きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

511. 2022年夏場所千秋楽を勝手に語る

波乱続き、締まりのなかった夏場所を最後は横綱が締めて幕を閉じた2022年夏場所

先に土俵へ上がった隆の勝が敗れ、照ノ富士が本割で決める結果となった。

正直昨日の相撲を見て御嶽海が照ノ富士に勝てる姿がまるで浮かばなかったため、隆の勝が敗れた時点で確定していたと言っても過言ではなかった。

場所前、今場所の照ノ富士の優勝を予想したファンはどの程度存在しただろうか。

厳密に言えば場所前に想像していた人は多かったと思うが、初日の相撲を見て予想した人は少なかったと思う。

2日目から4連勝としたが、その対戦相手に押し相撲はいなかったため、6日目は押し相撲玉鷲相手に一方的な相撲で敗れた。

2敗目を喫した時点で、さすがにもう厳しいのではないかという思いが過ったファンは多かっただろう。

この時点で大関陣は全員が3敗以上となり、最後の頼みの綱である照ノ富士まで崩壊となると、今場所はどうなってしまうのかという不安が漂っていた。

またこの時点では場所前の焦点であった若隆景も3敗を喫しており、最後まで優勝を争った隆の勝も相撲内容が上向きだったとはいえ、既に2敗を喫していた。

ましてや隆の勝も初日阿武咲相手にあっさりと敗れていた。

全勝で碧山、佐田の海の2名が存在していたが、この2名がこのまま白星を積み重ねていくとは全く想像がつかなかった。

結果的に佐田の海は11勝を挙げて場所を盛り上げたが、それでもあくまで11勝だ。

本来優勝争いという点で考えるならば星数としては少ないだろう。

もちろん佐田の海の頑張りは素晴らしいし、今場所の活躍を否定するわけではないことを断っておく。

一つ一つの取り組みを観たとき、今場所は比較的熱戦も多かったと思う。

物言いのつく取り組みが多かったのはその位置付けとも言える。

本日の『貴景勝ー正代』の大関同士の一番に関しても、貴景勝が勝ち越しに向けて集中するのはもちろんだが、正代に関しては既に負け越して来場所の角番が決まっているため、気が抜ける姿も想像出来るだろう。

しかし実際は正代も既に負け越しを喫した力士とは思えない程気迫を全面に出しており、両者ともに力を出し尽くした熱戦であった。

『若隆景ー阿炎』の関脇同士の一番に関してもそうである。

既に勝ち越しを決めている若隆景と勝てば勝ち越しの阿炎の一番だが、激しい攻防が繰り広げられていた。

上記の通り、一つ一つの取り組みは熱戦が多かったのである。

それでも今場所は『締まりがない場所』と位置付けられるだろう。

その最大の理由が、前半戦は照ノ富士も含め上位陣が不甲斐なかったからだろう。

時に荒れる展開は興味を引き立たせるが、度が過ぎるとそれは荒れる、波乱ではなく『締まりがない』事を意味する。

今場所は間違いなく後者だったと思う。

そしてそれに拍車をかけるように様々な出来事があったとも言える。

『若隆景が前半で崩れた』
琴ノ若が3大関から3連勝の後パッとしなかった』
『調子が良いと思った力士が翌日に敗れる』
こんなところが挙げられると思う。

結局突き抜けた力士、来場所以降も一気に抜けていきそうな力士が誕生しそうになかった不満もあるだろう。

途中隆の勝が単独トップに立ち、豊昇龍戦辺りは苦しい展開ながらも白星に繋げるなど、初優勝を果たす力士の独特な追い風も見られたように感じた。

しかしそれでも隆の勝が来場所以降突き抜けていく感じは特になかった。

良くも悪くも相撲内容自体は大きく変わっておらず、絶対的な強さではないからだろう。

先場所の若隆景の相撲内容は、今までの若隆景とは異なる巧さだけではなく、強さも見られたため、今後への期待も感じさせることが出来た。

もちろん今場所の隆の勝の活躍は素晴らしかったが、先場所の若隆景のような衝撃はなかったというのが正直なところである。

そして追い討ちをかけるかのように、今場所は『物言い』に対する問題があった。

上記の通り、今場所は物言いのつく取り組みが多かったが、その一方で際どい相撲でも物言いすらつかない取り組みが存在した。

数日前にも記載したが、今後も際どい相撲に関しては躊躇せず積極的に物言いをつけてほしいと思う。

進行の妨げになるという考えも全くわからない訳ではないが、後々誤審だったと揉めるよりは良いだろう。

今場所から勝負審判の役員も変更があり、その辺りも影響を及ぼしたかもしれないが、今場所を教訓にして来場所以降に活かしていく必要があるだろう。

三賞に関しては昨日予想した通り、賞の違いはあれど、やはりこの3名だったかという思いが強い。

さて話が二転三転してしまったが、優勝した照ノ富士に戻すと、成績に関する問題は多少あれど、それでも横綱としての責任を全うしたと言えるだろう。

何度も言うように、そもそも今場所は皆勤出来るとも思っていなかった。

しかし後半戦へ突入してからの集中力は圧巻だった。

膝に爆弾を抱えているため、来場所以降も中々本調子で迎えることは厳しいかもしれないが、それでも15日間総合しての力量は現役で圧倒的である。

手負いの横綱に優勝を許してしまったことで周囲の不甲斐なさを叩いてしまうが、照ノ富士の強さ自体は本物である。

何度も言うように今場所熱戦が多かったことに関しては良かったと思う。

しかし15日間総合で見た場合、十分満足できたかと言えばそうではない。

新時代への扉が開きかけているが、まだ完全に開き切ってはいない。

来場所以降どうなるのか。

十分満足出来なかったとは言っても、やはり15日間はあっという間であった。

相撲ファンの皆様も15日間お疲れ様でした。