照ノ富士が復活優勝を果たし、そして霧馬山が大関昇進を確実とした夏場所。
場所前から霧馬山の大関取りは焦点であったが、貴景勝が負け越し、霧馬山の大関取りが失敗したら名古屋場所の大関は消滅するところだった。
もしそうなっていたら大栄翔の大関昇進があったのだろうか?
話はやや逸れたが、貴景勝に関しても霧馬山に関しても杞憂に終わり、来場所からは2大関である(厳密に言えば明日確定するのだが)。
霧馬山は『3場所34勝』で昇進を果たした。
昭和33年以降、大関昇進を果たした力士の3場所合計の平均は『33.32勝』であるため、平均より上回る形となった(ちなみに平成以降の平均は『34勝』)。
大関昇進関連の記載は過去に何回かしたことがあるが、大関昇進時の成績とその後の大関の成績に相関関係はない。
夏場所引退を表明した栃ノ心は3場所37勝と歴代最多タイ記録だったが、昇進後は振るわず、大関在位7場所、大関勝率0.487と底辺レベルであった。
過去に3場所34勝で昇進を果たした力士は『12名』である。
昇進時の詳細成績は以下の通りである。
1場所目 |
2場所目 |
3場所目 |
新大関場所 |
|
琴ヶ濱 |
関脇10勝5敗 |
関脇11勝4敗 |
関脇13勝2敗 (同点) |
11勝4敗 |
栃光 |
西4 11勝4敗 |
関脇10勝5敗 |
関脇13勝2敗 (次点) |
11勝4敗(次点) |
前の山 |
関脇9勝6敗 |
関脇12勝3敗 (次点) |
関脇13勝2敗 (同点) |
全休 |
小結10勝5敗 |
関脇11勝4敗 (次点) |
関脇13勝2敗 |
2勝6敗7休 |
|
若島津 |
小結10勝5敗 |
関脇12勝3敗 (次点) |
関脇12勝3敗 (次点) |
10勝5敗 |
霧島 |
小結10勝5敗 |
小結11勝4敗 |
関脇13勝2敗 (同点) |
9勝6敗 |
曙 |
小結13勝2敗 (次点) |
関脇8勝7敗 |
関脇13勝2敗 (優勝) |
全休 |
小結12勝3敗 (次点) |
関脇11勝4敗 |
関脇11勝4敗 |
6勝9敗 |
|
関脇10勝5敗 |
関脇12勝3敗 (次点) |
関脇12勝3敗 (次点) |
13勝2敗 (優勝) |
|
関脇11勝4敗 |
関脇11勝4敗 (次点) |
関脇12勝3敗 (次点) |
10勝5敗 |
|
高安 |
小結11勝4敗 |
関脇12勝3敗 |
関脇11勝4敗 |
9勝6敗 |
小結13勝2敗 (優勝) |
関脇11勝4敗 (次点) |
関脇10勝5敗 |
3勝4敗8休 |
|
霧馬山 |
小結11勝4敗 (次点) |
関脇12勝3敗 (優勝) |
関脇11勝4敗 |
|
注目すべき点は『新大関場所の休場・負け越し』である。
新大関の場所で全休、途中休場となった力士は8名存在するが、そのうちの半分が34勝で昇進した力士である。
皆勤負け越しを喫した力士は2名だが、そのうち1名は34勝で昇進した力士である。
まぁこれらの記録に関しては不安を煽るネタを強引に考えた結果であるが、それでも嫌なデータと言えるかもしれない。
次に34勝で昇進を果たした力士の大関在位中の主な記録に関して以下にまとめた。
大関在位数 |
大関優勝回数(通算) |
大関勝率 |
|
琴ヶ濱 |
28場所 |
0回(0回) |
0.549 |
栃光 |
22場所 |
0回(0回) |
0.589 |
前の山 |
10場所 |
0回(0回) |
0.545 |
5場所 |
0回(0回) |
0.484 |
|
若島津 |
28場所 |
2回(2回) |
0.633 |
霧島 |
16場所 |
1回(1回) |
0.647 |
曙 |
4場所 |
2回(11回) |
0.8 |
8場所 |
0回(0回) |
0.496 |
|
30場所 |
3回(3回) |
0.623 |
|
3場所 |
2回(25回) |
0.844 |
|
高安※ |
15場所 |
0回(0回) |
0.665 |
貴景勝※ |
23場所 |
2回(3回) |
0.640 |
※現役力士。令和5年夏場所終了時点の成績
この中には曙、朝青龍といったすぐに横綱へ昇進した力士も存在する。
『大関は最低10勝』と言われているが、私のブログの中で何回か記載している通り、過去最高位大関で1場所10勝平均の勝率0.667を達成している力士は『朝乃山ただ一人』である(0.680)。
また大関では9勝6敗を 『クンロク』と揶揄されることが多いが、そのクンロクは勝率にすると『6割』である。
最高位大関でこれを達成しているのは『37名中14名』と過半数にも満たない。
34勝で昇進を果たした力士で最高位が大関は10名だが、そのうち5名が勝率6割を越えているため、この辺りは悪くない数字ではないだろうか。
もちろん霧馬山には大関に留まるのではなく、さらに上を目指してほしいわけだが。
ちなみに霧馬山の師匠の霧島も34勝で昇進を果たしている。
優勝1回、勝率も上位だが昇進が遅かったため、2年半ほどで関脇へ陥落している。
そして霧馬山自身、ある意味最大の重圧となるのは、過去モンゴル出身の大関は全員横綱へ昇進していることだろう(朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜、照ノ富士)。
この中に仲間入りするのは並大抵の努力では難しいだろうが、この先の霧馬山の活躍に期待である。