きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

806. 2024年春場所千秋楽を勝手に語る

本割で尊富士が豪ノ山を下し、見事新入幕優勝を果たして幕を閉じた春場所

初土俵から所要10場所は幕下付出の力士を入れても史上最速記録であり、異次元の記録を樹立した。

昨日朝乃山戦が終了して右足を負傷し、まさかこのような展開で千秋楽を迎えるとは思わなかった。

おそらく出場してくるとは思っていたが、この先の長い相撲人生を考えた時、それが誤った判断にはならないか、もしかしたらこの場所を最後に尊富士の活躍は見られなくなるのではないか、最悪な方向へとばかり予想してしまっていた。

怪我の具合に関して不明な部分が多いのも影響していたが、昨日車椅子で運ばれる姿を見ると千秋楽は間違いなく『万全ではない』ということが容易に想像出来る。

そしていざ取り組みが始まると立ち合いは張り差しを選択した。

立ち合い変化を予想するファンも多かったとは思うが、変化にいくことはなかった。
いつもの出足はないが、結果的にこの張り差しで豪ノ山の当たりを止めることに成功した。

そしてその後守りに入ることなく、豪ノ山に残されても攻めを休めなかったのが勝因だった。

本来の出足相撲ではないとはいえ、正直思った以上に動けることに驚きを隠せなかった。

もちろんそれは守りに入らなかったことが大きいと思うが、一番面を食らったのは豪ノ山かもしれない。

豪ノ山自身も尊富士の変化を考慮しつつ立ち合い当たっていったと思うが、張り差しで当たりを止められ、その後思った以上に攻めてきたため、驚いてしまった部分は大きいだろう。

それにしても素晴らしい優勝だと思う。

平幕優勝、特に下位の力士の優勝は実力以上の力を発揮し且つ運を味方にすることも多い。

それは本来ならば考えられないような残し方をしたり、逆転勝ちを収めるといった形である。

しかし尊富士は対戦相手が格上になろうと相撲内容に変化は見られず、ましてや出足速攻で役力士を圧倒する程のレベルである。

力負けしたというのが昨日の朝乃山戦だけであり、初黒星を喫した豊昇龍戦ですら相撲内容は圧倒していた。

そして綺麗な優勝の決まり方だったと思う。

今場所終盤戦からは尊富士に支配された場所だった。
10日目には後続との星の差は2つとなり、11日目に琴ノ若を下した時点でもはや尊富士の優勝はほぼ間違いなし、あとは尊富士が自滅しないかどうかの問題だった。

そして昨日敗れて星の差が1つになっただけではなく、負傷したことにより状況が一変してしまった。
これもある意味尊富士に支配された展開であるが、千秋楽は尊富士が敗れても大の里の結果次第では尊富士の優勝が決定することになっていた。

しかしこれでは他力本願であり、尊富士の支配力とは異なる展開になるところだった。

状況による問題もあるし、究極の結果論だが、本日の結果を見たら尊富士は敗れていても大の里が敗れたため優勝は決まっていたことになる。

しかし本日尊富士が本割で勝って優勝を決めたことで、数字の上でも13勝と文句なし、そしてやはり尊富士が支配した場所だったということで完結することが出来た。

綺麗な展開であり且つ理想的な優勝と言って良いだろう。

新入幕優勝というものは当然だが簡単なことではない。
今後この優勝は語り継がれるものとなるだろうが、この輝きをさらに増すためには今後の尊富士の活躍次第と言える。

もしかしたらこの場所を最後に泣かず飛ばずになるかもしれない。
そうなると『尊富士は新入幕だけ輝いた力士』と揶揄される可能性も高い。

新入幕優勝は素晴らしい。
ただこの先重圧を背負うことにもなったと言える。

とにもかくにも尊富士、本当におめでとう!
そして早く怪我を治してほしいと切実に願っている。

今場所を語る上でもう一人忘れてはならないのが入幕2場所目の大の里である。

尊富士が勝った時点で優勝は消滅したわけだが、千秋楽に先場所敗れた豊昇龍相手にどれだけの相撲を取ることが出来るか注目であった。

立ち合いの踏み込み、馬力は悪くないが、豊昇龍得意の土俵際の投げに屈してしまった。

大まかな展開としては尊富士が豊昇龍に敗れた一番と同じだが、馬力だけで何とか出来るほど上位は甘くないということである。

もちろんその馬力は魅力的であり、1大関、2関脇、1小結を下しており、それだけでも間違いなく立派ではあるのだが、琴ノ若と豊昇龍相手には連敗という結果である。

今後は廻しを引いてじっくり攻めていくという相撲も覚えていくことになるかもしれないが、この圧力、馬力を損なうことなくうまくプラスしていけるかどうかが鍵となるのではないだろうか。

まだ入幕2場所目のため、対戦相手としてもデータが少ない中で対戦をしている。
この馬力が通じなくなることも増えてくると思うが、止まった後にどのように対応していくのか。

大の里のこれからにも期待である。

今場所は主役の平幕2名の活躍を振り返れば十分と言えるが、熱海富士、豪ノ山、平戸海といった辺りも着実に力を付けている。

熱海富士はまだまだ自分の形になることは少ないが、それでも上位総当たりの地位で勝ち越しを決めた。

豪ノ山は先場所上位圏内で跳ね返されたが、度々大関からは白星を挙げており、今場所上位圏外ならばある程度力の差を見せつけることが出来た。

そして平戸海も攻めている時の強さは凄まじく、それが役力士相手にも通用するようになってきているのは成長の証である。

大関陣についても触れておこう。

最も期待を裏切ったのは間違いなく霧島だろう。
場所前霧島の優勝を予想したファンは多かったと思う(私もその中の1人)。
そして5勝で終わると思ったファンは0と言っても過言ではないだろう。

今場所は霧島にとって試練の場所になったと思う。
大関の負け越しは極論0勝でも7勝でも関係ないが、苦しい場所の中でも千秋楽に霧島らしい相撲を取って締め括ったのは収穫ではないだろうか(細かいことを言えばやはりもたついているとは感じたか)。

今場所の悔しさをバネに来場所以降の巻き返しに期待である。

昨日優勝争いから脱落した豊昇龍は尊富士、大の里、豪ノ山と若手の壁として立ちはだかる事が出来た。

この事実に関しては『大関の責任』ということで素晴らしいことではあるが、やはり最大の問題点は『絶対的な型が無い』という点だろう。

上記若手に対しての白星も全て逆転の投げ技である。
これが豊昇龍の魅力である一方『この形になれば豊昇龍が絶対有利』という展開がない。

だからこそ昨日変化に頼った結果、墓穴を掘ることになった。

変化自体も豊昇龍はよくやる戦法であるが、一つの必勝パターンを身につけることで、立ち合い変化もより効果的になるのではないだろうか。

本日大の里戦の立ち合いは前ミツ狙いだったが、あれを磨いていくべきだと思う。
正直現状の豊昇龍の相撲では大勝のイメージが湧いてこない。

大関琴ノ若は10勝で場所を終えた。
大関としては及第点だろう。
そして三役時代は『勝ち越せる安定感』だった力士が『二桁勝てる安定感』に変わりつつあるか。

それ自体は喜ばしいことだが、何度も記載するように『四つ相撲の技量がない』ことが最大の問題点だろう。

本日の霧島戦においても絶不調の霧島相手に形を許してしまい、琴ノ若自身は小手投げで逆転を狙うことしか出来ていない。

琴ノ若の苦手とする部類は前ミツ引いて食い下がるような力士だと思うが、まさに千秋楽はその展開で敗れてしまった。

守りの強さはピカイチだが、ここに四つの技量が加われば上の番付もすぐに見えてくるだろう。

貴景勝はもはや怪我をしていない部位が無いほどの力士だが、この力士にしかない押しの魅力があるため、治療に専念して欲しいと思う。

最後にもう一人朝乃山。

久々に上位圏内で皆勤したが、9勝6敗と成績だけ見たら物足りなさを感じるかもしれない。

しかしだからといって大関時代よりも特段弱くなったわけではなく、いうならば大きな変化もない。

単純に周囲が力を付けており、差が縮まっているというのが正しいだろう。

その中でも幕内復帰以降一度も勝てていなかった大栄翔に勝ち、そして尊富士を唯一圧倒したというのは朝乃山にとって収穫と言えるだろう。

来場所は三役に復帰すると思うが、ここで結果を残すことが出来るか注目である。

荒れる春場所もこれにて千秋楽。
歴史的快挙の瞬間を目の当たりにした素晴らしい場所であった。

そして若手も躍進しており、今後の場所も楽しみである一方、怪我の恐ろしさを再認識した場所でもあった。
また『プロと学生の力関係』に関してもかなり差が縮まっているのではないか。

これに関してもある意味深刻といえる問題ではある。

とにもかくにもファンの皆様も15日間お疲れ様でした。
明日からも毎日ではありませんがブログ投稿していきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。