昨日全勝力士が消滅し、そして本日1敗力士も消滅した。
そしてトップの2敗力士の中に三役以上は存在しない。
中日でこの展開は昭和33年以降2回目だが、詳細は別途記載したいと思う。
まず『照ノ富士ー隆の勝』の一番から。
隆の勝が会心の相撲で2敗対決を制した。
立ち合いしっかり当たって右差し速攻。
これぞ隆の勝という相撲である。
2年程前から上位へ定着し、私自身期待を寄せていた力士だが、先場所三役で二桁敗けを喫し、隆の勝もこれまでかと落胆していたし、その気持ちは今場所初日の相撲を見ても変わらなかった。
しかしここ数日、隆の勝らしい前に落ちずに足を運ぶ相撲が取れている。
今場所は褒めた翌日に敗れる力士が多すぎるので、褒めるのはここまでにしておこう。
一方照ノ富士は相変わらず下がると何も出来ないといったところか。
絶対防御の重い腰を武器にしてきたが、それが失われているため、下がるとまるで相撲にならない。
2~5日目の相手は押し相撲、出足のある力士との対戦はなく、落ち着いて相撲を取ることが出来ていた。
結果として照ノ富士が前に出る相撲を取っていたため、膝への負担も少なかったのだろう。
しかし押し相撲、出足のある力士相手には防戦一方であり、対策も出来ていない。
この先も貴景勝、阿炎辺りは鬼門になるだろう。
再び皆勤も危ぶまれる状況に陥っていると思うが、修正出来るかどうか。
冷静に考えると大関陣が安泰。
相当珍しい出来事に感じてしまう。
貴景勝は今場所の好調の大栄翔を下して連勝。
昨日に引き続き好調力士を下した。
立ち合いの当たり良く、その後の攻めも下から攻めることが出来ていた。
最後の叩きはあまりにもまともに感じたが、当たり勝っていた分決まったというところか。
何だかんだでトップとは星の差1つのため、このまま白星を積み重ねていけばチャンスはあるか。
一方大栄翔は勝てばトップ集団に立てるチャンスだったが、それはならなかった。
後半戦以降、対戦相手は全員平幕力士であるため、大栄翔の力量ならば全勝しても驚きはないが、中々難しいことだろう。
それでも隆の勝以外の2敗力士との対戦は残されているため、まだまだチャンスはあるだろう。
御嶽海が遠藤を下して星を五分に戻した。
両者本調子ではないと思わせる一番ではあった。
遠藤もあの程度の叩きに落ちる力士ではないと思うのだが。
御嶽海は磐石な内容には程遠いが、勝ち越しのためには白星を積み重ねていくしかない。
正代がようやく2勝目。
しかしよくわからない力士だ。
攻めも守りも崩壊していると思っていたが、ここで好調の豊昇龍を正代らしい相撲で圧倒するのだから。
まぁビデオで見る限り軍配差し違えでもおかしくない内容ではあるが、攻める相撲を取ることが出来たという点では良かったのではないだろうか。
勝ち越しのためには上位戦2勝以上が求められるため、厳しい道のりに変わりはないが、一つきっかけになるか。
そして厳しいと言えば若隆景である。
本日敗れて5敗目を喫し、二桁のためには後半戦全勝が絶対条件となった。
それどころか勝ち越しにも黄信号が灯っている状態である。
本日も下から攻めようという意識はあるのだろうが、琴ノ若に右を差され、下手も十分に引かれたため、おっつけることが出来なかった。
自分の得意の形を作ることが出来ず連敗となったが、この先修正することが出来るかどうか。
まずは連勝することが重要か。
好調平幕力士に目を向けると、1敗の碧山、佐田の海が揃って黒星。
碧山は昨日に引き続き完敗。
うまく下から攻められているため、この先しっかり突きを相手に命中させることが出来るかどうか。
佐田の海は一山本相手にうまく相撲を取っていたが、回り込まれてしまった。
内容自体は悪くないため、切り替えて臨むことが一番だろう。
上位圏内で2敗の玉鷲は翔猿相手に完勝。
今場所の玉鷲の勝ち相撲は力強さを感じる。
ここ数場所後半戦失速することが多いため、後半戦も変わらず相撲を取ることが出来るかどうか。
明日の注目の割は
『御嶽海ー隆の勝』
この一番である。
このところ御嶽海が5連勝中の対戦だが、隆の勝にとっては上位陣最後の対戦相手である。
隆の勝にとってはここを乗り越えることが出来ればかなり大きいだろう。
今場所の御嶽海は本調子には程遠いが、こういうところで力を発揮するのも御嶽海という力士である。
また今場所は好調と思った力士が翌日に敗れる展開が続いているため、全く先が読めない。
明日から後半戦へ突入するが、照ノ富士の状態は厳しい。
上位陣で貴景勝がやや息を吹き返しているが、さすがにこのまま全勝でいくとは考えにくい。
阿炎、大栄翔も1差だがどうなるか。
上位圏内の平幕力士が抜け出すのか。
それとも圏外の力士か。
はたまた役力士の逆襲があるのか。
正直言って今場所は締まりのない場所だが、それでも後半戦も目が離せない。