先程も記載したが、新大関正代が本日より休場した。
昨日の相撲内容を見る限り、今場所この先活躍する姿は想像しにくく、今後の相撲人生を考えた上でも治療に専念する方が賢明であるため、休場自体に特に不満はない。
しかしそれにしても近年新大関の怪我が多い。
直近の朝乃山は皆勤して12勝したが、それ以前で見ると栃ノ心、貴景勝と続いていた。
しかもその怪我が尾を引き、栃ノ心は短命大関となってしまい、貴景勝も今場所状態は良好だが、いまだその怪我に苦しんでいる。
朝乃山も今場所大関在位3場所目で休場へと追い込まれており、一寸先は闇状態である。
今場所の正代は劣勢に回り、土俵際の逆転で白星を挙げていた。
最後まで諦めない姿勢は素晴らしいことであるし、観戦者としても最後までわからない展開を望んでいるため重要なことであるが、やはり下がって相撲を取っては怪我に繋がるということの証明にもなっている。
なぜ指導者が揃って『叩くな』と指導するのか?
おそらく指導者の大半が『相撲内容』について語ることが多いだろう。
『叩きで勝つのは良くない』
『前に出て勝たなきゃだめ』
指導者、解説者の大半がこのように発言している。
なぜ引き、叩きが悪いのか?
それで白星を挙げている当事者としては理解できない部分も多いだろう。
しかし実際問題は、相撲内容云々ではない。
上記の通り『怪我に直結する可能性が高い』のである。
相手にしっかり圧力をかけた状態であれば、叩きも決まりやすいし、怪我に直結するようなこともほとんど無いだろう。
過去の突き押し相撲の力士を見ていても、立ち合いから出足、圧力で圧倒して相手が堪えようとしている所を引き、叩きで決める分には悪い印象を与えることはなかっただろう。
しかし劣勢に回った状態での引き、叩きは意味合いが異なる。
劣勢の場合、相手の圧力、出足に屈して引くことが大半であるため、その流れで引き、叩きを見せると相手の出足をさらに加速させ、自らはさらに後退して受け身もろくに取ることが出来ず、土俵下に転落して怪我に繋がるのである。
昨年九州場所、友風がまさにその展開だった。
元々この力士は引き、叩きの決まりが大半を占めており、それが勝ち癖になっていたため、劣勢に回っても叩く場面が多く見受けられた。
そして昨年九州場所、大怪我を負ってしまい、今年1年出場することなく、番付を急降下させてしまっている。
正代に関してはまともな引き、叩きとはやや意味合いが異なるが、劣勢に回るというのがどれだけ危険かということがわかる。
そのため指導者は『なぜ叩いたらいけないのか』そして『劣勢に回ったときの対応』を含めた稽古指導が必要になってくるだろう。
ただ『廻しに拘らず前に出ろ』という指導はいい加減止めてほしいところである。
それにしても来年早々、おそらく両横綱が進退を懸けることになり、2大関が角番という状況である(考えたくもないが貴景勝も今場所勝ち越していないためこの中に含まれるかもしれない)。
大相撲の明るい未来のためにも、力士達のケアは何よりも重要である。
そのため指導者もより一層気を引き閉める必要があるだろう。