きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

800. 2024年春場所12日目を勝手に語る

尊富士の連勝は11でストップ。
止めたのは大関豊昇龍。
ようやく番付が機能した。
とはいえ勝負は紙一重だった。

昨日記載したが、尊富士としては琴ノ若よりも豊昇龍の方がやりやすいのではないかと感じていた。

その理由として豊昇龍が張り差しにいっても尊富士が構わず出足で圧倒するという姿が目に浮かぶからである。

そしてまさにその展開に陥った。
尊富士の左が入って走った瞬間『やはりこうなったか』と思った。

しかし豊昇龍の投げの強さをすっかり忘れていた。
豊昇龍は上手、下手、そして廻しに拘らず投げの強い力士である。

誰に敗れるかは別にして、尊富士が敗れる場合、出足を止められた時、さらに言えば動きを止められた時だと思っていた。

本日も尊富士の相撲であり、九分九厘尊富士が勝っていた内容と言っても過言ではない。

それでも豊昇龍は尊富士の連勝を止めた。
内容云々ではなく、とにかく連勝を止めた。

これで伯桜鵬、大の里、そして尊富士と勢いのある新入幕全員の壁として立ちはだかった。

上記の通り内容は尊富士だった。
それでも勝ったのは豊昇龍である。
そしてこの投げの強さを武器としているのが豊昇龍という力士である。

大関の意地というよりも単純に負けん気の強い豊昇龍が見せた勝負強さとでもいう一番だった。

今場所初めて、というよりも幕内として初めて黒星を喫した尊富士。
まだまだ底知れないと感じるのは『相撲に負けていない』という点である。

何度も記載するが、本日も11連勝していた時と同じ出足の相撲が冴えていた。

豊昇龍のような投げの強い力士でなければ回避できなかっただろうし、力負けしたとは感じさせない内容である。

それでも負けは負けであり、この黒星が残り3日間にどのような影響を与えるだろうか。

2敗の大の里も敗れたため、後続との星の差は変わらず2つである。

如何せん大関の豊昇龍と琴ノ若はともに3敗で『豊昇龍ー琴ノ若』の直接対決を残しているため、確実にどちらかは4敗へ後退することになる。

尊富士はこの先も上位圏内の力士と割が組まれるだろうから楽な相手など存在しないが、それでも尊富士が余程自滅しない限り、新入幕優勝はかなり近付いていると思う。

絶対的有利な展開に変わりはないが、本来ならば新入幕力士が感じることのない重圧をこの先もずっと感じ続ける事になるだろう。
その重圧に打ち勝ってこの先も変わらず出足、速攻相撲を取ることが出来るかどうか。

琴ノ若ー大の里』の一番は琴ノ若に軍配が上がった。
大の里は先場所もろ手突きにいって失敗したため、その反省を活かして右肩からぶつかっていったが、琴ノ若が当たりをうまくかわした。

この一番も小手投げで勝負がついたが、琴ノ若の守りの強さ、柔らかさが活きた一番だった。

大の里としては今場所大関、関脇から白星を挙げているが、琴ノ若という壁を超えることが出来なかった。

大の里としてはこの先も琴ノ若戦においては試されることになるのではないだろうか。

当たりを止められた後の対応が不十分であるため、守りの強い琴ノ若を今後どのように崩していくのか見ものになるだろう。

昨日尊富士に敗れて精神面はどうか気がかりだった琴ノ若だが、昨日の黒星を引きずる事はなかった。

星の差2つで直接対決を終えているだけに、優勝争いという点ではかなり絶望的であるが、琴ノ若としては残り3日間全て勝つだけだろう。

本日は上記2番に大きな注目を集めており、優勝争いに目がいきがちで忘れてしまうところだが、貴景勝の角番脱出がかなり厳しい状況と言える。

本日も相撲になっていない。
頭で当たることが出来ないのか、それとも本日は変化しようと考えて中途半端な立ち合いになってしまったのか。

いずれにしても当たりと押しの威力がない貴景勝に脅威はない。
明日の琴ノ若戦は確定しており、豊昇龍戦も残されている(『豊昇龍ー大の里』の割が組まれていないため崩される可能性もあるが)。

この相撲内容ならば終わってみれば負け越しとなっても不思議ではない。

あと1つ。気力で勝ち取ることが出来るかどうか。

明日の注目の割は
『若元春ー尊富士』
この一番である。

尊富士としては敗れた翌日に変わらず自分の相撲を取ることが出来るかどうか。
上位相手でも自分の相撲を取り切って白星に繋げているため、もはや良い意味で勝っても驚きはないと思うが、それでも忘れてはならないのが相手は若元春とかなりの実力者である。

何なら若元春が左四つに組んで尊富士を下したとしても一つもおかしくないのである。

若元春は9日目に大の里の圧力を止め切れず敗れている。
2度も悔しい思いはしたくないだろうし、三役の意地もあるだろう。
如何せん若元春自身も三役で二桁の白星のためにはもう一つも落とせない。

尊富士が連敗となれば、豊昇龍と琴ノ若にチャンスが巡ってくるわけだが、如何せん尊富士との直接対決は終わっているため、残り3日間は尊富士次第ということになるだろう。

上記の通り余程自滅しない限り新入幕優勝はかなり近付いているが、対戦相手も強敵である。

下手をすれば3敗まで優勝ラインが下がる可能性はあっても、現在3敗力士である豊昇龍、琴ノ若、大の里、豪ノ山の4名が全員3敗を守るのは不可能な話である。

そのため3敗力士の中では誰が残り3日間全勝するのか。
ここも注目である。

荒れる春場所
残り3日間目が離せない。

799. 2024年春場所11日目を勝手に語る

本日より終盤戦へ突入した春場所だが、平幕2名の勢いは大関でも止められず。

全勝:尊富士
2敗:大の里
豊昇龍、琴ノ若大関とは星の差3つ開いた。

まず『琴ノ若ー尊富士』の一番。
琴ノ若としては『尊富士の出足を止めることが出来るか?』という点が注目だった。

そして立ち合いで尊富士の当たり、出足を止めたかに見えた。
しかし動きまでを止めることは出来なかった。

尊富士は出足を止められても右に回り込み、その後右を差して一気に寄り切った。
琴ノ若の守りの体勢を作らせる前に攻め切ったことが勝因だろう。

それにしても尊富士の強さに私自身処理が追いついていない。
何となく勝っているのではなく、対戦相手がどんどん強くなろうが、自分の相撲を取り切って白星に繋げている。

新入幕だからデータが少ないといった有利な面もあるが、あくまで実力がなければ真正面から大関を倒すことなど出来ない。

現に先場所の大の里は役力士との対戦では跳ね返されているのだから。

これで大関を下して優勝争い俄然有利な展開となったが、この先も対戦相手は役力士が続くことになるだろう。

勢いはどこまで続くのか。
大鵬の11連勝は超えるのだろうか。

一方琴ノ若としては星の差を縮めるチャンスをふいにしてしまった。
中盤戦終了した時点で8勝2敗は新大関の場所としてはよくやっているだろう。

しかし本日敗れたことで『チャンスをふいにした』『大関としての責任を果たせなかった』という思いが強くなり過ぎて、今後の相撲に影響しないかどうか心配なところではある。

今場所だけに限らずこの先平幕下位の好調力士と終盤に割が組まれるといったケースは経験することになるだろう。

毎度敗れてしまえば『大関の責任』という問題が挙がるだろうが、まだ新大関のため切り替えてほしいところである。

先場所はしっかり大の里の壁として立ちはだかったため、実績は十分である。

本日は琴ノ若にとって屈辱的な敗戦になったと思うが、これを糧にしてほしいと思う。

そして『貴景勝ー大の里』の一番。
昨日も記載したが、貴景勝が大の里に勝てるイメージが沸かなかった。
そして思った通りの展開になってしまった。

貴景勝は立ち合い当たり負けしているし、下から押し込むことも出来なかった。
十八番の左突き落としにいく事も出来ず、まともに引くような展開となってしまった。

これで勝ち越しを目前にして連敗。
優勝争いからも完全に脱落してしまった。
優勝争いから脱落という点でも、平幕相手に壁として立ちはだかることが出来なかったという点でも悔しさだけが残る黒星となってしまったか。

とはいえまだ場所は残されているし、そもそもまだ角番脱出を果たしていない。
残り4日あるとはいえ対戦相手に楽な力士はいないし、貴景勝にとっては1日も気を緩められる日はないと言える。

とにもかくにも切り替えて角番脱出を果たしてほしいところである。

一方大の里としては自分の相撲を取り切って大関を圧倒した。
昨日悔しい黒星となったが、しっかり切り替えて臨むことが出来た様子である。

尊富士とは星の差2つで直接対決も終えており、さらに自身もこの先おそらく役力士との連戦が待ち構えているため、優勝という点では厳しいかもしれない。

しかし優勝云々よりも上位相手に力を出し切る事が出来るかどうか。
来場所以降を見据えた上でも残り4日間重要になってくるだろう。

3敗でギリギリ踏み止まっている大関豊昇龍は大栄翔を下して勝ち越しを決めた。

引いてしまって墓穴を掘ったかに見えたが、大栄翔も好調とは言い難いためもたついており、最後は突き落としで決めた。

盤石とは言い難いが、明日尊富士との直接対決が組まれているため、3敗でギリギリ踏み止まっていることが大きい。

優勝争いという点ではかなり厳しい状況だが、豊昇龍としては全て勝つ気持ちでいくしかないだろう。

大関霧島が若元春に敗れて負け越しが決まった。
序盤戦の黒星はまだ噛み合っていないで片付けられるものだと思っていたが、本日の相撲を見るとまるで力が出ていない。

足腰の良い力士があっさり土俵を割る姿を見ると寂しいものがある。

腕にテーピングは巻いているが、原因はそれだけではなく、精神面が大きいように思えてしまう。

極論大関の負け越しは0勝でも7勝でも変化はない。
しかし立場を考えると残り4日間も出場を続けるならば、意義のあるものにしてほしいという思いはある。
あまりにも不甲斐なければ対戦相手にも失礼だろう。

その他力士に目を向けると、豪ノ山が勝ち越しを決めた。
先場所は上位圏内で跳ね返されたが、それでもここ数場所大関に勝つなどしっかり力を示していた。

今場所は上位圏外に番付を落としたが、ここでしっかり勝ち越しに結び付ける辺り、上位圏内に近い力量は備わっているということだろう。
尊富士、大の里と躍進しているが、豪ノ山も十分に成長していると言える。

そしてそれは熱海富士にも言えることである。
豪ノ山同様、先場所は上位圏内で跳ね返されたが、今場所は2大関にも勝っており、ここまで白星を先行させている。

2場所連続で優勝争いした時と比較し、勢いは感じられないかもしれないが、これが上位圏内と上位圏外の違いだろう。
熱海富士も間違いなく力をつけてきている。

明日の注目の割は
『豊昇龍ー尊富士』
琴ノ若ー大の里』
この2番である。

明日も両者ともに大関戦が組まれた。

『豊昇龍ー尊富士』は私個人としては尊富士にとって琴ノ若よりも豊昇龍の方がやりやすいのではないか?と感じている。

豊昇龍が張り差しにいっても構わず出足で圧倒するという姿が目に浮かぶが、その一方で豊昇龍には類稀な身体能力の高さがある。

そして伯桜鵬、大の里と新入幕の壁になったという実績も持っている。

尊富士としては変わらず立ち合い集中していくだけだろうが、豊昇龍がどのようにいくのか。
それ次第で展開が大きく変わるだろう。

琴ノ若ー大の里』は先場所琴ノ若が守りの強さを発揮している。

先場所は大の里がもろ手突きにいって失敗に終わっており、先場所の反省を活かしてぶつかっていくことが出来るかどうか。

止まってしまっては琴ノ若が有利のため、大の里としては本日のように馬力で圧倒出来るかどうか。

尊富士の勢い止まらず、大関陣の優勝はかなり厳しい状況だが、まずは誰が尊富士を止めるのか。
まずはここに注目である。

798. 2024年春場所10日目を勝手に語る

尊富士が大の里との好調平幕同士の一番を制し、後続との星の差を2つ付けた。

全勝:尊富士
2敗:琴ノ若、大の里
最終成績はどうなるかわからないが、それでもこの3名に優勝争いは絞られたのではないだろうか。

もちろんまだ5日間、いわゆる終盤戦が丸々残されているわけだが、そう思えてならない展開である。

さて本日注目の『大の里ー尊富士』の一番。
昨日も記載したが、出足が勝るのか、圧力が勝るのか。
そして早い相撲になると思っていたが、出足の尊富士が勝る結果となった。

立ち合いの踏み込みは尊富士が勝り、左も差し勝ち、あとは今場所これまで通り出足で圧倒した。
大の里の圧力が通じず、むしろ尊富士が当たり勝ってもいた。

この出足を止めるにはどうすれば良いのだろうか?
そう思ってしまうほど素晴らしい出足である。
低く鋭いだけでなく、圧力があることも証明した一番と言える。

これで後続との差が2つとなったが、優勝に対する意識がどのくらいあるか。
この先は重圧に加え、対戦相手も格段にパワーアップしてくるだろう。

変わらず出足が冴え渡るのかどうか楽しみである。

一方大の里は立ち合い当たり負け、そして差し負けたことが全てだろう。

そして改めて弱点が露呈された。
やはり止まった後の工夫がない。

極論当たり負けてもあれだけの体格があれば、どっしり構えて胸を合わせるように相撲を取るという事も出来るだろう。
それをさせない尊富士の出足というのはもちろんあるが、我慢できずすぐに右から投げを打って体勢を崩してしまった。

立ち合いの馬力で圧倒出来なかった時の対応が今後の課題だろう。
先場所、今場所と平幕中位〜下位、何ならある程度平幕上位ですら圧力だけで圧倒出来る力量があることは証明されている(今後研究されたらどうなるかわからないが)。

しかしそれだけでは足りないというのが先場所の役力士との対戦、そして本日新入幕の尊富士相手でわかっただろう。

若元春を圧力で圧倒している事実がありながらも入幕2場所目にこれだけ求めるのも酷だが、それだけ期待しているという証拠である。

2敗の大関陣に明暗が分かれた。

大関琴ノ若は王鵬を圧倒して勝ち越しを決めた。
王鵬の当たりを受け止め、左おっつけから流れのある相撲内容だった。

いつぞやか力量が『3場所ほど前に戻った』と記載したが、ここ数日の内容は『ここ2場所の力量に戻った』印象を受ける。

守りの強さだけではなく、廻しに拘らず前に出る相撲が冴えている。

これも数日前に記載したが、こういう展開になると守りの強さが光る安定した琴ノ若が有利かもしれないと記載したが、その展開になりつつあるか。

現状自力優勝は出来ないが、それでも明日尊富士戦が組まれている。
とにもかくにもここに勝たないことには何も始まらない。

貴景勝が土俵際の落とし穴で痛恨の3敗目。
立ち合いの当たり、その後の攻めも悪くないように感じたが、最後足が出ず、大栄翔の突き落としもタイミング良く決まる形となった。

早く角番脱出を果たしたいのはもちろんのこと、優勝争いという点では痛恨の3敗目である。
まずは角番脱出を早めに決めてほしいが、明日以降対戦相手はさらに厳しさを増してくるため、うかうかしていられない部分はあるだろう。

焦りもあるだろうが、落ち着いて押しに徹することが出来るかどうか。
苦難の場所を何度も乗り越えているため、精神面は大丈夫だと思うがはてさて。

昨日3敗目を喫した豊昇龍は若元春を下して7勝目。
立ち合い変化で決めたが、この力士は1場所に何度か見せるため、ここで見せたかという思いである。

中途半端なことをせず思い切ってやる分には良いのではないだろうか。

小結阿炎は御嶽海に敗れて4敗。
立ち合い変化が失敗に終わった。
阿炎は1場所に何度か変化を見せるため、昨日の敗戦が本日の変化に至った背景というわけではないと思うが、決めることが出来なかった。

上記の通り本日豊昇龍が変化で白星を掴んだが、変化するにしても確実に決める技量がなければ墓穴を掘るということである。

変化に対しては賛否あるが、私個人としては変化するならば
『中途半端は避ける』
『確実に決めにいく』
この2点がしっかりしているなら好感が持てる。 

本日の阿炎は決める事が出来なかった。
『変化=必勝』ではないということである。

関脇の大栄翔と若元春がともに5勝5敗となった。
片や初日から3連勝、片や初日から3連敗だったが、中盤戦終えて同じ成績である。

良くも悪くも関脇の力量といったところか。
若元春に関しては今場所強さを発揮していたが、役力士戦になるとやはり状況は変わるものである。

明日の注目の割は
貴景勝ー大の里』
琴ノ若ー尊富士』
この2番である。

平幕好調の2名が大関と割が組まれた。

まず『貴景勝ー大の里』だが、大関に失礼を承知で言うと『貴景勝が勝つイメージがあまり沸かない』ということである。

大の里は腰高のため、下から押し上げていくというのが勝ちパターンだと思うが、貴景勝は大型力士相手に苦戦を強いられる事があるため、大の里の圧力に屈してしまうのではないかとイメージが強く湧いてしまう。

そのため昨年夏場所、初顔の金峰山相手に不覚を取ったことがある。

経験豊富な大関のためぜひとも若手の壁として立ちはだかって欲しいところだがどうなるか。

琴ノ若ー尊富士』は尊富士の出足が守りの強い琴ノ若相手に通用するのかという点が一番の注目点である。

仮に出足を止められてもうまく崩すことが出来るのか、そもそも尊富士にその力量、技量があるのか。
注目すべき所は多い。

琴ノ若としてはまず出足を止めることが最優先であり、その後じっくり攻めるという狙いになるだろう。

冒頭の方にも記載したが、まだ終盤戦が丸々残っているが、優勝争いは尊富士、琴ノ若、大の里に絞られたように感じている。

最終成績が12勝まで落ちる可能性はあるが、如何せん豊昇龍、貴景勝が残り全勝というイメージがあまり沸かない(両者の直接対決もあるから余計そう感じる)。

明日尊富士が琴ノ若に勝つような事があれば、大関陣との星の差は3つとなり、さすがに大関陣はそれぞれ直接対決も残されているため、厳しいと言わざるを得ない状況に陥るだろう。

新入幕優勝という歴史的快挙を目にするかもしれないという喜びもないわけではないが、やはり私個人としては大関陣に壁として立ちはだかってほしいという気持ちが強い。

明日の大関と平幕好調の2名の割。
目が離せない。

797. 2024年春場所9日目を勝手に語る

本日より後半戦へ突入した春場所だが、平幕好調の2名の勢いが止まらない。

関脇、小結でも止めることは出来なかった。

まず『阿炎ー尊富士』だが、昨日も記載したがどちらが勝つにしても早い相撲になると思っていた。
そしてそれを制したのが新入幕の尊富士だった。

立ち合い踏み込み良く、阿炎のもろ手突きを意に介さず、下から跳ね上げて出足で圧倒した。
阿炎も思わずすぐに引いてしまった。

実力未知数の新入幕だが、昨日も記載したように間違いなく先場所よりも強くなっているのだろう。

新入幕で役力士を倒しているのだから当然といえば当然なのだが、相撲の質が変わっているようにも感じる。

『出足』『速攻』と新入幕にして早くも尊富士の代名詞になるのではないだろうか。

阿炎相手にもこれだけの相撲を取ることが出来るというのは驚きだった。

一方阿炎は昨年名古屋場所で新入幕の伯桜鵬に敗れた苦い経験があるが、今場所も新入幕相手に完敗だった。
しかも今場所の阿炎は3大関2関脇に勝って好調にも関わらず新入幕に敗れてしまった。
これは屈辱以外の何ものでもないだろう。

3敗へ後退し、優勝争いという点でも星の差3つとかなり厳しい展開になったが、気持ちを切り替える事は出来るだろうか。

そして『若元春ー大の里』の一番。
正直言うとこの一番は若元春が勝つと思っていた。

昨日も記載したが、現状の大の里は当たりを止められてしまった後の対応が出来ていない力士である。
そのため若元春ならば当たりを受け止めて左四つに組んで対処出来ると思っていた。

しかし実際は大の里が若元春に左を差されても止まらなかった。
止まりかけたが構わず前に出続けた。

大の里の勝因としてはとにかく止まらなかったことである。
そして若元春相手にそれが出来たというのが驚きである。

先場所役力士との3連戦は全敗に終わったが、入幕2場所目にして早くも1つ壁をぶち破ったと言えるか。

それにしても尊富士と大の里。
両者ともに底知れない存在である。

敗れた若元春だが、得意の左を差したが、それでも止まらず大の里が前に出てきたため、落ち着く暇がなかった。

一瞬でも止めることが出来れば流れは変わったと思うが、大の里がそれを許さなかった。

若元春としては悔しい敗戦だが、まだ大関戦が2つ残っているため、腐らず切り替えていきたいところである。

尊富士、大の里が勝った後土俵へ上がった大関陣。
2敗の大関3名に明暗が分かれた。

まず琴ノ若は大栄翔を寄せ付けず7勝目。
この2日間は廻しに拘らず、圧力で圧倒している。
力のある関脇相手に良い相撲で連勝としているため、新大関という重圧から開放され、エンジンがかかってきたか。

角番貴景勝は苦手の翔猿に完勝。
常に翔猿を正面に置き、横への動きをうまく封じていた。
土俵際も冷静に対処し、貴景勝も相撲内容に厳しさが増している。

まずはあと1つ。
角番脱出を早々決めて、優勝争いに集中してほしいところである。

豊昇龍が翠富士に敗れ痛恨の3敗目。
本日は翠富士にしてやられたといったところか。
翠富士を褒めるべき一番ではあるが、豊昇龍としてはやはり小兵力士相手にあっさりもろ差しを許すという悪い癖は出ていた。

とにもかくにも痛恨の3敗目である。
まだまだ優勝争いに絡む力士との直接対決が残されているとはいえ、尊富士、大の里とは割が組まれる保証はないし、星の差3つはかなり厳しい状況である。

霧島が連敗を止めて3勝目。
相変わらずバタついているが、何とか白星を掴んだ。
この先上位陣との割崩しが行われる立場にあるかもしれないが、いずれにしても白星をきっかけに立ち直ってほしいと思う。

明日の注目の割は
『大の里ー尊富士』
平幕好調力士同士の割である。

優勝争いという点で見ても上位陣からすれば星の差が1つになるのか2つになるのかという重要な一番である。

そして単純に若手同士楽しみな一番である。

大の里の圧力が勝るのか。
それとも尊富士の出足が勝るのか。

今場所だけに限らず、この先順調にいけば両者何度も顔を合わせることになるだろう。
その初顔合わせというのが優勝争い(まだ終盤戦ではないが)をしている中というのが面白い。
そしてこの両者に熱海富士、豪ノ山といった力士が加わる未来予想もこれまた面白い。

この一番も早い相撲になると思うがはてさて。

余談だが、本日敗れて3敗へ後退した平幕の御嶽海。
明日は小結の阿炎と割が組まれた。

これは良い試みだと思う。
というのも尊富士と大の里が役力士と割が組まれて星を落とし、上位陣も星の潰し合いをしている中、ひっそり抜け出す可能性も考えられるからである。

それは湘南乃海、佐田の海にも言えることだが、湘南乃海に関しては本日2敗を守ったし、11日目はそれなりの相手と組まれるのではないだろうか。

まだ終盤戦に突入していないものの、大関同士の割を崩すわけにはいかないため、早めの対応が必要だが、如何せん尊富士、大の里ともに凄まじい勢いのため対応は中々難しいだろう。

霧島と残り3大関の割を中日辺りから組んでも良かったとは感じているが、とにもかくにもまずは明日の『大の里ー尊富士』。
この一番を全力で楽しもう。

796. 新入幕の初日から8連勝

大相撲春場所は新入幕の尊富士が全勝で単独先頭の展開であり、明日から後半戦へ突入する。

新入幕の初日から8連勝は年15日制となった昭和33年以降今回で『5回目』である。

過去4回の詳細は以下の通りである。

四股名・番付

初日からの連勝数

三役以上との対戦

最終成績

大鵬(西前頭13枚目)

11連勝

1勝2敗

12日目:柏戸(東小結1)●

13日目:出羽錦(西関脇2)〇

千秋楽:北葉山(西関脇1)●

12勝3敗

(次点、敢)

鷲羽山(西前頭13枚目)

8連勝

1勝2敗

10日目:黒姫山(西小結1)●

11日目:清國(西大関1)〇

14日目:大受(東関脇1)●

11勝4敗

(次点、敢)

佐田の海(西前頭12枚目)

9連勝

0勝2敗

10日目:千代の富士(東関脇1)●

11日目:隆の里(西関脇1)●

11勝4敗

(敢)

魁聖(西前頭16枚目)

9連勝

0勝1敗

13日目:鶴竜(東小結1)●

10勝5敗

(敢)

尊富士(東前頭11枚目)

8連勝※

 

 

※2024年春場所中日終了時点

 

最高は大鵬の『11連勝』である。

余談だが、新入幕の最終的な最高成績は13勝2敗だが、上記では存在しない(北の冨士、陸奥嵐逸ノ城の3名)。

初日から8連勝をした新入幕はどこかのタイミングで三役と割が組まれているが、全員が三役との対戦は負け越している。

また割が組まれるタイミングだが、今回尊富士は9日目に小結阿炎と割が組まれた。

単独先頭に立っているという事が大きな要因だと思うが、これは上記力士の中では最速である。

そう考えると大鵬の12日目に組まれるというのはずいぶん遅い事だと言える(とはいえ上位圏内の平幕力士とは9日目から割が組まれているが)。

尊富士は連勝を伸ばすことは出来るだろうか。そして役力士との対戦では勝ち越すことが出来るだろうか。

ここ最近、伯桜鵬、大の里、尊富士と『新入幕優勝なるか?』といった話題が尽きない。

私個人としては尊富士に頑張ってほしい気持ちはあるが、それ以上に上位が壁として立ちはだかってほしいという気持ちの方が強い。

はてさてどうなるものか…

795. 2024年春場所中日を勝手に語る

新入幕の尊富士が全勝で中日折り返し。
大の里は連敗せず1敗を守った。

大関陣もある意味安泰と言って良いか。
残念ながら霧島は改めて厳しいと言わざるを得ない状況、相撲内容である。

本日注目の『琴ノ若ー若元春』の一番は新大関琴ノ若に軍配が上がった。

琴ノ若としては組みたくないという気持ちがあったのだろう。
終始突き放しにいって若元春を寄せ付けなかった。

突き放してから四つに組む、もしくは差し手争いになると思っていたため意外な展開だった。

若元春としては思った以上に突き放してくるため面を食らった部分もあったか。

琴ノ若としては先場所敗れた相手に完勝し、気分良く後半戦へ突入出来るだろう。

貴景勝は王鵬を下して6勝目。
正直本日は安易な左突き落としにいって呼び込むのではないかと思っていた。
しかしそれも取り越し苦労であり、貴景勝らしく何度も頭で当たって王鵬を圧倒した。

これぞ貴景勝の相撲だが、首の状態もあるため、毎日この相撲が取れるわけではないといったところか。
とにもかくにもまずはあと2つだろう。

豊昇龍は隆の勝に立ち合い押し込まれたが、土俵際で残して反撃に転じた。

ある程度余裕はあったと思うが、盤石とは言い難い内容である。
それでも白星に結び付けているのは地力がある証拠か。

ここ2日間連敗していた小結阿炎が宇良を下して連敗を止めた。
宇良に何もさせず阿炎の間合いで相撲を取ることが出来た。

連敗中にやっかいな相手と割が組まれたが、慌てることなく対処できたのは大きいだろう。

全勝尊富士は実力者竜電を下した。
昨日ここに勝つようならば面白いと記載したが、本当に面白い存在なってきた。

相撲が長引けば竜電は力を発揮するため、その場合竜電有利の展開になると思っていた。
しかし尊富士はここまで7日間と同様、速攻相撲で竜電に相撲を取らせなかった。

実力者相手にこの相撲が取れるのは素晴らしい。
先場所の大の里同様、平幕下位で尊富士に太刀打ち出来る力士はいないのだろう。

役力士との対戦でどれだけ力を発揮出来るのか楽しみである。

昨日敗れて初黒星を喫した大の里は玉鷲を下して7勝目を挙げた。

立ち合い踏み込み良く、玉鷲の突きに大きく後退することはなかった。
そして本日は土俵際にも気を付けて攻め切る事が出来た。

先場所同様、前半戦は7勝1敗の成績だが、先場所と番付は大きく異なるため、今場所の方が充実していると言っても差し支えないだろう。

あとはこれを役力士相手に通用するかどうか。
先場所は役力士戦3連敗だったため、今場所どうなるのか見ものである。

明日の注目の割は
『若元春ー大の里』
『阿炎ー尊富士』
この2番である。

現在場所を引っ張る平幕2名が役力士と割が組まれた。
組むタイミングとしては悪くないだろう。

まず『若元春ー大の里』だが、注目すべきは『若元春が大の里の当たりを止められるか?』だろう。

先場所照ノ富士、豊昇龍、琴ノ若は全員大の里の当たりを止めることに成功した。
大の里は一応右四つ得意との事だが、いわゆる上手を引いて胸を合わせるといった相撲を見たことがない。

現状当たりを止められてからのその後の対応が乏しいという事である。

若元春としては当たりを止めて左四つに組むことが出来るかどうか。
一方大の里は当たり、出足で圧倒する事が出来るかどうかである。

もう一番『阿炎ー尊富士』の一番は『どちらが先手を取るか?』が注目だろう。

阿炎のもろ手突きが炸裂すれば一方的に攻めるもしくは引いてすぐに尊富士がばったり手をつくというパターンもあるだろう。

一方尊富士が踏み込み良く、中に入るような展開になればこれまで通り速攻相撲になるだろう。

予想としてはどちらが勝つにしても早い相撲になるのではないだろうか。

阿炎は小結だった昨年名古屋場所で新入幕の伯桜鵬相手に敗れた苦い経験がある。
相手は違えど勢いのある新入幕には負けたくない気持ちは強いのではないだろうか。
そう何度も新入幕に敗れるわけにはいかないだろう。

明日から後半戦へ突入するが、霧島が残念なことを除けば大関陣は落ち着きを取り戻しつつある。

とはいえ貴景勝の明日の相手は苦手の翔猿だし、豊昇龍も本当の意味での安定感という点ではやや乏しい。
そういう意味では琴ノ若の守りの強さが後半戦強さを発揮してくるかもしれない。

とにもかくにも明日の尊富士と大の里が役力士にぶつかっていく相撲は楽しみである。

794. 2024年春場所7日目を勝手に語る

照ノ富士が休場。
特に驚きはなく、むしろ1日遅いとすら感じている。

昨日も記載したように進退に関しても向き合う時期と言える。
まずはしっかり休養してほしいが、今後復活はあるのだろうか。
勝てなくなれば引退。それが横綱の宿命ではある。

土俵に目を向けると、平幕全勝の2名に明暗が分かれ、尊富士が単独先頭に立つ展開となった。

その尊富士は身体の大きい湘南乃海を意に介さず攻め切った。

正直尊富士の力量がわからず、いつの間にか単独先頭に立ってしまったという印象である。

もちろんここまで7日間の相撲は素晴らしい(狼雅戦だけは酷評したが)。

しかし先場所までは幕内の土俵経験が全く無い力士であるし、狼雅、北の若といった『十両と幕内の境界線の力士』に敗れている。

先場所から今場所までの間で特段変わったのかと言われたらよくわからないし、そもそも上述したように尊富士の力量がわからない。

それでもここまで幕内下位では圧倒的な強さを示していることは間違いない。

先場所の大の里同様、幕内中位〜下位の力士では歯が立たないほどの力量なのか。
それとも中位の力士ならば何とかなるレベルなのだろうか。

明日の竜電は現在番付こそ下位だが実力者だし、型にはまれば力を発揮する力士である。
ここも圧倒するようならばかなり面白い存在である。
まぁ本音を言えば昨日記載したように髙安、御嶽海、正代といったところと組んでほしいというのがあるが。

本日敗れて初黒星を喫した大の里。
幕内昇進以降、平幕相手に唯一敗れている阿武咲だったが、今場所も苦杯を舐めた。

先場所と異なる点は、阿武咲に攻められなかったこと。
ここは評価できる部分だが、攻め方があまりにも雑だった。

さすがにあれは身体の大きさに身を任せ過ぎである。
まだ入幕2場所目のため徐々に修正していけば良いと思うが、対戦相手も研究して慣れてきた頃には本日みたいな負け方が増えるのかもしれない。

本日の黒星が今場所だけに限らず今後の大の里にどのような影響を及ぼすだろうか。

役力士に目を向けると、阿炎が敗れて役力士では1敗力士も消滅した。

『豊昇龍ー阿炎』の一番だが、豊昇龍としては今場所最高の相撲を取ったのではないだろうか。

阿炎としては先手を取りたかっただろうが、豊昇龍の立ち合いの踏み込み良く、むしろ豊昇龍が先手を取って圧倒した。
阿炎戦は過去の対戦からも自信を持っているといったところか。

これくらい良い踏み込みが出来れば、前ミツ引いて速攻という相撲ももっと取ることが出来ると思うのだが。

とにもかくにも優勝争いのためにはもはや1つも落としたくない状況のため、この白星は大きいだろう。

過去の対戦という点から見ると、霧島は過去1勝9敗と苦手にしている隆の勝に完敗。

ここ2日間連勝していたが本来の霧島の姿には程遠く、本日も立ち合いの当たりで圧倒されてしまった。
今場所の霧島は軽いしバタついている。

これで2勝5敗となり、関脇以上との対戦を残してこの成績はかなり厳しい状況である。
内容面の問題はあれど一応連勝としていた中での再度黒星となり、霧島にとってはやはり試練の場所である。

角番貴景勝が錦木を下して5勝目。
当たって押し込んでからの十八番の左突き落としであった。
そこまで押し込んでいるようには見えなかったが、タイミングが良かったか。

決して万全ではない中、何だかんだここまでは5勝2敗の成績である。
苦しい場面は何度も経験しているため、経験で闘っている部分も大きいと思うが、とにかくあと3つといったところか。

大関琴ノ若が明生を下して5勝目。
もろ差しを狙っていたが中に入ったのは明生だった。
それでも小手投げでねじ伏せることが出来た。

危なげはないが、何度も記載するようになぜもろ差し狙いに固執するのかよくわからない部分はある。

まぁとりあえず置いていかれず白星を積み重ねたのは良かった。

関脇は若元春は宇良を下して5勝目。
貴景勝が宇良相手にうまく相撲を取るが、若元春も宇良相手にうまく相撲を取っている。

宇良に相撲を取らせず自分の間合いで相撲を取ることが出来ている。
勝っている相撲は危なげない相撲が続いている。

大栄翔が朝乃山に敗れて黒星先行。
朝乃山が幕内復帰以降、負け無しだったが本日は腕が伸びなかった。

一方朝乃山は失望させる土俵際逆転の連敗の後に苦手から白星を掴んだ。
本日も土俵際は危なかったが、大栄翔の突きを封じたのが勝因だろう。

元々朝乃山が大関昇進を果たした要因として、苦手の押し相撲への対策が出来たことが挙げられる。
特に大栄翔戦が顕著であったが幕内復帰以降、再度大栄翔には勝てなくなってしまった。

本日大栄翔に勝ったことで今後の朝乃山に影響を及ぼすのだろうか。

明日の注目の割は
琴ノ若ー若元春』
この一番である。

琴ノ若は先場所守りの強さをいかんなく発揮したが、それでも若元春に敗れてしまった。

ケンカ四つの両者だが、どちらが差し勝つか。
琴ノ若としてははじめからもろ差し狙いにいくのだろうか。
若元春としては突き放してから左を差しを狙うと思うがはてさて。

新入幕の尊富士が単独先頭に立ち、上位陣とは星の差2つという展開になった。
1敗も平幕大の里1名であり『平幕優勝か?』という声もちらほら聞こえるが、まだ場所は半分以上残されている。

だからといって上位陣も安定しているとは言えないため、本当に予想が難しいところである。

明日で中日折り返しだが、どのような展開で後半戦に突入するのだろうか。