きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

804. 平幕だけが残った優勝争い

大相撲春場所も14日目が終了し、いよいよ千秋楽を残すのみとなった。

2敗:尊富士

3敗:大の里

優勝争いは平幕2名に絞られたが、まさかの尊富士負傷により『荒れる春場所』が異なる方向に向かっている状況である。

とにもかくにも私個人としてはどんな展開になろうと千秋楽を見届けるだけである。

さて今場所のように14日目を終了して平幕力士だけが優勝の可能性を残した展開はどの程度存在するだろうか。

年6場所制となった昭和33年以降、以下の通りである。

場所

四股名

最終成績

備考

昭和50年名古屋場所

金剛(西前頭筆頭)

12勝2敗

青葉城(東前頭5枚目)

11勝3敗

金剛:13勝2敗(優勝)

 

青葉城:12勝3敗

先に青葉城が土俵へ上がり白星。その後金剛が土俵へ上がり白星により本割で決定。

昭和59年秋場所

多賀竜(西前頭12枚目)

13勝1敗

小錦(西前頭6枚目)

12勝2敗

多賀竜:13勝2敗(優勝)

 

小錦:12勝3敗

先に小錦が土俵へ上がり敗れて多賀竜の優勝が決定。その後多賀竜も黒星。

令和2年初場所

徳勝龍(西前頭17枚目)

13勝1敗

正代(西前頭4枚目)

12勝2敗

徳勝龍:14勝1敗(優勝)

 

正代:13勝2敗

先に正代が土俵へ上がり白星。その後徳勝龍が土俵へ上がり白星により本割で決定。

令和4年秋場所

玉鷲(東前頭3枚目)

12勝2敗

髙安(西前頭4枚目)

11勝3敗

玉鷲:13勝2敗(優勝)

 

髙安:11勝4敗

千秋楽直接対決。玉鷲が制して優勝。

過去は4回である。

面白いことに令和4年秋場所の直接対決を除き、追いかける力士が先に土俵へ上がっている。そして先頭の力士がそのまま逃げ切って優勝を果たしている。

そのため今回は『先頭の尊富士が先に土俵へ上がる』ということで過去の事例とは異なる展開である。

また過去は優勝決定戦に突入することなく、本割で優勝が決まっている。

唯一昭和59年秋場所のみ先頭の多賀竜が黒星を喫しているが、その前に小錦が敗れて優勝を決めている。

過去の事例を見ると尊富士が有利な展開だが、尊富士の状況が状況なだけに何とも言い難い部分が大きい。

とはいえ大の里も対戦相手は大関豊昇龍である。

過去13日目終了時点で後続との星の差2つを逆転したケースは存在しないがはてさて…

803. 2024年春場所14日目を勝手に語る

尊富士が敗れ2敗へ後退し、大の里が3敗を守り、春場所の優勝は平幕2名に絞られた。

優勝ストッパー朝乃山。

今場所の(というよりも以前からだが)朝乃山は上手を引かず前に出て墓穴を掘るという相撲が多く見受けられたが、皮肉なことに昨年秋場所の熱海富士戦も本日の尊富士戦も上手を引かず攻め切った。

尊富士が今場所初めて出足を止められかつ動きも止められ、そして逆に攻められて黒星を喫した。

当然といえば当然なのだが、尊富士の出足とその後の動きを止めるのは不可能ではないということであり、そして尊富士相手にも前に出て攻め勝つことができるということを証明した。

昨年秋場所の熱海富士戦や本日の尊富士戦を見ると、今後も朝乃山は終盤戦優勝争いをする平幕下位の力士と割を組まれることが多くなるだろう。

そして元々期待度の大きい朝乃山だが、朝乃山自身が優勝争い出来るくらい星を伸ばしてほしいという気持ちも強くなる。

本日は『さすが朝乃山』という一番だった。

さて相撲内容に関してはこんなところだが、まさかの尊富士が負傷。

今場所云々ではなく、今後の活躍を期待した時、大の里、尊富士といった若手は怪我だけはしてほしくないという気持ちはかなり強かった。

現在十両に在位している伯桜鵬も華々しい新入幕での活躍の後、元々肩の怪我の影響があり、新入幕の場所以降長期休場を余儀なくされた。
先場所から復帰しているが、今場所十両での相撲を見ると本調子には程遠いと言える(場所前の騒動の関連も影響しているとは思うが)。

そして本日休場した貴景勝も最高位大関としてはトップクラスの優勝回数4回を数えるも、怪我により2場所以上連続して結果を残すのが難しくなっている。

怪我一つで相撲人生を狂わせることが多々存在する。

昨日尊富士が優勝すれば歴史的快挙の瞬間を目の当たりにするし、もし逆転を許しても悲劇の新入幕として印象を残すと記載したが、正直この展開は予想していなかったし、考えたくもない出来事だった。

おそらくどんな重症であろうと明日の土俵には気力で上がってくると思われるが、この場所を最後に尊富士の活躍が見納めになるということだけは絶対に避けて欲しいところである。

『荒れる春場所』が異なる方向へ向かっているがどうなるものか。

尊富士が敗れた後土俵に上がった大の里。
阿炎のもろ手突きに大きく後退することなく、余裕を持って叩き込んだ。

昨日の大栄翔戦同様、上位圏内でも最高峰の突きを武器にしている力士に対して余裕を持って対処している辺り、末恐ろしい存在である。

そして大栄翔にしろ阿炎にしろ、圧力負けしたくないという思いが強過ぎて足が出ていないという問題もある。

大の里としては尊富士が敗れた後に土俵に上がっても、冷静に自分の相撲を取ることが出来たといったところか。

そして3敗の豊昇龍。
尊富士を止め、ここで逆転優勝となればますます存在感が増すことになったが、琴ノ若に敗れて脱落。

右に変わって上手を求めて勝機を掴もうとしたが、守りの強い琴ノ若相手に変化は通用しなかった。

上手が深かったこともあったが、この相撲内容が豊昇龍の良し悪しといったところである。

絶対的な型がなく、ここ一番をモノにする力が豊昇龍には備わっていない。

身体能力の高さはピカイチだが、それに頼り切っていると諸刃の剣にもなってしまう。

ここ数日存在感が増してきただけに残念な敗戦である。

一方琴ノ若は新大関としては及第点である二桁の白星。
こうなると昨日の黒星が痛恨過ぎるが、本日の相撲もそうだし、大の里戦でも存在感を見せることは出来たため、四つの技量を磨いて来場所以降の活躍に期待である。

明日の注目の割はもちろん
『豪ノ山ー尊富士』
この一番だが、とにかく尊富士の状態が気掛かりである。

数日前から記載しているが、今場所の終盤戦は尊富士に支配されている。
どのような状況になろうと尊富士次第である。

まともに相撲を取ることが出来るのかどうか。

深刻な状況に至った千秋楽。
私も個人としては最後まで見届けるだけである。

明日千秋楽ということで三賞予想もするが
・敢闘賞:大の里、豪ノ山(条件)、尊富士
・殊勲賞:大の里(条件)、尊富士
・技能賞:尊富士(条件)
このように予想する。

大の里と尊富士の活躍により、上位圏内で勝ち越している力士の印象が薄くなってしまっている部分が大きい。

大の里、尊富士が確実に受賞となるが、それぞれいくつ受賞となるか。

尊富士はおそらく2つ受賞すると思うが、優勝すればトリプルになる可能性は高い。

大の里も優勝、もしくは明日本割勝てばダブル受賞となるか。

2名の影に隠れがちだが、明日勝って11勝とすれば豪ノ山も受賞するのではないだろうか。

とにもかくにも明日の千秋楽。
目が離せない。

802. 2024年春場所13日目を勝手に語る

尊富士が新入幕優勝へ王手をかけた。
そして数字上では尊富士、豊昇龍、大の里の3名に優勝争いは絞られた。

本日注目の『若元春ー尊富士』の一番。

尊富士が昨日敗れたことでどのような影響を及ぼすのか。
尊富士は変わらず自分の相撲を取ることが出来るのか。
そもそも感覚麻痺を起こしているが、あくまで新入幕であるため力を出し切っても若元春が左四つに組んで勝利するという可能性も十分にある。

立ち合いの踏み込みは尊富士だった。
しかし出足は止まり、若元春得意の左四つに組む展開となった。
それでも琴ノ若戦同様、尊富士は出足を止められても動きは止めなかった。

圧力をかけた後左ですくい投げを打ち、最後はもろ差しから攻め切った。

もはや良い意味で驚きはないのだが、改めて素晴らしい流れのある相撲である。

武器は出足であり、それだけで小結の阿炎までは圧倒した。
そして出足を止められても次の手があるため、それにより大関と関脇を下した。

昨日敗れた豊昇龍戦も紙一重であり、力負けしたとは感じさせない内容だった。

そして負けた翌日にもしっかり力を出し切り白星を掴む。
新入幕とは思えない風格まで持ち合わせている。

これで歴史的快挙に王手をかけたが、尊富士に重圧というものは感じるのだろうか。
ここまでの相撲内容を見ると重圧とは無縁に感じるし、誰が来ても負ける姿は想像しにくい。

しかしあくまで新入幕である。
何が起こるかはわからない。
優勝すれば歴史的快挙達成となり、ここから逆転を許しても悲劇の新入幕として強烈な印象を残すことになるだろう。
残り2日間は尊富士に支配された2日間になるだろう。

ギリギリの生き残りをかけた3敗同士『豊昇龍ー豪ノ山』の一番は豊昇龍がモノにした。

豊昇龍としては昨日の尊富士戦と同様の展開だった。
豪ノ山としては一気に勝負をかけすぎたと言える。

昨日も記載したが、豊昇龍は上手、下手、そして廻しに関係なく投げの強い力士である。
尊富士に続き豪ノ山も豊昇龍の投げの餌食となってしまった。

それにしても豊昇龍、数字上優勝の可能性が残っているという点でもそうだが、昨日尊富士の壁となったことで一気に存在感が増したように感じる。

優勝の条件は尊富士が連敗かつ豊昇龍が優勝を決定戦を含めて3連勝しか道はないわけだが、とにかくあと2つは確実にモノにしたいところだろう。

『大栄翔ー大の里』は大の里が冷静に捌いて3敗を守った。

大の里の圧力が素晴らしいのは間違いないが、それにしても大栄翔の相撲もバラバラである。
下半身がお留守番だった。

これで関脇陥落が決まったわけだが、残り2連勝して7勝としても小結に留まるのも難しいかもしれない。
それだけ番付が詰まっているということである。

大の里は貫禄勝ちとも言える内容だった。
昨日琴ノ若戦で課題が浮き彫りになったが、それでも立ち合いからの圧力は魅力である。

これを磨きつつ、廻しを引いても強い力士になればこの先ますます楽しみである。

そして本日、というよりも今場所ある意味最も驚かされた一番が『琴ノ若貴景勝』である。

はっきり言ってしまえば取り組み前から貴景勝に勝ち目はないと思っていた。

ただでさえ貴景勝のここ数日の状態、内容が深刻であり、仮に状態が万全であっても守りの強い琴ノ若はここ最近の力士の中ではかなり苦手な部類と言える。

そして立ち合いすぐに琴ノ若に左上手を許して右四つに組む展開となった。
ここから貴景勝が勝つ姿を誰が想像出来ただろうか。

一言で言えば『執念』だろう。
必死に右から掬って執念の角番脱出を決めた。

喜びも束の間、取り組み後は相当険しい表情をしており、早くも来場所の心配をしてしまうレベルである。

照ノ富士に対して2場所連続で結果を残すことが出来ないと何度か記載しているが、貴景勝も他人事ではない。

昨年も2場所優勝を果たしているとはいえ、連続で皆勤したのは秋場所九州場所に留まる。

そして本日の取り組み後を見ると来場所は全休するのではないかと感じてしまう。

首の怪我は本当の意味での完治はないだろうから、この先も貴景勝は厳しい闘いになることは間違いない。
とりあえず角番脱出は喜ばしいことではある。

そして琴ノ若
前半戦に何度か記載したが、改めて『右四つのレベルが低い』と言わざるを得ない。

四つに組んで貴景勝に負けた。
貴景勝には失礼だが、これは正直シャレにならないと思っている。

貴景勝の執念が上回ったという精神論で片付けて良いものではないだろう。
もちろん今場所の琴ノ若は新大関のため、様々な重圧とも闘ってきて疲労も蓄積しているだろう。

それでもあの形を作って負けるわけにはいかなかった。
昨日大の里を下して大関としての面目を保ったのも束の間、本日の相撲を見ると失望しかない。

守りの強さはもうわかっている。
そして前に出る圧力も十分ある。
あとは四つの技量だろう。

むしろこれが身に付けばすぐに上の番付も見えてくると思う。
残り2日間、しっかり引き締めていきたいところである。

明日の注目の割は
『朝乃山ー尊富士』
もちろんこの一番である。

役力士に目を向けると貴景勝、大栄翔、錦木が残っているわけだが、さすがにここで負け越している大栄翔、錦木と組むことはしないだろう。
貴景勝の状態も考慮すると別の力士と組んだ方が良いという判断だろう。

三役力士ではない場合誰と割を組むか。
こういう時うまいこと利用(?)される朝乃山といったところか。

昨年秋場所の熱海富士戦に抜擢された件もあるため、誰も文句はないだろう。

尊富士にとっては単純に考えると攻めやすい相手ではあると思う。
相手は逃げも隠れもしない朝乃山だし、踏み込みのスピードならば尊富士の方が勝っていると思う。

それでも朝乃山ならばひょっとしてと思わせる何かがあるのも事実である。

そもそも勢いは間違いなく尊富士だが、地力で言えばどちらの方が上とは断言出来ない。
如何せん尊富士は新入幕であり、朝乃山は怪我による陥落ではない元大関だからである。

尊富士はここ数日の活躍により良い意味で上位に勝っても驚きは無くなってしまったが、もしこの両者が初日に割が組まれていればファンの99%は『朝乃山が勝つ』と答えているだろう。
無論私もそうだ。

尊富士の出足が勝るのか。
朝乃山が組み止めるのか。

明日、歴史的快挙の瞬間を目の当たりにするかもしれない。

801. 12日目終了時点で星の差2つ以上

大相撲春場所は12日目を終了し、優勝争いも佳境を迎えている。

本日敗れたが、新入幕尊富士の相撲内容には驚かされる毎日である。

12日目終了して後続と星の差2つのため、絶対的有利な状況ではある。

尊富士が自滅しない限り、新入幕優勝がかなり近づいている状況ではあるが、あくまで新入幕のため油断はできない。

過去に単独先頭かつ後続との星の差を2つ以上付けた場所は年6場所制となった昭和33年以降『82回』存在する。

実は令和に入ってからは令和元年九州場所以来2回目であり、実に4年半ぶりである。

これは過去最長の期間である。

2年程前までは誰が優勝するのかわからない時代であり、昨年も年6場所関脇以上の優勝だったが混戦が多いため、久しぶりの展開に陥っているのだろう。

余談だが過去82回の内、星の差が3つ以上は15回存在する。さすがにこれを逆転したケースは存在しない。

そして尊富士には意地悪な事だが、単独先頭かつ後続との星の差を2つ以上付けた展開から逆転を許した回数は『4回』である。

詳細は以下の通りである。

場所

先頭力士

後続力士

優勝力士

昭和42年九州場所

大鵬(東横綱

11勝1敗(11勝2敗2休)

佐田の山(西横綱

9勝3敗(12勝3敗)

柏戸(東横綱2)

9勝3敗(11勝4敗)

福の花(西5)

9勝3敗(11勝4敗)

佐田の山

平成11年初場所

若乃花(西横綱

12勝0敗(13勝2敗)

千代大海(東関脇)

10勝2敗(13勝2敗)

千代大海(優勝決定戦)

平成17年秋場所

琴欧州(東関脇)

12勝0敗(13勝2敗)

朝青龍(東横綱

10勝2敗(13勝2敗)

朝青龍(優勝決定戦)

平成29年秋場所

豪栄道(西大関1)

10勝2敗(11勝4敗)

日馬富士(西横綱1)

8勝4敗(11勝4敗)

嘉風(西関脇)

8勝4敗(8勝7敗)

琴奨菊(西1)

8勝4敗(10勝5敗)

阿武咲(東3)

8勝4敗(10勝5敗)

千代大龍(西3)

8勝4敗(8勝7敗)

貴ノ岩(東9)

8勝4敗(8勝7敗)

荒鷲(西9)

8勝4敗(8勝7敗)

大栄翔(東11)

8勝7敗

遠藤(東14)

10勝5敗

朝乃山(東16)

10勝5敗

日馬富士(優勝決定戦)

一番最初の大鵬に関してはややイレギュラーではある。

12日目に大鵬豊山に敗れ、その翌日に休場したため、佐田の山が逆転優勝を果たした。

2回目~4回目に関しては全て優勝決定戦へ突入する展開となっている。

そして当然と言えば当然だが、1回目の佐田の山以外、逆転優勝を果たした力士は先頭力士との本割直接対決で勝利している(大鵬佐田の山は直接対決なし)。

これを踏まえると豊昇龍のひょっとしたらも期待されるところである。

しかしこの直接対決に関しては2回目(千代大海)と4回目(日馬富士)は千秋楽に割が組まれ、3回目(朝青龍)は13日目に割が組まれている。

言い換えれば『勝てば星1つ差に出来るチャンス』をモノにしたという事である。

そういった意味で豊昇龍は本日尊富士との直接対決を終えたため、過去の逆転の事例とは異なる展開となっている。

『新入幕優勝』という歴史的快挙に立ち会うことが出来るのか。

それとも大逆転劇があるのか。

いずれにしても今場所は語り継がれる場所になる可能性を秘めている。

残り3日間注目である。

800. 2024年春場所12日目を勝手に語る

尊富士の連勝は11でストップ。
止めたのは大関豊昇龍。
ようやく番付が機能した。
とはいえ勝負は紙一重だった。

昨日記載したが、尊富士としては琴ノ若よりも豊昇龍の方がやりやすいのではないかと感じていた。

その理由として豊昇龍が張り差しにいっても尊富士が構わず出足で圧倒するという姿が目に浮かぶからである。

そしてまさにその展開に陥った。
尊富士の左が入って走った瞬間『やはりこうなったか』と思った。

しかし豊昇龍の投げの強さをすっかり忘れていた。
豊昇龍は上手、下手、そして廻しに拘らず投げの強い力士である。

誰に敗れるかは別にして、尊富士が敗れる場合、出足を止められた時、さらに言えば動きを止められた時だと思っていた。

本日も尊富士の相撲であり、九分九厘尊富士が勝っていた内容と言っても過言ではない。

それでも豊昇龍は尊富士の連勝を止めた。
内容云々ではなく、とにかく連勝を止めた。

これで伯桜鵬、大の里、そして尊富士と勢いのある新入幕全員の壁として立ちはだかった。

上記の通り内容は尊富士だった。
それでも勝ったのは豊昇龍である。
そしてこの投げの強さを武器としているのが豊昇龍という力士である。

大関の意地というよりも単純に負けん気の強い豊昇龍が見せた勝負強さとでもいう一番だった。

今場所初めて、というよりも幕内として初めて黒星を喫した尊富士。
まだまだ底知れないと感じるのは『相撲に負けていない』という点である。

何度も記載するが、本日も11連勝していた時と同じ出足の相撲が冴えていた。

豊昇龍のような投げの強い力士でなければ回避できなかっただろうし、力負けしたとは感じさせない内容である。

それでも負けは負けであり、この黒星が残り3日間にどのような影響を与えるだろうか。

2敗の大の里も敗れたため、後続との星の差は変わらず2つである。

如何せん大関の豊昇龍と琴ノ若はともに3敗で『豊昇龍ー琴ノ若』の直接対決を残しているため、確実にどちらかは4敗へ後退することになる。

尊富士はこの先も上位圏内の力士と割が組まれるだろうから楽な相手など存在しないが、それでも尊富士が余程自滅しない限り、新入幕優勝はかなり近付いていると思う。

絶対的有利な展開に変わりはないが、本来ならば新入幕力士が感じることのない重圧をこの先もずっと感じ続ける事になるだろう。
その重圧に打ち勝ってこの先も変わらず出足、速攻相撲を取ることが出来るかどうか。

琴ノ若ー大の里』の一番は琴ノ若に軍配が上がった。
大の里は先場所もろ手突きにいって失敗したため、その反省を活かして右肩からぶつかっていったが、琴ノ若が当たりをうまくかわした。

この一番も小手投げで勝負がついたが、琴ノ若の守りの強さ、柔らかさが活きた一番だった。

大の里としては今場所大関、関脇から白星を挙げているが、琴ノ若という壁を超えることが出来なかった。

大の里としてはこの先も琴ノ若戦においては試されることになるのではないだろうか。

当たりを止められた後の対応が不十分であるため、守りの強い琴ノ若を今後どのように崩していくのか見ものになるだろう。

昨日尊富士に敗れて精神面はどうか気がかりだった琴ノ若だが、昨日の黒星を引きずる事はなかった。

星の差2つで直接対決を終えているだけに、優勝争いという点ではかなり絶望的であるが、琴ノ若としては残り3日間全て勝つだけだろう。

本日は上記2番に大きな注目を集めており、優勝争いに目がいきがちで忘れてしまうところだが、貴景勝の角番脱出がかなり厳しい状況と言える。

本日も相撲になっていない。
頭で当たることが出来ないのか、それとも本日は変化しようと考えて中途半端な立ち合いになってしまったのか。

いずれにしても当たりと押しの威力がない貴景勝に脅威はない。
明日の琴ノ若戦は確定しており、豊昇龍戦も残されている(『豊昇龍ー大の里』の割が組まれていないため崩される可能性もあるが)。

この相撲内容ならば終わってみれば負け越しとなっても不思議ではない。

あと1つ。気力で勝ち取ることが出来るかどうか。

明日の注目の割は
『若元春ー尊富士』
この一番である。

尊富士としては敗れた翌日に変わらず自分の相撲を取ることが出来るかどうか。
上位相手でも自分の相撲を取り切って白星に繋げているため、もはや良い意味で勝っても驚きはないと思うが、それでも忘れてはならないのが相手は若元春とかなりの実力者である。

何なら若元春が左四つに組んで尊富士を下したとしても一つもおかしくないのである。

若元春は9日目に大の里の圧力を止め切れず敗れている。
2度も悔しい思いはしたくないだろうし、三役の意地もあるだろう。
如何せん若元春自身も三役で二桁の白星のためにはもう一つも落とせない。

尊富士が連敗となれば、豊昇龍と琴ノ若にチャンスが巡ってくるわけだが、如何せん尊富士との直接対決は終わっているため、残り3日間は尊富士次第ということになるだろう。

上記の通り余程自滅しない限り新入幕優勝はかなり近付いているが、対戦相手も強敵である。

下手をすれば3敗まで優勝ラインが下がる可能性はあっても、現在3敗力士である豊昇龍、琴ノ若、大の里、豪ノ山の4名が全員3敗を守るのは不可能な話である。

そのため3敗力士の中では誰が残り3日間全勝するのか。
ここも注目である。

荒れる春場所
残り3日間目が離せない。

799. 2024年春場所11日目を勝手に語る

本日より終盤戦へ突入した春場所だが、平幕2名の勢いは大関でも止められず。

全勝:尊富士
2敗:大の里
豊昇龍、琴ノ若大関とは星の差3つ開いた。

まず『琴ノ若ー尊富士』の一番。
琴ノ若としては『尊富士の出足を止めることが出来るか?』という点が注目だった。

そして立ち合いで尊富士の当たり、出足を止めたかに見えた。
しかし動きまでを止めることは出来なかった。

尊富士は出足を止められても右に回り込み、その後右を差して一気に寄り切った。
琴ノ若の守りの体勢を作らせる前に攻め切ったことが勝因だろう。

それにしても尊富士の強さに私自身処理が追いついていない。
何となく勝っているのではなく、対戦相手がどんどん強くなろうが、自分の相撲を取り切って白星に繋げている。

新入幕だからデータが少ないといった有利な面もあるが、あくまで実力がなければ真正面から大関を倒すことなど出来ない。

現に先場所の大の里は役力士との対戦では跳ね返されているのだから。

これで大関を下して優勝争い俄然有利な展開となったが、この先も対戦相手は役力士が続くことになるだろう。

勢いはどこまで続くのか。
大鵬の11連勝は超えるのだろうか。

一方琴ノ若としては星の差を縮めるチャンスをふいにしてしまった。
中盤戦終了した時点で8勝2敗は新大関の場所としてはよくやっているだろう。

しかし本日敗れたことで『チャンスをふいにした』『大関としての責任を果たせなかった』という思いが強くなり過ぎて、今後の相撲に影響しないかどうか心配なところではある。

今場所だけに限らずこの先平幕下位の好調力士と終盤に割が組まれるといったケースは経験することになるだろう。

毎度敗れてしまえば『大関の責任』という問題が挙がるだろうが、まだ新大関のため切り替えてほしいところである。

先場所はしっかり大の里の壁として立ちはだかったため、実績は十分である。

本日は琴ノ若にとって屈辱的な敗戦になったと思うが、これを糧にしてほしいと思う。

そして『貴景勝ー大の里』の一番。
昨日も記載したが、貴景勝が大の里に勝てるイメージが沸かなかった。
そして思った通りの展開になってしまった。

貴景勝は立ち合い当たり負けしているし、下から押し込むことも出来なかった。
十八番の左突き落としにいく事も出来ず、まともに引くような展開となってしまった。

これで勝ち越しを目前にして連敗。
優勝争いからも完全に脱落してしまった。
優勝争いから脱落という点でも、平幕相手に壁として立ちはだかることが出来なかったという点でも悔しさだけが残る黒星となってしまったか。

とはいえまだ場所は残されているし、そもそもまだ角番脱出を果たしていない。
残り4日あるとはいえ対戦相手に楽な力士はいないし、貴景勝にとっては1日も気を緩められる日はないと言える。

とにもかくにも切り替えて角番脱出を果たしてほしいところである。

一方大の里としては自分の相撲を取り切って大関を圧倒した。
昨日悔しい黒星となったが、しっかり切り替えて臨むことが出来た様子である。

尊富士とは星の差2つで直接対決も終えており、さらに自身もこの先おそらく役力士との連戦が待ち構えているため、優勝という点では厳しいかもしれない。

しかし優勝云々よりも上位相手に力を出し切る事が出来るかどうか。
来場所以降を見据えた上でも残り4日間重要になってくるだろう。

3敗でギリギリ踏み止まっている大関豊昇龍は大栄翔を下して勝ち越しを決めた。

引いてしまって墓穴を掘ったかに見えたが、大栄翔も好調とは言い難いためもたついており、最後は突き落としで決めた。

盤石とは言い難いが、明日尊富士との直接対決が組まれているため、3敗でギリギリ踏み止まっていることが大きい。

優勝争いという点ではかなり厳しい状況だが、豊昇龍としては全て勝つ気持ちでいくしかないだろう。

大関霧島が若元春に敗れて負け越しが決まった。
序盤戦の黒星はまだ噛み合っていないで片付けられるものだと思っていたが、本日の相撲を見るとまるで力が出ていない。

足腰の良い力士があっさり土俵を割る姿を見ると寂しいものがある。

腕にテーピングは巻いているが、原因はそれだけではなく、精神面が大きいように思えてしまう。

極論大関の負け越しは0勝でも7勝でも変化はない。
しかし立場を考えると残り4日間も出場を続けるならば、意義のあるものにしてほしいという思いはある。
あまりにも不甲斐なければ対戦相手にも失礼だろう。

その他力士に目を向けると、豪ノ山が勝ち越しを決めた。
先場所は上位圏内で跳ね返されたが、それでもここ数場所大関に勝つなどしっかり力を示していた。

今場所は上位圏外に番付を落としたが、ここでしっかり勝ち越しに結び付ける辺り、上位圏内に近い力量は備わっているということだろう。
尊富士、大の里と躍進しているが、豪ノ山も十分に成長していると言える。

そしてそれは熱海富士にも言えることである。
豪ノ山同様、先場所は上位圏内で跳ね返されたが、今場所は2大関にも勝っており、ここまで白星を先行させている。

2場所連続で優勝争いした時と比較し、勢いは感じられないかもしれないが、これが上位圏内と上位圏外の違いだろう。
熱海富士も間違いなく力をつけてきている。

明日の注目の割は
『豊昇龍ー尊富士』
琴ノ若ー大の里』
この2番である。

明日も両者ともに大関戦が組まれた。

『豊昇龍ー尊富士』は私個人としては尊富士にとって琴ノ若よりも豊昇龍の方がやりやすいのではないか?と感じている。

豊昇龍が張り差しにいっても構わず出足で圧倒するという姿が目に浮かぶが、その一方で豊昇龍には類稀な身体能力の高さがある。

そして伯桜鵬、大の里と新入幕の壁になったという実績も持っている。

尊富士としては変わらず立ち合い集中していくだけだろうが、豊昇龍がどのようにいくのか。
それ次第で展開が大きく変わるだろう。

琴ノ若ー大の里』は先場所琴ノ若が守りの強さを発揮している。

先場所は大の里がもろ手突きにいって失敗に終わっており、先場所の反省を活かしてぶつかっていくことが出来るかどうか。

止まってしまっては琴ノ若が有利のため、大の里としては本日のように馬力で圧倒出来るかどうか。

尊富士の勢い止まらず、大関陣の優勝はかなり厳しい状況だが、まずは誰が尊富士を止めるのか。
まずはここに注目である。

798. 2024年春場所10日目を勝手に語る

尊富士が大の里との好調平幕同士の一番を制し、後続との星の差を2つ付けた。

全勝:尊富士
2敗:琴ノ若、大の里
最終成績はどうなるかわからないが、それでもこの3名に優勝争いは絞られたのではないだろうか。

もちろんまだ5日間、いわゆる終盤戦が丸々残されているわけだが、そう思えてならない展開である。

さて本日注目の『大の里ー尊富士』の一番。
昨日も記載したが、出足が勝るのか、圧力が勝るのか。
そして早い相撲になると思っていたが、出足の尊富士が勝る結果となった。

立ち合いの踏み込みは尊富士が勝り、左も差し勝ち、あとは今場所これまで通り出足で圧倒した。
大の里の圧力が通じず、むしろ尊富士が当たり勝ってもいた。

この出足を止めるにはどうすれば良いのだろうか?
そう思ってしまうほど素晴らしい出足である。
低く鋭いだけでなく、圧力があることも証明した一番と言える。

これで後続との差が2つとなったが、優勝に対する意識がどのくらいあるか。
この先は重圧に加え、対戦相手も格段にパワーアップしてくるだろう。

変わらず出足が冴え渡るのかどうか楽しみである。

一方大の里は立ち合い当たり負け、そして差し負けたことが全てだろう。

そして改めて弱点が露呈された。
やはり止まった後の工夫がない。

極論当たり負けてもあれだけの体格があれば、どっしり構えて胸を合わせるように相撲を取るという事も出来るだろう。
それをさせない尊富士の出足というのはもちろんあるが、我慢できずすぐに右から投げを打って体勢を崩してしまった。

立ち合いの馬力で圧倒出来なかった時の対応が今後の課題だろう。
先場所、今場所と平幕中位〜下位、何ならある程度平幕上位ですら圧力だけで圧倒出来る力量があることは証明されている(今後研究されたらどうなるかわからないが)。

しかしそれだけでは足りないというのが先場所の役力士との対戦、そして本日新入幕の尊富士相手でわかっただろう。

若元春を圧力で圧倒している事実がありながらも入幕2場所目にこれだけ求めるのも酷だが、それだけ期待しているという証拠である。

2敗の大関陣に明暗が分かれた。

大関琴ノ若は王鵬を圧倒して勝ち越しを決めた。
王鵬の当たりを受け止め、左おっつけから流れのある相撲内容だった。

いつぞやか力量が『3場所ほど前に戻った』と記載したが、ここ数日の内容は『ここ2場所の力量に戻った』印象を受ける。

守りの強さだけではなく、廻しに拘らず前に出る相撲が冴えている。

これも数日前に記載したが、こういう展開になると守りの強さが光る安定した琴ノ若が有利かもしれないと記載したが、その展開になりつつあるか。

現状自力優勝は出来ないが、それでも明日尊富士戦が組まれている。
とにもかくにもここに勝たないことには何も始まらない。

貴景勝が土俵際の落とし穴で痛恨の3敗目。
立ち合いの当たり、その後の攻めも悪くないように感じたが、最後足が出ず、大栄翔の突き落としもタイミング良く決まる形となった。

早く角番脱出を果たしたいのはもちろんのこと、優勝争いという点では痛恨の3敗目である。
まずは角番脱出を早めに決めてほしいが、明日以降対戦相手はさらに厳しさを増してくるため、うかうかしていられない部分はあるだろう。

焦りもあるだろうが、落ち着いて押しに徹することが出来るかどうか。
苦難の場所を何度も乗り越えているため、精神面は大丈夫だと思うがはてさて。

昨日3敗目を喫した豊昇龍は若元春を下して7勝目。
立ち合い変化で決めたが、この力士は1場所に何度か見せるため、ここで見せたかという思いである。

中途半端なことをせず思い切ってやる分には良いのではないだろうか。

小結阿炎は御嶽海に敗れて4敗。
立ち合い変化が失敗に終わった。
阿炎は1場所に何度か変化を見せるため、昨日の敗戦が本日の変化に至った背景というわけではないと思うが、決めることが出来なかった。

上記の通り本日豊昇龍が変化で白星を掴んだが、変化するにしても確実に決める技量がなければ墓穴を掘るということである。

変化に対しては賛否あるが、私個人としては変化するならば
『中途半端は避ける』
『確実に決めにいく』
この2点がしっかりしているなら好感が持てる。 

本日の阿炎は決める事が出来なかった。
『変化=必勝』ではないということである。

関脇の大栄翔と若元春がともに5勝5敗となった。
片や初日から3連勝、片や初日から3連敗だったが、中盤戦終えて同じ成績である。

良くも悪くも関脇の力量といったところか。
若元春に関しては今場所強さを発揮していたが、役力士戦になるとやはり状況は変わるものである。

明日の注目の割は
貴景勝ー大の里』
琴ノ若ー尊富士』
この2番である。

平幕好調の2名が大関と割が組まれた。

まず『貴景勝ー大の里』だが、大関に失礼を承知で言うと『貴景勝が勝つイメージがあまり沸かない』ということである。

大の里は腰高のため、下から押し上げていくというのが勝ちパターンだと思うが、貴景勝は大型力士相手に苦戦を強いられる事があるため、大の里の圧力に屈してしまうのではないかとイメージが強く湧いてしまう。

そのため昨年夏場所、初顔の金峰山相手に不覚を取ったことがある。

経験豊富な大関のためぜひとも若手の壁として立ちはだかって欲しいところだがどうなるか。

琴ノ若ー尊富士』は尊富士の出足が守りの強い琴ノ若相手に通用するのかという点が一番の注目点である。

仮に出足を止められてもうまく崩すことが出来るのか、そもそも尊富士にその力量、技量があるのか。
注目すべき所は多い。

琴ノ若としてはまず出足を止めることが最優先であり、その後じっくり攻めるという狙いになるだろう。

冒頭の方にも記載したが、まだ終盤戦が丸々残っているが、優勝争いは尊富士、琴ノ若、大の里に絞られたように感じている。

最終成績が12勝まで落ちる可能性はあるが、如何せん豊昇龍、貴景勝が残り全勝というイメージがあまり沸かない(両者の直接対決もあるから余計そう感じる)。

明日尊富士が琴ノ若に勝つような事があれば、大関陣との星の差は3つとなり、さすがに大関陣はそれぞれ直接対決も残されているため、厳しいと言わざるを得ない状況に陥るだろう。

新入幕優勝という歴史的快挙を目にするかもしれないという喜びもないわけではないが、やはり私個人としては大関陣に壁として立ちはだかってほしいという気持ちが強い。

明日の大関と平幕好調の2名の割。
目が離せない。