昨日御嶽海に関して記載したが、本日は正代に関して記載していきたいと思う。
率直な感想としては『酷い』である。
序盤戦に関しては4場所連続1勝4敗である。
春場所、名古屋場所は中盤戦以降巻き返し、それぞれ9勝、10勝とし、中盤戦以降は最強と言っても過言でない強さだった。
しかし序盤戦で4敗を喫している時点で優勝争いという点では蚊帳の外だし、そもそも9勝、10勝を合格点にしている時点でどうかと思う。
私はこのブログ内でも何度か記載しているが『昔の大関はもっと強かった』という旨の発言には少し否定的ではある。
最高位が大関の勝率はいまでこそ朝乃山が0.680を記録しており、これは1場所平均10勝を越えているが、朝乃山の場合は力量が衰退して陥落しているわけではないため事情が異なる。
朝乃山を除けば高安の0.665であり、これは1場所平均10勝の0.667に僅かながら届かない数値となっている。
『大関は最低10勝』というのは最高位大関では誰も成し遂げることの出来ていない記録のため、上記の通り『昔の大関はもっと強かった』に対しては否定的である。
『大関以上横綱未満』の力量である大関に関しても、片手で数えられる程しか存在しないだろう。
話は逸れたが、では正代も歴代の大関と同レベルかと言われたらその答えは『ノー』である。
まず上記の4場所連続序盤戦1勝4敗に関してだが、歴代でもこんな大関は存在しない。
今年に入ってから東京場所を負け越し、地方場所を勝ち越す展開が続いているが、結果として角番ではない場所に負け越し、角番の場所で勝ち越しを決めているのである。
角番場所では中盤戦以降火がついて巻き返すことが出来ているが、角番でなければ極論0~7勝は同じである。角番場所で負け越さなければ良い話だ。
いつぞやかの解説で舞の海が『角番制度に甘えている』と発言し、炎上したという噂を聞いたが、私も舞の海と同意見であり、そう思われても仕方ない結果しか残していないと思う。
そもそもなぜ炎上したのだろうか?
これが北の富士が発言したならばその通りだと思うファンも多かったと思うが、結局はファンも人を見て判断しているとしか思えないのだが。
今場所11日目に2勝目を挙げた時、ファンから温かい拍手が送られていた。
失礼だがこんな結果しか残していないにもかかわらず、応援し続けているファンがいることは素晴らしい事だと思う。
しかしさすがに甘すぎやしないかと思いたくなる。
御嶽海が中々大関昇進出来ず三役に長く在位していた時、序盤戦4勝1敗とした時ですら『今場所も下位に取りこぼし』と叩かれていたことがあった。
この当時の御嶽海は記載通り関脇である。そして正代は現在大関の地位で4場所連続1勝4敗という結果しか残せていないのである。
随分と扱いが異なるのではないだろうか。
度を越えた誹謗中傷はもちろん異なるが、時には厳しく接することもファンとしては重要なのではないだろうか。
ちなみに正代は今年に入ってから5場所で34勝41敗である。
来場所11勝以上しなければ大関として年間負け越しが決定するのである。
少し面白いことにここまで
6勝9敗→9勝6敗→5勝10敗→10勝5敗→4勝11敗と来ており、白星黒星を逆転させているのである。
それならば来場所11勝するのでは?という期待も膨らむかもしれないが、こんな珍記録が生まれるのを期待する程、今の正代に期待できるものはないということである。
ちなみに年6場所制以降、大関で年間6場所『白星≦黒星』となったのは以下の通りである。
四股名 | 年代 | 初場所 | 春場所 | 夏場所 | 名古屋場所 | 秋場所 | 九州場所 | 合計 | 備考 |
松登 | 昭和33年 | 全休 | 6勝9敗 | 8勝7敗 | 5勝10敗 | 1勝5敗9休 | 6勝9敗 | 26勝40敗24休 | 九州場所で大関陥落 |
琴ヶ濱 | 昭和35年 | 9勝6敗 | 8勝7敗 | 3勝7敗5休 | 10勝5敗 | 6勝9敗 | 1勝6敗8休 | 37勝40敗13休 | 2年後九州場所引退 |
北葉山 | 昭和40年 | 8勝7敗 | 3勝6敗6休 | 10勝5敗 | 4勝11敗 | 8勝7敗 | 5勝10敗 | 38勝46敗6休 | 翌年夏場所引退 |
栃光 | 昭和40年 | 11勝4敗 | 9勝6敗 | 3勝6敗6休 | 8勝7敗 | 6勝9敗 | 5勝10敗 | 42勝42敗6休 | 翌場所引退 |
豊山 | 昭和42年 | 9勝6敗 | 5勝10敗 | 1勝6敗8休 | 10勝5敗 | 6勝9敗 | 10勝5敗 | 41勝41敗8休 | 翌年秋場所引退 |
大麒麟 | 昭和48年 | 9勝6敗 | 3勝12敗 | 9勝6敗 | 9勝6敗 | 3勝6敗6休 | 8勝7敗 | 41勝43敗6休 | 翌年九州場所引退 |
三重ノ海 | 昭和52年 | 8勝7敗 | 8勝7敗 | 5勝10敗 | 8勝7敗 | 7勝8敗 | 9勝6敗 | 45勝45敗 | 2年後秋場所横綱昇進 |
雅山 | 平成13年 | 8勝7敗 | 7勝8敗 | 9勝6敗 | 7勝8敗 | 3勝7敗5休 | 全休 | 34勝36敗20休 | 九州場所で大関陥落 |
千代大海 | 平成20年 | 0勝8敗7休 | 8勝7敗 | 5勝10敗 | 9勝6敗 | 9勝6敗 | 8勝7敗 | 39勝44敗7休 | 2年後初場所引退 |
千代大海 | 平成21年 | 8勝7敗 | 2勝13敗 | 8勝7敗 | 8勝7敗 | 2勝9敗4休 | 2勝9敗4休 | 30勝52敗8休 | 翌年初場所引退 |
照ノ富士 | 平成28年 | 3勝3敗9休 | 8勝7敗 | 2勝13敗 | 8勝7敗 | 4勝11敗 | 8勝7敗 | 33勝48敗9休 | 翌年秋場所で大関陥落 |
三重ノ海、照ノ富士は特殊な例だが、他の力士は近いうちに大関陥落するか、引退を迎えている。
春場所に記載したことがあるが、正代の負け方を見ると引退間際の大関の相撲である。
成績を見ても過去の事例を見てもそう思われて仕方ない成績しか残していないのである。
正代ファンが期待し続けることに否定はしない。
だからと言って正代に酷評するファンも否定する気にはならない(度を越えた誹謗中傷は除く)。
正代としては脱却するためにとにかく序盤戦白星先行させ且つ二桁勝つことではないだろうか。
名古屋場所のように序盤戦で1勝4敗から最終的に10勝5敗で終えるよりも、序盤戦で黒星が少ない方が、優勝争いという点で期待が持てるだろう。
今場所も初日の相撲だけを見て期待したファンも多かっただろう。
とにもかくにも信用、信頼を取り戻すには勝つしかない。
御嶽海同様、身体面の問題なのか、それとも精神面の問題なのか、はたまたその両方なのか。
それは不明だが、早く修正してほしいところである。