本日より後半戦へ突入した春場所だが、平幕全勝の翠富士の勢いは止まらない。
同じく小兵力士(まぁ宇良は小兵とは言い難い身体になってきているが)の宇良相手に反応良く対処した。
密着する展開から我慢して、相手が引いてきたところをすかさず前に出た。
好調なだけあり、勝機は逃さないといった内容だった。
明日から役力士及び上位圏内との割が組まれるが、変わらず好調を維持できるかどうか。
1敗大栄翔は完璧な相撲で玉鷲を下して勝ち越しを決めた。
立ち合いの当たり良く、腕の伸び、突っ張りの回転、出足と全て噛み合っていた。
合い口の悪い玉鷲が相手だったが、やはり今場所の勢いの差が出た一番だった。
まだ豊昇龍、霧馬山の関脇との対戦も残されており、厳しい闘いとなるだろうが、どこかで組まれるであろう翠富士との直接対決まではこのままいきたいところである。
優勝争い生き残りを懸けた2敗同士注目の割である『琴ノ若ー正代』は琴ノ若に軍配が上がった。
それにしても熱戦だった。
今場所ここまで一番の熱戦と言っても過言ではなかった。
それだけ両者の持ち味が発揮された一番だった。
正代の攻めも良かったし、それを凌いだ琴ノ若は素晴らしかった。
そしてさらに土俵際最後まで諦めなかった正代の執念を感じさせた。
ほんの紙一重で琴ノ若に軍配が上がったが、琴ノ若としては優勝争いに生き残ることが出来たし、二桁のためにも大きな白星を手にした。
大栄翔戦は終えているため、優勝争いという点では厳しいかもしれないが、このまま2敗で食らいついていけばチャンスはあるだろう。
連敗中の高安が碧山を下して連敗を2で止めた。
何度も苦杯を舐めさせられている碧山相手に迷うことなく左差し速攻で寄り切った。
翠富士戦を終えて星の差2つのため、現状優勝は厳しいだろうが、とにもかくにも白星を積み重ねていくしかないだろう。
関脇陣が落ち着いてきたか。
本日も安泰である。
若隆景は5連敗していた時とは別人のように攻める相撲で4連勝。
元々中盤戦以降に白星を積み重ねる傾向にあるため、今場所もある意味ではいつも通りといったところか。
あまりにも5連敗がもったいなく感じるが、この先若隆景と割が組まれる力士は要注意だろう。
豊昇龍が翔猿の変化に慌てず冷静に対処した。
地に足ついてきた様子であり、何だかんだ6勝している辺り自力がある証拠か。
霧馬山は長い相撲の末、竜電を下して6勝目。
途中胸が合う展開になったが、竜電の上手をうまく切り、時間をかけて相手の力を殺していくような内容だった。
本日のように苦労して勝つことにより、今後苦しい場面でも力を発揮することが出来るようになるだろう。
本日目を引いたのが『若元春ー阿炎』の取り組みである。
現状番付は若元春の方が上だが、正直力量としては阿炎の方が上だと感じている。
昨年阿炎が休場する前まで阿炎の力量は現在の3関脇と同等と言っても過言ではないと思っていた。
しかし本日の若元春ー阿炎の相撲を見ると、阿炎の突っ張りが全く通じず、若元春が圧倒する内容だった。
今場所の若元春の相撲を見ると予想以上に力をつけていることがわかるし、本日の相撲を見るとより一層それを感じさせるものだった。
その一方、阿炎が出世争いから後退した印象も受けた。
幕内へ復帰して連続で12勝を挙げて関脇へ昇進し、大関候補の一人であった。
休場で番付を落としたが、その場所で見事初優勝を果たし、やはり力量は関脇クラスだと思わせたのだが、先場所中盤戦以降の失速やここ数日の内容を見るとやや陰りが見えてしまう。
毎場所好調力士が目まぐるしく変わっているため、この先再び阿炎が大躍進する可能性も十分考えられる。
しかし現状事実として上位圏内で二桁の白星がないというのはやはりネックになるか。
阿炎も役力士に出遅れることなく意地を見せてほしいところである。
明日の注目の割は
『豊昇龍ー大栄翔』
この一番である。
大栄翔にとっては突っ張りにくい相手である。
また豊昇龍が調子を取り戻してきているため難敵である。
上記の通り大栄翔としては翠富士との直接対決まではこのまま1敗を維持したいところである。
触れていなかったが、2敗力士の中に遠藤の四股名がある。
地味にと言っては失礼だが、相撲の巧さはさすがといったところである。
期待したい気持ちもあるが、すでに2敗で明日は苦手の正代戦のためかなり厳しい印象を受ける。
究極のタラレバだが、翠富士との直接対決に勝っていればという思いがある。
さて昨日私は『大栄翔>琴ノ若>正代=翠富士』と記載したが、正代が脱落に近いか。
何度か記載しているが、最近は12勝の優勝も多い。
そのため3敗までチャンスがあるとはいえ、現状すでに3敗だとかなり厳しい立場にある。
明日から翠富士が役力士及び上位圏内との割が組まれるが、ここでどのように場所が動くだろうか。
明日で中盤戦が終了するが、どのような形で終盤戦へ突入するのか見物である。