『貴景勝ー御嶽海』
ここ1~2年の大相撲における注目の割である。
ここ数場所は御嶽海の右差しを許す展開で、貴景勝が5連敗を喫していた。
その対策が出来ていない限り、同じ過ちを繰り返すことになるが、本日は左おっつけにより御嶽海の右を封じた。
そしてその後もろ差しになって攻め立てた。
正直貴景勝がもろ差しになっても相撲が取れるのか疑問だったが、御嶽海を攻めきるだけの力量は持ち合わせていた。
まだ武器と呼べるには程遠いかもしれないが、貴景勝にとっては『引き出しの中身が増えた』一番とも言える。
だからこそ取り組み後の怪我が気掛かりである。
無理に出場して悪化させるのだけは避けてほしい。
早めの決断が必要である。
立ち合い踏み込んでいるからこそ叩きも決まり、その叩きも呼び込むような叩きではないため大事には至らなかった。
豪栄道は勝手知ったる琴奨菊相手にもろ差し狙いの立ち合いを選択した。
もろ差しは果たせなかったが、左は覗く程度に留め、自身は右前ミツを引いて十分な形となったため磐石である。
根は右四つだが、結局この力士は『廻しを取れば強い』ため右前ミツでも十分である。
高安は左差しに拘らず、立ち合い当たって終始突っ張り攻めきった。
私は常々高安に対して、左四つの精度を磨けば安定すると記載してきた。
今場所は左を差そうとするだけで、そもそも左四つに組むことすらなかった。
まずは立ち合いしっかり当たり、流れの中で左四つに組む工夫が必要になるだろう。
ただ左差しに拘るだけならば、晩年の稀勢の里の二の舞になってしまう。
大関復帰を狙う栃ノ心は、因縁の相手とも呼べる玉鷲相手に慌てず雑になることもなく、しっかり組止めて白星を掴んだ。
今場所は雑になることなく、しっかり立ち合い当たって攻める気持ちが全面に出ている。
昨日幕内中位~下位で調子が良さそうな力士として挙げた竜電、朝乃山は明暗が分かれた。
竜電は合い口の問題か、正代相手に良いところなく敗れた。
いつものしぶとさも見られなかったため残念であった。
朝乃山は昨日までと同様、厳しい攻めを見せて連勝を伸ばした。
栃ノ心としてはここ数場所苦杯をなめている相手であり、北勝富士のしつこいおっつけに対して我慢して相撲を取ることが出来るかどうか。
この4日間の相撲内容ならば、我慢して圧力をかけつつ組止めることも可能だと思うがはてさて。
そして貴景勝の怪我の具合はどうだろうか。