に何回あるのだろうか。
年6場所制となった昭和33年以降で見ると、今回で『37回目』である。
この内、平幕力士で該当するのは今回で『3回目』である。
昭和33年以降今場所までで全390場所のため、390場所中3場所と考えると相当珍しい出来事と言えるだろう。
過去36回の番付の内訳は以下の通りである。
当然と言えば当然だが、過去このような展開になる場合、横綱が単独先頭というのが大半である。6割以上を占めている。
ちなみに過去36回の内、単独先頭の力士が優勝を果たした回数は『34回』である。
言い換えればここから逆転したケースはたったの2回に留まる。
如何にここから逆転することが難しいかを証明する回数であるが、過去の2回の詳細は以下の通りである。
場所 |
単独先頭力士 |
後続2差力士 |
白鵬10勝(10勝4敗1休) |
玉鷲(13勝2敗 優勝) 千代の国(8勝3敗4休) |
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令和3年春場所※ |
高安9勝1敗(10勝5敗) |
照ノ富士(12勝3敗 優勝) 朝乃山(10勝5敗) 翔猿(10勝5敗) 千代の国(8勝5敗2休) |
※令和3年春場所の次点力士は碧山(11勝4敗)である。
2回とも比較的最近の出来事である。
1回目の平成31年初場所は白鵬が単独先頭且つ星の差2つとし『いつもの白鵬独走パターン』に突入したかと思われたが、11日目から御嶽海、玉鷲、貴景勝と3連敗し、14日目から途中休場となり、玉鷲が見事逆転優勝を果たした。
2回目の令和3年春場所は小結高安が単独先頭且つ星の差2つとし『念願の初優勝』が期待されたが、終盤戦大崩れしてしまい、結局優勝どころか次点の成績にも満たない結果となった。
この場所は結果的に逆転優勝を果たした照ノ富士にも勝利していたただけにもったいない場所であった。
そして今場所の翠富士のように平幕力士で該当する過去2回の詳細は以下の通りである。
場所 |
単独先頭力士 |
後続2差力士 |
平成12年春場所 |
貴闘力10勝(13勝2敗 優勝) |
曙(12勝3敗 次点) 武双山(12勝3敗 次点) 貴乃花(11勝4敗) 武蔵丸(11勝4敗) 雅山(11勝4敗) |
平成13年秋場所 |
琴光喜9勝1敗(13勝2敗 優勝) |
栃東(12勝3敗 次点) 武双山(10勝5敗) 朝青龍(10勝5敗) 旭天鵬(9勝6敗) |
1回目は史上初の幕尻優勝にもなった貴闘力だが、終盤戦から役力士(横綱2名、関脇2名、小結1名)と割が組まれながらも何とか逃げ切って優勝を果たした。
2回目の琴光喜は上位圏内であったため、序盤戦~中盤戦に役力士との対戦はほとんど終えている状況だった。
結果このまま独走し、14日目には優勝を決定させた。
今場所の翠富士は上位圏外のため、この先役力士との割が組まれていく。
10日目で単独先頭且つ星の差2つとなったときの優勝の確率は『約94%』であるが、この先の翠富士の相撲に注目である。