きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

288. 2021年初場所10日目を勝手に語る

取り組みに目を向ける前に貴景勝が本日より休場。

3日目の相撲で足首を負傷したとのことである。

もちろん怪我による不振もあるだろうが、今場所はそれ以上に精神面に大きな傷を負ったのではないだろうか。

初の綱取りの重圧、自分の相撲を取ることができない焦り、消極的な相撲、何をやってもうまくいかないという負の連鎖が続いていた。

ここでの休場は正直『逃げ』と捉えられても仕方ないだろう。

来場所は綱取りから一転角番の場所になるが、大関に在位している以上、周囲を黙らせるには結果を残すしかない。

来場所の巻き返しに期待である。

さて土俵に目を向けると、昨日初黒星を喫した大栄翔は見事立ち直り連敗を免れた。

本日は立ち合いの当たり良く、その後の突っ張りも威力があった。

途中北勝富士の右ハズ押しで上体が浮きかけたが、立ち合いで当たり勝っていた分、ある程度の余裕はあっただろう。

連敗しなかったことが何よりであり、しかも良い内容で白星を積み重ねたことが最大の収穫である。

これで再び上昇気流に乗ることが出来るかどうか。

2敗正代は遠藤相手に苦戦を強いられたが、逆転の突き落としを決めて2敗を死守し、角番も脱出した。

遠藤十分の右上手を引かれ、出し投げで崩されたが、正代の場合左が少しでも覗けばすくい投げを打つことが出来るため、何とか凌いで逆転に結び付けた。

褒められた内容ではないが、とりあえず角番脱出が何よりではないだろうか。

危ない相撲をモノにして星の差1つを保ったのも大きい。

10日目での勝ち越しは大関という番付を考えたらある意味当然と言えば当然かもしれないが、大関としての経験値がほぼない中で早くも角番の場所となり、相撲内容を徐々に改善させながら早々角番脱出したことは称賛に値するのではないだろうか。

ここからは気持ちも楽に挑むことが出来るだろう。

この先『大関正代』としての真価が問われることになるだろう。

終盤戦厳しい対戦相手が続くだろうが、自分の相撲を取り切ってほしいところである。

3敗朝乃山はやや苦手としている玉鷲相手に完勝し、角番脱出まであと1番とした。

玉鷲の突きを下から跳ね上げ、さらには圧力もしっかりかけながら右を差し、最後は上手も引いて万全の形を作った。

前半戦は余裕なく前に出る意識が強過ぎて上手も引かず逆転を許すという場面も見受けられたが、昨日本日と前に出ながらしっかり上手も引いているため磐石である。

相撲内容にも厳しさが増してきたため、現状優勝の可能性は厳しくても食らい付いていってほしいところ。

両者ともに負けられない『照ノ富士ー隆の勝』の両関脇の一番は隆の勝に軍配が上がった。

立ち合い照ノ富士は得意の右差しを狙ったが、隆の勝もそう来るのがわかっているため、左おっつけでそれを封じた。

照ノ富士が右差しを諦め、すぐに右を抱える形となり、隆の勝としてはもろ差しの形を作って一気に走った。

しかし照ノ富士も怪力を活かして極めにかかったが、隆の勝も瞬時にそれを察して差し手を抜いた。

照ノ富士がここぞと前に出たが、土俵際に落とし穴が待っていた。

短い相撲だったが、隆の勝側から見るとおっつけの威力、瞬時の判断が光った一番となった。

そしてこれだけの相撲が取れるのになぜ昨日敗れてしまったのだろうというもったいない感じもある。

期待しているだけに、御嶽海の二の舞にだけはならないでいただきたいのだが。

照ノ富士側から見ると土俵際のツメの甘さもそうだが、右差しを諦めるのがあまりにも早く、我慢が足りなかった一番と言える。

昨今両横綱の休場が続いている中、実力ナンバーワンは照ノ富士と言っても過言ではないが、まだ強さにムラがあるのも事実か。

この力士の場合怪我との戦いもあるため、如何に15日間力を出し切ることが出来るかというところが課題となるだろうが、今場所は苦戦を強いられている様子である。

二桁を目指すには2大関との対戦を残して4勝1敗とやや厳しい星勘定だが、照ノ富士の力量ならば決して無理難題ではない。

何せ朝乃山との対戦成績は3戦3勝であるし、復活してきてからの相撲の質は大関よりも上である。
とにかく雑な相撲だけは避けたいところである。
立ち合いの修正を図る必要があるだろう。

明日の注目の割は
『正代ー隠岐の海
『大栄翔ー阿武咲』
この2番である。

正代は何故か隠岐の海相手に苦戦しており、昨年秋場所優勝を果たした場所でも隠岐の海に敗れている。

注意しなければならない点は土俵際逆転の突き落としである。

正代としては立ち合いの踏み込み、圧力で圧倒したいところだが、隠岐の海戦ではそれがうまくいかないことが多い。

正代は立ち合いの当たりを止められた後ジリ貧になることも多いため、止まった後も強引に前へ出ず、上手を引いてから攻める、巻きかえてもろ差しの形を作ってから攻めるなど焦らないことが重要だろう。

大栄翔ー阿武咲だが、昨日も記載した通り大栄翔にとってターニングポイントとなるのではないかと考えている。

今場所初日から3日連続で3大関を総なめにした大栄翔だが、それ以上に強さを感じさせていたのが阿武咲だった(あくまで私個人の見解)。

そのためこの一番が今場所を左右する可能性は高いと密かに思っていた。

阿武咲の勢いはやや消失気味だが、それでも全く持って油断できない相手である。

大栄翔としてはもちろん油断などしないだろうが、突っ張りを下から跳ね上げられ圧倒される可能性も高い。

とにかく立ち合いが重要であり、そして的確に突きを命中させることが出来るかどうか。

昨日まで3敗力士が10名も存在したが、残ったのは朝乃山、明生、逸ノ城と予想通りというか何というか相応の力士である。

逸ノ城はこの番付ならば何ら不思議ではないし、ここに阿武咲がいなくなってしまったのが少々物足りないか。

明日から終盤戦。
大栄翔がこのまま突っ走るのか。
それとも正代の逆転か。
はたまた優勝ラインは3敗以下となるのか。

目の離せない終盤戦となりそうである。