玉鷲の活躍は素晴らしかったが、その一方で大関陣の不甲斐なさが目立っていた。
貴景勝は及第点の二桁に乗せたが、正代と御嶽海は揃って4勝11敗である。
今回は御嶽海について触れていこうと思う。
今場所の御嶽海は先場所コロナウイルス関連の休場に伴い、2場所連続角番という異例の場所だった。
先場所の状態を鑑みると厳しい場所になると思われたが、初日から2連勝スタートだった。
正直この段階で優勝争いはともかく、8勝に辿り着くのは問題ないと思っていた。
この後2連敗を喫したが、序盤戦3勝2敗としたため、この段階でも8勝は大丈夫という気持ちはあった。
何せ3勝したときの内容は完勝だったからである。
しかしそこから連敗地獄にはまってしまった。
しかもただ負けているだけではなく、活気もなければ勝てる気配もしない。
玉鷲戦ではお得意様が墓穴を掘ってもそこに付け入ることが出来ない。
御嶽海は関脇時代から強さと弱さを混在させていることはファンの間で有名である。
強いと思った翌日にあっさりと敗れてしまう、そしてその逆も然り。
しかし今場所中盤戦以降は『弱さしかない』10日間だった。
ここで力を発揮してくれるのではないかという期待感がまるでなかった。
私は御嶽海が大関昇進を果たした時、御嶽海について記載したことがある(詳細はこちら)。
その時の記載内容を簡潔にまとめると、勢いそのまま横綱へ昇進するのか、それとも関脇時代のように一桁勝ち越しで落ち着くのかといった旨である。
言うなれば一桁勝ち越しで関脇に長らく在位していたときも、極論この状態で大関へ昇進しても大関を維持できるだけの力量は備わっていると思っていた。
この時御嶽海に足りなかったものは15日間通しての安定感であり、ただ一桁勝ち越しを達成するだけならば十分な力量だった。
だからこそ三役の連続在位も長くなっているのである。
その御嶽海が来場所10勝出来なければ、大関在位4場所となり、歴代ワースト1位となる短命大関になってしまうのである(早くに横綱へ昇進を果たした力士は除く)。
場所中にも記載したが、3場所連続で不調であることが気掛かりである。
大関在位:4場所
勝敗:23勝29敗8休
勝率:0.442
いずれも歴代ワースト1位である。
今年の初場所3回目の優勝して大関昇進を果たしたとき、御嶽海のこんな姿を想像出来ただろうか。
絶対にいないと言っても過言でないと思う。
上記の通り、一桁勝ち越しで落ち着く可能性は十分に考えられた。
しかしそれにすら該当せず、ここまで崩壊してしまったのである。
ここまで崩れた御嶽海を見たことがない。
崩れる原因となったのが身体面なのか精神面なのかはたまた両方なのかはわからない。
来場所は1ヶ月半もすればやってくる。
はたしてそこまでに修正できるものなのだろうか。
修正できるものならば3場所連続で不振に至ることはないと思うのだが。
もしかしたらこの先御嶽海が三役から、さらには上位圏内から姿を消してしまうのではないだろうか。
こんな不安が過るほど御嶽海が深刻だということである。
御嶽海が100%の力を発揮すれば照ノ富士にも負けず劣らずの存在だと思っている。
それが15日間続かないのが御嶽海という力士だが、来場所復活することは出来るのだろうか。
上記の通り、実力を知っているだけに同じ4勝11敗の正代よりも心配である…