序盤戦最終日の5日目。
本日注目の『大栄翔ー琴ノ若』の全勝関脇同士の一番。
結果的に序盤戦最大の割と言っても過言でない一番である。
全勝関脇同士の一番は琴ノ若に軍配が上がった。
昨日も記載したが、この両者の対戦は大栄翔の突っ張りに琴ノ若があまり下がらない印象が強かった。
そして本日も正にその展開になったといったところか。
大栄翔が右おっつけで攻めていこうとするも、琴ノ若が動じずどっしりと構え、うまいこと肩透かしを決めた。
3日目大逆手で決めた一番は最たるものだが、今場所の琴ノ若は腰が重たい。
元々守りの強さ、土俵際のしぶとさに定評はあるが、いつも以上に腰の重さを活かしている相撲が目立つ。
今場所の琴ノ若の体勢を崩すのはちょっとやそっとじゃ難しい気もするが、その一方で速い攻めを見せる力士に対しても変わらずどっしりと構えて相撲を取ることが出来るかどうかが注目である。
そういう面では初日に翔猿と当たって白星を挙げたのが琴ノ若にとってターニングポイントだったのかもしれない。
敗れて初黒星を喫した大栄翔だが、本日は仕方ないと割り切るしかないだろう。
序盤戦4勝1敗は十分だし、内容も伴っている。
大栄翔は連敗することも多いため、切り替えて臨んでほしいところである。
大関陣は安泰。
大関で唯一全勝の豊昇龍は立ち合いで立ち遅れたが、豪ノ山の攻めを受け止めて逆襲に転じる事が出来た。
ただ本日の相撲は内容だけでなく、全てにおいて反省しなければならない。
何を隠そう立ち合い手をつかなかったことである。
待ったするなら早くするべきだし(本来ならば『待ったなし』と言われているからするべきではないが)、解説が口を揃えて発言していた『集中しすぎて』も言い訳にはならないだろう。
ここまで順調に白星を積み重ねているため、つまらないことでケチをつけられそうな事は今後止めていただきたいと思う。
とりあえず序盤戦無傷は喜ばしい事ではある。
一方豪ノ山は黒星が続いていても連日精一杯相撲を取り切っているため好感が持てる。
また勝てる可能性が十分秘められているから余計そのように感じるのだろう。
とはいえ本日の相撲内容は悪い癖が出たと言えるか。
攻め込んでいる分、あの叩きは余計だっただろう。
今場所は豪ノ山にとって厳しい場所になるかもしれないが、今まで通りがむしゃらに当たって課題を一つ一つ克服していけば良いだろう。
連覇を狙う貴景勝が高安を下して連敗を免れた。
昨日高安は霧島戦で左かちあげが強烈だったため、貴景勝はその左を警戒したか。
立ち合いすぐに右から攻めていき、高安の体勢を崩して押し出した。
考えた相撲ではあるが、見方を変えれば真正面から押し切るのは難しいと消極的な気持ちになったか。
まぁ消極的とまではいかないまでも、やはり連敗してはいけないという重圧もあったか。
貴景勝は比較的連敗が少ない力士ではあると思うが、そういう意味でもとにもかくにも連敗しなかったことが大きい。
取り組み後に肩の辺りを気にしていたが、明日以降に影響しなければ良いが。
貴景勝と同じく昨日初黒星を喫した霧島は、明生を下して連敗を免れた。
やや受けに回る展開となったが、まともに呼び込むような引きは見せず、我慢は出来たか。
3連勝していたときの相撲と比較すると物足りなさを感じるが、15日間全てが磐石とはいかないだろうから、貴景勝同様連敗しなかったことが何よりか。
周りの活躍でやや霞んで見える関脇若元春は宇良を下して3勝目。
動き回る展開になったが、慌てることなく最後は得意の左四つに組む事が出来た。
昨日も記載したが、ここまで決して悪くないのだが、周りが好調のため物足りなさを感じてしまう。
また二桁を狙うという点でもこのままでは何か足りない気もする。
好調の役力士と割が組まれるまで必死に食らい付いていくしかないか。
平幕全勝力士は熱海富士と一山本の2名。
熱海富士は磐石の相撲内容である。
上手がやや伸びていたが、土俵際しぶとい琴恵光を冷静に寄り切った。
良い意味で言うことはないだろう。
この調子ならば今場所も役力士と割が組まれる展開になるだろう。
一山本は先場所の十両優勝で自信がついたのか。
取り口に大きな変化はないが、圧力が増しているか。
このまま全勝でいくことはさすがにないだろうが、今場所の勢いがどこまで続くのかは見物である。
私自身北海道出身のため、やはり何だかんだで気になるものである。
序盤戦を終えて逆の意味で目を引くのが遠藤である。
今場所の遠藤は何一つ良さが出ていない。
現役最高峰の相撲巧者っぷりは影を潜め、土俵際の粘りもまるでない。
怪我の問題もあるのだろうが、何かそれだけではないように感じてしまう。
明日にも休場してしまいそうな相撲内容が続いているが、出場を続けるならば遠藤らしい技能相撲を見たいところである。
明日の注目の割は
『貴景勝ー翔猿』
この一番である。
このところ5連敗中の難敵である。
貴景勝は比較的小兵力士を相手にするのが得意な力士である。
3日目の宇良戦が最たる例だろう。
しかしこの翔猿に対してはうまく相撲を取られている印象を受ける。
貴景勝としては相手を見ながら攻める気持ちでいるのだろうが、思いの外押し込めず、逆に翔猿に攻められて慌ててしまうことが多いか。
今場所の貴景勝は動き自体は良いが、馬力という点ではやや物足りなさがあるか。
中々攻め切れなくても慌てず自分の間合いで相撲を取り続けることが出来るかどうか。
中盤戦開始早々、貴景勝にとっては鬼門だがはてさて。
役力士が好調の中序盤戦は終了したが、この2日間だけでも徐々に場所は動きつつある。
直接対決も始まってくるだろうし、現在好調の役力士も気がつけば星が五分になっているなんて可能性も十分あるだろう。
明日からの中盤戦も楽しみである。