本日より後半戦へ突入し、早速ともいうべきか、ついにともいうべきか場所が動いた。
白鵬が初黒星。
白鵬は立ち合いもろ差し狙いだったが、逸ノ城の左上手が早く、さらには右前ミツも良いところを引いてすぐに攻めた。
逸ノ城が素晴らしい内容だったことは間違いないのだが、白鵬の立ち合いの踏み込みの悪さも気になった。
そしてもう一つ気になったところは『なぜもろ差し狙いだったのか』である。
白鵬は相四つである右四つ相手に無類の強さを誇っている。
その裏付けとなっているのが『左前ミツを引く技術』
『廻しを切る技術』
である。
現役力士で言えば鶴竜、栃ノ心、さらには本日対戦した逸ノ城、過去に遡れば琴欧洲、把瑠都がこの技術の前に圧倒されていた。
しかし今場所の白鵬の内容を見てもわかるように、かつての左前ミツを引く形は見られず、『捌く』内容が主体となっていた。
もしかしたら白鵬としては、かつてお得意様にしていた巨体の相四つ相手に対して、右四つで組み合うことに自信がなかったのかもしれない。
それは怪我による影響なのか、力量の衰えからなのかは不明だし、そもそも私の憶測が間違っていて、逸ノ城相手ならば簡単にもろ差しになれるという自信があったのかもしれない。
詳細は不明だが、思わぬところで不覚を取ってしまった。
逸ノ城としては、こういう相撲が取れるだけに、すでに3敗というのが悔やまれる。
先々場所14勝を挙げ、先場所期待されるもパッとせず途中休場。
この一番をきっかけに躍進してほしいところ。
立ち合いしっかり踏み込み、明生の当たりをもろともせず、両廻しを引き付けて寄り切った。
中盤戦以降、鶴竜の相撲に厳しさが増している。
単独トップに立ち、気持ちが揺らぐことなく相撲を取ることが出来るかどうか。
昨日まで唯一1敗だった高安だが、少なからず昨日の相撲による肘の負傷の影響があったのだろう。
左はあまり使えておらず、右四つになって走っていったが、あれだけ腰高では逆転を簡単に許してしまう。
怪我をしたことにより、元々の腰高という弱点を余計晒すような形にもなり、正直この先厳しいと言わざるを得ない。
気力で勝ち越しは果たしたいところだろうがはてさて。
調子が徐々に上向きであった関脇 御嶽海は阿炎の術中にはまる形で3敗目。
阿炎の考えた相撲だが、御嶽海としては体を寄せることができなかった。
調子が上向きだっただけに痛い黒星である。
平幕に目を向けると、序盤1敗で好調だった新入幕 貴源治が4連敗で黒星先行となった。
この4日間は序盤感じられた力強さが影を潜めている。
新入幕の場所で10枚目まで躍進したため、新入幕の場所から難しい場所とも言えるかもしれないが、まずは連敗を止めたいところ。
白鵬が敗れ、場所が大きく動いたことには間違いないが、高安の怪我、御嶽海の黒星など鶴竜にとっての追い風が主体となる動き方である。
鶴竜としては油断せず取っていきたいところだし、対戦相手としてはまだ場所は6日間も残されているため、思い切って取り組んでほしいところ。
正直、昨日までの内容ならば逸ノ城が鶴竜に勝つイメージは沸かなかったが、本日白鵬に勝利したことで期待が持てる。
とはいえ、鶴竜の厳しさは増しており、巨体相手には立ち合い前ミツを引いて頭をつけて攻めるという教科書通りの内容で勝利する可能性の方が高いだろうが。
逸ノ城としては何とか胸を合わせる形を作りたいところだがはてさて。
明日で中盤戦も終了である。
どのような展開で終盤戦へと突入するだろうか。