相撲ロスのため、本日の仕事及び筋トレはとにかく憂鬱であった。
話を相撲に戻すが、夏場所は4関脇の活躍、貴景勝の角番脱出と話題が多かったが、『朝乃山』に対する話題、関心も多かっただろう。
今場所の朝乃山は12勝を挙げ、結果的に次点の成績を残すことが出来た。
中には『三賞はないのか?』といった声も聞かれた。
私自身としては昨日『勝手に語る』の方でも記載したように、朝乃山の三賞は不要だと思っている。
しかし朝乃山というネームバリューを除けば、幕内で12勝を果たして三賞なしは中々厳しい結果だろう。
年6場所制となった昭和33年以降、幕内で12勝して三賞を受賞した力士は『165名』である。
そして12勝しながらも三賞を受賞できなかった力士は今場所の朝乃山を含め『16名』である。
実に約91%の力士が12勝すれば三賞受賞となる中、朝乃山は残りの9%を引いてしまったとなると不運に感じてしまうだろう。
過去12勝して三賞を受賞できなかった力士は以下の通りである。
場所 |
備考 |
|
昭和33年初場所 |
大内山(東前頭14枚目) |
次点 |
昭和33年九州場所 |
國登(東前頭15枚目) |
|
昭和34年春場所 |
房錦(東前頭9枚目) |
|
昭和34年九州場所 |
玉乃海(西前頭筆頭) |
次点 |
時津山(東前頭11枚目) |
|
|
昭和37年春場所 |
房錦(西前頭10枚目) |
|
昭和37年九州場所 |
大豪(西前頭10枚目) |
次点 |
平成5年九州場所 |
貴ノ浪(東関脇) |
|
平成13年秋場所 |
栃東(東関脇) |
次点 |
平成16年名古屋場所 |
雅山(東前頭7枚目) |
次点 |
平成19年夏場所 |
琴光喜(東関脇) |
次点 |
平成22年九州場所 |
豪栄道(東前頭14枚目) |
|
平成29年夏場所 |
栃ノ心(東前頭10枚目) |
次点 |
平成29年名古屋場所 |
栃煌山(西前頭5枚目) |
|
令和元年秋場所 |
貴景勝(西関脇) |
同点 |
令和5年夏場所 |
朝乃山(東前頭14枚目) |
次点 |
過去には上位圏内で12勝しても三賞受賞なしのパターンも存在する。
今場所の朝乃山の番付は平幕下位である。
そうなると上記発言とは矛盾するが、元大関であることも考慮してそこまで不運でないようにも感じてしまう。
ちなみにこの16場所の三賞受賞者は以下の通りである。
場所 |
敢闘賞 |
殊勲賞 |
技能賞 |
昭和33年初場所 (大内山) |
若前田(西小結) 8勝7敗 |
琴ヶ濱(東関脇) 11勝4敗 |
北ノ洋(西前頭筆頭) 9勝6敗 |
昭和33年九州場所 (國登) |
安念山(東前頭2枚目) 10勝5敗 |
北の洋(東前頭筆頭) 8勝7敗 |
若瀬川(東前頭6枚目) 9勝6敗 |
昭和34年春場所 (房錦) |
柏戸(西前頭13枚目) 13勝2敗(次点)
|
北の洋(西前頭筆頭) 8勝7敗 |
柏戸(西前頭13枚目) 13勝2敗(次点) |
昭和34年九州場所 (玉乃海) |
冨士錦(東前頭11枚目) 12勝3敗(次点) |
安念山(西関脇) 12勝3敗(次点) |
若ノ海(西前頭2枚目) 12勝3敗(次点) |
(時津山) |
北葉山(東関脇) 10勝5敗 |
柏戸(西関脇) 9勝6敗 |
北の洋(東前頭筆頭) 9勝6敗 |
昭和37年春場所 (房錦) |
豊國(西前頭2枚目) 9勝6敗 |
栃光(西小結) 10勝5敗 |
佐田の山(東関脇) 13勝2敗(優勝) |
昭和37年九州場所 (大豪) |
豊山(東関脇) 12勝3敗(次点) |
豊山(東関脇) 12勝3敗(次点) |
小城ノ花(西関脇) 9勝6敗 |
平成5年九州場所 (貴ノ浪) |
小城錦(東前頭16枚目) 11勝4敗 |
武蔵丸(西関脇) 13勝2敗(同点) |
智ノ花(西前頭2枚目) 8勝7敗 |
平成13年秋場所 (栃東) |
朝青龍(西前頭筆頭) 10勝5敗 |
琴光喜(東前頭2枚目) 13勝2敗(優勝) |
琴光喜(東前頭2枚目) 13勝2敗(優勝) 海鵬(東前頭4枚目) 10勝5敗 |
平成16年名古屋場所 (雅山) |
豊桜(東前頭14枚目) 12勝3敗(次点) |
該当者なし |
該当者なし |
平成19年夏場所 (琴光喜) |
出島(東前頭10枚目) 12勝3敗(次点) |
安美錦(東前頭4枚目) 9勝6敗 |
朝赤龍(西前頭5枚目) 12勝3敗(次点) |
平成22年九州場所 (豪栄道) |
豊ノ島(西前頭9枚目) 14勝1敗(同点) |
稀勢の里(東前頭筆頭) 10勝5敗 |
豊ノ島(西前頭9枚目) 14勝1敗(同点) |
平成29年夏場所 (栃ノ心) |
阿武咲(東前頭14枚目) 10勝5敗 |
御嶽海(東小結) 8勝7敗 |
嘉風(西小結) 8勝7敗 高安(西関脇) 11勝4敗 |
平成29年名古屋場所 (栃煌山) |
碧山(東前頭8枚目) 13勝2敗(次点) |
御嶽海(西関脇) 9勝6敗 |
該当者なし |
令和元年秋場所 (貴景勝) |
隠岐の海(東前頭8枚目) 11勝4敗 剣翔(東前頭14枚目) 10勝5敗 |
御嶽海(東関脇) 12勝3敗(優勝) 朝乃山(西前頭2枚目) 11勝4敗 |
該当者なし |
令和5年夏場所 (朝乃山) |
該当者なし |
明生(東前頭6枚目) 8勝7敗 |
霧馬山(東関脇) 11勝4敗 若元春(西関脇) 10勝5敗 |
昭和30年代に多い理由として、この時は各賞1名ずつであることが多かったため、同点の成績の場合、番付上位が受賞するケースが多い。
また仮に白星で上回っていたとしても上位圏内で活躍した力士に受賞させることが多い。
下位の12勝より上位の10勝を優先していたのだろう。
平成以降は今回で『9回目』となる。
それぞれ見ていくとまず平成5年九州場所の貴ノ浪だが、東関脇で12勝と文句なしの成績だが、同じ番付の武蔵丸が13勝の成績を挙げていた。
平幕下位で小城錦が11勝だが、貴ノ浪は2大関(貴ノ花、若ノ花)と同部屋だったこと、小城錦が入幕3場所目の若手だったからといった所で不運にも受賞がならなかったと予想される。
余談だが、翌場所貴ノ浪が13勝、武蔵丸が12勝して大関同時昇進を果たしている。
平成13年秋場所の栃東は12勝のうち4勝が立ち合い変化だったため、印象が悪く受賞ならなかった。
平成16年名古屋場所の雅山は、敢闘賞を受賞した豊桜と同成績であり、番付も雅山の方が上位であるが受賞ならなかった。
おそらく元大関というのが1つの理由に挙げられるのではないだろうか。
平成19年夏場所の琴光喜はなぜ受賞できなかったのか不明なレベルだが、実力者だからということが理由なのかもしれない。
この翌場所13勝して大関昇進を果たした。
平成22年九州場所の豪栄道は、この場所再入幕の場所だったが、同じく再入幕の豊ノ島に全て持っていかれる結果となった。
また殊勲賞の稀勢の里はこの場所白鵬の連勝を63で止めた白星を挙げていたため、この2名の活躍が光りすぎて12勝してもまるで話題に挙がらなかった。
平成29年夏場所の栃ノ心は受賞してもおかしくない活躍だが、不運にも受賞ならなかった。
三役経験者ということで受賞ならなかったのか。
その翌場所の栃煌山は、同部屋の碧山が千秋楽まで優勝を争う活躍のため、見向きされなかった。
令和元年秋場所の貴景勝は、この場所特例復帰を懸ける場所だったため、ある意味非該当という形だったのだろう。
この時は『優勝したら』という条件付きもなかった。
そして朝乃山だが『元大関』というのも1つの理由だろうが、何より4関脇の活躍の方が光っていたというのが最大の理由だと思う。
昭和30年代と同様の考え方だろう(審判部がその考え方を持っていたわけではないと思うが)。
これが上位圏内で12勝ならば受賞できただろう。
昨日記載したが、今場所受賞させるよりも『上位圏内で11勝』の方が価値は高いと思う。
ファンの期待も大きく、時には過度な期待すらも多い朝乃山だが、ファンが望む姿は三賞受賞ではなく、優勝と大関復帰だろう。
来場所おそらく上位圏内に戻る可能性も高いが、そこで結果を残してほしいところである。