優勝争いトップの2人ではなく、朝乃山ー照ノ富士の一番から振り返ろうと思う。
さっそくだが朝乃山に厳しいことを言わせてもらおう。
『話にならない』
正直今場所の照ノ富士に勝てなければ、金輪際勝つのは不可能だと思うほどのレベルである。
今場所の照ノ富士は決して好調とは言い難く、本日の照ノ富士の立ち合いも高いため左前ミツを引くことは出来なかった。
両者上手を引けない中での右四つとなったが、そこからでも技術を発揮しているのは照ノ富士の方だった。
左の使い方が照ノ富士の方が遥かに上である。
照ノ富士は左から絞りながら上手を狙い、最終的には上手を取ることに成功した。
そして右の腕の返しも完璧である。
一方の朝乃山は立ち合いで左前ミツを狙う動きを見せているが、その後は左がお留守になっており、照ノ富士に右腕を返されたことでさらに左を使えなくなった。
これで朝乃山は照ノ富士戦4戦全敗だが、右四つの完成度の低さがまた露呈される形となった。
何度か記載しているが『朝乃山=組めば強い』というのは、あくまで四つが不得手な押し相撲相手に組んで勝っているからその印象が強いのである。
だから右四つが完成されている白鵬、照ノ富士に勝つことが出来ない。
朝乃山は間違いなく地力はつけており、一時期苦手にしていた押し相撲相手に対しても克服してきた。
そのため安定して二桁勝利を挙げることが出来たため大関へ昇進した。
しかしさらに上の番付を目指すならば左前ミツの取り方、右四つに対する研究をもっとするべきだろう。
上記の通りあえて厳しいことを言わせてもらったが、本日の結果に失望しているのは私だけではないはずだ。
そして期待しているからこそ厳しいことを言わせてもらっている。
技術に関しては稽古して身に付けるしかない。
さて優勝争いトップの2人の話に移ろう。
昨日大栄翔と並んだ正代だが、本日は正代らしい相撲で完勝した。
ここ2日間は危ない相撲をモノにしてきたが、本日は自分の相撲で完勝したため、残り3日間にも弾みがつくのではないだろうか。
明日から2関脇、朝乃山と強敵が続くが、これを突破出来るかどうか。
そして昨日正代に並ばれた大栄翔だが、本日は辛勝だった。
昨日完璧な立ち合いが仇となり、本日はそれが迷いとなって現れたか。
立ち合いの当たりも弱く、突っ張りの威力も冴えなかった。
さらにはすぐに叩く動きを見せるなど消極的な内容であり、そして固さが見られている証拠でもある。
それでも執念で土俵際逆転の突き落としを決め、昨日の正代同様命拾いした中で白星を掴んだことは大きいだろう。
昨日も記載したが、優勝争いが佳境を迎える終盤戦において最も重要なのは白星である。
大栄翔としては意識しないようにしても意識せざるを得ない状況に陥っているだろう。
本日はあまりにも消極的な内容だったため、役力士を総なめにしたときの相撲を思い出せるかどうかがこの先重要だろう。
平幕相手でも守りに入ってはいけない。
とにもかくにもしっかり当たってしっかり突き放していくことだ。
優勝争いの話題とは逸れるが、琴勝峰が12日目にして今場所の初白星を挙げた。
組んでも良し、離れても良しの力士であるが、まだ線が細く立ち合いの圧力もないため、絶対的な強さ、地力がなかった。
組んでも朝乃山、照ノ富士に圧倒され、押しても上位にひしめく押し相撲相手に圧倒されていた。
先場所は上位陣休場の影響もあり、役力士とも対戦をした中で見事勝ち越したが、身体の柔らかさを活かした土俵際の逆転が大半だった。
上記の通り、まだ絶対的な強さがないため、この先稽古を積み、上位でも当たり負けしない身体を作ってほしいところである。
今場所の大敗は決して恥じることではなく、あくまで今後の課題である。
明日の注目の割は
『正代ー隆の勝』
この一番である。
本日正代らしい相撲で白星を挙げたが、細かいことを言えば立ち合いはあまり踏み込めていなかった。
踏み込みなく、圧力もかけることが出来なければ明日の隆の勝戦は苦戦を強いられる可能性が高い。
そして正代の左と隆の勝の右の差し手争いになると思うが、これも差し負けると厳しい展開になるかもしれない。
対戦成績も2勝2敗の五分であるため、正代にとっては厳しい相手だろう。
上記の通り明日以降、正代にとって楽な相手などいないため(まぁ全員に言えることだが)、とにかく立ち合いに集中することだろう。
正代、大栄翔ともに危ない相撲をモノにする展開が見られており、優勝を果たす力士はそういった相撲をモノにする力士が多い。
両者ともにある意味条件は満たしたということである。
優勝争いの経験値及び地力は正代の方が上だが、爆発力を秘めているのは大栄翔といったところか。
一応4敗勢の優勝の芽も残されているが、この2名に絞られたと言っても過言ではない。
残り3日間。
目が離せない。
