大相撲九州場所初日まで残り2週間を切っているが、1年納めの九州場所で注目するのが『年間最多勝』である。
秋場所を終了した時点での順位は
1位:若隆景(49勝26敗)
2位:琴ノ若(46勝25敗4休)
3位:豊昇龍(44勝31敗)
4位:霧馬山・若元春(43勝32敗)
といった展開である。
ここに上位陣の四股名が1名も存在しないが、一応振り返ると
・照ノ富士:42勝19敗14休
・貴景勝:38勝26敗11休
・御嶽海:37勝30敗8休
・正代:34勝41敗
以上のようになっている。
照ノ富士は展開次第ではチャンスが全くないわけでもない成績だが、秋場所終了後に膝の手術を受けたため、長期休場は避けられない状況であるため、これ以上の白星は見込めない。
貴景勝はここ2場所二桁勝利を続けているが、初場所休場の影響もあって蚊帳の外である。
御嶽海は春場所までは24勝6敗の好成績だったが、その後3場所は崩壊している。
正代は言わずもがなといった状況である。
仮にこのまま若隆景がリードを守り切り、年間最多勝受賞となれば、関脇の受賞は平成4年の貴花田以来30年ぶりである。
ちなみにこの時の貴花田は『60勝30敗』という当時の最少白星による受賞であった。
若隆景が11勝以上すれば60勝以上に到達するが、10勝以下ならば60勝未満が決定してしまう。
琴ノ若が14勝すれば60勝に到達するが、急成長を遂げている琴ノ若とはいえ、さすがにそれは現実的ではないか。
過去60勝未満の年間最多勝は以下の通りである。
四股名 | 初 | 春 | 夏 | 名 | 秋 | 九 | 成績 | |
平成29年 | 白鵬 | 11勝4敗 | 2勝3敗10休 | 15戦全勝(優勝) | 14勝1敗(優勝) | 全休 | 14勝1敗(優勝) | 56勝9敗25休 |
平成30年 | 栃ノ心 | 14勝1敗(優勝) | 10勝5敗 | 13勝2敗 | 5勝2敗8休 | 9勝6敗 | 8勝7敗 | 59勝23敗8休 |
平成31年 令和元年 |
朝乃山 | 8勝7敗 | 7勝8敗 | 12勝3敗(優) | 7勝8敗 | 10勝5敗 | 11勝4敗 | 55勝35敗 |
令和2年 | 貴景勝 | 11勝4敗 | 7勝8敗 | 中止 | 8勝4敗3休 | 12勝3敗 | 13勝2敗(優勝) | 51勝21敗3休 |
平成29年に初めて60勝未満となり、それが4年連続となっていた。
昨年は『照ノ富士時代の幕開け』とも呼べる1年だったため、照ノ富士が77勝を挙げたが、今年に入ってから照ノ富士は怪我に苦しむようになり、結果として優勝争いも年間最多勝も混沌とする形となっている。
過去最少白星による受賞は貴景勝の51勝であるが、これは年5場所の成績である。
年6場所に絞れば朝乃山の55勝である。
しかもこの成績は『休場無しの最少白星』『小結以下』『次点力士も小結以下(阿炎)』という珍記録づくめであった。
そしてもう一つ注目が『次点』に関してである。
私のブログで何度か記載したことがあるが、過去最少白星による次点は『54勝』である。
ちなみに過去は
・昭和50年:魁傑(大関)
・平成29年:御嶽海(関脇)、貴景勝(前頭筆頭)
・平成31年/令和元年:阿炎(小結)
※番付は年間の最高番付
この3回(4名)である。
ちなみに昨年は秋場所終了時点で御嶽海が44勝31敗であり、御嶽海の場合一桁勝ち越しで終わる可能性が高いと思い、54勝に到達しないのではないかと予想していたが、11勝を挙げて55勝に到達する結果となった。
今年はここまで2位である琴ノ若が46勝しており、ここ数場所の活躍ぶりを見ると勝ち越しには到達すると思われるが、最悪の場合は54勝を下回る可能性もある。
仮に琴ノ若がどんな結果であれ年間次点成績となれば、貴景勝以来の『三役経験なし』によるものである。
また単独となれば史上初である。
3位以下の豊昇龍、霧馬山、若元春辺りが大勝ちする可能性も考えられなくはないが、現状の力量を踏まえると良くても10勝といったところだろう。
期待の力士である琴ノ若が負け越す姿をあまり想像したくないし、何なら54勝を軽く超えてほしいところだが、今年の年間最多勝及び次点成績もやや泥沼化しそうである。