きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

793. 2024年春場所6日目を勝手に語る

役力士で勝ちっ放しが消滅し、全勝は平幕の大の里と尊富士。
そして横綱大関から1敗力士も消滅した。

私自身注目していた『琴ノ若ー阿炎』の一番は新大関が見事壁として立ちはだかった。

今場所だけに限ってみれば『好調の阿炎』『普通の琴ノ若』の対戦だろう。

しかしこのところ阿炎は琴ノ若の重い腰を崩すことが出来ず6連敗中である。

今場所は先手を取ることは出来た。
阿炎が攻め込んではいるものの、琴ノ若が崩れるまでには至らなかった。
琴ノ若としてはある程度余裕を持っての突き落としだっただろう。

今場所の両者の状態であっても阿炎が勝てないとなればこの先も阿炎にとって琴ノ若は天敵となるだろう。

これで今場所初黒星を喫した阿炎だが、元々このまま突っ走るとは考えにくかったため、気にせず明日以降も先手を取ることに集中するだけだろう。

敗れたことで変に考えて受け身に回っては阿炎の魅力が半減するため、切り替えて臨んで欲しいところである。

一方琴ノ若は重たい腰を活かした『らしい相撲』だった。
先場所の活躍と比較するとやや物足りなさはあるものの、まだまだ先は長いため白星を積み重ねていきたいところである。

その他大関陣に目を向けると、角番貴景勝が初顔の平戸海を下して連敗を免れた。

立ち合いの当たり良く、その後の突き押しも貴景勝らしい相撲だった。
久しぶりに貴景勝本来の相撲を見たような気がした。

平戸海はいわゆる小兵力士特有の変則的なタイプではないが、身体が大きいわけではないため、貴景勝としてはある程度やりやすさはあったか(いずれにしても貴景勝は小兵力士を比較的得意にしているが)。

角番脱出のためには平幕相手に取りこぼしは避けたいため、このまま白星を積み重ねることが出来るかどうか。

一方平戸海は真っ向勝負で清々しかったが、最後踏ん張り切れず足が出たのが勿体なかった。
おそらく残していても貴景勝が押し切る展開にはなっていたと思うが、あの続きを見たい気持ちもあった。

昨日初日を出した霧島が王鵬を下して連勝。
攻める意識はあれどバタついており、本来の姿とはかけ離れているが、それでも連勝とした。

白星が何よりの薬であり、この先内容も修正していけたら良いだろう。

本日敗れて2敗に後退した豊昇龍は翔猿にうまく取られてしまった。

本日は翔猿の前捌きのうまさが目立った一番ではあるが、それと同時に豊昇龍がずいぶん大人しい相撲を取っていた印象を受けた。

劣勢だから仕方ないと言えば仕方ないが攻める姿勢が見受けられないし、残すにしても必死さが伝わらなかった。

また豊昇龍は小兵力士相手にもろ差しの形を許すことが多い。
昨日の朝乃山戦同様、劣勢になっても何とかなるという気持ちがあるのか。

豊昇龍ファンには申し訳ないが、どうにも豊昇龍の相撲を見ていると自信ではなく過信に見えてしまい、良い印象を持たない。

横綱照ノ富士に関してはまず率直な感想として『今日出場するんだ』だった。
案の定本日も相撲になっていないし、自信も失っているような内容である。

長期休場後の復活を何度も目にしているため忘れかけていたが、引き際も難しくなっているかもしれない。

長期休場明けの場所で優勝を果たすのはもちろん素晴らしいことだが、とはいえ年間で1場所しか結果を残す事ができない、ましてや皆勤ですら1場所ないし2場所というのは致命的だと思う。

私自身も照ノ富士にはまだ壁として立ちはだかってほしいという気持ちは強い。
何度か記載しているが霧島、豊昇龍、琴ノ若、朝乃山、十両に下がっているが若隆景と照ノ富士戦未勝利の力士が多く存在する。

彼らには照ノ富士を倒して引導を渡して欲しいという気持ちも強いが、彼らに倒される前に照ノ富士が自分自身との闘いに敗れてしまっている。

さすがに明日は休場すると思うが、進退に関しても考える時なのかもしれない。

関脇に目を向けると、今場所初めて両者揃って白星。

連敗中の若元春は錦木相手に左四つの形で攻め切った。
これぞ若元春の相撲といったところだろう。
この2日間受け身に回っていたため一安心である。

大栄翔は曲者宇良相手によく見て突き放し、懐に入れず追い詰めることが出来た。

大栄翔のうまさが出た一番でもあるし、やはりこの力士は白星をきっかけに勢い付くタイプだと改めて感じた。

平幕に目を向けると、熱海富士が朝乃山戦初白星を掴んだ。

相四つで朝乃山の方が地力が上だが、熱海富士が持ち前のしぶとさを見せた。

完勝ではないが、それでも上手を引けば熱海富士もやはり強いと感じさせる内容だった。

一方朝乃山は昨日に続いて詰めが甘い。
元々朝乃山は大関在位中も土俵際の詰めの甘さが目立っていた力士だが、勢いに任せ過ぎな部分が大きい。

これが功を奏して昨年の秋場所では熱海富士との初顔の一番で白星を掴んでいるが、土俵際の落とし穴に気を付けるためには勢いだけではダメだろう。

初日の時にも記載したが、やはり今の朝乃山が大関復帰を果たすのは夢のまた夢に感じてしまう。

極論今の状態でも大関を維持できる力量はあると思う。
しかし大関に昇進する爆発力がない。
元々安定感を売りにして昇進を果たした力士ではあるが、この2日間の相撲を見ていると厳しいと言わざるを得ない。

今場所ここまで2勝4敗であるが、おそらく勝ち越しには結びつけてくるとは思う。
しかしそれ以上が見えてこない。

全勝の大の里は実力者明生を下して6連勝。
今場所初めて一瞬立ち合いの当たりを止められたかに見えたが、圧力勝ちしており結局は一方的な内容だった。

先場所から幕内では17勝4敗の成績だが、平幕相手には1敗しかしていない。
そしてその1敗の相手阿武咲と明日割が組まれている。

大の里は腰高が欠点であるが、その欠点を見事に突いたのが阿武咲である。
大の里としては先場所の反省を活かして相撲を取ることが出来るかどうか。

そしてもう一人全勝の尊富士。
本日も美ノ海を圧倒した。

場所前完全に幕内の土俵が未経験という点を懸念していたが、どこ吹く風である。

まずは髙安、御嶽海、正代といったところと割が組まれたらどうなるのか見ものだと思っている。
というか早くここらと当てて欲しいという気持ちが強い。
もたもたしていたらまた終盤戦の割が窮屈になる可能性も高い。

明日の注目の割は
『豊昇龍ー阿炎』
この一番である。

豊昇龍としては優勝争いを考えるとここで落とすわけにはいかない。
1敗の阿炎としては事実上最後の役力士戦になると思うが(たぶん照ノ富士が休場すると思うから)、ここをモノにすればかなり大きいだろう。

豊昇龍は比較的阿炎戦はうまく取っているが、阿炎の引き技を食ってしまうこともある。

阿炎としては如何にして先手を取るかどうかが鍵となるだろう。

優勝争いの予想はかなり難しいが、久しぶりに上位陣が不安定の中、充実した平幕若手の力士が2名も存在する。
大の里、尊富士ともに勢いがあるとはいえ、このままいくとは中々思えない。

はてさてどうなるものか。

792. 2024年春場所5日目を勝手に語る

本日で序盤5日間が終了したが、上位陣安泰には程遠い展開である。
大関以上で1敗は豊昇龍だけである。
そして照ノ富士は連敗で序盤戦黒星先行となった。

その照ノ富士の一番。
正直王鵬には申し訳ないが、波乱を一つも期待していなかった。

しかし蓋を開けてみればこれまで私が見た王鵬の相撲の中で最高の相撲を取ったのではないだろうか。

今場所の照ノ富士は残り腰がない。
それをうまく突くようにやること全てが照ノ富士に刺さっていたような相撲だった。

過去に役力士との対戦は経験しているが、上位総当たりの地位で相撲を取るのは今場所が初めてである。

少し気になる存在ではあるが、それでも大負けして出直しになるだろうと予想していた。

王鵬はこの一番をきっかけに化けることが出来るかどうか。
本日の一番は素晴らしいの一言だが、ここから白星を積み重ねることが出来るかどうか。

極論2勝13敗で終わる可能性もあるわけだが、ぜひともこの一番をきっかけにしてほしいところである。

一方照ノ富士は2日目、3日目である程度修正したかに思われたが、この2日間の相撲を見ると下がってしまっては相撲になっていない。
本日も防戦一方だった。

場所前展望でも記載したが、やはり2場所以上連続で結果を残すのがかなり難しくなっている。

元々膝に爆弾を抱えているが、それに加え腰や内部疾患の問題もある。

まさに自分自身との闘いだが、それに打ち勝つことが出来ない状況である。

おそらく途中休場になるだろう。

大関陣で白星を挙げたのは豊昇龍と霧島である。

本日注目の割としていた『豊昇龍ー朝乃山』は案の定とでも言うべき内容か。

さすがに朝乃山は学習能力が無さ過ぎではないだろうか。
何度同じ負け方を繰り返せば良いのだろうか。

右四つに組めると思っていたし、何なら左上手は比較的早かった。
なぜあんな簡単に投げ技を食ってしまうのだろうか。

豊昇龍の投げ技が強いのは間違いないだろうが、さすがにやられ過ぎだろう。

そして豊昇龍としてもこれがうまいこと決まってしまうものだからある意味豊昇龍も進歩しないのではないだろうか。

本来ならば豊昇龍にとっては立ち合い踏み込んで前ミツを引いて攻める相撲が理想だろう。

しかし立ち合いの踏み込みは朝乃山の方が勝っており、むしろ投げ技で何とでもなるという気持ちがあるのかもしれない。

実際にこのような考え方をしているかどうかは定かではないが、いずれにしても豊昇龍は投げ技頼りの相撲が続くようならば上の番付は見えてこないと思う。
相撲内容に関しては見つめ直す必要があると思う。

霧島が明生を下して5日目にして初日を挙げた。

本来の相撲とは程遠い内容だが、とにかく1つ白星を手にしたというのが大きいだろう。
まだまだ前途多難だが、この白星をきっかけにしたいところである。

貴景勝琴ノ若が黒星でともに3勝2敗。

貴景勝は頭で当たりにいき、突き放そうとするも熱海富士を後退させることが出来なかった。

本来の当たりと比較すると弱いし、また熱海富士の圧力も素晴らしかった。

角番の場所で序盤戦3勝2敗は及第点だろうが、如何せん貴景勝らしい相撲には程遠いため、中盤戦以降も厳しい展開になりそうである。

一方熱海富士はここ最近は大の里に話題を奪われがちだが、着実に上位で戦える力を付けつつある。

特に貴景勝戦は優勝決定戦でも敗れている因縁の相手だったため、貴景勝に勝てたというのは成長の証だろう。

まだまだ脇が甘く、粗削りな部分もあるが、この先も楽しみな力士である。

大関琴ノ若が宇良に敗れた。
琴ノ若としては迷いがあったか、立ち合い腰高であった。

宇良としては自分の相撲を取り切ったといったところか。
見事に肩透かしを決めた。

琴ノ若は序盤戦の相撲を見ていると、特段調子が悪いというわけではなく『数場所前に戻った』印象を受ける。

琴ノ若の守りの強さが明確に現れてきたのは2場所前11勝を挙げたときではないだろうか。

それ以前の琴ノ若は良くも悪くも上位圏内で堅実に勝ち越しを果たすも二桁に中々届かないといった力士だった。

今場所は守りの強さも影を潜めるまでとはいかないまでも、先場所ほどではない。
星数を見ても3場所ほど前に戻ったような印象である。

中盤戦以降、立て直すことが出来るかどうか注目である。

関脇同士の対決は大栄翔に軍配が上がった。
大栄翔としては昨日の白星が良い薬になったか、初日からの3日間とは完全に異なる内容だった。

攻め切ることが出来なかった点は気掛かりと言えば気掛かりだが、それでも立ち合いの当たりは戻りつつあるか。

一方若元春は2日連続受け身の相撲になっており、良いところなく連敗である。

初日から3日間を見て今場所はかなりやってくれると思っただけに印象の悪い連敗である。

役力士唯一の全勝力士である阿炎が錦木を下して序盤戦無傷の5連勝とした。

錦木に攻め込まれる展開となったが貴景勝戦同様、土俵際のうまさを見せた。

先手を取っていることもそうだし、白星も積み重ねているため身体も動くのだろう。
この流れがどこまで続くのか見ものである。

明日の注目の割は
琴ノ若ー阿炎』
この一番である。

数日前から記載していたが、今場所の阿炎の活躍を見て、早く琴ノ若戦が見たいと思っていた。

本日も阿炎は腰の重たい錦木を押し込むことは出来なかった。

土俵際のうまさでカバーしているが、腰が重たく錦木以上にどっしり構えている琴ノ若相手に通用するかどうか。

このところ阿炎は琴ノ若に対して圧力負けしているが、上記の通り今場所の琴ノ若は守りの強さが先場所程ではない。

今場所はどうなるのか注目である。

序盤戦が終了し、上位陣では星数でも内容面でも盤石な力士は存在しない。
豊昇龍はこれが豊昇龍らしい相撲と言えばそうなのだが、それでもこのままいきそうな雰囲気には感じられない。

阿炎、大の里、尊富士と星を伸ばして全勝としているが、さすがにこの中から優勝力士が誕生するとも中々考えにくい。

大の里は番付もある程度上のため、早々役力士と割が組まれる可能性もあるだろう。

尊富士も先場所の大の里同様、役力士と割が組まれるまで星を積み重ねるかどうか。

優勝争いはまるで予想出来ないが、若手の活躍は楽しみである。

791. 2024年春場所4日目を勝手に語る

照ノ富士が敗れて序盤戦で2敗目。
ある程度落ち着きを取り戻したかに思えたが、荒れる春場所はまだ猛威を振るっている。

横綱昇進以降、分の悪い明生戦だったが、明生からすればこれぞ照ノ富士攻略のお手本と言わんばかりの内容だった。

立ち合い鋭く踏み込み一発突き放してからもろ差し速攻。
流れるような展開だった。

照ノ富士としては錦木戦同様、下がってしまったら残り腰がない。
本日は立ち合いも高かったか。

この2日間冷静に相撲を取っていたが、本日はまるで良いところがなかった。

もちろん明生を褒めるべき一番ではあるが、序盤戦で2敗は今の照ノ富士の状態からすると厳しく見えてしまう。

うまく立て直していくことが出来るかどうか。

大関陣の前に好調の三役同士『若元春ー阿炎』の一番は阿炎が制し、役力士で唯一全勝を守った。

正直若元春が有利な一番になると思っていたが、阿炎が先手を取って一方的な内容になった。

先場所の阿炎は序盤戦に迷いが見られたが、今場所は迷いなく先手を取ることが出来ている。
先手を取って攻め込むことが出来れば本日のような展開にもなるし、引き技もうまく決めることが出来る。

この4日間は自身より上の番付相手に完璧な相撲を取っているが、さすがにこのまま全勝で突っ走るとは考えにくい。
どこまで自分の相撲を取り続けることが出来るかどうか注目である。

敗れた若元春は先手を取られたかつ自身もやや立ち遅れたように見えた。
3日間素晴らしい相撲が続いていただけに残念ではあるが、本日は仕方ないと割り切って明日以降に臨んでほしいところである。

大関陣は本日も霧島が黒星で初日が出ず。
朝乃山の圧力を止めることが出来ず、一方的な内容で敗れた。

本日の引き技も消極的だし、自信を失っているような相撲である。
昨日までは噛み合っていないの一言だったが、さすがに本日の相撲を見ると厳しいように感じる。

昨日も記載したように、霧島にとって試練の場所になるだろうが、腐らず白星を目指してほしい。
まず1つ、とにかく1つほしいところである。

豊昇龍は同学年の王鵬を下して3連勝。
盤石とは言い難いが、危なげも無いといったところか。

この力士は絶対的な型、強さという点ではまだ不十分であるが、それを動きでカバーしており、本日も身体が動いていたようである。

上位陣がやや不安定であるため、このまま白星を積み重ねていきたいところである。

角番貴景勝が今場所初めて攻める相撲で白星を掴んだ。

比較的得意としている宇良ということもあってか、余裕を感じる相撲内容だった。
土俵際も落ち着いて対処した。

本来の貴景勝からすればまだまだ本調子と言い難いが、昨日苦しい一番をモノにし、貴景勝としては上向きになりつつあるか。

大関琴ノ若が隆の勝を下して3勝目。

本日の相撲を見て改めて右四つでの強さが感じられない。
腰が重たいため残すことは出来たが、右四つに組んでからの工夫がない。

もちろん隆の勝も右を差して十分な力士ではあるが、おっつけて上手を狙いにいくといった工夫なく、小手投げで何とかしようという守りの相撲である。

結果的に小手投げを決めたが、このような相撲内容では照ノ富士はもちろんのこと朝乃山にも右四つに組んで勝つことは出来ないだろう。

何度か記載したことがあるが、型が無いと言えば豊昇龍の四股名が挙がりやすいが、正直琴ノ若も型が無いと思っている。

絶対的な型が必ずしも重要なのかどうかは正直わからない部分もあるが、いずれにしても四つに組んでもう少し工夫しなければ上の番付は見えてこないと思う。

この4日間、琴ノ若に対して辛辣な記載をしているが、期待の裏返しである。
守りの強さはここ数場所で証明されているため、あとは攻めの強さだろう。

関脇大栄翔が錦木を下して初白星を挙げた。
正直今場所の大栄翔は霧島より深刻、というよりも出場している幕内力士で最も深刻と言っても過言でないレベルに感じていたため、とりあえず一安心である。

昨年秋場所も序盤戦躓いた後に終盤まで優勝争いをしたため、この先の巻き返しに期待である。

平幕に目を向けると大の里の出足、圧力が光っている。
本日は小兵の翠富士が相手だったが、迷うことなく踏み込んで圧倒した。

先場所役力士には跳ね返されたが、明生や隆の勝といった上位圏内の力量を持った力士には圧倒していたため、上位陣でなければ圧力をまともに受け止めることが出来ないということか。

今場所上位圏外の番付だが、このまま白星を積み重ねていけば役力士と割が組まれるだろう。
まだ序盤戦だが楽しみである。

明日の注目の割は
『豊昇龍ー朝乃山』
この一番である。

過去豊昇龍の4戦全勝だが、朝乃山の敗因としては上手の引きつけの甘さである。
これにより逆転の投げ技を食うことが大半である。

今場所の朝乃山の踏み込みは悪くないため、上手を引けるかどうかは別として右四つに組むことは出来るのではないだろうか。

上手を引かずに攻めてしまうと土俵際逆転の投げを食ってしまうため、右四つに組んだ後に上手を引くまでじっくり構えることが出来るどうか。

一方豊昇龍は身体能力の高さでカバーしているが、胸を合わせるとさすがに厳しいため、上手は許さずに相撲を取りたいところである。

まだ荒れる展開が収まらない中、1敗の大関3名はこのまま白星を積み重ねていけるかどうか。

全勝力士が阿炎、大の里、尊富士という中々興味深い3名である。

明日で序盤戦が終了するが、どのような展開で中盤戦へ突入するだろうか。

790. 2024年春場所3日目を勝手に語る

3日目の土俵も上位陣安泰ならず。
問題は霧島である。

本日宇良に敗れて泥沼の3連敗。
立ち合いもろ手突きからすぐにいなし、攻めの流れとしては悪くないように感じた。

しかし宇良のしぶとさに焦ってしまったか最後は足が出ずに突き落とされた。

昨日『噛み合っていない』と記載したが、噛み合っていないからこそ勝ちたいという思いが強くなりすぎてしまい、焦りが生じてしまったか。

霧島にとって大関昇進以降初めての試練の場所と言えるか。
早くきっかけを掴みたいところである。

その他上位陣は安泰。

本日注目の『照ノ富士ー朝乃山』の一番は横綱の貫禄勝ちといったところか。

それでも朝乃山としては過去一番自分の相撲を取り切って善戦したと言えるのではないだろう。

朝乃山は立ち合い頭から当たって右四つに組んだ。
立ち合いを見て私自身は『それでいい』と感じた。

昨日も記載したが、過去にはもろ手突きにいったり、もろ差し狙いにいったこともあるが、付け焼き刃が通用するような相手ではないため、最善の立ち合いを選択したと思った。

右四つに組んで両者下手を引き、上手は引けない状態がしばらく続いていた。

朝乃山がおっつけながら下から上手を狙い、そして上手を引くことに成功した。

上手を引くタイミングはほぼ同じだったが、照ノ富士の上手は一枚で伸びており、この瞬間は朝乃山の方がやや有利と呼べる展開だった。

しかしこの程度で慌てる横綱ではない。
すぐに上手を引き直し、最後は胸を合わせて照ノ富士が白星を掴んだ。

やはり右四つの完成度は照ノ富士の方が上であり、終わってみれば照ノ富士だった。
それでも上記の通り、朝乃山は自分の相撲を取り切って善戦したということに価値があると思う。

まだまだ力量差はあれど、ほんの一歩でも近付くことが出来た、そんな一番に感じた。

照ノ富士は初日敗れたがその後2連勝とした。
本日の相手が朝乃山ということもあるかもしれないが、冷静に相撲を取ることが出来ている様子である。
この流れで白星を積み重ねていきたいところだろう。

大関琴ノ若が錦木を下して連敗を免れた。
本日ももろ差し狙いであり、もろ差しの形を作ることは出来なかったが、冷静に対処することが出来た。

先場所の相撲と比較するとややバタついているように見えなくもないのだが、とりあえず連敗しなかったことが何よりか。

角番貴景勝は苦手阿炎の翌日に苦手明生との対戦だったが辛勝。

立ち合い当たり負けし、その後回転の良い突っ張りを見せるもあまり効いておらず、いなされてバランスを崩したが、土俵際逆転のすくい投げを決めた。

貴景勝投技を決めると身体が動いているのではないかとプラスの要素も感じる部分があるが、それ以上に気掛かりなのが立ち合い当たれていないことである。
立ち合い当たれていないし、馬力も影を潜めている。

苦手相手に連敗しなかったことが何よりだし、白星を積み重ねることで相撲内容も上向きになる傾向のある力士ではあるため、この先に期待か。

豊昇龍が熱海富士を下して連勝。
熱海富士が立ち合いから左前ミツを引いて良い形を作ったが、豊昇龍がすぐに下手投げで振り、その後も先に技を仕掛けて体勢を入れ替えた。

豊昇龍らしい動きのある相撲であるため、この先も動きの良さに期待したいところである。

関脇に目を向けると、若元春が元気良く3連勝。
本日は隆の勝相手に左は差せなかったが、それでも構わず圧力をかけて前に出る相撲で完勝した。

連日平幕力士との力の差を見せつけているが、上位戦が楽しみである。

そしてどうにもならないのが大栄翔である。
本日も阿炎相手に一方的に攻められて完敗。

霧島の場合『噛み合っていない』印象だが、大栄翔の場合『完全に歯車が狂っている』印象を受ける。

大栄翔らしさが欠片も見当たらない。
7場所連続三役在位、6場所連続関脇在位だが、今場所はかなり苦しい場所になりそうである。

一方小結阿炎が3連勝スタート。
全て自身より上の番付から白星を掴んでいるが、ここまでは阿炎らしい相撲が続いている。

最近は琴ノ若相手に突っ張りが通用せず圧力負けすることが多いため、私個人としては琴ノ若戦が楽しみである。

平幕下位に目を向けると新入幕尊富士が初日から3連勝。
しかし本日の狼雅戦は少々ガッカリした。

先場所尊富士は新十両の場所にて13勝2敗の好成績で見事十両優勝を果たした。
2敗の内訳は狼雅と北の若であり、幕内と十両の境目の力士相手に落とす結果となった。

そのため本当の意味での尊富士の力量はまだまだ不明なところは多い。
昨日実力者遠藤を下したとはいえ、ここ数場所の遠藤の相撲を見ていると幕内から陥落しても不思議ではないほど衰退してきている。

そのため先場所敗れた狼雅相手にどのような相撲を取るのか楽しみにしていたのだが、左変化気味に動く立ち合いを選択した。

尊富士の力量を測る上でも良い相手だったが、狼雅に勝つための作戦がこれしかなかったというならば残念でしかない。

若手が縮こまった相撲を取ってほしくないところである。

明日の注目の割は
照ノ富士ー明生』
この一番である。

照ノ富士横綱昇進以降では2勝3敗と負け越している相手である。

もろ差しを許す展開が多く、うまく腕を極めてしまえば良いが、雑な相撲だと厳しい展開に陥るかもしれない。

ここ2日間は落ち着いて相撲を取ることが出来ているが、やや苦手な相手にも冷静に立ち回ることが出来るかどうか。

霧島の状態は気掛かりだが、照ノ富士、豊昇龍は落ち着きを取り戻したか。

琴ノ若は上記の通り先場所と比較するとややバタついているように感じるがどうか。

貴景勝も白星先行とはいえ、本来の相撲ではないためまだまだわからない。

若元春、阿炎もさすがにこのままいくとは思えない。

はてさてどうなるものか。

789. 2024年春場所2日目を勝手に語る

春場所2日目も3大関が敗れ、上位安泰とは程遠い展開。
そして2日目で早くも横綱大関で勝ちっぱなしは消滅した。

初日黒星を喫した横綱照ノ富士は曲者宇良に相撲を取らせず初日を出した。

先場所同様、腕が折れるのではないかと感じさせるほど強烈な小手投げから宇良を吹っ飛ばした。

小兵力士(宇良を小兵力士と呼べなくなっているが)からすればあれだけ大きい相撲を取られるのが最も恐ろしいことではないだろうか。

照ノ富士としては連敗せず初日を出したことが大きい。

先場所も我慢して相撲を取り続けた結果、優勝に辿り着いたため、このまま白星を積み重ねていきたいところである。

大関陣に目を向けると、本日注目の『琴ノ若ー朝乃山』は朝乃山に軍配が上がった。

昨日も記載したが、右四つに組んだ時の地力は朝乃山だと思っていたし、結果自体に驚きはない。

そして予想通りとはいえやはり琴ノ若が立ち合いにもろ差し狙いにいったのが残念でならない。

根は右四つだが、結局四つを得意としている力士にまともに組みにいかず、もろ差し狙いにいくことが大半である。

四つでももっと堂々とした相撲を取ってほしいのだが、現状の琴ノ若はそれが出来ない。

朝乃山の右四つを警戒しているのはわかるが、それでもここで朝乃山を右四つに組んで倒すくらいの気持ちがないと上の番付は見えてこないと思う。

大関には酷な注文かもしれないが、大関昇進を果たしたからには横綱を目指すのは当然だろう。

本日の朝乃山の強さが光ったのはもちろんだが、同時に琴ノ若はまだまだだと感じる一番であった。

角番貴景勝が阿炎に敗れて初黒星。
阿炎のもろ手突きに先手を取られ、うまくあてがって反撃したかに見えたが、土俵際逆転の上手投げを食ってしまった。

本日は阿炎の良さが光った一番と言えるだろう。
土俵際のうまさも阿炎らしいし、そもそもあの逆転の投げを決められたのは先手を取っていたからである。

貴景勝としてはある意味いつも通り序盤戦に落としたといったところか。
とにかく連敗だけは避けたいところであるが、明日が苦手の明生戦であるため厳しい場所になりそうである。

霧島が熱海富士に敗れて連敗スタート。
熱海富士に上手を許さないようにうまく取っているように見えるが、攻めの姿勢が見られないようにも感じる。

巻きかえにいったところを小手に振られ、そこから我慢できず体勢を悪くしてしまった。

昨日あっさり敗れてしまったことが尾を引いているのかどうかは不明だが、この2日間は『噛み合っていない』印象を受ける。

後半戦に強い力士であるが、序盤戦で星を落としすぎては優勝争いにおいて蚊帳の外となるため、早くきっかけを掴んでほしいところである。

本日大関陣で唯一白星を挙げた豊昇龍。
豊昇龍には失礼だが、3大関が敗れた後に登場し、苦手錦木相手のため大関全滅もあり得ると思ってしまった。

立ち合い右上手を狙いにいったが、形としては右四つとなり、右深く差して左おっつけでうまく攻めることが出来た。

錦木の重い腰を封じるように早く攻めることが出来た。

昨日宇良にうまく取られて不覚を取ったが、本日は良い内容だった。
攻めの姿勢を貫いて明日以降も臨んでほしいところである。

関脇陣は本日も明暗が分かれた。

若元春は明生相手に完勝。
この2日間、平幕力士相手に力の差を見せつけるような力強い内容である。
それにしてもこの両者、これで対戦成績が若元春の7戦7勝だがかなり意外である。

一方もう一人の関脇大栄翔が平幕力士相手に連敗。
本日の相撲を見ていても軽い印象を受ける。

対戦相手の王鵬も力は付けているだろうか、さすがに大栄翔を心配したくなる内容である。

まだ2日だが、大栄翔と若元春の立場が逆転してしまい、若元春が大関候補筆頭となったか。

平幕同士の一番『大の里ー豪ノ山』は大の里に軍配が上がった。

正直この一番は驚かされた。
豪ノ山はまだ上位圏内の力量が完璧にあるかと言われたらそうではないが、それでも大関を倒したことのある期待の若手である。

一方大の里は期待の若手であるが、先場所新入幕ではさすがに役力士相手に完敗だった。

そのため地力では豪ノ山の方が上だと見ていたが、大の里が豪ノ山を圧倒した。

先場所大の里は阿武咲に一方的に敗れた相撲があり、それに近い形を予想していたが、立ち合い当たり勝ったのは大の里だった。

もはや大の里には上位圏外の力士では歯が立たない程の力量が備わっているのか。
まだ2日目とはいえ本日の相撲を見ると今場所も期待したいところである。

明日の注目の割は
照ノ富士ー朝乃山』
この一番である。

朝乃山としては高く分厚い壁として立ちはだかる照ノ富士戦である。

2020年の7月場所、この両者が幕内で初対戦してから再三記載しているが、右四つの完成度は照ノ富士の方が遥かに上である。

上手の引き方、廻しの切り方、腕の返し方、全て照ノ富士が勝っている。

大関の場所で朝乃山は照ノ富士に敗れたが、この敗戦が一生の屈辱を味わうことになった。

払拭するには勝つしかない。
照ノ富士を超えるしかない。

過去はもろ手突きにいったり、もろ差しを狙いにいったりしたこともあったが、付け焼き刃が通用するような相手ではない。

自分の相撲を信じて自分十分、相手不十分の形を作るしかないだろう。

本日琴ノ若戦では元大関の力を示した。
照ノ富士相手にも発揮出来るかどうか。

何度も記載するようにまだ2日目とはいえ、横綱大関で全勝が消滅したのは波乱と言えるだろう。

そして若元春の充実度が光っているが、若元春も上位と割が組まれた時どうなるか。

まだまだ波乱の起きそうな春場所である。

788. 優勝した横綱が翌場所初日黒星

大相撲春場所は初日から1横綱2大関が黒星を喫し、波乱の幕開けとなった。

『荒れる春場所』という意味では良いのかもしれないが、上位陣としては序盤戦でそう簡単に黒星を喫するわけにはいかないだろう。

先場所復活優勝を果たした横綱照ノ富士はここ最近、連続して結果を残すのが難しくなっているため、今場所も苦しいスタートとなってしまった。

今回の照ノ富士のように優勝した横綱が翌場所初日黒星を喫したのは過去にどのくらい存在するだろうか。

年6場所制となった昭和33年以降、横綱に在位していた力士に絞っていきたいと思う。

詳細は以下の通りである。

優勝した場所

四股名・成績

翌場所成績

その場所の優勝力士

昭和34年夏場所

若乃花

14勝1敗

11勝4敗

栃錦横綱

15戦全勝

昭和36年春場所

朝潮

13勝2敗

0勝4敗11休

佐田の山(西13)

12勝3敗

昭和38年秋場所

柏戸

15戦全勝

10勝5敗

栃ノ海大関

14勝1敗

昭和39年夏場所

栃ノ海

13勝2敗

11勝4敗

冨士錦(西9)

14勝1敗

昭和39年九州場所

大鵬

14勝1敗

11勝4敗

佐田の山大関

13勝2敗

昭和41年春場所

大鵬

13勝2敗

14勝1敗(優勝)

大鵬

昭和46年夏場所

北の富士

15戦全勝

8勝7敗

玉の海横綱

15戦全勝

昭和46年九州場所

北の富士

13勝2敗

7勝7敗1休

栃東(西5)

11勝4敗

昭和48年名古屋場所

琴櫻

14勝1敗

9勝6敗

輪島(横綱

15戦全勝

昭和50年初場所

北の湖

12勝3敗

13勝2敗(同点)

貴ノ花大関

13勝2敗

昭和51年春場所

輪島

13勝2敗

13勝2敗(同点)

北の湖横綱

13勝2敗

昭和53年秋場所

北の湖

14勝1敗

11勝4敗

若乃花横綱

15戦全勝

昭和62年秋場所

北勝海

14勝1敗

13勝2敗(次点)

千代の富士横綱

15戦全勝

平成5年夏場所

旭富士

14勝1敗

8勝7敗

琴富士(東13)

14勝1敗

平成7年秋場所

貴乃花

15戦全勝

12勝3敗(同点)

若乃花大関

12勝3敗

平成11年秋場所

武蔵丸

12勝3敗

12勝3敗(優勝)

武蔵丸

平成12年名古屋場所

13勝2敗

13勝2敗(次点)

武蔵丸

14勝1敗

平成13年九州場所

武蔵丸

13勝2敗

1勝3敗11休

栃東大関

13勝2敗

平成17年名古屋場所

朝青龍

13勝2敗

13勝2敗(優勝)

朝青龍

平成19年初場所

朝青龍

14勝1敗

13勝2敗(同点)

白鵬大関

13勝2敗

平成19年秋場所

白鵬

13勝2敗

12勝3敗(優勝)

白鵬

平成20年春場所

朝青龍

13勝2敗

11勝4敗

琴欧洲大関

14勝1敗

平成20年秋場所

白鵬

14勝1敗

13勝2敗(優勝)

白鵬

平成24年春場所

白鵬

13勝2敗

10勝5敗

旭天鵬(西7)

12勝3敗

平成27年春場所

白鵬

14勝1敗

11勝4敗

照ノ富士(関脇)

12勝3敗

平成27年名古屋場所

白鵬

14勝1敗

0勝3敗12休

鶴竜横綱

12勝3敗

平成27年秋場所

鶴竜

12勝3敗

9勝6敗

日馬富士横綱

13勝2敗

平成29年春場所

稀勢の里

13勝2敗

6勝5敗4休

白鵬横綱

15戦全勝

平成29年秋場所

日馬富士

11勝4敗

0勝3敗12休

白鵬

14勝1敗

令和4年夏場所

照ノ富士

12勝3敗

11勝4敗(次点)

逸ノ城(西2)

12勝3敗

※赤字は翌場所も優勝した力士

優勝の翌場所全休というパターンもあるが、今回はあくまで『初日黒星』という事で絞っている。

過去30回だが、回数だけ見れば特段珍しく感じないかもしれないが、昭和33年初場所から先場所の初場所まで『全395場所』であり、その内横綱優勝は『251場所』である。

251場所の内の30回(今回を入れて31回)と割合にすれば1割ちょっとのため、珍しい事だと言えるだろう。

大鵬北の湖朝青龍白鵬といった時の第一人者が複数回経験している。

これは優勝回数が多ければ多いほど、可能性としては広がるため無理もないかもしれない。

その中で横綱在位中で29回優勝を果たしている千代の富士が0回というのは凄いことだと言える。

実は照ノ富士自身も過去に経験している。

前回初日黒星を喫した場所は皆勤は果たしたものの、優勝は平幕逸ノ城にさらわれる結果となった。

過去にこの状況で優勝を果たしたのは5回(大鵬武蔵丸朝青龍白鵬2回)だけであり、割合としては2割とかなり低い。

ここ最近連続して好成績を残するのが難しくなっている照ノ富士としては嫌なデータと言えるだろう。

先場所も照ノ富士は序盤戦盤石とは程遠い内容だった。

それでも白星を積み重ねて、終盤戦は圧巻の相撲内容だったため、この先の巻き返しに期待したいところである。

787. 2024年春場所初日を勝手に語る

本日より大相撲春場所が初日を迎えた。
今場所も好き勝手語っていきますのでよろしくお願いします。

さてここ最近おなじみの感情とでもいうのか、初日が始まったという実感があまり沸かない。
本日は16時の幕内前半戦からテレビで視聴していたが、気持ちが入り切らない感覚があった。

上位が顔を出すと徐々にこちらもエンジンがかかってきたわけだが、改めて1横綱4大関と番付が豪華だと感じた。

しかし上位陣が増えると、本日のように上位が立て続けに敗れるという日も訪れるものである。

初日早々1横綱2大関に土が付き、荒れる春場所本領発揮と言ったところか。

まず先場所の覇者 照ノ富士は錦木相手に不覚を取った。
両者ケンカ四つだが照ノ富士得意の右四つに組み、さらには上手も照ノ富士の方が早かった。

しかし錦木も上手を引いて残し、照ノ富士が上手を切るも錦木は瞬時に巻きかえに成功した。

錦木の腰の重さ、そして巧さが垣間見える一番となった。

照ノ富士としては昨年名古屋場所に敗れているとはいえ、錦木に対して苦手意識はないだろうし、むしろ動き回るタイプでもないので安心して取ることが出来る相手と言えるだろう。

しかしもろ差しを許し、その後残り腰も見られなかったため、本来の相撲とは程遠い展開である。

まだ初日のため何とも言い難いところはあるが、序盤でこれ以上落とすわけにはいかない。

大関陣は霧島、豊昇龍が黒星。

私自身優勝候補筆頭に挙げている霧島は阿炎の引きにばったり手をついてしまった。

霧島は相手の突っ張りを跳ね上げるのがうまい力士であるが、跳ね上げる前に阿炎がすぐに引いたため、それに対応する事が出来なかった。

場所前精力的に稽古を行っていたという報道もあっただけに残念な初日だが、とにもかくにも切り替えていくしかない。

豊昇龍は曲者の宇良相手に不覚。
立ち合いもろ手突きを選択したのは良かったと思うが、宇良に右を差されて慌てて前に出てしまった。

もう少しどっしり構えても良かったと思うが、宇良の巧さが光った一番とも言えた。

初日白星とした貴景勝琴ノ若

角番貴景勝は朝乃山を叩き込みで下したが、正直貴景勝云々よりも『朝乃山が脆い』というのが率直な感想である。

それこそ場所は始まったばかりだからこの一番だけで断定はできないが、それでも本日の朝乃山の一番を見ると大関復帰は夢のまた夢と感じさせる内容である。

もちろん相手は現在格上の大関であるが、こういった所を乗り越えていかないと上は見えてこないだろう。

一方貴景勝は立ち合いの当たりを見るとまだまだといったところか。

間合いを取るのがうまい力士であるため、本日も朝乃山に掴まらない間合いを保って相撲を取ることが出来たのは良かったか。

とにもかくにも白星が何よりの薬であるし、貴景勝は白星を積み重ねていけば調子を上げてくるタイプのため、初日白星としたのは大きいだろう。
相手が実力者の朝乃山ならば尚更だ。

今場所注目の新大関琴ノ若は熱海富士を下した。

呆気ない一番と言えば呆気ない一番だが、琴ノ若らしい一番とも言える。
最近の琴ノ若の相撲は相手の当たりを吸収するように受け止め、相手がバランスを崩したところを叩き込むという内容が多い。

そのため本日も琴ノ若らしい相撲と言えるのではないだろうか。

重圧のかかる初日に白星を挙げ、この先も白星を積み重ねていきたいところである。

関脇陣も明暗が分かれた。

大栄翔は分の良い明生相手に黒星。
いつもより突っ張りが軽いように見受けられ、明生を後退させる事が出来なかった。

平幕相手に出来るだけ落としたくないところだったが、初日から躓く形となった。

若元春は王鵬相手に力の差を見せつける内容だった。
本日の相撲を見ると先場所の勢いを持続させているように感じる。
もちろんまだ初日で相手も格下ではあるが。

平幕に目を向けると、自己最高位の平戸海、大の里が好発進と言える。

両者ともにこの先も攻めの姿勢を貫いて場所を盛り上げて欲しいところである。

明日の注目の割は
琴ノ若ー朝乃山』
この一番である。

両者相四つの右四つだが、組んだ時の地力は朝乃山の方が上だと思っている。

私は過去にブログで『朝乃山の右四つの完成度はまだ低い』という旨の投稿を何度もしているが、朝乃山以上に琴ノ若の方が低いと思っている。

おそらく琴ノ若はもろ差しを狙いにいくのではないかと思うが、正直ここで右四つに組んで朝乃山を倒さない限り、上の番付は見えてこないと思う。

私個人の思いとしては右四つに組んで堂々とした相撲を取ってほしいと思っているがはてさて。

まだ初日のため、状態に関して断定することは出来ないが、横綱大関としては序盤戦でそう簡単に星を落とすわけにはいかないだろう。

一日も早く上位陣安定の日を見たい思いがある。