きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

490. 優勝を起点とした大関昇進

大相撲夏場所まで残り1週間である。

先場所途中休場した照ノ富士、初優勝を果たした若隆景辺りが焦点になると思うが、本日は若隆景について触れていこうと思う。

先場所は壮絶な優勝決定戦の末、見事初優勝を果たした。

新関脇の優勝は年6場所制となった昭和33年以降史上初である。

また以前こちらでも記載したが、新関脇で12勝以上を果たした力士は全員大関以上へ昇進を果たしているため、若隆景が注目されるのも無理はないだろう。

2場所前の番付は東前頭筆頭であり、9勝6敗の成績だった。

10勝以上していれば平幕だとしても大関への起点場所になる可能性も秘めていたが、9勝ではおそらく起点とならず、先場所の12勝が起点となるだろう(今場所も優勝となれば話は変わるかもしれないが)。

過去に優勝場所が起点となり、大関へ昇進を果たした力士はどのような成績を残しているのだろうか。

以下に詳細をまとめた。

四股名

1場所目

2場所目

3場所目

合計

輪島

12勝3敗(優勝)

8勝7敗

13勝2敗(次点)

33勝12敗

魁傑(2回目)

14勝1敗(優勝)※

11勝4敗

11勝4敗

36勝9敗

保志

13勝2敗(優勝)

11勝4敗

12勝3敗

36勝9敗

貴花田

14勝1敗(優勝)

10勝5敗

11勝4敗

35勝10敗

若花田(若ノ花)

14勝1敗(優勝)

10勝5敗

13勝2敗(同点)

37勝8敗

栃ノ心

14勝1敗(優勝)※

10勝5敗

13勝2敗(次点)

37勝8敗

貴景勝

13勝2敗(優勝)

11勝4敗(次点)

10勝5敗

34勝11敗

※は平幕

四股名は当時

 

魁傑、栃ノ心は平幕優勝だったが、上位圏内ということもあり、それが評価されて起点場所となっている(厳密に言えば魁傑は上位圏外だが上位との割はしっかり組まれている)。

過去7名の結果を見ると、3場所合計白星が比較的高い傾向にある。

若花田、栃ノ心は歴代最多タイの37勝であり、魁傑、北勝海も36勝である。

上記の新関脇で12勝した力士が大関以上へ昇進も考慮すると、ますます若隆景に期待したくなるだろう。

これとは逆に、上位圏内で優勝を果たしながら大関昇進を果たせなかった力士も存在する。

詳細は以下の通りである。

四股名

1場所目(優勝)

2場所目

3場所目

合計

長谷川

12勝3敗(関脇)

8勝7敗

5勝10敗

 

金剛

13勝2敗(筆頭)

6勝9敗

 

 

琴錦

13勝2敗(5枚目)

12勝3敗

7勝8敗

 

貴花田

14勝1敗(2枚目)

5勝10敗

 

 

水戸泉

13勝2敗(筆頭)

8勝7敗

1勝12敗2休

 

琴光喜

13勝2敗(2枚目)

9勝6敗

12勝3敗

34勝11敗

御嶽海

13勝2敗(関脇)

9勝6敗

7勝8敗

 

玉鷲

13勝2敗(関脇)

5勝10敗

 

 

御嶽海

12勝3敗(関脇)

6勝9敗

 

 

大栄翔

13勝2敗(筆頭)

8勝7敗

6勝9敗

 

長谷川は優勝を果たした前場所に10勝5敗の成績を挙げており、当時の大関昇進基準が『30勝前後』だったため、優勝を果たした時点で昇進の可能性も秘めていたが、昇進を果たすことはなかった。

その後も結果として大関昇進を果たせず、歴代でも『最強関脇』と名高い存在となった。

琴錦は優勝した翌場所に小結へ復帰し、14日目終了時点で12勝2敗とし、小錦と並走していた。

もしこの場所で連覇を果たせば『関脇を飛び越えて大関昇進』という声も上がっていたが、千秋楽敗れてしまい、小錦が優勝を果たしたため大関昇進を果たせなかった。

翌場所は負け越しを喫し、その後も大関昇進を果たすことが出来なかったため、長谷川同様『最強関脇』と名高い存在となった。

琴光喜はこの中で唯一3場所勝ち越し、さらにはいわゆる昇進の目安と言われる『33勝以上』の成績を残したが、優勝した場所が平幕であること、2場所目が1桁だったこと、3場所目が終盤戦平幕力士に黒星を喫したこと等が挙げられ昇進を果たせなかった。

琴光喜はこの後低迷することになるが、5年後に遅咲ながら大関昇進を果たした。

御嶽海はご存じ(?)の通り、優勝を果たしながらも翌場所1桁勝ち越しに終わる、もしくは負け越しを喫するなど、安定感に欠けていたため中々大関昇進を果たすことが出来なかった。

しかしようやく今年念願の大関昇進を果たした。

上記表を見てもわかるように、優勝した翌場所に二桁勝利を挙げなければ昇進できないと言っても過言ではないだろう。

唯一輪島だけ昇進を果たしており、琴光喜の成績でも現在ならば昇進の可能性は十分あると思うが、印象を良くするためには最低でも10勝はほしいところだろう。

先場所の相撲を見て、若隆景は巧さだけでなく、力強さも兼ね備えていた。

今場所は確実に警戒されるだろうが、その中で二桁勝利を挙げることが出来るかどうか注目である。