大相撲七月場所も本日より後半戦へ突入した。
場所を引っ張る白鵬、朝乃山はともに白星を並べた。
まず新大関 朝乃山から触れるが、本日はお得意様の隠岐の海相手ということで、ここ数日の内容も加味すると完勝を予想していた。
しかし蓋を開けてみると、同体取り直しになる展開となってしまった。
まず1度目だが、左上手は比較的良い位置を引いていたものの、右を差し負けてもろ差しを許してしまった。
さらには前に出ることが出来ず後手に回る展開となってしまった。
そこから上手投げを決め、ビデオを見る限り、最悪でも同体だろうと予想していたが、その通り同体となった。
2度目も同様に左上手を引き、終始前に出て圧力をかけていたため、最後にもろ差しを
許したものの、前に出ていた分余裕があった。
1度目も決して立ち合いは悪くなかったのだが、右の使い方がやや雑だったか。
何はともあれ明日の重要な取り組みを前に負けるわけにはいかなかったため、白星を積み重ねたことが何よりだろう。
白鵬は碧山相手に組むことが出来なかったが、碧山の突っ張りをまともに受けることはないし、白鵬が常時圧力をかけている分、最後の叩きは余裕を感じた。
両力士ともに磐石ではないものの、番狂わせなく順当に白星を積み重ねたといったところか。
1敗の両関脇に明暗が分かれた。
御嶽海が痛手となる連敗を喫した。
やはりこの力士は連敗癖があるから信用できない。
立ち合いは相手の変化も警戒したためかそこまで踏み込まず、結果として霧馬山十分の形をあっさり作らせてしまった。
あまり精神論は語りたくないが、負けた翌日にしぶとさが売りである初顔と割が組まれ、余計なことを考えすぎて精神的に負けてしまったとも言える一番である。
明日はそんな雑念など気にすることなくぶつかっていける相手だろう。
御嶽海としてもこのままでは終われない。
正代は輝に攻められたが、左前ミツを引いて残して逆襲し、勝ち越しを決めた。
今場所はとにかく残り腰があり、そして肝である左は差しても廻しを引いても強さを発揮している。
本人も勝ち越しインタビューで発言していたが、安易な投げにはいかず、我慢することも重要になってくるだろう。
平幕上位に目を向けると、期待を寄せている隆の勝だが、本日はどうしてしまったのだろうか。
というよりも遠藤が前半戦死んだふりをしていたのか。
それほど遠藤の立ち合いの踏み込み、低さ全てが素晴らしかった。
隆の勝が取りたかったであろう内容を逆に遠藤が取ったという内容だった。
この相撲が取れるならば、今頃星勘定が逆になっていてもおかしくないのだが…
平幕下位に目を向けると、照ノ富士が磐石な内容で、3年ぶりの幕内での勝ち越しを決めた。
昨日記載したが、本日の佐田の海戦はもろ差しを許すと強引な相撲を取るかもしれないと懸念していたが、左の上手が早く、右もしっかり差して万全だった。
やはりこういう相撲を見ていると安心感だけでなく、強さも感じる。
このまま白星を積み重ね、白鵬、朝乃山との割をぜひとも観てみたい。
明日の注目の割は
『朝乃山ー御嶽海』
この一番に尽きるだろう。
朝乃山にとっては鬼門であり、真価の問われる一番となるだろう。
『朝乃山と御嶽海はどっちが強い?』
と質問されたら『御嶽海』と答えるファンは多いのではないだろうか。
私自身、15日間の総合力ならば朝乃山、爆発力及び直接対決ならば御嶽海だと考えている。
朝乃山としては何としても右を差したいところだろう。
本来ならば左の前ミツを引き、仮にもろ差しを許しても前ミツを引き付けて寄り切るというのが理想だが、本日の隠岐の海戦を見てもわかるように、やはり右差しが重要であり、もろ差しを許しては厳しい展開になってしまう。
今場所の立ち合いの踏み込み、圧力ならば一気に持っていかれる心配はないだろう。
とにかくもろ差しを許してはいけないということだ。
一方御嶽海は連敗により優勝争いから大きく後退してしまったわけだが、朝乃山相手に余計なことを考える必要などないだろう。
御嶽海としてはハズ押しで起こして攻めるか、もろ差しで攻めるかのどちらかだろう。
朝乃山にとってはいくら連勝を積み重ねても、鬼門である御嶽海に勝たなければ番付で上に立っていたとしても気が気ではないだろう。
御嶽海にとっては出世争いのライバルがあっさり大関へ昇進し、内心穏やかではないだろう。
両者にとっても重要な一番であり、そして今場所の優勝争いを考えても重要な一番である。
どちらの信念が勝るのか。
白鵬にとって北勝富士は対戦成績以上に苦戦を強いられることが多い。
明日で中盤戦が終了するが、10日目がターニングポイントになる気がしてならない。
明日が待ち遠しい…