きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

802. 2024年春場所13日目を勝手に語る

尊富士が新入幕優勝へ王手をかけた。
そして数字上では尊富士、豊昇龍、大の里の3名に優勝争いは絞られた。

本日注目の『若元春ー尊富士』の一番。

尊富士が昨日敗れたことでどのような影響を及ぼすのか。
尊富士は変わらず自分の相撲を取ることが出来るのか。
そもそも感覚麻痺を起こしているが、あくまで新入幕であるため力を出し切っても若元春が左四つに組んで勝利するという可能性も十分にある。

立ち合いの踏み込みは尊富士だった。
しかし出足は止まり、若元春得意の左四つに組む展開となった。
それでも琴ノ若戦同様、尊富士は出足を止められても動きは止めなかった。

圧力をかけた後左ですくい投げを打ち、最後はもろ差しから攻め切った。

もはや良い意味で驚きはないのだが、改めて素晴らしい流れのある相撲である。

武器は出足であり、それだけで小結の阿炎までは圧倒した。
そして出足を止められても次の手があるため、それにより大関と関脇を下した。

昨日敗れた豊昇龍戦も紙一重であり、力負けしたとは感じさせない内容だった。

そして負けた翌日にもしっかり力を出し切り白星を掴む。
新入幕とは思えない風格まで持ち合わせている。

これで歴史的快挙に王手をかけたが、尊富士に重圧というものは感じるのだろうか。
ここまでの相撲内容を見ると重圧とは無縁に感じるし、誰が来ても負ける姿は想像しにくい。

しかしあくまで新入幕である。
何が起こるかはわからない。
優勝すれば歴史的快挙達成となり、ここから逆転を許しても悲劇の新入幕として強烈な印象を残すことになるだろう。
残り2日間は尊富士に支配された2日間になるだろう。

ギリギリの生き残りをかけた3敗同士『豊昇龍ー豪ノ山』の一番は豊昇龍がモノにした。

豊昇龍としては昨日の尊富士戦と同様の展開だった。
豪ノ山としては一気に勝負をかけすぎたと言える。

昨日も記載したが、豊昇龍は上手、下手、そして廻しに関係なく投げの強い力士である。
尊富士に続き豪ノ山も豊昇龍の投げの餌食となってしまった。

それにしても豊昇龍、数字上優勝の可能性が残っているという点でもそうだが、昨日尊富士の壁となったことで一気に存在感が増したように感じる。

優勝の条件は尊富士が連敗かつ豊昇龍が優勝を決定戦を含めて3連勝しか道はないわけだが、とにかくあと2つは確実にモノにしたいところだろう。

『大栄翔ー大の里』は大の里が冷静に捌いて3敗を守った。

大の里の圧力が素晴らしいのは間違いないが、それにしても大栄翔の相撲もバラバラである。
下半身がお留守番だった。

これで関脇陥落が決まったわけだが、残り2連勝して7勝としても小結に留まるのも難しいかもしれない。
それだけ番付が詰まっているということである。

大の里は貫禄勝ちとも言える内容だった。
昨日琴ノ若戦で課題が浮き彫りになったが、それでも立ち合いからの圧力は魅力である。

これを磨きつつ、廻しを引いても強い力士になればこの先ますます楽しみである。

そして本日、というよりも今場所ある意味最も驚かされた一番が『琴ノ若貴景勝』である。

はっきり言ってしまえば取り組み前から貴景勝に勝ち目はないと思っていた。

ただでさえ貴景勝のここ数日の状態、内容が深刻であり、仮に状態が万全であっても守りの強い琴ノ若はここ最近の力士の中ではかなり苦手な部類と言える。

そして立ち合いすぐに琴ノ若に左上手を許して右四つに組む展開となった。
ここから貴景勝が勝つ姿を誰が想像出来ただろうか。

一言で言えば『執念』だろう。
必死に右から掬って執念の角番脱出を決めた。

喜びも束の間、取り組み後は相当険しい表情をしており、早くも来場所の心配をしてしまうレベルである。

照ノ富士に対して2場所連続で結果を残すことが出来ないと何度か記載しているが、貴景勝も他人事ではない。

昨年も2場所優勝を果たしているとはいえ、連続で皆勤したのは秋場所九州場所に留まる。

そして本日の取り組み後を見ると来場所は全休するのではないかと感じてしまう。

首の怪我は本当の意味での完治はないだろうから、この先も貴景勝は厳しい闘いになることは間違いない。
とりあえず角番脱出は喜ばしいことではある。

そして琴ノ若
前半戦に何度か記載したが、改めて『右四つのレベルが低い』と言わざるを得ない。

四つに組んで貴景勝に負けた。
貴景勝には失礼だが、これは正直シャレにならないと思っている。

貴景勝の執念が上回ったという精神論で片付けて良いものではないだろう。
もちろん今場所の琴ノ若は新大関のため、様々な重圧とも闘ってきて疲労も蓄積しているだろう。

それでもあの形を作って負けるわけにはいかなかった。
昨日大の里を下して大関としての面目を保ったのも束の間、本日の相撲を見ると失望しかない。

守りの強さはもうわかっている。
そして前に出る圧力も十分ある。
あとは四つの技量だろう。

むしろこれが身に付けばすぐに上の番付も見えてくると思う。
残り2日間、しっかり引き締めていきたいところである。

明日の注目の割は
『朝乃山ー尊富士』
もちろんこの一番である。

役力士に目を向けると貴景勝、大栄翔、錦木が残っているわけだが、さすがにここで負け越している大栄翔、錦木と組むことはしないだろう。
貴景勝の状態も考慮すると別の力士と組んだ方が良いという判断だろう。

三役力士ではない場合誰と割を組むか。
こういう時うまいこと利用(?)される朝乃山といったところか。

昨年秋場所の熱海富士戦に抜擢された件もあるため、誰も文句はないだろう。

尊富士にとっては単純に考えると攻めやすい相手ではあると思う。
相手は逃げも隠れもしない朝乃山だし、踏み込みのスピードならば尊富士の方が勝っていると思う。

それでも朝乃山ならばひょっとしてと思わせる何かがあるのも事実である。

そもそも勢いは間違いなく尊富士だが、地力で言えばどちらの方が上とは断言出来ない。
如何せん尊富士は新入幕であり、朝乃山は怪我による陥落ではない元大関だからである。

尊富士はここ数日の活躍により良い意味で上位に勝っても驚きは無くなってしまったが、もしこの両者が初日に割が組まれていればファンの99%は『朝乃山が勝つ』と答えているだろう。
無論私もそうだ。

尊富士の出足が勝るのか。
朝乃山が組み止めるのか。

明日、歴史的快挙の瞬間を目の当たりにするかもしれない。