きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

541. 2022年名古屋場所千秋楽を勝手に語る

本割逸ノ城が宇良を下し、照ノ富士貴景勝に敗れたことで、逸ノ城が初優勝を果たし幕を閉じた2022年大相撲名古屋場所

初日から6連勝したとき、正確に言えば5日目で照ノ富士を下したとき、いよいよ眠れる獅子が目を覚ましたかと感じさせた。

新入幕の時から大きな期待をかけられ、そして右四つとして理想的な相撲を取っていたため、期待するなという方が無理だった。

途中私は休場明けの平幕力士に期待するようなレベルではない『全勝優勝』という過度な期待もしていた一方、どこかで弱い逸ノ城が顔を覗かせるのではないかという心配もしていた。

それが的中するかのように7日目から2連敗。

『何だかんだ今場所は10勝程度で殊勲賞貰って終わりかな』という気持ちも沸いていたが、見事ここから立ち直った。

昨日は明生相手に不覚を取ったが、運も味方してくれたのか照ノ富士貴景勝も同時に黒星。

千秋楽は切り替えて、曲者宇良相手に立ち合いすぐに上手を引いて圧倒した。

逸ノ城の初優勝が喜ばしいのは間違いないのだが、良くも悪くも初優勝力士っぽくない印象も受ける。

その理由の1つとして初優勝力士によくある『危ない相撲をモノにする』という展開が無かったためか。

今場所の逸ノ城は12勝の白星全てが完璧な相撲だったと言っても過言ではないレベルで充実していた。

攻められた展開から土俵際の逆転、普段の逸ノ城なら残すことが出来ない攻めを凌いだといった展開が全くなかった。
強いて言うならば、昨日自身が敗れた日に照ノ富士貴景勝も敗れたというのが『ツキ』だったか。

そしてもう1つは、思いの外呆気なく優勝が決まったことか。

呆気ないというと語弊があるかもしれないため断っておくが『照ノ富士貴景勝』の一番は素晴らしかった。

優勝決定戦を期待していたファンも多かっただろうし、照ノ富士貴景勝に敗れた一番も、人によっては『照ノ富士が土俵際逆転勝ちした』と思った人もいただろう。

しかし物言いも何もなく、貴景勝が当たり前のように勝ち名乗りを受けた姿を見て『何で?』という感情に至り、その瞬間逸ノ城の優勝が決まったとすぐに認識できなかった人も多かったのではないだろうか

余談だが、私はテレビで観戦していて照ノ富士の足が出ていたことはわかったが、その瞬間逸ノ城が優勝したというよりは『貴景勝良く押し切ったな~』という感情が先に現れたため、少し遅れて『あぁ逸ノ城優勝か』となった。

私だけかもしれないが、これらの出来事が重なったため、初優勝力士っぽくない印象を受ける。

上記の通り、逸ノ城の優勝は喜ばしいが、その中に物足りなさもある。

その一番の要因が『成績』だろう。

12勝3敗の優勝は特段珍しい訳ではないが、俗にいう『低次元優勝』である。

初日から完璧な相撲で6連勝とし、役力士を圧倒していた姿を見ていただけに、12勝が物足りなく感じてしまう。

上記相撲内容が圧巻だったこともそうだし、13勝、14勝しても決定戦にすら進出出来なかった過去もあるため、単独12勝で優勝が何だか物足りなく感じてしまうのか。

まぁこれに関しては場所の流れもあるため何とも言い難いところだが。

とにもかくにも怪物逸ノ城が初優勝を果たした。

あまりにも冬眠期間は長かったが、これで三役定着、そしてさらに上へという期待を膨らませるファンも多いだろうが、正直私自身そこまでの期待値はない。

来場所二桁勝てばその時初めて本当に期待できる力士になっていると思う。

何度も言うが逸ノ城の初優勝は喜ばしい。
そして今場所の相撲内容は完璧である。
しかし信用はしていない。

眠れる獅子は目を覚ました。
しかしまた眠りにつくかもしれない。

来場所二桁。
これが完全な目覚めだろう。

とにもかくにもおめでとう、逸ノ城

そして最後に照ノ富士についても振り返ろう。

14日目、千秋楽は疲労が蓄積した影響も少なからずあるだろう。

今場所は全体を通じてみると、苦手力士に対しては圧倒する展開が多かった。

言い換えれば、押し相撲相手に下がらず、逆に圧力をかけて圧倒していた。

初日阿炎に敗れた一番に関しても、阿炎の突っ張りには全く下がらず、土俵際でポカを犯した内容だった。

元より膝に爆弾は抱えているし、完全に押し相撲対策が確立されたとは言い難いかもしれないが、照ノ富士の中でも変化があるのかもしれない。

その中で貴景勝が押しで照ノ富士を下したことに価値があるとも言える。

そしてその一方で、逸ノ城、豊昇龍、若元春といった四つ相撲相手に苦戦する場面が見受けられた。

逸ノ城戦に関しては完敗だし、豊昇龍戦に関してはあれだけの連続攻撃を凌げるのが凄まじいが、見ている側としては磐石とは言い難い内容である。

若元春戦も相手十分の左四つだが、照ノ富士も左四つで相撲を取ることが出来るため、正直あそこまで熱戦に至るとは思いもしなかった。

あの一番に関しては若元春が健闘したと言えばそれまでかもしれないが、四つ相撲力士でも自分十分の形になればチャンスがあるということが証明されたのではないだろうか。

何せ照ノ富士が幕内へ復帰して以降、四つ相撲で照ノ富士と互角に戦えた力士は高安だけであったため、来場所以降、若隆景、豊昇龍、霧馬山、琴ノ若といった辺りは工夫すればチャンスがあるだろう。

貴景勝、正代の2大関に関しては後日記載したいと思う。

今場所は力士はもちろんのこと、大相撲ファンも精神が削られる思いで15日間観戦していたと思うが、優勝争いという面ではそこまでグダグダにならず最後までわからない展開になったし、15日間完走できたことは良かったと思う。

今後番付編成、今場所以上に感染者が確認されたときの対応等課題は山積みだが、とにかく皆様15日間お疲れ様でした。